45 / 176
第六章【エルフの隠れ里】
6-10 光の彼方、別れの果て
しおりを挟む
新たな力得て、白姫を助け出し、魔導エルフらとの死闘を切り抜けた魔剣士。
戦いは終結したが、本当の終わりはまだ迎えていなかった。
……そう。
毒矢に倒れた猛竜騎士と突然倒れたウィッチ。
二人の容体を確認するのに、かなりの時間が経っていた。
つまり、最悪の事態が脳裏に過ぎる――……。
魔剣士「……白姫、ウィッチちょっとオッサンのもとにいてくれ!」
白姫「う、うんっ!」
魔剣士「ウィッチをそっちに運ぶ!」
白姫「わかった!」
魔剣士は先ほど一緒に吹き飛ばされたウィッチを抱えると、縮地で猛竜騎士の隣へと即座に移動した。
そしてそっと二人を並べると、二人の様子を急いで確認する。
魔剣士「……オッサン、ウィッチ!」
白姫「猛竜騎士さん、ウィッチさん!」
猛竜騎士「…」
ウィッチ「…」
魔剣士「…オッサン!!ウィッチ!!聞こえないのか、オイッ!!」
猛竜騎士「…」
ウィッチ「…」
返事はない。
白姫「ま、魔剣士……」ブルッ…
魔剣士「…そんな顔するんじゃねぇ!この二人が死ぬわけねぇんだよ!」
白姫「で、でも……」グスッ…
魔剣士「言うな、言うんじゃないっ!!」
白姫「も、もう……」
魔剣士「…違う!!」
白姫「冷たい…よ……っ」ガタガタ…
魔剣士とて、触れてすぐに分かった。
二人の身体は既に冷たく、ピクリとも動かない。
顔色は血色を失い、呼吸すらも止まっていた。
魔剣士「ち、違う!違う!違うっ!!」
魔剣士「こんなところで死ぬようなクソオッサンとクソババアじゃねえだろうが!!」
魔剣士「……ッ!」
魔剣士「あ、あぁぁああああっ!!!」パァァアッ!!
白姫「ま、魔剣士……!」
魔剣士は黄金の光を放つ魔力を練り、それを右手へと集中させた。
魔剣士「起きやがれ……!」グググッ…!
魔剣士「く、クソ野郎がぁぁああっ!!」ビュオッ!!
そして、それを猛竜騎士の胸へと降り下ろす。
魔剣士「死んでるんじゃねぇよ、ボケナスがぁぁあああああっ!!」パァァッ!
猛竜騎士「…」
魔剣士「まだ俺はアンタと一緒に旅がしてぇんだ、戻ってこい…!戻ってこいクソォォォッ!!」
猛竜騎士「…」
胸に触れた片腕から、黄金に輝く過剰ともいえる魔力を幾度も打ち込んだ。
魔剣士「猛竜騎士ィィィッ!!!」
白姫「…ッ!」
魔剣士「戻ってこぉぉぉぉいっ!!!」
それこそ、魂の叫びであった。
諦めることなく、魔剣士は大声をあげながら黄金の魔力を輝かせ、猛竜騎士に語りかけた。
その間、白姫も意味をなすわけがないと分かっていたが、ヒールを何度もウィッチへと詠唱し、彼女が戻ってくるよう問いかけた。
魔剣士「……ッ!!」
白姫「……っ」
やがて、どれくらいの時間が過ぎたかは定かではない。
白姫についに魔力枯渇の症状が現れ始めた頃、それはようやく……。
猛竜騎士「…」トクン…
魔剣士「!」
猛竜騎士「…」トクン…
魔剣士「……まさか」
猛竜騎士「…」ドク…ン……
魔剣士「…オッサン?」
猛竜騎士「…」ドクン…
魔剣士「…オッサン!」
猛竜騎士「…」ドクン!
魔剣士「オッサン、オッサンッ!!」
猛竜騎士「…」ドクン、ドクン、ドクン!!
その強い想いが通じたのか、信じられないことに……猛竜騎士の心音が動き出した。
魔剣士「おらぁぁああっ!」パァァッ!
猛竜騎士「…ッ!」ビクン!
魔剣士「気づけよオッサン、目を覚ませよ、ウィッチも大変なんだよ……!」パァァッ!
猛竜騎士「…っ」
魔剣士「もう一発、殴ってやるよ…!これで、目ぇ覚ませぇぇっ!!」ググッ!
猛竜騎士「…ッ!」ハッ
それは魔剣士が、その腕をもう1度降り下ろそうとした瞬間だった。
猛竜騎士の目が完全に開くと同時に、魔剣士の降り下ろした腕をその手でガッチリと掴み、起き上がったのだ。
魔剣士「……!」
白姫「あ……!」
猛竜騎士「……うるせぇぞ!ゆっくり寝てられねぇじゃねえか!」
魔剣士「お、オッサン……?」
猛竜騎士「んむ、最悪の目覚めだよ…。おはよう、魔剣士、白姫」
白姫「も、もう…猛竜騎士さぁんっ!!」バッ!
猛竜騎士「うおっと!?」
白姫「良かったです、良かったです……!」グスッ…!
猛竜騎士「ハハ、そんな泣いてくれずともいいんだ」
白姫「…ッ」ギュウッ…
魔剣士「オッサン……」
猛竜騎士「魔剣士…」
魔剣士「生き返った…のか……?」
猛竜騎士「あぁ、地獄の底から蘇ったぜ。最悪な気分だけどな」
魔剣士「マジ…かよ……」
猛竜騎士「お前は俺が死んでいるように見えるのか?」
魔剣士「そんな…ことは……」
猛竜騎士「ハハハ!きちんと俺は…生きている。ここにいるぞ、魔剣士」
魔剣士「…」
魔剣士「…!」
魔剣士「……ッ!」グスッ
猛竜騎士「…」ピクッ
魔剣士「…っ」プイッ
猛竜騎士「……んん、魔剣士!?」
魔剣士「な、なんだよ!」
猛竜騎士「今泣いてなかったか!?おぉ!?」
魔剣士「な、泣いてねぇよバカ!」
猛竜騎士「ほれこっち向いてみろ、ほれほれ!」
魔剣士「うるせぇぇっ!!」ビュッ!
…ゲシッ!ゲシゲシッ!!
