緋色の竜狩り

やまねん

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サルブ村救出戦

瘴気に覆われた村サルブ②

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「うむ!これで良いじゃろう♪」

「凄いです!村長さんの顔色が一気に良くなりました!」

「迷宮の女神である妾にかかれば瘴気の浄化など造作もないことじゃ。」

 ブロンドに虹色のグラデーションがかかった髪、小柄ながらにメリハリの付いたボディ。
 可憐な顔立ちの迷宮の女神と名乗る少女の美しさはまさに神様かもしれない。


「教会周辺の瘴気も浄化してくださったおかげここを拠点にすることができそうです。女神様、ありがとうございます。このご恩は必ず…」

 そう言ってルミナは深々と迷宮の女神に頭を下げた。

「むふふ~♪そんなに妾に礼を尽くしたいと申すか」

「はい、私にできることならなんなりと…」

「そうか、そうか。なら…」

 迷宮の女神はルミナを頭から爪先まで見定める様な視線を送り口元を緩めニヤニヤしながら呟く。

「ならばその可愛らしい乳をじっくりと堪能させて貰おうかの~♪」

「それは…その、私はシスターですから…あの…エッチなコトを要求されるのは困ります…」

 ルミナは顔を赤らめ俯き胸を手で隠す様な仕草をとる。その仕草が可愛らしいかったのか迷宮の女神のセクハラはエスカレートしていく。

「大丈夫じゃ♪減るもんじゃないしの♪そう、これはエッチなコトではないぞ!マッサージじゃからなぁ♡」

 手の指をいやらしく動かしルミナに迫る迷宮の女神。

「はぁ…またセクハラですか…駄女神様。シスターが困っているではありませんか」

「むむ、妾のお楽しみを邪魔する気かシオンよ!」

「はい、もちろんです。わたくし達は遊びに来ているわけではないのですよ?サルヴの村の瘴気発生事件を解決に来ているのですから。さぁ、フリムから持ってきた物資の搬入を手伝ってくださいませ。」

 不貞腐れる迷宮の女神を他所に
 白銀のショートカットでメイド服を身に纏ったシオンと呼ばれていた少女はルミナの前でカーテシーをする。

「仲間がご迷惑をお掛けしました。わたくしはルル様のメイド、シオンと申します。シスター以後お見知り置きを。」

「シオンさん、私はシスターのルミナです。よろしくお願いします。この度はサルヴの為にありがとうございます。」

「早速で申し訳ありませんがルミナも物資の搬入をお手伝いして頂けませんか?」

「はい、お任せください」

「さぁ、駄女神様もお願いしますよ」

 ぶーぶー文句を言う迷宮の女神と共に物資をどんどんと運び入れいくシオンとルミナ。

「シオン~…荷物運ぶの疲れたぞ~妾休みたい~」

「口を動かす余裕があるなら大丈夫ですね。さぁどんどん運んでください。ドスケベ女神様」

「ドスケベだなんて…そんなに褒められると妾、照れてしまうのぅ♪褒められてやる気がでてきたぞ!残りの物資もガンガン運ぶぞ!」

 張り切って物資を運びだす迷宮の女神。

「あの、ドスケベは褒め言葉なのですか?」

「彼女は色事と酒をこよなく愛すダンジョンの神様らしいのでドスケベは褒め言葉らしいですよ?まぁ、やる気を出してくれれば何でもいいのですが…所でルル様は何処へ?」

「ルル様はズィオ神父と共に村の偵察に出てくれています。」

 ルルとズィオは村から急に溢れた瘴気の原因を調査すべく迷宮の女神とシオンがサルヴにやってくる前から偵察にでている。
 ルミナ達が物資の搬入を終えて少したった頃、調査からルルとズィオが戻ってきた。

「ただいま帰りました!シオンと女神様、来てくれたんだね」

「ルル~…妾、妾、シオンに扱き使われておったのじゃ~。あの鬼メイド、重たい荷物を妾にたくさん運ばせおったのじゃ~!妾、頑張ったからの!抱きしめておくれ!」

 迷宮の女神はルルの胸へ勢いよく飛び込んでいく。

「はいはい、女神様、よく頑張ったね。教会と村長さんの瘴気の浄化もありがとう」

「うむ、そなたに頼まれておったからの、お安い御
 用じゃ!」

 ルルの胸に顔を埋める迷宮の女神をルルは優しく抱きしめ頭を撫でてやっている。
 女神は口元を緩ませ嬉しそうに顔を左右に振りルルの胸の柔らかさを堪能している。

「ルル様、あまり駄女神様を甘やかさないでください」

「あはは…まぁ、この後もいっぱい頑張ってもらわなきゃだから…シオンも物資の搬入、ありがとね」

「ルル様にお褒めいただけるだなんて…♡」

 シオンは赤らめた頬に両手を当て恍惚の表情を浮かべている。

 シオンは普段はクールで何でも卒なくこなす敏腕メイドだが重度のルル狂信者であり、主を敬愛し過ぎているがゆえに常に尽くし愛してあげたいという欲求があり実行に移してしまう女の子である。

 そんなシオンがルルに褒められればこうなってしまうのは必定である。

「ふん…普段は鉄仮面の様に無表情なのにルルに褒められたくらいであんなに愛らしい顔をしおって…まぁ、妾はルルに抱きしめてもらっていい子、いい子してもらったのじゃ!妾の方が愛されておるぞよ♪」

