魔剣士「お姫様の家出に付き合うことになった」【現在完結】

Naminagare-波流-

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第九章【セントラル】

9-10 南方道中村にて(1)

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―――魔剣士たち、ガンザン村から2日後。
冒険者の集う村で休息を得た四人は、それからほどなくして"南方道中村"へと到着していた。
南方道中村はセントラル王国の南方に位置する最も付近にある村である。
冒険者の足ならば3時間足らずでセントラルへ到着することもあって、いよいよ魔剣士たちも本格的に計画を練り直す必要があった。

白姫「わぁー、久しぶりー……!」
魔剣士「うぉー!懐かしいなオイ!!」

二人にとっては冒険を始めて"最初"の村ということもあって、成長した自分たちがそこへ訪れるのは感動ものだった。

猛竜騎士「懐かしむのは後だ。先に宿をとって明日の準備もしたほうがいいだろう」
ブリレイ「えぇ、もうセントラルは目前ですからね」
白姫「分かりました」
魔剣士「へいへい」

四人は宿のある村の中央へと足を運ぶ。
すると、全員が村に漂う雰囲気の異変に気が付く。

魔剣士「……なんか、冒険者というか妙に殺気立った奴が多くないか」
ブリレイ「気のせいではないようですが……」
白姫「みんなピリピリしてる……?」
猛竜騎士「これは……」

明らかに異質な気を放つ者の存在が多く伺える。冒険者の村で見た面子もチラホラと確認することができ、異様な事態に四人は宿へと急いだ。

魔剣士(何なんだ……?)

そして、ようやく宿へと到着した四人は隠れるようにして受付へ向かう。するとそこには、懐かしい顔が、あの時と同じままで、そこに立っていた。

宿屋の主人「うぃーっす、いらっしゃい……」

初めての夜、一夜を明かした宿屋の親父が変わりなく、そこへ立っていた。
魔剣士と白姫は思わず声を出しそうになったが、また懐かしいと感じる反応を主人はしたものだから思わず笑ってしまう。

宿屋の主人「って、アンタら…。そこの丸眼鏡以外…、フードローブを深く被ってなんだぁ…?顔を見せやがれ、強盗か何かじゃねえだろうな!!」

魔剣士(おいおい……!)

あの時も、顔を隠して背負った白姫に対して同じような言葉をぶつけた。本当に何も変わっていなくて、安心してしまう。

宿屋の主人「どうなんだ、えぇっ!?オイッ!!」
猛竜騎士「いや、俺たちは……」
宿屋の主人「とにかく脱いでもらおうか!ただでさえ今は物騒だってのに…、そんなんじゃ部屋は貸せないからな!」
猛竜騎士「込み入った事情もあるんだが……」
宿屋の主人「こっちにとったらアンタらの存在が込み入った事情なんだよ!」

一方に引き下がらない主人に、魔剣士はクククと笑いながら一歩前に出た。

宿屋の主人「な、なンだ!?やるか!?」
魔剣士「……宿屋の親父サンよぉ」
宿屋の主人「なンだ……!」
魔剣士「俺たちゃ込み入った事情があるんだ。ちっとばかし、これでかくまってくれねーか……?」
宿屋の主人「は?何を言ってやがる!」

魔剣士は腰の袋から、セントラルの金貨を数枚をカウンターに放り投げた。

宿屋の主人「……ン?」
魔剣士「これで俺らのことを秘密にして、泊めてもらえりゃ嬉しいぜ?」
宿屋の主人「こ、こりゃ……」
魔剣士「そうだな、出来たら…アンタの部屋あたりに一泊。ってのはどうだ……なぁ!」

魔剣士は周りを気にしつつも、フードを取って主人にだけ顔を見せた。

宿屋の主人「お前……!」
魔剣士「久しぶりだな、宿屋のオッサン!」

………


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――10分後、主人の部屋。

主人「ひっさしぶりじゃねえか、魔剣士!おぉ!!?」
魔剣士「相変わらずだなぁ、宿屋のオッサンよぉー……」
主人「お前なぁ、あれからうちのVIPルームに宿泊するとか豪語しといて、結局こんなナリじゃねーか」
魔剣士「うっせーなぁ、俺だって好きでこんな立場にいるんじゃねーっつーの!」
主人「はっはっは、姫様も本当に久しぶりだ!前にあった時より綺麗に可愛くなったんじゃないか!?」
白姫「そ、そんなこと……」