猛竜騎士「い、いでででっ!おい、生き返ったばっかの相手にその仕打ちはないだろうが!」
魔剣士「うっせぇ!もっかい死んじまえバカ野郎!!」
猛竜騎士「おい、お前そんなセリフは…!」
白姫「……あっ、猛竜騎士さん!待ってください!」
猛竜騎士「ん?」
白姫「まだです…!まだウィッチさんが!」
猛竜騎士「あ…あぁ……」
白姫「まだ、倒れて……!」
魔剣士「そ、そうだ!」
魔剣士「もう1度、俺の魔力で……ッ!」パァァッ!
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……待て、魔剣士」
魔剣士「あ?」
猛竜騎士「やめてくれ。もう、ウィッチのことはいい……」
魔剣士「へ?」
白姫「え…?」
猛竜騎士「ウィッチはもう……」
魔剣士「あ……?」
猛竜騎士「彼女は既に手遅れなんだ…。彼女の身体にこれ以上、傷はつけないでやってくれ…」
魔剣士「そ、そんなの分からないだろうが!俺の新しい力があってだな…!」
猛竜騎士「お前の魔力にそんな力はない!」
魔剣士「はぁ!!?」
猛竜騎士「俺が助かったのは、ウィッチのおかげなんだよ……」
魔剣士「あぁ!?」
白姫「ど、どういうことですか……?」
猛竜騎士「俺の毒を抜いたのはウィッチだ。彼女が最後の力を振り絞って、俺に魔法をかけてくれたんだよ」
魔剣士「はぁ…?」
猛竜騎士「夢か現か、だが…助かったのならそれはウィッチの言葉だったんだろう」
魔剣士「どういうことだよ……」」
猛竜騎士「俺が毒に倒れ、気を失った先で、セントラル王国で市場商人として目が覚めたんだ」
魔剣士「!」
猛竜騎士「それがあの世だったのかもしれない。言っては悪いが、そこにお前の母親がいた……」
魔剣士「何…?」
猛竜騎士「よく覚えていないが、そこで市場商人でウィッチが俺を助けてくれると言葉をかけてくれた」
猛竜騎士「そしてそれからすぐに、お前たちの声が聞こえて、意識はまた飛んだ」
猛竜騎士「……気が付けば、ここにいた」
猛竜騎士「だからウィッチは……」
魔剣士「ま、待て…!その夢は俺も…見たぞ!?」
猛竜騎士「なんだと…?」
魔剣士「俺も市場商人の時のオッサンがいて、か、か…母さんがいて!」
猛竜騎士「!」
魔剣士「でも、アンタが戻れって声をかけてくれたから俺は……」
猛竜騎士「……ん?」
魔剣士「だから……」
猛竜騎士「…そういえば、俺はお前に声をかけたような気が…するな」
魔剣士「夢で俺に…!?」
猛竜騎士「まさかとは思うが、夢の中で繋がっていた…のか?」
魔剣士「死の寸前に共有したっつうのか?」
猛竜騎士「どういうことだ……」
魔剣士「わ、わかんねぇ……」
白姫「…っ」
白姫「そ、それは……」
白姫「二人で同じ場所にいたってこと…なのかな……?」
魔剣士「!」
猛竜騎士「!」
魔剣士「ま、まさか!」バッ!
猛竜騎士「…ッ!」バッ!
白姫の言葉に、二人は倒れているウィッチを見つめた。
魔剣士「そういうこと、なのか……!?」
猛竜騎士「ウィッチが俺たちを…救った……!?」
魔剣士「わかんねぇ、だけどそれしかないんじゃないのか!」
猛竜騎士「ウィッチが…そんな……」
魔剣士「…ッ!」
猛竜騎士「し、しかし……」
魔剣士「……うだうだ言っても仕方ねぇ!」パァァッ!
魔剣士は猛竜騎士の時と同じように、黄金の輝きを放ち、魔力を練り始めた。
猛竜騎士「待て魔剣士!何をするつもりだ!」
魔剣士「俺の魔力があれば、ウィッチが生き返るかもしれないだろうが!」
猛竜騎士「だからそれは!」
魔剣士「やってもねぇことを否定するのがアンタのやり方なら、俺は従わねぇ!!」パァァッ!
猛竜騎士「!」
魔剣士「もしウィッチに俺とオッサンが救われたのなら、このままサヨナラをするのは俺は嫌だね!!」
猛竜騎士「魔剣士……!」
魔剣士「やってみねぇと…分からねぇんだよおぉぉぉっ!!!」パァァアッ!!
……ピカッ!!
今まで以上に強い光を煌かせ、魔剣士の腕から放たれる魔力はまるで昼間のように辺りを照らした。
猛竜騎士(ぐっ……!)
猛竜騎士(腕輪に封印された魔力、どれだけ強い力を持っているんだ……!)
猛竜騎士(普通の人間ならば先ず適合し得ないハズなのに、どうしてこいつは……!)
魔剣士「……あぁぁあっ!!」パァァッ!
魔剣士「ウィッチィィィッッ!!」ビュッ!!
……ズンッ!!
魔剣士はウィッチの腹部へと黄金の一撃を与え、その強い魔力でウィッチの身体はビクリと大きく動いた。
魔剣士「だ、ダメか……!?」
ウィッチ「…」
猛竜騎士「ウィッチ……」
白姫「ウィッチさん……!」
魔剣士「う、ウィッチィィィッ!!」パァァッ!!
魔剣士「こんな終わり方、認めないんだよボケがあぁッ!!」
魔剣士「何も言わないまま逝くのは、クソ野郎のすることだろうがぁぁっ!!」
パァァァッ……!!
一体、魔剣士の得た力はどれほどのものなのだろうか。
身体から発せられる黄金の光は、紛れもなく全てが強烈な魔力であった。
そして、魔剣士はその全てを用いてウィッチの蘇生に全力を注いだ。
魔剣士「……ッ!!」パァァッ!
意味がないとしても、やらなければ分からないことだってある。
猛竜騎士と白姫は、魔剣士のその行動を固唾をのんで見守った。
そして……。
魔剣士「……あッ!?」ハッ!
猛竜騎士「ッ!」
白姫「あっ…!」
…パァァッ!…
ウィッチ「…」
…キラッ…
ウィッチの身体が一瞬、黄金の輝きに包まれた。
それは紛れもなく、彼女から発せられた魔力の輝き。
魔剣士「み、見ろオッサン!!おらぁぁああっ!!」パァァッ!
猛竜騎士「ウソだろ…」
白姫「ウィッチさん、ウィッチさんっ!!」
ウィッチ「…ッ!」パァァッ…!
