魔剣士「お姫様の家出に付き合うことになった」【現在完結】

Naminagare-波流-

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第七章【氷山帝国】

7-11 誰かの為に

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………………………………………………
―――次の日。
早く就寝した三人は、朝早く目が覚め、寒空の下で猛竜騎士の指南でマラソン大会を決行。吐く息も白く、魔剣士はブツブツと言っていたが白姫は楽しそうに朝の街並みを楽しんでいた。
やがて、街で朝食を済ませると改めて街を散策し、最新の技術に驚いたりしながら午前中を過ごした。
それからしばらくすると、急に天候が悪化。大雪となったため三人は19時までホテル内の施設でのんびりと時間を過ごした。
そして―――…。

セージ「約束の時間が来たわよ!」
魔剣士「……ババァ、本当にちゃんと闇魔法の使い方を教えてくれるんだろうな」
セージ「ババァいうな。取引は取引よ。ただし、こっちの指示した動きにもきちんとしたがって貰うからね?」
魔剣士「わかったよ」
猛竜騎士「地下室の秘密研究所だったか。すぐにホテル内から行けるのか?」
セージ「当然。入り方は複雑だけど、そこまで遠くないから安心して」
猛竜騎士「そうか」
セージ「それじゃ、行きましょうか」
魔剣士「へい」
白姫「はいっ」
猛竜騎士「うむ」

…………
……


………………………………………………
―――10分後。
四人はセージの案内で、一度ロビーへと出た後、ホテル中央の大廊下を進み、"プライベートルーム"の記載がされていた鉄の扉を開けると地下深くの階段を降りて行った。そして、狭い廊下を抜けるとそこには小さい扉があり、セージは持っていた銀色の鍵を使い、それを開いた。

セージ「着いたわよ。いらっしゃい、私の研究所へ」
魔剣士「ここか…」
猛竜騎士「ほう、なるほど」
白姫「み、見たことないのがいっぱいです!」

セージの研究所は、思っていたよりも狭く物が多く乱雑していたが、使用感のある窯やフラスコ、貴重そうな各素材は丁寧に並べられており、正面には巨大な真っ白なホテル内の"地図"が描かれていた。また、よく分からない魔石とケーブルが床を這うように伸び、白姫は危うくそれに引っかかって転びそうになっていた。

魔剣士「きったねぇぇ!」
セージ「正直なのは嫌いじゃないわよ」
魔剣士「整理しろよ!」
セージ「必要なように、これが最適化されてるのよ」
魔剣士「片付けられない子どもの言い訳じゃねぇか!?」
セージ「あら、適格ね」
魔剣士「うるせ!」
セージ「……それより、制研究員の姿が見当たらないわね」
魔剣士「誰だよ」
セージ「私の部下よ。秘密研究所創設…というか、私が本部に所属した初期から慕ってくれている後輩なんだけどね」

いつもなら椅子に座っているのだが、その姿はなかった。

猛竜騎士「君がカギを開けたんだし、どこかに行ってるんじゃないのか?」
セージ「いえ…。セキュリティ上、カギは絶対に閉めることにしているのよ」
猛竜騎士「どこかに出かけたんじゃないのか?」
セージ「私に無断でいなくなるのは珍しいんだけどね…。ま、いっか」
猛竜騎士「君が良いならいいんだが。それで、ここで魔剣士と白姫に指南を?」
セージ「ここじゃなく、もう1つの部屋があるから。こっち来て」

セージは手招きし、狭くケーブルの這う部屋を転ばないように慎重に歩き、奥の棚に隠れるようにしてあった白い扉へと手をかけた。

魔剣士「こんな場所に扉があったのか」
セージ「自分で言うのもなんだけど、こんな狭い場所で闇魔法を放ったら、全部吹き飛んじゃうでしょ。大事な資料もあるんだから」
魔剣士「吹き飛ばす前提かよ」
セージ「貴方に暴走しない自身があるならいいけど。もし暴走したら、損害の金を払ってもらうわよ?」
魔剣士「早く扉を開け」
セージ「分かればよろしい」

白い扉をガチャリと回すと、中から"ぱぁっ"という擬音が浮かびそうなほどの光が四人を包んだ。

魔剣士「うおっ!?」
猛竜騎士「なんだこの光っ!」
白姫「ま、眩しいっ!」
セージ「私の実験室よ。眼はすぐ慣れるから大丈夫でしょ」

セージが"実験室"と呼ぶ部屋に足を踏み入れると、白く強い発光でしばらく目が眩んでいたが、しばらくすると馴染み、辺りの様子をやっと伺うことが出来た。
部屋は四角いキューブ状で、一面に"白い魔石"が埋め込んであり、先ほどの汚い部屋とは真逆で何もないガランとした殺風景とも思える寂しい部屋であった。