たった一日の出会いとはいえ、その時間は二人にとって嬉しい出来事で、感謝を仕切れないものだった。
しかし、次の猛竜騎士の一言に魔剣士は更なる優しさを知る。

猛竜騎士「その節は、魔剣士と白姫が世話になったそうで……」
主人「あぁ?気にするこたぁねーよ、俺だってたっぷりと謝礼金を受け取ったんだからな!」
猛竜騎士「……謝礼とはいえ、あの金貨は…」
主人「酒飲み代に使っちまったぜ!だぁーはっはっは、気にする必要はない!」
猛竜騎士「別に支払わせていただきたい。本当に使えるお金を」
主人「バッカ、お前それは…!」
魔剣士「……何?」

本当に使えるお金だって?

魔剣士「オッサン、そりゃどういう意味だ」
猛竜騎士「……お前はこの人に感謝はしきれないのだと、覚えておけ」
主人「いやいや、気にすることはねぇよ」
猛竜騎士「いえ、そうもいきません。彼らの"親の立場"として、教えなければいけない」
魔剣士「ちょっ、オッサン……」
白姫「も、猛竜騎士さん……!」
ブリレイ「フフ……」
主人「良いってのに…なぁ」
猛竜騎士「いえ、しっかり教えますよ」

主人を遮り、魔剣士にそれを伝えた。

猛竜騎士「いいか魔剣士。お前の渡した金貨は、セントラルの宝物庫から盗んだ金貨だったな?」
魔剣士「俺が盗んだんじゃねーけど、まぁ……」
猛竜騎士「あれはセントラル金貨だが、番号が刻まれていてな。セントラルとて、それを把握していないわけがないだろう?」
魔剣士「……何?」
猛竜騎士「使えば足がつく。つまり、お前はこの主人にただただ世話になったってことなんだよ」
魔剣士「…は?いやいや、この宿のオッサンはガメつくて、もっと寄越せとだな……」
猛竜騎士「……なるほどな。それは少し考えれば分かることだ」
魔剣士「はい?」
猛竜騎士「恐らく、お前らのことを想ってだよ。……そうでしょう、ご主人」
主人「……おいおい」

言う気はなかったのだろうが、ここまで言われちゃ話す以外はない。

魔剣士「宿のオッサン…?」
主人「全く、気にしなくていいってのに」
魔剣士「何がだ?アンタ、ガメつくとったんじゃなかったのか?」
主人「……あぁ、俺ぁガメついだけさ」
魔剣士「やっぱりそうじゃねえか!?」
主人「……と、言いたいが」
魔剣士「あ?」
主人「そこの親御さんに言われちゃ仕方ねぇ。本当は、その足がつくってのが理由でこの金貨は使えないんだよ」
魔剣士「な、何…!?」

主人は立ち上がると、部屋にあったタンスの奥からいつか渡したセントラルの金貨を取り出して机に並べた。

魔剣士「お、おい……」
主人「俺から言うのはこっぱずかしいからな。全部分かってるようだし、そこの親御さんに聞いてくれ」
魔剣士「は…」
猛竜騎士「……ハハ。魔剣士、お前の金貨を多く取ったのはお前に対する優しさだよ」
魔剣士「何だと…?」
猛竜騎士「もう一度言うぞ。その金貨を使えば足がつく。つまり、分からないか?」
魔剣士「だからよ!足がつくってのは充分に分かって…………あっ!?」
猛竜騎士「気付いたか」

つまりは、そういうことだ。

白姫「私たちがそれを使って、捕まらないようにしたって…こと……?」
猛竜騎士「正解だ」
魔剣士「そ、そんなこと……」

最も、次の日には猛竜騎士と出会ったことで金貨を使う機会はなくなっていたのだが。
今だから分かる、主人の優しさが痛く感じた。

魔剣士「や、宿のオッサン……」
主人「恥ずかしいことだ。ククッ、気にしないでくれよな」
魔剣士「でも、アンタ……!」
主人「確かに金貨を持ってるだけで危険だったがよ、俺ぁ言ったはずだぜ?」
魔剣士「何を…!」
主人「俺は夢見てたってな。お前が主人公で、姫様がヒロインだ。あーんな出来事あったのに、俺が活躍しなかったら物語が成り立たねーだろってな!」
魔剣士「ば、ばっかやろ……」
主人「どうだ、俺は主人公組みになれそうか!?」
魔剣士「本当に…有難うだよ…バカヤロ……」
主人「ハッハッハッハッ、そりゃ何よりだ!それだけで俺ぁ充分さ!!猛竜騎士とやら、アンタも代金なんかいらねーぜ!」
猛竜騎士「ご主人……」
白姫「主人さん…!」
ブリレイ「何と気持ちのいい方なんでしょうか…。こちらまで嬉しくなってきますよ」