三人とも、それは間違いなく、"ウィッチが戻ってきた"と思っただろう。
猛竜騎士はまだ彼女と語り合える日々が来る。
そう、思っただろう。
―――だが、しかし―――
その輝きは、ウィッチの鼓動を呼び覚ますものではなかった。
ウィッチの身体から発せられた煌きは、その身体の中心へと集まり、まるで篝火のように燃え上がった。
それは黄金の炎となり、メラメラと燃え――……。
魔剣士「……あっ」
猛竜騎士「あ……」
白姫「ウィッチ…さん……」
ウィッチ「…」
ウィッチ「…」
ウィッチ「……こんな、形か」
その身体の中心より燃えた黄金の光は、輝いたまま空中へと形作られ、もう1つのウィッチを造りだしたのだ。
まるで夜空に浮かぶ星のように、淡く光り輝いていた。
信じられないことであったが、それはつまり……。
魔剣士「ウィッチ……?」
猛竜騎士「お前なのか……?」
白姫「ウィッチさん…?」
ウィッチ「…最後の瞬間、か」
猛竜騎士「ウィッチ…」
ウィッチ「猛竜騎士…」
猛竜騎士「魂、なのか……?」
ウィッチ「分からないわ」
猛竜騎士「でも、お前なんだろ……?」
ウィッチ「それも分からない。もしかしたら、記憶から具現化されただけのものなのかもしれない」
猛竜騎士「……それでも、お前はお前だ」
ウィッチ「ふふっ、ありがとう」
猛竜騎士「お前が俺たちを…助けてくれたんだろう……?」
ウィッチ「間に合ったみたいで本当に良かった」
魔剣士「ど、どうやって俺を、オッサンを助けたんだ……?」
ウィッチ「猛竜騎士は私が仮死状態に落して毒の回りを遅くしたの」
ウィッチ「魔剣士がその魔力で、復帰できるようにね」
猛竜騎士「…」
ウィッチ「魔剣士は危ないところだった」
ウィッチ「私が暴走する魔力を抑えて、その身体に馴染むようにしたの……」
魔剣士「あ、アンタが…!?」
猛竜騎士「やはりか!」
魔剣士「オッサン?」
猛竜騎士「いくらなんでも、魔力増幅の腕輪を装着できるはずがないとは思ったが……!」
猛竜騎士「ウィッチが暴走を抑えて、馴染むようにしたのか…!」
ウィッチ「ご名答♪」
魔剣士「どうして、アンタが…」
ウィッチ「どのみち、私はもう寿命だったから」
白姫「えっ!?」
魔剣士「…」
猛竜騎士「…」
ウィッチ「白姫は知らなかったみたいだけど、あとから二人から聞いてくれたら嬉しいかな」
白姫「は、はい……」
ウィッチ「……と、話を戻すわね」
ウィッチ「その腕輪の魔力を抑えるのについてだけど、本来ならば強い生命の幹が必要なの」
魔剣士「生命の…幹?」
ウィッチ「私が長年かけて見つけた、バーサク魔法を抑えるための秘密」
魔剣士「どういうことだ…」
ウィッチ「……闇魔法はそもそも、身体にない能力を与えるものでしょう」
魔剣士「あぁ…」
ウィッチ「だから耐えうる力のない者は…破裂する。純粋に、力を飲まれてね」
魔剣士「そ、そうだな…」
ウィッチ「じゃあそれを抑えるためにはどうしたらいいと思う?」
魔剣士「……耐えうる力を身に着けるしかないだろうな」
ウィッチ「ふふっ、確かにそうね」
魔剣士「だろ?」
ウィッチ「じゃあその根本の部分はどこにあると思う?」
魔剣士「根本…?」
ウィッチ「そう、根本…」
魔剣士「こ、根本て……」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……それが、生命の幹だ」
魔剣士「あん?」
猛竜騎士「命の体幹ともいえるか……」
白姫「生きていくための強さってことですか?」
猛竜騎士「ん、そうだな…。あらゆる生命体が元々持っている、全てが詰まった命の幹…命の心臓ということだ」
魔剣士「つまり、精神力とか体力、魔力、全てを動かす本質ということか?」
猛竜騎士「言葉は難しいが、そういうことだ」
ウィッチ「そう……」
ウィッチ「精神力、体力、魔力、これは密接な関係にあって、それが一つとなって命は支えられている」
ウィッチ「別々のものではあるけど、それを1つと見たとき、それは命の心臓、生命の幹と言っても過言じゃない」
ウィッチ「そして闇魔法は、生命の幹全体に負荷をかけてくるってこと…」
魔剣士「それでどうやって、俺を助けたって言うんだ…?」
ウィッチ「私の命をかけた」
魔剣士「!?」
白姫「えっ!?」
猛竜騎士「…」
ウィッチ「闇魔法がその3つに負荷をかけてくるのなら、1つとして見れる生命の幹を強く出来るんじゃないかと考えた」
ウィッチ「だけどそれは、生命の幹…1つの命を奪って習得できる闇の術式のようなものだった」
魔剣士「嘘だろ……」
ウィッチ「気づいたみたいね」
魔剣士「や、闇魔法を会得するには……」
ウィッチ「…」
魔剣士「誰かの命を犠牲にしなければならないって…ことか……!!」ギリッ…!!