「なんですって……」

 女神の挑発にシオンの嫉妬の炎がメラメラと燃え盛っている。

「もう!女神様もシオンを煽らないでよ!シオン?落ち着いて、ね?ほら、女神様と同じ様にしてあげるから…」

 シオンはルルの胸に女神同様に勢いよく飛び込み主人から愛を受け取っている。女神同様口元を緩ませ恍惚の表情を浮かべながらルルの柔らかさを堪能しているようだ。

「そなたも人の事を言えぬではないか…駄メイドめ…」

 そんな3人の愛憎劇に置いてけぼりのズィオとルミナは申し訳なさそうに口を開く。

「あの、ルル様…我々は今後どうしましょうか…?」

「2人ともごめんなさい。そうだね…まずはあたしとズィオ神父が調査してきたことの共有から始めようか!」

 ルルは顔を赤らめながら女神とシオンに離れてくれるように促すと女神とシオンは渋々離れてくれた。

「では私が話しましょう」

 ズィオが調査内容について話し始める。

「サルヴの瘴気発生の原因ですが…恐らく裏山の神殿から発生していることがわかりしました。」

「うむ、妾も裏山の方から邪悪な気を感じておった所じゃ。」

「ですが神殿とは聖域ではないのですか?瘴気を発生させるとはにわか信じ難いのですが…」

 シオンはそう言いながら首を傾げている。

「そうですよ!神殿は聖印の紋で護られているんですから邪悪な心を持つ者は入ることすらできないはずです!それに聖域が瘴気を発生させるだなんて考えられません!」

 ルミナも口を挟んでくる。

「いや、そうとも限らんぞ?強大な闇の力を持つものは聖印の紋の結界なぞもろともしないであろうな…」

 女神は話を続ける。

「邪悪な者が神殿に侵入し聖域の紋を奪われ聖域を失ったとしても本来は瘴気など発生しないのじゃ…しかしの、強力な闇の魔術の使い手はな、祭壇にて堕天の儀を行う事により神殿を堕天させ魔殿へと変貌させる…闇を払い瘴気や魔物を退けるはずだった神殿が魔殿となり魔物を呼びよせ瘴気を発生させておるというわけじゃ…」

「そんな…瘴気が溢れ出した原因って…」 

ルミナはショックで今にも泣き出しそうだ…

「シスター・ルミナ、悲しいことですが我々のサルヴの神殿が魔殿にかわってしまった…これが今回の事件の原因です…」

ルミナやズィオ達、サルヴの聖職者にとって裏山の神殿は教会の象徴の様な物。大切な聖域を侵されたショックは計り知れない。

「安心するのじゃ!魔殿になったからといって終わりではないぞ?元に戻す方法があるからの」

「本当ですか?」

「うむ!復天の儀を行うのじゃ!これで瘴気を止めることができる。聖印の紋を祭壇に再度奉り祝福の聖歌を歌い、儀式を執り行うことで魔殿は祝福され神殿になることができるのじゃ!」

「復天の儀は司教クラスの実力のある聖職者しか執り行なうことができません…私やシスター・ルミナには荷が重過ぎます…聖都から司教様をお呼びするにしても何日かかるか…」


「むふふ~♪その必要はないのじゃ!妾が復天の儀を執り行なうからのぅ~♪」

「可能なのですか?」
    
「ふっふっふ~♪妾は迷宮の女神!すなわち神じゃ!神たる妾の位は司教や大司祭より上じゃぞ!そんな妾に復天の儀など児戯に等しいのじゃ!」

その言葉を聞きパッと花が咲いた様な笑顔を見せるルミナ。
迷宮の女神の手を両手で握り嬉しそうに微笑む。

「本当ですか!私達のサルヴはもとに戻るのですね!よかった…女神様、貴女に感謝致します。」

握っていた手を離し、ルミナは迷宮の女神の前に跪く。

「むふふ~♪妾を信仰するとは良き心掛けじゃぞ!」

ルミナは祈りの姿勢を取り、目を閉じ祈っている。
そんな光景を見てシオンが呆れたように口を開く。

「いいんですか?ルル様…あの女神は色事とお酒をこよなく愛する神様ですよ?ルミナの様な従順な聖職者が信仰してはまずいのでは?」

「あはは…でも女神様は私達、人間の為にいつも力を貸してくれるし…」

「まぁ…それは認めますけど…」

「流石に聖職者にまで手を出すことはないと思うけど…」

「ルル~…シオンやそなたのそういう疑念に満ちた眼差しで見てくるのは止めてほしいのぅ…妾にだって理性はあるのじゃ…」

「そのへんは…まぁ…日頃の行いというか…」

「むむ…ルル~!妾は本気で傷ついておるのじゃぞ~!」

「はいはい…お詫びにあとでいっぱい抱きしめてあげるから今は我慢してね」

ルルは女神の頭を優しく撫でている。

「うむ……わかったのじゃ~♡」

すっかり機嫌が直った様子の女神だった

「さてとこれからどうするか決めなきゃね!」

ルルがそう言うとルミナが尋ねる。

「まずは神殿に向かい瘴気を払うのですか?」

「それも早くやらなきゃいけないんだけど神殿に戻す為には聖印の紋を取り返さなくちゃいけない…」

「ですがルル様、聖印の紋を盗んだ犯人を特定できていませんよ?」

「そうなんだよね…だからおびき寄せようと思うの!」

「おびき寄せる?」

ルルの言葉に首をかしげるルミナとシオン。

「うん!神殿を堕天させ魔殿にしてまでこの土地を欲しかった魔族達が神殿の奪還を簡単に許すとは思えない。」

「だから、思いっきり暴れましょう!」
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