魔剣士「……白い魔石?」
白姫「それ以外は何もないね。すっきりしてる…かな?」
猛竜騎士「何だこの部屋は…。白い魔石なんて見たことないぞ…?」

それは、あの猛竜騎士ですら見たことのない、"白魔石"と呼ばれる希少鉱石だとセージは説明する。

セージ「これはね、あらゆる魔法に対して反発作用をもたらすものなの」
セージ「炎なら炎を返し、雷は雷を、水は水を。だから、このキューブ状にすることでここで放たれた魔法は永遠と反発しあうわけ」
セージ「だから、ここで魔法を放ってもこの部屋の中だけで完結できる。他の部屋に干渉をしないから、安全に実験ができるのよ」

魔剣士「じゃあ、こんな場所で実験したら俺らが吹き飛んじゃうんじゃねーの」

セージ「それは問題ないわ」
セージ「この白魔石の裏に、別に"黒魔石"という魔法を吸収する別の希少鉱石が散りばめられていてね」
セージ「白黒を散りばめることで、反発と吸収を繰り返し、いかなる魔法も一瞬で消失させる効果があるの」

魔剣士「ははぁ~…!よく分からんが、魔法を放っても問題ないっつーことか」

セージ「そういうこと」
セージ「ま、更に床に物理技に対するクッション・システムもあるから壁に威力を放っても意味ないわよ」

魔剣士「…ほほう!んじゃさ…オッサン!それが本当なのか、俺と一緒に壁に本気で技をやってみようぜ」
猛竜騎士「何?い、いやしかしだな……」
セージ「絶対的な領域だから安心して。それに、魔剣士クンと貴方の力を見れるのは、魔力を感じることっていう意味でも良い体験になるから」
猛竜騎士「こんな狭い場所で、本当に大丈夫なんだろうな…」
セージ「絶対大丈夫よ」
猛竜騎士「……ここで生き埋めになるのは嫌だぞ」
セージ「そんな自分の実力に自信があるの?」
猛竜騎士「そうではないが、壁ひとつ破壊するくらいはワケないというか」
セージ「だから、その程度で」

魔剣士「うぅぅぉおおおおおっ!!!!」

猛竜騎士の心配を他所に、魔剣士は魔力を練り始めた。

猛竜騎士「おい、ちょっと待て」
魔剣士「はァァアッ!!」

魔剣士の全身から、黄金色の魔力が渦巻くようにオーラとして眼で見える程ハッキリと具現化し、セージは興味津々にそれに釘付けになった。

セージ「確かに人と全く異なる魔力の感覚、闇魔法は本当なのね…!」

しかし、これは闇魔力であって"闇魔法"ではない。魔剣士が起こそうとしているのはあくまでも火炎の属性着火、得意技。彼にとっての本来の闇魔法は、自身の超強化のことなのだから。

魔剣士「だァッ!!」

気合を込め、魔剣士は片手剣へ炎を着火させた。具現化した火炎は、いつも以上にゴウゴウと燃え、周囲を熱気で包み込む。

セージ「……ふぅん、色は普通の火炎のままね。これは闇魔法じゃなくて普通の魔法かしら?」
猛竜騎士「随分と落ち着いて分析するな…」
セージ「そりゃね。魔力自体は黄金色だったし、まだ"闇魔法"としては扱えていないのね」
猛竜騎士「だからココに来たんだが。自身の強化が闇魔法にあたるんだが、それをすると激痛で身体が持たないらしいんだ」
セージ「激痛ってことは、魔力が体内の魔力素に過剰反応しているのね。普段は抑えられているけど、どういうことなのかしら…」
猛竜騎士「あぁ、それについてなんだがな……」

猛竜騎士が、セージへ西方大地の一連の話をしようとした…その時。空気の読まない…いや、読めない魔剣士は準備していた火炎魔法を勢いよく壁へと降り下ろし…。
"ズドォォォンッ!!!!"
耳が破壊されるほどの大爆発音が、逃げ場のない狭い部屋で幾度も鳴り響いた。もちろん、爆発の影響自体はセージの言っていた通りで壁にはまるで傷一つなかったのだが、それ以上にその猛烈な音は脳内をビリビリと揺らす程のものだったようで……。