ウィッチ「…」
魔剣士「ウィッチは、自分の命を捨てて俺に……」ブルッ…
ウィッチ「それは違うから安心しなさい」
魔剣士「え…」
ウィッチ「元々私は寿命だったと聞いているでしょう」
ウィッチ「だから、無駄に命を散らすのなら、救えない命を無駄にはできなかっただけ」
ウィッチ「……でも、それで魔剣士は強くなりすぎたのかもしれないけどね」
魔剣士「だけど、俺にそんなことをしなければアンタは生きてたかもしれないだろうが!」
ウィッチ「自分の身体は自分で一番分かってるわよ」
魔剣士「…ッ!!」
ウィッチ「ふふっ、生きながらえて得た力とその命…。大事にしなさいよ」
魔剣士「……ッ」
猛竜騎士「……ウィッチ」
ウィッチ「なぁに?」
猛竜騎士「一つだけ聞きたい」
ウィッチ「何でも聞いて。夜を一緒に過ごしても良かったとか、そういうことでも」
猛竜騎士「ばっ、違うっつーの!」
ウィッチ「ふふふっ」
猛竜騎士「なぜ、こんな腕輪を生み出したのか…それだけを聞かせてくれ」
ウィッチ「…」
猛竜騎士「お前自身、このバーサク魔法がどれだけ危険だったか……」
ウィッチ「…」
ウィッチ「……はぁ~」
ウィッチ「そんなんだから、女の子にモテないのよ…」
猛竜騎士「なっ…!」
ウィッチ「私から言わせる気…?」
猛竜騎士「何がだ…」
ウィッチ「…その腕輪の力は、なんだっけ?」
猛竜騎士「魔法増幅だろう」
ウィッチ「その効果は?」
猛竜騎士「魔力の増加、維持、あらゆる効果はあるだろう」
ウィッチ「私が受けた呪いは?」
猛竜騎士「過剰な魔力摂取によって、魔力タンクが破壊された魔力枯渇症だったか…」
ウィッチ「つまり…?」
猛竜騎士「ん…?」
ウィッチ「……こんな時まで、あなたは本当に」ハァァ
猛竜騎士「ん、んん?」
白姫「ウィッチさんは、その腕輪で自身の命を伸ばそうとした……」
猛竜騎士「あ……!」
ウィッチ「…」ニコッ
猛竜騎士「お前……」
ウィッチ「そうすれば、あなただって私への辛い想いが解消されたでしょう」
猛竜騎士「俺の…ために……?」
ウィッチ「それだけじゃないけどね」
猛竜騎士「命を伸ばすために…か」
ウィッチ「違う!!」
猛竜騎士「えぇ……」
ウィッチ「……あぁもう!」
ウィッチ「女の子の口から言わせるのは本当にダメな男ね!」
ウィッチ「あなたが私へ、もっとハッキリとそれを口にできたでしょう!」
猛竜騎士「…っ!」
ウィッチ「私だって、こんな性格をしてたけど……。好きって言われて嫌なわけはなかったのよ…?」
猛竜騎士「ウィッチ……!」
ウィッチ「だ、だけど……。その増幅はバーサクと一緒で、命の幹をカバーする別の命が必要だって知って……」
猛竜騎士「……っ」
ウィッチ「腕輪は使うことなく、あそこへ…仕舞っていた……」
猛竜騎士「……ッ!」
ウィッチ「そして、再びあなたたちが現れて……」
魔剣士「お、俺の魔力がないと知って…」
ウィッチ「私の寿命が、丁度、終えようとしていた……」
白姫「だから……」
猛竜騎士「お前は、自分を犠牲にして魔剣士を救い、俺を救った……」
猛竜騎士「……そんな」
猛竜騎士「お、お前は……」
猛竜騎士「ウィッチ…」
猛竜騎士「ウィッチ、ウィッチ……!ウィッチ……!!」グスッ…!
ウィッチは猛竜騎士が自分を許してほしいために、ウィッチ自身が彼に愛されたいために、その腕輪を造り上げた。
しかし、それもまたバーサクの闇の魔法と同じく生命の犠牲が必要であったために、それを使えることはなかった。
そこへ現れた魔剣士の境遇に、猛竜騎士の「きっかけ」という言葉。
ウィッチは自らの寿命を悟ったうえで、今日の今、魔剣士たちを救ったうえで、全てを終わらせたのだ。
猛竜騎士「う、うぐっ…!ウィッチ……!」ポロポロ…
全てが繋がり、全てを知った猛竜騎士は、己の鈍感すぎた考えと、ウィッチの本当の気持ちを知り、大粒の涙を浮かべた。
ウィッチ「……そんなに泣く人じゃなかったのに」
ウィッチ「涙を浮かべないでよ……」
ウィッチ「私だって、そんな顔…されたら……っ」グスッ…
白姫「ウィッチさん……っ!」ヒグッ…
魔剣士「…ッ!」ブルッ…
ウィッチ「……もう、みんな泣き虫なんだから」
ウィッチ「…」
ウィッチ「……あっ?」フワッ…
白姫「あ…」
魔剣士「ウィッチ……!」
猛竜騎士「あっ…!」
……時間は残酷で、平等だ。
分かっていたことだが、その時は訪れる。
白姫「ウィッチさんの光が……!」
ウィッチ「時間、みたいね……」
魔剣士「ダメだ…!アンタには礼をしても仕切れないんだ!」パァァッ!!
猛竜騎士「ウィッチ、まだダメだ!俺はお前とまだ…!」
ウィッチを形成していた魔力の光が1つ、また1つと消えていく。
黄金のツリーのように天へと昇り、
魔剣士「お、俺の魔力があればまだ……!」パァァ!
ウィッチ「もう何をしても無理…。この時間があった奇跡にだけ感謝かな……」
白姫「ウィッチさん……っ!」
猛竜騎士「逝くな、行くな、往くな……!ウィッチ、ダメだ、いかないでくれ……!」
ウィッチ「あーあ…!その言葉を、パーティが離れ離れになったあの時に言ってくれればなぁ?」
猛竜騎士「……ウィッチ、ウィッチ!!」
ウィッチ「幸せになってね、猛竜騎士」
猛竜騎士「俺はお前を…愛する…。愛している……!好きなんだ…!!だからっ!!!」
ウィッチ「うん、私も……」ニコッ…
キラキラ……パァァッ……!!
