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続章【夢の後先】
新たなる旅立ち(前編)
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セントラル王城に到着後、フランメは驚愕する。実は、オルデンと王城を訪れたのは初めてのことで、彼が城内に足を踏み入れるのに顔を確認しただけで門番は「オルデン様」と頭を下げて通行を許可する。城内に居る屈強そうな兵士たちも、オルデンを見れば頭を下げ、自分たちが姿を消すまで伏せ続けた。
フランメ「ジ、ジイちゃん…。何か、すげぇな……?」
オルデン「何がだ?」
フランメ「いや、みんな…頭下げてるぜ……」
奥にも二人、頭を下げている。それを見たオルデンは、ため息をつきながら言った。
オルデン「あれほど止せと言っていたのに、敬う心は忘れずの精神だけは許して下さいと、それだけは譲れないと…永遠の敬いを兵士の心得にしているんだ。参ったことだ。だから王城にはあまり足を運びたくないんだ」
現在、セントラル王城には"兵士"と"聖騎士団"の守衛団体が存在している。聖騎士団は初代はオルデン、二代目としてリッターという男が団長を勤めている。聖騎士団は兵士の上位の存在であり、選抜された者だけが所属することが出来るエリート集団であった。
フランメ「いや、割りとジイちゃんスゲー存在だったんだな……」
オルデン「別に凄い存在と思ったことは無いのだが……、んっ?」
そろそろ、王室が見えてくるであろう、その時。オルデンの前に、全身を鎧に包む屈強な男が「オルデン!!」と声をかけてきた。
オルデン「……リッターか?」
リッター「ハッハッハ!!おい、久しぶりじゃあないか!!」
その男、今の聖騎士団を支える二代目の団長、リッターであった。
オルデン「数年ぶりか…。お前、白髪が増えたな……」
リッター「お前こそ同じような頭をしているじゃないか。変わったのはお互い様だろう!」
オルデン「その煩いバカ笑いは変わってないようだが」
リッター「ハッハッハッ!!」
リッターは、オルデンよりも年上だが、白髪も増えているがまだまだ若々しく、二代目という重大な責任を何なくこなしている。
オルデン「やれ、俺は体力も無いというのに。お前とは才能の質が違うと思い知らされる」
リッター「何を言っているんだ。まだまだ若い奴らには負けないだろう?」
オルデン「そういう言い草を、老いた害と言うんだ。…で、そろそろお前も引退だ。任せられる若いのは居ないのか」
リッター「実力主義で言えば育成は成功していないな。まだまだ、これからだ」
オルデン「そうか。まぁ、お前が団長である間は安心して国を見守っていられる」
「ははは」と二人は笑いあい、肩を叩き合う。
すると、リッターは隣にいるフランメを見て「んん?」と近寄った。
リッター「こいつぁ……」
フランメ「どーも。フランメといいます」
リッター「……何?」
それを聞いたリッターの顔つきが変わる。
リッター「まさかフランメとは…。おい、オルデン!」
明らかに動揺した様子で、リッターはオルデンを見つめた。
オルデン「……時期が来た。分かっているだろう」
リッター「本当なのか?」
オルデン「そいつが幼い頃から、言ってきたことだ」
リッター「可能性の一つとしては…だが、しかし。三代目として……!」
オルデン「それも今から決める」
何の話かは理解できないが、二人は何やらフランメへの想いがあるようだ。リッターは改めてフランメを見て、小さく頷く。
リッター「……フランメ、俺はリッターだ」
フランメ「えぇ知ってます。団長として、リッターさんは有名な方ですから」
リッター「そうか…。大きくなったな。俺は、お前の幼い頃から……」
世間話の一つもしようとしたが、リッターは「んむ」とキュっと閉ざし、思い出したように言う。
リッター「おっと、長話の暇もない。シュヴァン女王に用事があるなら、急いだほうがいい」
オルデン「どうしてだ?何か予定でも入っているのか」
リッター「砂国への訪問がある。テイル女王に子供が産まれたらしくてな、その記念訪問だ」
オルデン「……誰も彼も成長していくな。分かった、情報感謝する」
オルデンはフランメの肩を叩くと、行くぞと言って急ぎ気味に王室へと向かい始める。リッターは「またこいよ」と笑いながら言って、向こう側へと消えていった。
オルデン「……少々の時間を喰ったが、フランメ。準備はいいか」
フランメ「ん、いつでも大丈夫だって。それよりココが……」
目の前に現れたのは、白鳥をイメージした装飾の巨大な扉。シュヴァン女王は豪華絢爛な造りを望まなかったが、力の象徴を表すことは必須であると、無理矢理に造られたものだった。
オルデン「入るぞ」
フランメ「……いつでも」
オルデンは、一呼吸置いてからドアを叩く。
"…とんとん"
オルデン「…」
フランメ「…」
数秒後、中から「どうぞ」と透き通った女性の声が聴こえた。フランメは「うっ」と僅かに顔を歪ませ、オルデンは「オルデンだ」と言っていよいよドアを開ける。
オルデン「……シュヴァン」
内装は、扉と同じく豪華であった。
黄金の装飾品が並び、西方大陸の大自然にしか存在しない貴重な花々が部屋を彩る。大理石や純魔石で造られたテーブルには、瑞々しい果物が真っ白な皿に盛り付けられていた。
シュヴァン「も、猛竜…騎士さん…!?」
そして、その中央で「猛竜騎士」と旧名を驚いた様子で呼ぶ、長い黒髪を靡かせる美しい女性。彼女こそ、この世界とセントラルを統治する女王――…。
オルデン「久しぶりだ、シュヴァン……いや、白姫と言ったほうがいいか?」
シュヴァン「猛竜騎士さんっ!!」
―――シュヴァン女王殿下である。
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