魔剣士「おぉ、すげぇ!傷一つねぇぞ!」
魔剣士「…」
魔剣士「……って、あら?」

後ろを振り返ると、セージと白姫が目を回して地面へと倒れていた。

猛竜騎士「俺とお前はまだしも、白姫とセージは今の爆音で気絶してしまったぞ」
魔剣士「……あら」
猛竜騎士「節度を考えろ、馬鹿者ッ!!」
魔剣士「ハ、ハハ……」

…………
……


………………………………………………
―――しばらくして。
ようやく二人は起き上がったのだが、気絶していたせいか前後の記憶が飛んでいたらしく、猛竜騎士は何があったかを説明。
しばらくの間、ボンヤリとしていたがやっとのことで我に戻ったようだった。

セージ「き、記憶が吹き飛ぶなんて情けない…。まだ耳鳴りがするわ……」
白姫「クラクラする~……」
魔剣士「わ、悪い…」
セージ「音のことまで考えていなかった…。周囲には完全防音だけど、魔力自体は消失するけど音の吸収は盲点だったわ……」
猛竜騎士「強烈な魔法を使う実験と考えると、音はちょっとした敵になりそうだが…」
セージ「そこは近いうちに、一定の音量は吸収できるよう考慮しておくわ……」
猛竜騎士「それがいいだろう……」

フラフラしつつも、セージは気絶前の話題に話を戻す。

セージ「…それで猛竜騎士。何か話があったみたいだけど……」
猛竜騎士「あぁ、一応のことだが魔剣士にどうやって闇魔法が付与されたのか教えておこうと思ってな」
セージ「なるほどね!もちろん聞くわ、教えてくれる?」
猛竜騎士「そうだな、どこから話をすればいいか……」

猛竜騎士は、エルフ族のことや西方大地での事件について、ウィッチが唱えた定説"生命の幹"についてを彼女へ伝えた。
精神、体力、魔力、全ての密接な関係で成り立つ命の心臓…生命の幹。闇の魔力はそれを犯す。しかし、それを抑えるには"命"を被せることで抑えることができることを。
ウィッチは自らの命を、魔剣士に捧げてそれを抑えることに成功していたことも。

セージ「魔力増大の腕輪を装着した魔剣士は、生命の幹を犯された。しかし、ウィッチというエルフ族の女性がそれを自らの命で抑えた…ということね」
猛竜騎士「そうだ。しかも、魔剣士はウィッチの得ていた黄金魔力を受け継いでいた…」
セージ「ウィッチの会得していた闇魔法を、魔剣士が継いだと?」
猛竜騎士「そうなのかもしれないが、俺にそこまでは……」
セージ「…ウィッチが会得していた闇魔法は、どのような種類のものだったの?」
猛竜騎士「周囲の"声"、魔力の感知、察知能力に優れていた」
セージ「感知という魔力の察知は、察知術で元々あるでしょう?」
猛竜騎士「いや、そのレベルじゃない。俺もそこに"誰かが存在しえる"ということは分かる程度に使えるが、彼女の感知能力は度を越していた」
セージ「相当数の距離を感知できたってこと?」
猛竜騎士「それは当然のこと、どこにどのような生物が、数も、あらゆる全てを理解できる程のものだった」

セージ「……凄い便利ね」
セージ「エルフ族は元々の魔力に優れていたけど、闇の魔力で得た過剰魔力をも体内で上手く扱えたのね」

猛竜騎士「そうかもしれないが、結局アイツはそれに耐えきれなくなったと理解し、魔剣士に全てを捧げたんだがな…」
セージ「ふーん…。アイツ呼ばわりってことは、エルフ族と人間なのに珍しく仲が良かったのね」
猛竜騎士「エルフ族とはいえ、アイツは大事な仲間だからな」
魔剣士「……ウソこけ!!愛してたとか好きだとか言ってたじゃねぇか。忘れねぇぞ!」
猛竜騎士「うぐっ!?」
白姫「ウィッチさんに失礼ですよ!」
猛竜騎士「は、はい……」

セージ「……ふ、ふーん」
セージ「そっか…!ま、まぁいいんじゃない。それで、続きは?」

猛竜騎士「そ、それでな。魔剣士は腕輪の魔力増大を受け、彼女の抑えも受け、黄金色の魔力になったんだ」
猛竜騎士「膨大過ぎるのか、今の魔剣士はどこまで魔法を使ってもその底が知れない」
猛竜騎士「しかし、自信の強化を行う際は激痛が伴うようなんだ」