猛竜騎士「うっ…!うあぁぁああっ!!!」
ウィッチ「…っ」
やがて、ウィッチの輝きは煙の如く天へと光の河となり、散り散りに舞うと…それは完全に失われた。
最後に"大好き"と、猛竜騎士に言葉を残して……。
猛竜騎士「あ…」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……っ」
猛竜騎士「あ、あぁぁあああぁっ…!ああああああぁぁっ!!!」
猛竜騎士「あぁぁ……っ!」
猛竜騎士は亡骸となったウィッチに身体を抱きしめ、大声で泣き叫んだ。
彼女の本音と自分の不甲斐なさに心が崩れ、どうしていいのか分からなかった。
ただ、彼女が死んだという事実が何よりも…心へと深く突き刺さった。
白姫「も、猛竜騎士さん……」
魔剣士「待て白姫」ガシッ
白姫「魔剣士…」
魔剣士「まぁ、なんだ…。今は戻っておこうぜ…」
白姫「……そっか、そうだよね」
魔剣士「あぁ」
白姫「うん……」
魔剣士(オッサン……)
泣き崩れる猛竜騎士に気を遣い、二人はツリーハウスへと戻って行った。
…………
……
…
戦いは終結したが、本当の終わりはまだ迎えていなかった。
……そう。
毒矢に倒れた猛竜騎士と突然倒れたウィッチ。
二人の容体を確認するのに、かなりの時間が経っていた。
つまり、最悪の事態が脳裏に過ぎる――……。
魔剣士「……白姫、ウィッチちょっとオッサンのもとにいてくれ!」
白姫「う、うんっ!」
魔剣士「ウィッチをそっちに運ぶ!」
白姫「わかった!」
魔剣士は先ほど一緒に吹き飛ばされたウィッチを抱えると、縮地で猛竜騎士の隣へと即座に移動した。
そしてそっと二人を並べると、二人の様子を急いで確認する。
魔剣士「……オッサン、ウィッチ!」
白姫「猛竜騎士さん、ウィッチさん!」
猛竜騎士「…」
ウィッチ「…」
魔剣士「…オッサン!!ウィッチ!!聞こえないのか、オイッ!!」
猛竜騎士「…」
ウィッチ「…」
返事はない。
白姫「ま、魔剣士……」ブルッ…
魔剣士「…そんな顔するんじゃねぇ!この二人が死ぬわけねぇんだよ!」
白姫「で、でも……」グスッ…
魔剣士「言うな、言うんじゃないっ!!」
白姫「も、もう……」
魔剣士「…違う!!」
白姫「冷たい…よ……っ」ガタガタ…
魔剣士とて、触れてすぐに分かった。
二人の身体は既に冷たく、ピクリとも動かない。
顔色は血色を失い、呼吸すらも止まっていた。
魔剣士「ち、違う!違う!違うっ!!」
魔剣士「こんなところで死ぬようなクソオッサンとクソババアじゃねえだろうが!!」
魔剣士「……ッ!」
魔剣士「あ、あぁぁああああっ!!!」パァァアッ!!
白姫「ま、魔剣士……!」
魔剣士は黄金の光を放つ魔力を練り、それを右手へと集中させた。
魔剣士「起きやがれ……!」グググッ…!
魔剣士「く、クソ野郎がぁぁああっ!!」ビュオッ!!
そして、それを猛竜騎士の胸へと降り下ろす。
魔剣士「死んでるんじゃねぇよ、ボケナスがぁぁあああああっ!!」パァァッ!
猛竜騎士「…」
魔剣士「まだ俺はアンタと一緒に旅がしてぇんだ、戻ってこい…!戻ってこいクソォォォッ!!」
猛竜騎士「…」
胸に触れた片腕から、黄金に輝く過剰ともいえる魔力を幾度も打ち込んだ。
魔剣士「猛竜騎士ィィィッ!!!」
白姫「…ッ!」
魔剣士「戻ってこぉぉぉぉいっ!!!」
それこそ、魂の叫びであった。
諦めることなく、魔剣士は大声をあげながら黄金の魔力を輝かせ、猛竜騎士に語りかけた。
その間、白姫も意味をなすわけがないと分かっていたが、ヒールを何度もウィッチへと詠唱し、彼女が戻ってくるよう問いかけた。
魔剣士「……ッ!!」
白姫「……っ」
やがて、どれくらいの時間が過ぎたかは定かではない。
白姫についに魔力枯渇の症状が現れ始めた頃、それはようやく……。
猛竜騎士「…」トクン…
魔剣士「!」
猛竜騎士「…」トクン…
魔剣士「……まさか」
猛竜騎士「…」ドク…ン……
魔剣士「…オッサン?」
猛竜騎士「…」ドクン…
魔剣士「…オッサン!」
猛竜騎士「…」ドクン!
魔剣士「オッサン、オッサンッ!!」
猛竜騎士「…」ドクン、ドクン、ドクン!!
その強い想いが通じたのか、信じられないことに……猛竜騎士の心音が動き出した。
魔剣士「おらぁぁああっ!」パァァッ!
猛竜騎士「…ッ!」ビクン!
魔剣士「気づけよオッサン、目を覚ませよ、ウィッチも大変なんだよ……!」パァァッ!
猛竜騎士「…っ」
魔剣士「もう一発、殴ってやるよ…!これで、目ぇ覚ませぇぇっ!!」ググッ!
猛竜騎士「…ッ!」ハッ
それは魔剣士が、その腕をもう1度降り下ろそうとした瞬間だった。
猛竜騎士の目が完全に開くと同時に、魔剣士の降り下ろした腕をその手でガッチリと掴み、起き上がったのだ。
魔剣士「……!」
白姫「あ……!」
猛竜騎士「……うるせぇぞ!ゆっくり寝てられねぇじゃねえか!」
魔剣士「お、オッサン……?」
猛竜騎士「んむ、最悪の目覚めだよ…。おはよう、魔剣士、白姫」
白姫「も、もう…猛竜騎士さぁんっ!!」バッ!
猛竜騎士「うおっと!?」
白姫「良かったです、良かったです……!」グスッ…!
猛竜騎士「ハハ、そんな泣いてくれずともいいんだ」
白姫「…ッ」ギュウッ…
魔剣士「オッサン……」
猛竜騎士「魔剣士…」
魔剣士「生き返った…のか……?」
猛竜騎士「あぁ、地獄の底から蘇ったぜ。最悪な気分だけどな」
魔剣士「マジ…かよ……」
猛竜騎士「お前は俺が死んでいるように見えるのか?」
魔剣士「そんな…ことは……」
猛竜騎士「ハハハ!きちんと俺は…生きている。ここにいるぞ、魔剣士」
魔剣士「…」
魔剣士「…!」
魔剣士「……ッ!」グスッ
猛竜騎士「…」ピクッ
魔剣士「…っ」プイッ
猛竜騎士「……んん、魔剣士!?」
魔剣士「な、なんだよ!」
猛竜騎士「今泣いてなかったか!?おぉ!?」
魔剣士「な、泣いてねぇよバカ!」
猛竜騎士「ほれこっち向いてみろ、ほれほれ!」
魔剣士「うるせぇぇっ!!」ビュッ!
…ゲシッ!ゲシゲシッ!!