主人を囲むようにして、四人は彼の心意気に思わず温かな気持ちに笑みを浮かべた。

主人「ま、気にするなよ。それより、話を聞かせてくれねーか?仲間も増えてるみたいだし、どんな旅をしてきたんだかってことをよ」
魔剣士「……ん、アンタ店番は?」
主人「あれからバイトも増えてな、今はそいつに任せてる。最近は物騒だから夜に二人で番をしてるけどな」
魔剣士「そういや、さっきも物騒だって言ってたな。この村の雰囲気も、あの時とだいぶ変わった気がしたんだが…それが原因なのか?」
主人「あぁ…。最近はセントラルのほうで面倒くさい動きがあってなぁ……」
魔剣士「面倒くさい動き?」
主人「なんか、クロイツ騎士団とかいう荒くれ者の集団を作ってるらしいんだわ。名前の発表はつい最近あったとか冒険者が言ってたなぁ」
魔剣士「……クロイツ騎士団!?」
主人「それの選考が短い間隔で行われていて、南方港に来てるメンバーがこの村で休憩を取って、セントラルに向かう中継所になってるんだよなぁ…。そのせいで、治安も最悪だぜ…全く……」
魔剣士「宿のオッサン、ちょっとその話…詳しく聞かせてくれないか……?」
主人「……金貨1枚、だぜ」
魔剣士「クク、ユーモアを忘れないアンタのこと…好きだぜ全く……」

………


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――20分後。

主人「……というわけだ。この情報は中々高くつくぜ?」

主人の話した内容は、王が名前を変えていたこと、騎士団の名前がクロイツと名をつけてあること、また、噂によると明日に騎士団の選考会が行われるらしいことの三点だった。

白姫「王が、名前を変えて……」
魔剣士「あのクソ王、何がハイルだ…!何がクロイツ騎士団だ!?十字架の騎士団…マジで昔の政策のまんまじゃねえか!!」
猛竜騎士「……ブリレイ、君はこのことを」
ブリレイ「僕がこちらに来る直前のことのようなので、名を変えていること、クロイツ騎士団ということも…選考会も、詳しいことは知りませんでした……」

彼の言い方から、それが本当に知らないことなのだったと分かった猛竜騎士は、それ以上に追うことはしない。

主人「その選考が明日に控えているせいで、余計に治安が悪ぃんだよ。ったく、税金も厳しくなる一方だってのに……」
猛竜騎士「税金もですか?」
主人「あぁそうだ。アンタらにゃ愚痴をこぼしたくないが、少し前から税率を倍にされたんだよ。こっちとら、厳しいってありゃしない……」
猛竜騎士「税金の名目は?」
主人「さぁーな。ただ、取り立てには王城の兵士が直接来るもんだから、抵抗もできたもんじゃないんだこれが」
猛竜騎士「とすると、騎士団に払う賃金を国民から巻き上げているということか……」
主人「…な、何?」
猛竜騎士「ハンターや冒険者は、その辺の民よりよっぽど儲かる職です。そいつらを集めるとなると、並大抵な金では雇いきれない。つまり……」
主人「おいおい…ちょっと待てよ!それじゃあ…俺らの金は今、この村の治安を悪くしてる冒険者どもに支払ってるってことなのか!?」
猛竜騎士「えぇ、選考試験に選ばれた人のみでしょうけど、事実、その開催にも金がいるわけで…彼らのために支払う金というのなら、そういう意味でも……」
主人「……っざけるな、何考えているんだよ王は!治安が悪くなったせいで、畳む店だって出てきてるんだぞ!!」
猛竜騎士「因みにですが、騎士団の詳細は聞いてますか?」
主人「セントラルをより確固にするためだとか、条約のためだとか難しい話をしているが、払わなければ反逆罪だからな…聞くに訊けたもんじゃあない!」
猛竜騎士「なるほど…ですね……」

どうやら、主人にとってこの話は癪に障る話題らしい。
彼の心を抉るのは気持ち最悪だったが、中々に良い情報を得ることが出来た。

主人「……そういや、魔剣士よ」
魔剣士「なんだ?」
主人「お前さんの話を聞くつもりだったが、一体どんな旅をしてきたんだ?」
魔剣士「んー…、それなんだがなぁ……」
主人「なンだ?」
魔剣士「あまり言えない事なんだけどよ、全部が終わったら、アンタにゃ是非…俺の旅を聞いてほしいと思うから…。それまで待っててくれねーか…?」
主人「おいおい!俺に言えないことってか?」
魔剣士「まだ、言えねぇ。だけど、俺ぁスゲー強くなったんだ。本気で、守りたいものを守れるくらいに……」

拳をギュっと握りしめ、今までの旅を思い出す。
ようやく、ここまで辿り着くことが出来たのだと。

主人「……ふむ、なるほどな。込み入った事情があるなら、訊くこともないって話だ」
魔剣士「いいのか…」
主人「アンタらはお客様、だ。これ以上、詮索するマネをしたらクレームが出ちまうだろ?」
魔剣士「宿のオッサン……」
主人(ガストフ)「あのな、思ってたんだが…俺の名前はガストフだ。宿屋って意味でまんまかもしれねーが、笑うなよ!」
魔剣士「……はいはい、ガストフのオッサン!」
ガストフ「お前、それは宿のオッサンってことじゃねーか!一緒の意味だよ、一緒の!」
魔剣士「はっはっは、悪ぃ悪ぃ!」
ガストフ「……ったく」

ばつの悪そうな表情を見せたガストフは、「しゃあねえなあ」と漏らして立ち上がり、「ゆっくりしていってくれよ」と受付けのある扉に向かった。

魔剣士「あらら、もう行っちまうのか」
ガストフ「受付に主人である俺が待ってないでどうする。それに、込み入る話もあるんだろ?」
魔剣士「ガストフのオッサン……」
猛竜騎士「ありがとう、助かります」
ガストフ「あぁ気にしないでくれ。それより、晩飯はあとで運ばせるからゆっくりしてくんな!」
白姫「ありがとうございます、ガストフさん!」
ガストフ「ふはは、やっぱり姫様みたいな可愛い娘ちゃんにそう言われるのは悪い気がしないぜ」

鼻の下を伸ばし、白姫に手を振るガストフ。

魔剣士「おい、変態ジジィ」
ガストフ「な…何だと!?誰が変態ジジィだ!」
魔剣士「年下に鼻の下伸ばすんじゃねーよ!」
ガストフ「……口の減らない奴だなお前は」
魔剣士「へんっ」
ガストフ「ったく…!まっ、嫌いじゃないけどな。青春を楽しめよ、冒険者クン」
魔剣士「ふんっ!早く行っちまえ!」

ガストフは魔剣士にも手を振りながら、扉の向こう側へと消えていった。

魔剣士「……どっちが口の減らない奴だっつーの!」
猛竜騎士「ハハ、しかし助かった。あの主人のおかげで、今日は安眠を得られそうだな」
ブリレイ「そうですね…、部屋も広いですので隣の部屋には2つベッドも別にありますし、僕たちは隣で休ませていただきますか」
白姫「じゃあ私は魔剣士と一緒にここに寝ますねっ」
魔剣士「まぁそうなるわな」
猛竜騎士(……はーん)

今までなら「何でそうなる!?」と突っ込んでいたところだったが、妙に落ち着きが出たものだ。

魔剣士「んで、オッサンよ」
猛竜騎士「なんだ?」
魔剣士「明日にはいよいよセントラルだが、どうするよ」
猛竜騎士「あぁ……」
魔剣士「ぶっちゃけた話、俺の力なら大軍相手でも燃やし尽くせるし、強行突破っていうのも有りなんじゃねーか?」
猛竜騎士「……バカ言うな。お前は罪のない国民を巻き込んで、王都を火の海にするつもりか」
魔剣士「あ…、そうね……」
猛竜騎士「それにそう簡単に王に近づけるものか。こんな状況において、王の周りの警護は昔と違うと考えていいだろう」
魔剣士「じゃあどうすんだよ……」
猛竜騎士「ふむ……」

先ず、戦争をさせないためには王を止めなければならない。魔剣士は白姫に対して、状況が状況となるなら王を殺さねばならないことは伝えている。
もちろん、魔剣士にとって王の存在は家族を殺されたこともあって容赦をすることはない。

白姫「…」

白姫自身もそれは分かっているし、自分の言葉が父に届かないことも理解している。
今はただ、周りの決断に従い、成功した暁に訪れるであろう"指導者のいなくなった未来"に立つ自分を想像するばかりである。

魔剣士「……王を止める。だが近づけない。国民も巻き込めない。どうすればいいんだよ」
猛竜騎士「それを今、考えているわけだろう……」
魔剣士「分かってるけどよ……」
猛竜騎士「例えば腕の立つハンターが、お前や白姫の顔を見て分からないはずがない。既に王に忠実な相手もいたら、その情報が漏らされては困るだろう?」
魔剣士「……そりゃな」
猛竜騎士「幸いなことに、お前が闇魔法の使い手であることは浸透していないようだから、そこに突く隙があるだろうとは思うが……」
魔剣士「やっぱり強行突破しかねえってことか?」
猛竜騎士「それでは国民が巻き込まれると言ってるだろう…。お前はそんなに王都を戦場にしたいのか?」
魔剣士「そ、そんなことはねぇけどよ!暗躍して忍び込めば何とかなるんじゃねーかって…そう思っただけだっつーの…」
猛竜騎士「以前に一度、忍び込まれているのに。それなのに同じ過ちはせんだろう」
魔剣士「うぐっ…!」

八方ふさがりもいいところだ。
魔剣士は猛竜騎士に、
「ああ言えばこう言う!」
そんな罵倒を強く浴びせたかったが、正論であって唾を飲み込むしかない。

ブリレイ「……割り込むようですが、問題はそれだけではありません」

ここで、丸メガネを光らせてブリレイが口を開く。

魔剣士「まだ何かあんのか?」
ブリレイ「闇魔術師の存在です。誕生している可能性はほぼ確実、その対策も必要でしょう」
魔剣士「……同じ相手なら俺は負けねぇ。まだ生まれたてなら、相手じゃない」
ブリレイ「ふむ、失礼ながらその自信の根拠は?」
魔剣士「闇魔法にはレベルがあってだな……」
猛竜騎士「魔剣士!」
魔剣士「……っと、お、おう!まぁそれは良い!とにかく相手じゃないってことだ!」

裏切りの可能性が僅かでもある限り、秘密を暴露する必要はない。

ブリレイ「……そうですか、魔剣士さんがそういうのなら安心です」

ブリレイは笑顔を見せる。

魔剣士「と、とにかく!今は王にどうやって近づくのか!どうやって国民を巻き込まないのか、そういうことだろ!」
ブリレイ「……魔剣士さん、もう一度お話しをよろしいですか?」
魔剣士「何だよ!」
ブリレイ「その闇魔法の使い手には勝利することが出来ること、国民に影響を与えずに王に近づけば殺しも問わず止められること、この二つは絶対ですか?」
魔剣士「当たり前だ!だから、そのためにこうして話し合いをしてんだろうが!」
ブリレイ「…なら、危険を伴いますが良い方法があります」
魔剣士「あァ!?」
ブリレイ「本当はあまりオススメできないのですが、闇魔法の使い手にも、王にも近づける方法が一つだけ、確実に一つだけあります」
魔剣士「ん…お……?」

自信があるのか、いつもより強気なように聞こえる。

猛竜騎士「バカな、そんな方法があると…?」
ブリレイ「えぇ、何度も言いますが危険ですのでオススメは出来ませんが……」
白姫「それって一体…?」
魔剣士「どんな方法なんだよ。言わないと分からねーだろ」

彼の"危険な考え"に食いつく三人。
ブリレイは首を横に振りながら「これは危険ですが」と再三に注意しながら、まさかのアイデアを口にした。

魔剣士「……はい!!?」
白姫「ま、魔剣士が……」
猛竜騎士「クロイツ騎士団の選考会に出場するだとッ!?」
ブリレイ「……はい」

まさかのまさか、有り得ないアイディアに、一同は驚きの声をあげた。

………
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