セージ「……魔剣士クン、そうなの?」
魔剣士「んむ、オッサンに教えてもらった魔力を全身にイメージして体幹を強化しようとする、自身強化。それをすると激痛が走るんだよ」
セージ「なるほどね……」
魔剣士「このすっげぇ量の魔力を、自己強化で使ったら凄く強くなれる気がするんだけどなぁ…」

セージ「そりゃそうでしょうね」
セージ「魔力を全身に回して、属性抵抗を高めれば無限大の魔力による"最強の盾"になる」
セージ「無属性魔力を身体の瞬時強化もしくは、筋力に回して物理面の強化もしかり」
セージ「攻撃は出来るみたいだし、そこは差し詰め"最強の矛"ってところかしら」

魔剣士「だろ!?クッソ、無駄過ぎるだろこの魔力!」

セージ「ふむふむ…」
セージ「…」
セージ「……うん、なるほど!大体分かったわ!」

魔剣士「へ?」
猛竜騎士「ん?」
白姫「えっ?」

セージ「魔剣士クンが闇魔法を扱えるようになる、その自己強化のプロセス!」
セージ「恐らく間違いはないし、それでいいと思うわよ!解決の糸口は見えたわ!」

魔剣士「な、何だ。俺が自己強化に使えるようになるのか!?」
セージ「うん、まぁね。凄く簡単な話なんだけど」
魔剣士「マジかよ!教えてくれ……ど、どうやったら闇魔法を扱うことが出来るんだよ!」
セージ「確かにこの辺は、専門分野じゃないと分かりにくかったかもしれないわねぇ」
魔剣士「だから、どういうことなんだよ!」

セージ「単純な話だって言ってるでしょ」
セージ「いわゆる、放出と蓄積は違うってことよ」

魔剣士「……ん?」

セージ「良い?魔法にはね、使う時に"放出タイプ"と"蓄積タイプ"があるのよ」
セージ「まず放出は、一般的に炎や水、雷、風を生み出すもの。オーソドックスなもので、一般的な利用を含めて攻撃型はこれにあたるわね」

魔剣士「ほう?」

セージ「それで問題になるのは、その蓄積タイプのほうなんだけど…」
セージ「蓄積というのは、その名の通り体内に魔力を任意に蓄積させて部位を強化したりすることなのよ」

魔剣士「おう、それで?」

セージ「つまり魔剣士クンの症状からすると、問題は"蓄積"の魔力に問題があると思われるワケ」
セージ「多分、蓄積をするための一時的に魔力を保持するタンクとかが膨大な魔力を受けきれるほど強いわけじゃないと考えられるわ」

猛竜騎士「そうか、なるほど……!」
猛竜騎士「魔力を貯蓄することは全身では可能だが、それを練ったものを一時保存するタンクが長時間蓄積できる程に見合っていないのか!」

セージ「うん、そういうことね」
セージ「放出の場合は、一時タンクを介しても一瞬で通りぬけるけど、強化系魔法は基本的に蓄積させ、体内の強化に努めるから、そのタンクが狭いと暴走して激痛となってるのね」

魔剣士「はッ!?じゃあ、普通の魔法は使えても自己強化は出来ないってことなのか!?」
セージ「無造作に放出で使える時点で凄い事だと思うんだけど…。その状態がもう自己強化と一緒じゃないの…」
魔剣士「ち、ちげぇよ!俺は自分で戦うこともしたいんだよ!これじゃ、ただの魔法使いじゃねぇか!」
セージ「なるほどね。だから"魔法剣士"ってことね」
魔剣士「そうだ!俺は魔剣士なんだよ…だから!」
セージ「……落ち着きなさい」
魔剣士「だ、だってよ……!」

セージ「取引上、私は魔剣士クンと白姫ちゃんにそれぞれの仕事を請け負ってるの」
セージ「もし、あなたが望むことが出来なかったら取引は成立しないでしょ?」

魔剣士「どうするんだよ…。また修行で、膨大な魔力を強化に扱うタンクを拡げるのか…?」
セージ「冗談。闇魔力のタンクを拡げるためには、生命の幹を伸ばす必要があるし、そこでまた誰かを犠牲にしなくちゃいけないんだから無理に決まってるでしょ」
魔剣士「じゃあどうすんだよ……」
セージ「簡単なことだって言ったはずだけど?」
魔剣士「だから、どうするんだよ!」
セージ「蓄積の自己強化が出来ないのなら、"放出の自己強化"をすればいい。それだけよ」
魔剣士「な、何?」
セージ「根本から考えを変えればいいということね」
魔剣士「そんなこと、出来るのか」
セージ「やり方は基本のまま、何とか考えてみるわ。任せて」
魔剣士「わ、分かった……!」
セージ「ただし、魔法の動作や私が指示してそれに動いたものは全部メモをとらせてもらうからね」
魔剣士「それくらい!」
セージ「……あと、思いがけない言葉を聞いたしそれの資料も探さないと♪」
魔剣士「思いがけない言葉?」
セージ「あっ、いや!こっちの話よ…気にしないで頂戴!」
魔剣士「……そうか?」