猛竜騎士「い、いでででっ!おい、生き返ったばっかの相手にその仕打ちはないだろうが!」
魔剣士「うっせぇ!もっかい死んじまえバカ野郎!!」
猛竜騎士「おい、お前そんなセリフは…!」
白姫「……あっ、猛竜騎士さん!待ってください!」
猛竜騎士「ん?」
白姫「まだです…!まだウィッチさんが!」
猛竜騎士「あ…あぁ……」
白姫「まだ、倒れて……!」
魔剣士「そ、そうだ!」
魔剣士「もう1度、俺の魔力で……ッ!」パァァッ!
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……待て、魔剣士」
魔剣士「あ?」
猛竜騎士「やめてくれ。もう、ウィッチのことはいい……」
魔剣士「へ?」
白姫「え…?」
猛竜騎士「ウィッチはもう……」
魔剣士「あ……?」
猛竜騎士「彼女は既に手遅れなんだ…。彼女の身体にこれ以上、傷はつけないでやってくれ…」
魔剣士「そ、そんなの分からないだろうが!俺の新しい力があってだな…!」
猛竜騎士「お前の魔力にそんな力はない!」
魔剣士「はぁ!!?」
猛竜騎士「俺が助かったのは、ウィッチのおかげなんだよ……」
魔剣士「あぁ!?」
白姫「ど、どういうことですか……?」
猛竜騎士「俺の毒を抜いたのはウィッチだ。彼女が最後の力を振り絞って、俺に魔法をかけてくれたんだよ」
魔剣士「はぁ…?」
猛竜騎士「夢か現か、だが…助かったのならそれはウィッチの言葉だったんだろう」
魔剣士「どういうことだよ……」」
猛竜騎士「俺が毒に倒れ、気を失った先で、セントラル王国で市場商人として目が覚めたんだ」
魔剣士「!」
猛竜騎士「それがあの世だったのかもしれない。言っては悪いが、そこにお前の母親がいた……」
魔剣士「何…?」
猛竜騎士「よく覚えていないが、そこで市場商人でウィッチが俺を助けてくれると言葉をかけてくれた」
猛竜騎士「そしてそれからすぐに、お前たちの声が聞こえて、意識はまた飛んだ」
猛竜騎士「……気が付けば、ここにいた」
猛竜騎士「だからウィッチは……」
魔剣士「ま、待て…!その夢は俺も…見たぞ!?」
猛竜騎士「なんだと…?」
魔剣士「俺も市場商人の時のオッサンがいて、か、か…母さんがいて!」
猛竜騎士「!」
魔剣士「でも、アンタが戻れって声をかけてくれたから俺は……」
猛竜騎士「……ん?」
魔剣士「だから……」
猛竜騎士「…そういえば、俺はお前に声をかけたような気が…するな」
魔剣士「夢で俺に…!?」
猛竜騎士「まさかとは思うが、夢の中で繋がっていた…のか?」
魔剣士「死の寸前に共有したっつうのか?」
猛竜騎士「どういうことだ……」
魔剣士「わ、わかんねぇ……」
白姫「…っ」
白姫「そ、それは……」
白姫「二人で同じ場所にいたってこと…なのかな……?」
魔剣士「!」
猛竜騎士「!」
魔剣士「ま、まさか!」バッ!
猛竜騎士「…ッ!」バッ!
白姫の言葉に、二人は倒れているウィッチを見つめた。
魔剣士「そういうこと、なのか……!?」
猛竜騎士「ウィッチが俺たちを…救った……!?」
魔剣士「わかんねぇ、だけどそれしかないんじゃないのか!」
猛竜騎士「ウィッチが…そんな……」
魔剣士「…ッ!」
猛竜騎士「し、しかし……」
魔剣士「……うだうだ言っても仕方ねぇ!」パァァッ!
魔剣士は猛竜騎士の時と同じように、黄金の輝きを放ち、魔力を練り始めた。
猛竜騎士「待て魔剣士!何をするつもりだ!」
魔剣士「俺の魔力があれば、ウィッチが生き返るかもしれないだろうが!」
猛竜騎士「だからそれは!」
魔剣士「やってもねぇことを否定するのがアンタのやり方なら、俺は従わねぇ!!」パァァッ!
猛竜騎士「!」
魔剣士「もしウィッチに俺とオッサンが救われたのなら、このままサヨナラをするのは俺は嫌だね!!」
猛竜騎士「魔剣士……!」
魔剣士「やってみねぇと…分からねぇんだよおぉぉぉっ!!!」パァァアッ!!
……ピカッ!!
今まで以上に強い光を煌かせ、魔剣士の腕から放たれる魔力はまるで昼間のように辺りを照らした。
猛竜騎士(ぐっ……!)
猛竜騎士(腕輪に封印された魔力、どれだけ強い力を持っているんだ……!)
猛竜騎士(普通の人間ならば先ず適合し得ないハズなのに、どうしてこいつは……!)
魔剣士「……あぁぁあっ!!」パァァッ!
魔剣士「ウィッチィィィッッ!!」ビュッ!!
……ズンッ!!
魔剣士はウィッチの腹部へと黄金の一撃を与え、その強い魔力でウィッチの身体はビクリと大きく動いた。
魔剣士「だ、ダメか……!?」
ウィッチ「…」
猛竜騎士「ウィッチ……」
白姫「ウィッチさん……!」
魔剣士「う、ウィッチィィィッ!!」パァァッ!!
魔剣士「こんな終わり方、認めないんだよボケがあぁッ!!」
魔剣士「何も言わないまま逝くのは、クソ野郎のすることだろうがぁぁっ!!」
パァァァッ……!!
一体、魔剣士の得た力はどれほどのものなのだろうか。
身体から発せられる黄金の光は、紛れもなく全てが強烈な魔力であった。
そして、魔剣士はその全てを用いてウィッチの蘇生に全力を注いだ。
魔剣士「……ッ!!」パァァッ!
意味がないとしても、やらなければ分からないことだってある。
猛竜騎士と白姫は、魔剣士のその行動を固唾をのんで見守った。
そして……。
魔剣士「……あッ!?」ハッ!
猛竜騎士「ッ!」
白姫「あっ…!」
…パァァッ!…
ウィッチ「…」
…キラッ…
ウィッチの身体が一瞬、黄金の輝きに包まれた。
それは紛れもなく、彼女から発せられた魔力の輝き。
魔剣士「み、見ろオッサン!!おらぁぁああっ!!」パァァッ!
猛竜騎士「ウソだろ…」
白姫「ウィッチさん、ウィッチさんっ!!」
ウィッチ「…ッ!」パァァッ…!
三人とも、それは間違いなく、"ウィッチが戻ってきた"と思っただろう。
猛竜騎士はまだ彼女と語り合える日々が来る。
そう、思っただろう。
―――だが、しかし―――
その輝きは、ウィッチの鼓動を呼び覚ますものではなかった。
ウィッチの身体から発せられた煌きは、その身体の中心へと集まり、まるで篝火のように燃え上がった。
それは黄金の炎となり、メラメラと燃え――……。
魔剣士「……あっ」
猛竜騎士「あ……」
白姫「ウィッチ…さん……」
ウィッチ「…」
ウィッチ「…」
ウィッチ「……こんな、形か」
その身体の中心より燃えた黄金の光は、輝いたまま空中へと形作られ、もう1つのウィッチを造りだしたのだ。
まるで夜空に浮かぶ星のように、淡く光り輝いていた。
信じられないことであったが、それはつまり……。
魔剣士「ウィッチ……?」
猛竜騎士「お前なのか……?」
白姫「ウィッチさん…?」
ウィッチ「…最後の瞬間、か」
猛竜騎士「ウィッチ…」
ウィッチ「猛竜騎士…」
猛竜騎士「魂、なのか……?」
ウィッチ「分からないわ」
猛竜騎士「でも、お前なんだろ……?」
ウィッチ「それも分からない。もしかしたら、記憶から具現化されただけのものなのかもしれない」
猛竜騎士「……それでも、お前はお前だ」
ウィッチ「ふふっ、ありがとう」
猛竜騎士「お前が俺たちを…助けてくれたんだろう……?」
ウィッチ「間に合ったみたいで本当に良かった」
魔剣士「ど、どうやって俺を、オッサンを助けたんだ……?」
ウィッチ「猛竜騎士は私が仮死状態に落して毒の回りを遅くしたの」
ウィッチ「魔剣士がその魔力で、復帰できるようにね」
猛竜騎士「…」
ウィッチ「魔剣士は危ないところだった」
ウィッチ「私が暴走する魔力を抑えて、その身体に馴染むようにしたの……」
魔剣士「あ、アンタが…!?」
猛竜騎士「やはりか!」
魔剣士「オッサン?」
猛竜騎士「いくらなんでも、魔力増幅の腕輪を装着できるはずがないとは思ったが……!」
猛竜騎士「ウィッチが暴走を抑えて、馴染むようにしたのか…!」
ウィッチ「ご名答♪」
魔剣士「どうして、アンタが…」
ウィッチ「どのみち、私はもう寿命だったから」
白姫「えっ!?」
魔剣士「…」
猛竜騎士「…」
ウィッチ「白姫は知らなかったみたいだけど、あとから二人から聞いてくれたら嬉しいかな」
白姫「は、はい……」
ウィッチ「……と、話を戻すわね」
ウィッチ「その腕輪の魔力を抑えるのについてだけど、本来ならば強い生命の幹が必要なの」
魔剣士「生命の…幹?」
ウィッチ「私が長年かけて見つけた、バーサク魔法を抑えるための秘密」
魔剣士「どういうことだ…」
ウィッチ「……闇魔法はそもそも、身体にない能力を与えるものでしょう」
魔剣士「あぁ…」
ウィッチ「だから耐えうる力のない者は…破裂する。純粋に、力を飲まれてね」
魔剣士「そ、そうだな…」
ウィッチ「じゃあそれを抑えるためにはどうしたらいいと思う?」
魔剣士「……耐えうる力を身に着けるしかないだろうな」
ウィッチ「ふふっ、確かにそうね」
魔剣士「だろ?」
ウィッチ「じゃあその根本の部分はどこにあると思う?」
魔剣士「根本…?」
ウィッチ「そう、根本…」
魔剣士「こ、根本て……」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……それが、生命の幹だ」
魔剣士「あん?」
猛竜騎士「命の体幹ともいえるか……」
白姫「生きていくための強さってことですか?」
猛竜騎士「ん、そうだな…。あらゆる生命体が元々持っている、全てが詰まった命の幹…命の心臓ということだ」
魔剣士「つまり、精神力とか体力、魔力、全てを動かす本質ということか?」
猛竜騎士「言葉は難しいが、そういうことだ」
ウィッチ「そう……」
ウィッチ「精神力、体力、魔力、これは密接な関係にあって、それが一つとなって命は支えられている」
ウィッチ「別々のものではあるけど、それを1つと見たとき、それは命の心臓、生命の幹と言っても過言じゃない」
ウィッチ「そして闇魔法は、生命の幹全体に負荷をかけてくるってこと…」
魔剣士「それでどうやって、俺を助けたって言うんだ…?」
ウィッチ「私の命をかけた」
魔剣士「!?」
白姫「えっ!?」
猛竜騎士「…」
ウィッチ「闇魔法がその3つに負荷をかけてくるのなら、1つとして見れる生命の幹を強く出来るんじゃないかと考えた」
ウィッチ「だけどそれは、生命の幹…1つの命を奪って習得できる闇の術式のようなものだった」
魔剣士「嘘だろ……」
ウィッチ「気づいたみたいね」
魔剣士「や、闇魔法を会得するには……」
ウィッチ「…」
魔剣士「誰かの命を犠牲にしなければならないって…ことか……!!」ギリッ…!!