セージ(……そのウィッチが魔剣士に黄金の魔力を魔剣士に授けたというのなら、過去に闇魔法を扱えた人種は命を持って次の人へ捧げられた可能性が出てきた)
セージ(今の時代、失われたと思ったバーサク魔法だったけど、もしかしたら血を紡いでいるかもしれない……)
セージ(これは物凄いことよ。今も人知れず闇魔法がどこかで動いている可能性があるというのなら、これは論文としてかなりの意味合いを持つ!)

セージは一つの仮定だが、確実なものとして考えた。そして、きっとこの取引は必ず自分が上にあがる為の重要なキーとなる。それを確信し、自分のためにも魔剣士を必ずや成長させ、その結果を出すと心の中で決意をした。

セージ(闇魔法は血を紡ぐ、命と引き換えに膨大な魔力や人にあらざる強化術のこと……)
セージ(今の魔剣士クンがどちらも得ようとしているなら、その意味を分かっているのかしら……。ま、いっか)

魔剣士「……で、俺は良いけどあとは白姫なんだが」
白姫「え?」
魔剣士「ほら、お前もソーセージに魔法を習うんだろ」
白姫「あ、そっか!」

セージ「……もう何とでも呼んで頂戴」
セージ「白姫ちゃんのことも考えてるわよ。まず、得意な属性を見ましょうか」

白姫「得意な魔法ですか?」
セージ「あとで用意するけど、魔力を込めると得意属性に染まる試験紙を持ってくるわ。それで、今後の方針を決めましょう」
白姫「そんなのがあるんですか!」
セージ「西方大地でもそれなりに鍛錬したようだけど、私は"研究者"として貴方を育ててあげるわ」
白姫「は、はいっ!」

猛竜騎士「……なるほどな」
猛竜騎士「実践も通してやる俺とは全く違う考え方だ。こんな簡単に得意属性を伸ばす、その判別方法まであったなんてな…」

セージ「実践ももちろん大事よ。自分を知るには有意な方法だし、体力を育ててこそだからね?」
猛竜騎士「そうか。フフ、俺へのフォローか?」
セージ「さぁ~ね♪じゃ、今日からよろしくねみんなっ!」
魔剣士「おうよ!」
白姫「はいっ!魔剣士の力になれるよう、頑張ります!」
猛竜騎士「全力でフォローさせてもらうよ」

四人はそれぞれの思いを胸に、この北方大地で新たなる修行へと励む決意を固めた。
いざ、自分の為に…好きな者の為に…優しさの為に…想いの為に……。
全ては人の為に――…。

…………
……


………………………………………………

制研究員「……本当に申し訳ありません、セージ様ッ…!」
テイケン「ハハハ…闇魔法は本当だったのか。まさかセージ、お前の秘密研究所内は俺に監視されてるとも思うまい……」
制研究員「くっ…クソッ…!」
テイケン「お前の技術も大したものだ。こうも簡単に声を盗む技術器を開発していたとはな」

制研究員の技術は、テイケンも驚かせるものだった。一晩にして、ホテルに設置したものと同じ、音を雷魔石とケーブルを伝導して任意箇所にそれを再生させる事の出来る、いわゆる"盗聴器"を設置していた。秘密研究所は勿論、魔剣士たちのいた実験場でさえも。

テイケン「使い方をきちんとすれば錬金術とは便利なものだ。使い方を間違えてはイカンぞ…んん~っ?」

制研究員(ど、どの口が……)

テイケン「声を盗む器具の使い方は覚えた。では、そろそろ彼女の研究所へ戻るといい…制研究員。あまり戻らないと、怪しまれるだろう」
制研究員「……承知致しました」
テイケン「この声を盗む道具以外で、何か気になった点はすぐに報告しろ。日報にまとめて、毎晩な」
制研究員「かしこまりました…。マイ・マスター……」

テイケン「……フフフッ!」
テイケン「お前を俺の絶対服従させてやる。俺にたて突くことも許されないことを教えてやる!」
テイケン「丸裸にしてやるよ……」

………………
………
……


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