ウィッチ「…」
魔剣士「ウィッチは、自分の命を捨てて俺に……」ブルッ…
ウィッチ「それは違うから安心しなさい」
魔剣士「え…」
ウィッチ「元々私は寿命だったと聞いているでしょう」
ウィッチ「だから、無駄に命を散らすのなら、救えない命を無駄にはできなかっただけ」
ウィッチ「……でも、それで魔剣士は強くなりすぎたのかもしれないけどね」
魔剣士「だけど、俺にそんなことをしなければアンタは生きてたかもしれないだろうが!」
ウィッチ「自分の身体は自分で一番分かってるわよ」
魔剣士「…ッ!!」
ウィッチ「ふふっ、生きながらえて得た力とその命…。大事にしなさいよ」
魔剣士「……ッ」
猛竜騎士「……ウィッチ」
ウィッチ「なぁに?」
猛竜騎士「一つだけ聞きたい」
ウィッチ「何でも聞いて。夜を一緒に過ごしても良かったとか、そういうことでも」
猛竜騎士「ばっ、違うっつーの!」
ウィッチ「ふふふっ」
猛竜騎士「なぜ、こんな腕輪を生み出したのか…それだけを聞かせてくれ」
ウィッチ「…」
猛竜騎士「お前自身、このバーサク魔法がどれだけ危険だったか……」
ウィッチ「…」
ウィッチ「……はぁ~」
ウィッチ「そんなんだから、女の子にモテないのよ…」
猛竜騎士「なっ…!」
ウィッチ「私から言わせる気…?」
猛竜騎士「何がだ…」
ウィッチ「…その腕輪の力は、なんだっけ?」
猛竜騎士「魔法増幅だろう」
ウィッチ「その効果は?」
猛竜騎士「魔力の増加、維持、あらゆる効果はあるだろう」
ウィッチ「私が受けた呪いは?」
猛竜騎士「過剰な魔力摂取によって、魔力タンクが破壊された魔力枯渇症だったか…」
ウィッチ「つまり…?」
猛竜騎士「ん…?」
ウィッチ「……こんな時まで、あなたは本当に」ハァァ
猛竜騎士「ん、んん?」
白姫「ウィッチさんは、その腕輪で自身の命を伸ばそうとした……」
猛竜騎士「あ……!」
ウィッチ「…」ニコッ
猛竜騎士「お前……」
ウィッチ「そうすれば、あなただって私への辛い想いが解消されたでしょう」
猛竜騎士「俺の…ために……?」
ウィッチ「それだけじゃないけどね」
猛竜騎士「命を伸ばすために…か」
ウィッチ「違う!!」
猛竜騎士「えぇ……」
ウィッチ「……あぁもう!」
ウィッチ「女の子の口から言わせるのは本当にダメな男ね!」
ウィッチ「あなたが私へ、もっとハッキリとそれを口にできたでしょう!」
猛竜騎士「…っ!」
ウィッチ「私だって、こんな性格をしてたけど……。好きって言われて嫌なわけはなかったのよ…?」
猛竜騎士「ウィッチ……!」
ウィッチ「だ、だけど……。その増幅はバーサクと一緒で、命の幹をカバーする別の命が必要だって知って……」
猛竜騎士「……っ」
ウィッチ「腕輪は使うことなく、あそこへ…仕舞っていた……」
猛竜騎士「……ッ!」
ウィッチ「そして、再びあなたたちが現れて……」
魔剣士「お、俺の魔力がないと知って…」
ウィッチ「私の寿命が、丁度、終えようとしていた……」
白姫「だから……」
猛竜騎士「お前は、自分を犠牲にして魔剣士を救い、俺を救った……」
猛竜騎士「……そんな」
猛竜騎士「お、お前は……」
猛竜騎士「ウィッチ…」
猛竜騎士「ウィッチ、ウィッチ……!ウィッチ……!!」グスッ…!
ウィッチは猛竜騎士が自分を許してほしいために、ウィッチ自身が彼に愛されたいために、その腕輪を造り上げた。
しかし、それもまたバーサクの闇の魔法と同じく生命の犠牲が必要であったために、それを使えることはなかった。
そこへ現れた魔剣士の境遇に、猛竜騎士の「きっかけ」という言葉。
ウィッチは自らの寿命を悟ったうえで、今日の今、魔剣士たちを救ったうえで、全てを終わらせたのだ。
猛竜騎士「う、うぐっ…!ウィッチ……!」ポロポロ…
全てが繋がり、全てを知った猛竜騎士は、己の鈍感すぎた考えと、ウィッチの本当の気持ちを知り、大粒の涙を浮かべた。
ウィッチ「……そんなに泣く人じゃなかったのに」
ウィッチ「涙を浮かべないでよ……」
ウィッチ「私だって、そんな顔…されたら……っ」グスッ…
白姫「ウィッチさん……っ!」ヒグッ…
魔剣士「…ッ!」ブルッ…
ウィッチ「……もう、みんな泣き虫なんだから」
ウィッチ「…」
ウィッチ「……あっ?」フワッ…
白姫「あ…」
魔剣士「ウィッチ……!」
猛竜騎士「あっ…!」
……時間は残酷で、平等だ。
分かっていたことだが、その時は訪れる。
白姫「ウィッチさんの光が……!」
ウィッチ「時間、みたいね……」
魔剣士「ダメだ…!アンタには礼をしても仕切れないんだ!」パァァッ!!
猛竜騎士「ウィッチ、まだダメだ!俺はお前とまだ…!」
ウィッチを形成していた魔力の光が1つ、また1つと消えていく。
黄金のツリーのように天へと昇り、
魔剣士「お、俺の魔力があればまだ……!」パァァ!
ウィッチ「もう何をしても無理…。この時間があった奇跡にだけ感謝かな……」
白姫「ウィッチさん……っ!」
猛竜騎士「逝くな、行くな、往くな……!ウィッチ、ダメだ、いかないでくれ……!」
ウィッチ「あーあ…!その言葉を、パーティが離れ離れになったあの時に言ってくれればなぁ?」
猛竜騎士「……ウィッチ、ウィッチ!!」
ウィッチ「幸せになってね、猛竜騎士」
猛竜騎士「俺はお前を…愛する…。愛している……!好きなんだ…!!だからっ!!!」
ウィッチ「うん、私も……」ニコッ…
キラキラ……パァァッ……!!
猛竜騎士「うっ…!うあぁぁああっ!!!」
ウィッチ「…っ」
やがて、ウィッチの輝きは煙の如く天へと光の河となり、散り散りに舞うと…それは完全に失われた。
最後に"大好き"と、猛竜騎士に言葉を残して……。
猛竜騎士「あ…」
猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……っ」
猛竜騎士「あ、あぁぁあああぁっ…!ああああああぁぁっ!!!」
猛竜騎士「あぁぁ……っ!」
猛竜騎士は亡骸となったウィッチに身体を抱きしめ、大声で泣き叫んだ。
彼女の本音と自分の不甲斐なさに心が崩れ、どうしていいのか分からなかった。
ただ、彼女が死んだという事実が何よりも…心へと深く突き刺さった。
白姫「も、猛竜騎士さん……」
魔剣士「待て白姫」ガシッ
白姫「魔剣士…」
魔剣士「まぁ、なんだ…。今は戻っておこうぜ…」
白姫「……そっか、そうだよね」
魔剣士「あぁ」
白姫「うん……」
魔剣士(オッサン……)
泣き崩れる猛竜騎士に気を遣い、二人はツリーハウスへと戻って行った。
…………
……
…
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています
木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。
少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが……
陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。
どちらからお読み頂いても話は通じます。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる