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サルブ村救出戦
瘴気に覆われた村サルブ⑤
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時は少し遡る
ヒュー、と心地の良い音を放ち火の玉は空で炸裂し光の大輪の花を咲かせた。
迷宮の女神と神父ズィオはその光景を見て意を決する。
「ズィオよ!ルルからの合図じゃ!山頂へ向かい、神殿を奪還するぞ!」
「かしこまりました!ご案内致します」
迷宮の女神はうむと満足そうに頷いたあと少し考え自分達が教会を離れると誰も教会を守る者がいなくなり拠点を奪われ、中で寝ている村長に危害が加わる可能性を考慮し自身の配下に教会を守らせることにした。
「皆、妾の呼びかけに答えるのじゃ!」
迷宮の女神が魔力を込めた右手で空間を切り裂くとその裂け目から5人の戦士が飛び出してきた!
「女神様、我がリザードマン小隊、命を受け今ここに馳せ参じました!」
「うむ!ご苦労!皆、よくぞ来てくれたのじゃ!」
リザードマン小隊は5匹の魔物で構成されており遠近バランスの取れたチームである。
前衛を屈強な戦士であるリザードマンとカエル戦士が務め、中距離からリス弓兵が的確な援護射撃を行い魔術担当のミミックウィザードが後方より魔術で敵部隊に痛打を与えていく。部隊の補助はスライムプリーストが担っており補助魔法や回復魔法で味方を支える。
どんな環境でも任務を果たすことのできる迷宮の女神の自慢のチームの1つだ。
「リザードマン隊長よ!妾は今から山頂の神殿を奪還しに行く。それまでの間この教会を守って欲しいのじゃ!」
「はっ!我々にお任せください!」
「うむ、頼んだぞ!ズィオよ!神殿へ向かうぞ!」
「はい!女神様!表参道を通っては敵に見つかるかもしれません…裏道から参りましょう!」
山を登っていくためにはいくつかのルートがあるが表参道は見通しが良く大勢の敵が待ち伏せしていれば簡単に発見されてしまうだろう。一方裏道は獣道に近く道幅も狭いが木々に隠れて進めるため敵の警戒網を突破するには最適だった。
「ズィオよ!そっちの方角に向かうのか?」
「はい。獣道ですが進みやすくなっております。どうかご安心ください」
女神様は頷きながら素早く周囲を見渡す。その姿は瘴気の闇の中でも不思議と輝いて見える。
二人は慎重に歩を進め、薄い日の光だけを頼りに鬱蒼とした森の中を抜けていく。途中で何度も息を殺しながら待ち伏せしているかもしれない敵の気配を探るが特に動きはなかった。
そうして、慎重に森を抜けて行くと山頂の神殿にたどり着く。以前の神々しさはなくなり魔殿と化してしまいまったその建物は絶えず瘴気を吐き出し大地を穢している。
「あまり、状態はよくないのじゃ…今の所敵の気配もせぬ…今のうちに突入し神殿を奪還しようぞ…」
ズィオは頷き2人は息を殺しながら神殿へ入っていり復天の儀を行うべく奥の祭壇を目指し慎重に進んでいく。
静寂が支配する神殿内部。本来ならば清浄な空気が流れているはずの場所は、今や腐臭のような瘴気に満ちていた。石畳の床には黒い染みが広がり、壁に描かれた聖なる紋章さえ歪んで見える。
「祭壇が見えたのじゃ!ルル達が敵を引き付けているうちにまずは神殿の瘴気を止めるぞ!」
「はい!女神様!」
ズィオと女神が祭壇に近づくと背後から急に何者かの気配がした!
「あらあら、魔殿の瘴気を勝手に浄化されるのは困るねぇ~」
「なにやつじゃ!」
「あたいかい?あたいは六魔将軍が1人、悪魔召喚士フォルネウス様の部下、2番隊隊長、猛獣使いのモルガナさ!あんたらの命、貰い受ける!」
女神はじーっとモルガナを見つめたあとパッと花が咲いた様な笑顔を見せる。
「ズィオをよく見よ!ボン・キュ・ボ~ンのダイナマイトお姉さんさんじゃ!しかも美人じゃ!くぅ~~!堪らんのじゃ!」
ズィオは思わずため息をつき、頭を抱えてしまった。
「女神様……今はそんな事を言っている場合ではありません!」
確かに目の前のモルガナは豊満な体型を誇示するような露出度の高い衣装を纏った美女だった。長い黒髪に紫の瞳が妖しく光り、腰まで届く鞭を持っている。しかし、その眼差しは冷酷で一切の容赦を感じさせない。
「お主も男じゃ!ダイナマイトお姉さん、大好きであろう?」
「それは…その…私は聖職者ですのでそのようなことは…」
「鼻の下が伸びておるぞ、このムッツリスケベェめ♪」
女神様の軽口にズィオは真面目に反論しようとするが、そこに割り込むようにモルガナが高笑いした。
「ふふふっ…面白いねぇ!こんな時に冗談を言ってられる余裕があるなんてさぁ…でもあたいもそういうノリ嫌いじゃないよ?だがその油断が命取りだよ!さぁ、あたいの可愛いペット達!あいつらを八裂きにしてやんな!」
モルガナが鞭を振り上げると、地面に開いた影の中からケルベロス、グリフォン、ミノタウロスが現れる。
「ふむ、なかなか強力な魔物を使役するようじゃの…ズィオよ、そなたは下がっておれ。自分の身を守ることだけ考えるのじゃ!」
「はい!わかりました!お気をつけください女神様!」
ズィオは祭壇の陰に隠れ魔物たちの動向を見極めていく。
ケルベロス、グリフォン、ミノタウロス。
どの魔物も危険度Aの凶暴な魔物だ。
ズィオには荷が重いと判断した女神はズィオを下がらせた。
「そうはさせないよ!ケルベロス!そこの聖職者を八つ裂きにしな!」
ケルベロスは赤く爛々と光る3つの眼をズィオに向けると、ゆっくりと忍び寄ってきた。涎をダラダラと垂らしその喉笛を嚙み切ろうとしている。
「光よ!悪しき者を打ち払え!天誅じゃ!ヘブンズパニッシャー!」
ケルベロスの足元から勢いよく光の柱が出現し浄化しようとしたがケルベロスは辛うじてその光柱を躱した。
迷宮の女神は瞬時にケルベロスの前に立ちふさがる。
「むやみやたらに走るでないぞ。そなたらの相手は妾じゃ!」
「ほう……ずいぶん自信ありげだねぇ」
モルガナはニヤリと笑うと鞭をパチンと鳴らした。
「なら存分に戦ってあげな! さぁ楽しもうか? 美女同士の死闘をさぁ~」
ゴオッ!!
凄まじい咆哮とともにグリフォンが空から降下してきた!鋭い爪が光る。
さらにその後ろからはミノタウロスが巨大な斧を持って突進してくる!
「3体同時攻撃とは、やるのぅ!間に合ってくれよ!」
女神は空間を引裂き、そこから杖を取り出すと瞬時に魔法の詠唱に入る。
「聖なる守護よ。妾を守れ!ホーリーフィールド!」
女神の作った光のドームがグリフォンとミノタウロスの攻撃を受け止め2匹の魔物を吹き飛ばした。そして女神は素早く詠唱を完了し聖なる光を放った。
「くらうがいい!ヘブンズパニッシャー!」
足元から光の柱がモルガナを襲う!
だがモルガナは素早く横に飛び女神の攻撃を躱す。
「へぇ~……なかなかやるじゃん。だけどまだまだ甘いねぇ」
モルガナは余裕綽々といった様子で舌なめずりをする。
その表情は獲物を前にした捕食者のようだ。
「さぁ、どんどん攻めたててやるよ!行きな!お前達!」
モルガナの命令により再びケルベロス達が動き出す!その動きは先ほどよりも洗練されており連携も取れているように感じた。
「くっ……これは厳しいかもしれぬ……」
「さぁ行け! 好きなだけ喰らいな!」
するとグリフォンとミノタウロスが同時に突進してきた。しかも今度は二手に分かれている。
「何っ!? くっ!」
咄嵯に身を翻すものの完全には避けきれず左腕を切り裂かれてしまう。血飛沫が舞い上がり激痛が走る。
「ぐっ……この程度ではやられぬわい!」
痛みをこらえながら杖を振るい治癒魔法を発動させる。
傷口が徐々に塞がっていくがまだ完治には至らないようだ。その隙を突くように今度は正面からケルベロスが飛びかかってきた。
「くっ!ホーリーフィールド!」
女神は瞬時に防御魔法を発動しケルベロスを吹き飛ばしたが女神を守る光のドームが消えるのをモルガナは見逃さなかった。
「隙だらけだよ!うらぁ!」
モルガナは女神の尻目掛けて強烈な鞭の一撃を叩きこんだ。バシンッという大きな音が神殿中に響き渡る。尻を打たれた衝撃で女神は一瞬浮遊感を感じるとそのまま地面に叩きつけられた。
「んひゃあ!…なんという威力じゃ……妾の尻が……妾の尻が割れてしまう……」
女神は尻を強打され地面に叩きつけられた衝撃で立ち上がれない。
「ふふふっ!随分といい声で鳴くじゃないか!」
なんとか立ち上がり女神はモルガナを睨みつけた。
「ふん!これはダイナマイトお姉さんに尻を叩かれて喜んでおるだけじゃ!この程度の攻撃、妾にはご褒美じゃぞ!全く効いとらんぞ!」
「その割にはかなり辛そうだけど?立っているのもやっとじゃなくて?まぁ、いいわ、その強がりいつまで続くかな!」
女神様はふらつく身体を必死に起こしながら毅然とした態度で対峙する。
「あんたの力はその程度なのかなぁ?だったら残念だけどこれでお終いね」
モルガナがニヤリと笑うと、ケルベロス、グリフォン、ミノタウロスが一斉に襲いかかってくる!
「ちぃ!来るなら来い!」
女神は迎撃体制に入るが数的不利の上負傷していることもあり窮地に立たされていた。それでも諦めずに抗う姿勢を見せ続けたのだ。
「どうした?もう終わりなのかい?もっと楽しませておくれよ!」
「お主こそ、こんなものかのう? その程度で妾に勝てると思うたか!」
女神は必死に杖を振り回し聖なる結界を作り出す。しかし相手の攻撃は苛烈を極めじりじりと押されていく。
「その程度で勝てると思うなよ!くらえ!ホーリーレイ!」
女神が放った閃光弾のような眩い光が3体の魔物に直撃し怯ませることに成功する。しかし致命的なダメージを与えることはできなかったようだ。依然として健在な状態であったのだ。
「早さ重視の初級魔法ではダメージを与えるのは難しいかの…」
「ほらほら!いつまでもたもたしてるんだい?早くしないと死んじまうよ?」
モルガナが挑発的に声をかけるとケルベロス達が再び攻撃を仕掛けてきた!今度は今まで以上に激しい連続攻撃だ!
「くっ……!」
女神は何とか防ぎ続けるものの疲労が蓄積し反応が鈍くなっていき徐々に追い込まれていってしまう。
(まずいぞ……このままではいずれ限界を迎えてしまう……3匹の息のあった連続攻撃…防御魔法の隙をついてモルガナも攻撃してくる。1対4、数的にも不利。強力な魔法で一掃したいところじゃが詠唱をする時間も与えてもらえん…ふむ、どうしようかの…んじゃ!この手で行くか!)
女神は何か思いついたようでケルベロス達が飛びかかると同時に右へ回避行動をとった。それを見てモルガナがニヤリと笑う。
「はっはっは!無駄無駄!逃げ場なんてどこにもないんだよ!」
「わかっとるわい!避けるために右を選んだわけでは無いからのう!」
女神がそう言うと次の瞬間、女神は高速で移動しミノタウロスの後ろに回り込んだ!
「なにっ!?そんな馬鹿なことが!?」
「妾のスピードを舐めるでないぞ!これでも一応神様じゃからのう!」
ミノタウロスが驚いた表情をしている隙を狙って女神は素早く魔法の詠唱にかかる
「少し大人しくしててもらおうか!サンクチュアリチェーン!」
女神の詠唱に合わせ神聖な光の鎖がミノタウロスの全身に絡みつき拘束した。
ミノタウロスは光の鎖を引き剥がそうと暴れるがびくともせず暴れる程鎖が食い込み更に拘束される。
「ふぅ……これで1匹減ったのじゃ……」
「くっ……厄介な魔法使いやがって!おのれ!」
モルガナは女神の魔法に舌打ちをし指示を飛ばす。
「ケルベロス!グリフォン!あいつを潰せ!拘束魔法は解除しない限り2発目は撃てない!サンクチュアリチェーンはもう撃てないよ!」
「そうじゃな…サンクチュアリチェーンは撃てないの…」
女神に襲いかかろうとしたケルベロスは突如、闇の鎖に拘束された。
「なっ!あんた、光の神様なのに闇魔法を…」
「そうじゃ。妾は迷宮の女神。神であると同時に迷宮を創造し迷宮の魔物達を統べる女王でもあるのじゃ!」
「まさか!そんなことありえない!」
モルガナは信じられないと言った様子で叫ぶ。彼女の表情には動揺の色が見え隠れしていた。
「そんな……嘘よ!あんたみたいな女神がいるわけない!」
モルガナの言葉に対して女神は嘲笑するかのように微笑む。
確かに地上を愛し人を慈しむ光の女神として崇められてきた。それと同時に闇に蠢くもの魔物達からも敬われ畏れられる闇の女王の一面も持つ。
「光と闇、両方を司る混沌の神、それが妾じゃ!」
そう宣言し女神は闇魔法を放つ。
「闇の十字架、鮮血を散らし啜れ!ブラッディクロス!」
グリフォンは闇の十字架により翼を削ぎ落とされ地面に叩きつけられる。起き上がれず呻くグリフォンに向かって今度は光属性の攻撃魔法へと繋げる。
「断罪の光刃よ!裁け!ジャッジメント・ジャベリン!」
白銀の光刃が身動き取れないグリフォンに振り下ろされグリフォンの首をいとも簡単に切り落とす。
首のなくなったグリフォンの体にに向けて光弾を放つ。
ズドォオオン!!轟音と共に爆発が起き肉片が飛び散る。
凄惨たる光景となったがこれでモルガナの魔物を全て封じた。
「なんて奴なの…あたいの可愛いペットを……よくもぉぉ!!許さないからね!」
モルガナの怒号がこだまする中、女神は冷静に次の行動へ出る。
「ケルベロスを捕らえた闇の鎖、シャドーチェーンは捕らえた魔物を操ることができるのじゃ!ケルベロスよ!ミノタウロスを地獄の業火で焼き尽くせ!」
ケルベロスが吐き出した闇の炎は光の鎖に拘束されたミノタウロスを無慈悲に焼き尽くしていく。
ミノタウロスは苦悶の表情を浮かべながら光の粒子となって消滅した。
「よくやったぞケルベロス。次はお主じゃ!」
女神が手をかざすとケルベロスの身体から闇の炎が噴き出し始めた。やがて全身を包み込むと最後にケルベロスは消滅してしまった。
「そんな……あたいのペット達が……みんな死んだ……」
モルガナは膝から崩れ落ち呆然としている。
「さぁ、これで残るはそなただけじゃのぅ…」
「あたいのペット達が……許さない……ぜったいに許さないんだからぁ!」
怒り狂ったモルガナが女神に向けて鞭を振るうが悲しくも空を切り裂く。
鞭を躱した女神はモルガナの尻を目掛けて杖を思い切り叩きこんだ。その勢いのままモルガナは数メートル吹き飛び倒れ込んでしまった。
「ぐああああ!!!」
「ふむ、少しやりすぎてしまったかもしれぬ……しかしこれくらいの覚悟はできておろう?」
モルガナは激痛に顔を歪ませていた。涙が滲みだし嗚咽を漏らす。
そんな姿に少しだけ同情心が湧いたものの油断は禁物だと判断し追撃を仕掛けることにした。
「ダイナマイトお姉さんが泣いている姿も可愛いのじゃ!だがしかし!手加減は出来ぬのじゃ!くらえ!ヘブンズパニッシャー!」
神々しい光と共に落下してきた光柱がモルガナを飲み込んだ。光の柱が消えるとモルガナは倒れていた。
「ぐっ……うぅ……」
モルガナはまだ生きていたようだ。だが抵抗する力は残っていないようで弱々しく喘いでいるだけである。
「まだ息があるとは驚きじゃ。しかし、これ以上は無理じゃろう。観念し降伏するがよい!」
「あ……あたしはまだ……負けちゃいない……」
モルガナはまだ戦う意志を見せるが傷ついた体ではまともに動くことができず這いずり回っているだけだ。
「往生際が悪いのぅ……これで終わりにするしかないかの……」
女神が止めの一撃を放とうとした瞬間、大きな影が素早くモルガナを救い出す。
「間に合った様だな。」
「ダンゾウ!お前…何故ここに…」
「我も緋色の竜狩りの仲間に敗北したのだ…得物を失った…神殿でお前が押されている様に見えたので助けに来た。」
「ふん、余計なお世話だっての…」
「後はフォルネウスに任せて引くとしよう。生きてさえいれば奴らに復讐する機会は幾らでもある。」
「妾がそなた達を逃がすと思うか?」
「あんたにあたい達を捕まえることはできないよ!」
モルガナが口笛を吹くとワイバーンが現れダンゾウとモルガナを掴み飛び去っていった。
「今度会う時は必ず血祭りにあげてやるからな!首を洗って待っていろ!変態女神!」
「ふん!望むところじゃ!またの再戦を楽しみにしておるぞ!モルガナよ!」
女神の宣言と共にワイバーンは羽ばたき空高く舞い上がる。その姿が見えなくなる頃には魔殿の上空は濃厚な瘴気で覆われていた。
「お見事です。女神様。」
「ズィオか…すまぬな。ちと休ませてくれぬか?復天の儀はその後で…」
「ゆっくりお休みください。聖印の紋がなければ完全な復天はなせませぬゆえ、ルル様を待ちましょう…」
女神はズィオの張った結界の中で眠りにつくのであった。
ヒュー、と心地の良い音を放ち火の玉は空で炸裂し光の大輪の花を咲かせた。
迷宮の女神と神父ズィオはその光景を見て意を決する。
「ズィオよ!ルルからの合図じゃ!山頂へ向かい、神殿を奪還するぞ!」
「かしこまりました!ご案内致します」
迷宮の女神はうむと満足そうに頷いたあと少し考え自分達が教会を離れると誰も教会を守る者がいなくなり拠点を奪われ、中で寝ている村長に危害が加わる可能性を考慮し自身の配下に教会を守らせることにした。
「皆、妾の呼びかけに答えるのじゃ!」
迷宮の女神が魔力を込めた右手で空間を切り裂くとその裂け目から5人の戦士が飛び出してきた!
「女神様、我がリザードマン小隊、命を受け今ここに馳せ参じました!」
「うむ!ご苦労!皆、よくぞ来てくれたのじゃ!」
リザードマン小隊は5匹の魔物で構成されており遠近バランスの取れたチームである。
前衛を屈強な戦士であるリザードマンとカエル戦士が務め、中距離からリス弓兵が的確な援護射撃を行い魔術担当のミミックウィザードが後方より魔術で敵部隊に痛打を与えていく。部隊の補助はスライムプリーストが担っており補助魔法や回復魔法で味方を支える。
どんな環境でも任務を果たすことのできる迷宮の女神の自慢のチームの1つだ。
「リザードマン隊長よ!妾は今から山頂の神殿を奪還しに行く。それまでの間この教会を守って欲しいのじゃ!」
「はっ!我々にお任せください!」
「うむ、頼んだぞ!ズィオよ!神殿へ向かうぞ!」
「はい!女神様!表参道を通っては敵に見つかるかもしれません…裏道から参りましょう!」
山を登っていくためにはいくつかのルートがあるが表参道は見通しが良く大勢の敵が待ち伏せしていれば簡単に発見されてしまうだろう。一方裏道は獣道に近く道幅も狭いが木々に隠れて進めるため敵の警戒網を突破するには最適だった。
「ズィオよ!そっちの方角に向かうのか?」
「はい。獣道ですが進みやすくなっております。どうかご安心ください」
女神様は頷きながら素早く周囲を見渡す。その姿は瘴気の闇の中でも不思議と輝いて見える。
二人は慎重に歩を進め、薄い日の光だけを頼りに鬱蒼とした森の中を抜けていく。途中で何度も息を殺しながら待ち伏せしているかもしれない敵の気配を探るが特に動きはなかった。
そうして、慎重に森を抜けて行くと山頂の神殿にたどり着く。以前の神々しさはなくなり魔殿と化してしまいまったその建物は絶えず瘴気を吐き出し大地を穢している。
「あまり、状態はよくないのじゃ…今の所敵の気配もせぬ…今のうちに突入し神殿を奪還しようぞ…」
ズィオは頷き2人は息を殺しながら神殿へ入っていり復天の儀を行うべく奥の祭壇を目指し慎重に進んでいく。
静寂が支配する神殿内部。本来ならば清浄な空気が流れているはずの場所は、今や腐臭のような瘴気に満ちていた。石畳の床には黒い染みが広がり、壁に描かれた聖なる紋章さえ歪んで見える。
「祭壇が見えたのじゃ!ルル達が敵を引き付けているうちにまずは神殿の瘴気を止めるぞ!」
「はい!女神様!」
ズィオと女神が祭壇に近づくと背後から急に何者かの気配がした!
「あらあら、魔殿の瘴気を勝手に浄化されるのは困るねぇ~」
「なにやつじゃ!」
「あたいかい?あたいは六魔将軍が1人、悪魔召喚士フォルネウス様の部下、2番隊隊長、猛獣使いのモルガナさ!あんたらの命、貰い受ける!」
女神はじーっとモルガナを見つめたあとパッと花が咲いた様な笑顔を見せる。
「ズィオをよく見よ!ボン・キュ・ボ~ンのダイナマイトお姉さんさんじゃ!しかも美人じゃ!くぅ~~!堪らんのじゃ!」
ズィオは思わずため息をつき、頭を抱えてしまった。
「女神様……今はそんな事を言っている場合ではありません!」
確かに目の前のモルガナは豊満な体型を誇示するような露出度の高い衣装を纏った美女だった。長い黒髪に紫の瞳が妖しく光り、腰まで届く鞭を持っている。しかし、その眼差しは冷酷で一切の容赦を感じさせない。
「お主も男じゃ!ダイナマイトお姉さん、大好きであろう?」
「それは…その…私は聖職者ですのでそのようなことは…」
「鼻の下が伸びておるぞ、このムッツリスケベェめ♪」
女神様の軽口にズィオは真面目に反論しようとするが、そこに割り込むようにモルガナが高笑いした。
「ふふふっ…面白いねぇ!こんな時に冗談を言ってられる余裕があるなんてさぁ…でもあたいもそういうノリ嫌いじゃないよ?だがその油断が命取りだよ!さぁ、あたいの可愛いペット達!あいつらを八裂きにしてやんな!」
モルガナが鞭を振り上げると、地面に開いた影の中からケルベロス、グリフォン、ミノタウロスが現れる。
「ふむ、なかなか強力な魔物を使役するようじゃの…ズィオよ、そなたは下がっておれ。自分の身を守ることだけ考えるのじゃ!」
「はい!わかりました!お気をつけください女神様!」
ズィオは祭壇の陰に隠れ魔物たちの動向を見極めていく。
ケルベロス、グリフォン、ミノタウロス。
どの魔物も危険度Aの凶暴な魔物だ。
ズィオには荷が重いと判断した女神はズィオを下がらせた。
「そうはさせないよ!ケルベロス!そこの聖職者を八つ裂きにしな!」
ケルベロスは赤く爛々と光る3つの眼をズィオに向けると、ゆっくりと忍び寄ってきた。涎をダラダラと垂らしその喉笛を嚙み切ろうとしている。
「光よ!悪しき者を打ち払え!天誅じゃ!ヘブンズパニッシャー!」
ケルベロスの足元から勢いよく光の柱が出現し浄化しようとしたがケルベロスは辛うじてその光柱を躱した。
迷宮の女神は瞬時にケルベロスの前に立ちふさがる。
「むやみやたらに走るでないぞ。そなたらの相手は妾じゃ!」
「ほう……ずいぶん自信ありげだねぇ」
モルガナはニヤリと笑うと鞭をパチンと鳴らした。
「なら存分に戦ってあげな! さぁ楽しもうか? 美女同士の死闘をさぁ~」
ゴオッ!!
凄まじい咆哮とともにグリフォンが空から降下してきた!鋭い爪が光る。
さらにその後ろからはミノタウロスが巨大な斧を持って突進してくる!
「3体同時攻撃とは、やるのぅ!間に合ってくれよ!」
女神は空間を引裂き、そこから杖を取り出すと瞬時に魔法の詠唱に入る。
「聖なる守護よ。妾を守れ!ホーリーフィールド!」
女神の作った光のドームがグリフォンとミノタウロスの攻撃を受け止め2匹の魔物を吹き飛ばした。そして女神は素早く詠唱を完了し聖なる光を放った。
「くらうがいい!ヘブンズパニッシャー!」
足元から光の柱がモルガナを襲う!
だがモルガナは素早く横に飛び女神の攻撃を躱す。
「へぇ~……なかなかやるじゃん。だけどまだまだ甘いねぇ」
モルガナは余裕綽々といった様子で舌なめずりをする。
その表情は獲物を前にした捕食者のようだ。
「さぁ、どんどん攻めたててやるよ!行きな!お前達!」
モルガナの命令により再びケルベロス達が動き出す!その動きは先ほどよりも洗練されており連携も取れているように感じた。
「くっ……これは厳しいかもしれぬ……」
「さぁ行け! 好きなだけ喰らいな!」
するとグリフォンとミノタウロスが同時に突進してきた。しかも今度は二手に分かれている。
「何っ!? くっ!」
咄嵯に身を翻すものの完全には避けきれず左腕を切り裂かれてしまう。血飛沫が舞い上がり激痛が走る。
「ぐっ……この程度ではやられぬわい!」
痛みをこらえながら杖を振るい治癒魔法を発動させる。
傷口が徐々に塞がっていくがまだ完治には至らないようだ。その隙を突くように今度は正面からケルベロスが飛びかかってきた。
「くっ!ホーリーフィールド!」
女神は瞬時に防御魔法を発動しケルベロスを吹き飛ばしたが女神を守る光のドームが消えるのをモルガナは見逃さなかった。
「隙だらけだよ!うらぁ!」
モルガナは女神の尻目掛けて強烈な鞭の一撃を叩きこんだ。バシンッという大きな音が神殿中に響き渡る。尻を打たれた衝撃で女神は一瞬浮遊感を感じるとそのまま地面に叩きつけられた。
「んひゃあ!…なんという威力じゃ……妾の尻が……妾の尻が割れてしまう……」
女神は尻を強打され地面に叩きつけられた衝撃で立ち上がれない。
「ふふふっ!随分といい声で鳴くじゃないか!」
なんとか立ち上がり女神はモルガナを睨みつけた。
「ふん!これはダイナマイトお姉さんに尻を叩かれて喜んでおるだけじゃ!この程度の攻撃、妾にはご褒美じゃぞ!全く効いとらんぞ!」
「その割にはかなり辛そうだけど?立っているのもやっとじゃなくて?まぁ、いいわ、その強がりいつまで続くかな!」
女神様はふらつく身体を必死に起こしながら毅然とした態度で対峙する。
「あんたの力はその程度なのかなぁ?だったら残念だけどこれでお終いね」
モルガナがニヤリと笑うと、ケルベロス、グリフォン、ミノタウロスが一斉に襲いかかってくる!
「ちぃ!来るなら来い!」
女神は迎撃体制に入るが数的不利の上負傷していることもあり窮地に立たされていた。それでも諦めずに抗う姿勢を見せ続けたのだ。
「どうした?もう終わりなのかい?もっと楽しませておくれよ!」
「お主こそ、こんなものかのう? その程度で妾に勝てると思うたか!」
女神は必死に杖を振り回し聖なる結界を作り出す。しかし相手の攻撃は苛烈を極めじりじりと押されていく。
「その程度で勝てると思うなよ!くらえ!ホーリーレイ!」
女神が放った閃光弾のような眩い光が3体の魔物に直撃し怯ませることに成功する。しかし致命的なダメージを与えることはできなかったようだ。依然として健在な状態であったのだ。
「早さ重視の初級魔法ではダメージを与えるのは難しいかの…」
「ほらほら!いつまでもたもたしてるんだい?早くしないと死んじまうよ?」
モルガナが挑発的に声をかけるとケルベロス達が再び攻撃を仕掛けてきた!今度は今まで以上に激しい連続攻撃だ!
「くっ……!」
女神は何とか防ぎ続けるものの疲労が蓄積し反応が鈍くなっていき徐々に追い込まれていってしまう。
(まずいぞ……このままではいずれ限界を迎えてしまう……3匹の息のあった連続攻撃…防御魔法の隙をついてモルガナも攻撃してくる。1対4、数的にも不利。強力な魔法で一掃したいところじゃが詠唱をする時間も与えてもらえん…ふむ、どうしようかの…んじゃ!この手で行くか!)
女神は何か思いついたようでケルベロス達が飛びかかると同時に右へ回避行動をとった。それを見てモルガナがニヤリと笑う。
「はっはっは!無駄無駄!逃げ場なんてどこにもないんだよ!」
「わかっとるわい!避けるために右を選んだわけでは無いからのう!」
女神がそう言うと次の瞬間、女神は高速で移動しミノタウロスの後ろに回り込んだ!
「なにっ!?そんな馬鹿なことが!?」
「妾のスピードを舐めるでないぞ!これでも一応神様じゃからのう!」
ミノタウロスが驚いた表情をしている隙を狙って女神は素早く魔法の詠唱にかかる
「少し大人しくしててもらおうか!サンクチュアリチェーン!」
女神の詠唱に合わせ神聖な光の鎖がミノタウロスの全身に絡みつき拘束した。
ミノタウロスは光の鎖を引き剥がそうと暴れるがびくともせず暴れる程鎖が食い込み更に拘束される。
「ふぅ……これで1匹減ったのじゃ……」
「くっ……厄介な魔法使いやがって!おのれ!」
モルガナは女神の魔法に舌打ちをし指示を飛ばす。
「ケルベロス!グリフォン!あいつを潰せ!拘束魔法は解除しない限り2発目は撃てない!サンクチュアリチェーンはもう撃てないよ!」
「そうじゃな…サンクチュアリチェーンは撃てないの…」
女神に襲いかかろうとしたケルベロスは突如、闇の鎖に拘束された。
「なっ!あんた、光の神様なのに闇魔法を…」
「そうじゃ。妾は迷宮の女神。神であると同時に迷宮を創造し迷宮の魔物達を統べる女王でもあるのじゃ!」
「まさか!そんなことありえない!」
モルガナは信じられないと言った様子で叫ぶ。彼女の表情には動揺の色が見え隠れしていた。
「そんな……嘘よ!あんたみたいな女神がいるわけない!」
モルガナの言葉に対して女神は嘲笑するかのように微笑む。
確かに地上を愛し人を慈しむ光の女神として崇められてきた。それと同時に闇に蠢くもの魔物達からも敬われ畏れられる闇の女王の一面も持つ。
「光と闇、両方を司る混沌の神、それが妾じゃ!」
そう宣言し女神は闇魔法を放つ。
「闇の十字架、鮮血を散らし啜れ!ブラッディクロス!」
グリフォンは闇の十字架により翼を削ぎ落とされ地面に叩きつけられる。起き上がれず呻くグリフォンに向かって今度は光属性の攻撃魔法へと繋げる。
「断罪の光刃よ!裁け!ジャッジメント・ジャベリン!」
白銀の光刃が身動き取れないグリフォンに振り下ろされグリフォンの首をいとも簡単に切り落とす。
首のなくなったグリフォンの体にに向けて光弾を放つ。
ズドォオオン!!轟音と共に爆発が起き肉片が飛び散る。
凄惨たる光景となったがこれでモルガナの魔物を全て封じた。
「なんて奴なの…あたいの可愛いペットを……よくもぉぉ!!許さないからね!」
モルガナの怒号がこだまする中、女神は冷静に次の行動へ出る。
「ケルベロスを捕らえた闇の鎖、シャドーチェーンは捕らえた魔物を操ることができるのじゃ!ケルベロスよ!ミノタウロスを地獄の業火で焼き尽くせ!」
ケルベロスが吐き出した闇の炎は光の鎖に拘束されたミノタウロスを無慈悲に焼き尽くしていく。
ミノタウロスは苦悶の表情を浮かべながら光の粒子となって消滅した。
「よくやったぞケルベロス。次はお主じゃ!」
女神が手をかざすとケルベロスの身体から闇の炎が噴き出し始めた。やがて全身を包み込むと最後にケルベロスは消滅してしまった。
「そんな……あたいのペット達が……みんな死んだ……」
モルガナは膝から崩れ落ち呆然としている。
「さぁ、これで残るはそなただけじゃのぅ…」
「あたいのペット達が……許さない……ぜったいに許さないんだからぁ!」
怒り狂ったモルガナが女神に向けて鞭を振るうが悲しくも空を切り裂く。
鞭を躱した女神はモルガナの尻を目掛けて杖を思い切り叩きこんだ。その勢いのままモルガナは数メートル吹き飛び倒れ込んでしまった。
「ぐああああ!!!」
「ふむ、少しやりすぎてしまったかもしれぬ……しかしこれくらいの覚悟はできておろう?」
モルガナは激痛に顔を歪ませていた。涙が滲みだし嗚咽を漏らす。
そんな姿に少しだけ同情心が湧いたものの油断は禁物だと判断し追撃を仕掛けることにした。
「ダイナマイトお姉さんが泣いている姿も可愛いのじゃ!だがしかし!手加減は出来ぬのじゃ!くらえ!ヘブンズパニッシャー!」
神々しい光と共に落下してきた光柱がモルガナを飲み込んだ。光の柱が消えるとモルガナは倒れていた。
「ぐっ……うぅ……」
モルガナはまだ生きていたようだ。だが抵抗する力は残っていないようで弱々しく喘いでいるだけである。
「まだ息があるとは驚きじゃ。しかし、これ以上は無理じゃろう。観念し降伏するがよい!」
「あ……あたしはまだ……負けちゃいない……」
モルガナはまだ戦う意志を見せるが傷ついた体ではまともに動くことができず這いずり回っているだけだ。
「往生際が悪いのぅ……これで終わりにするしかないかの……」
女神が止めの一撃を放とうとした瞬間、大きな影が素早くモルガナを救い出す。
「間に合った様だな。」
「ダンゾウ!お前…何故ここに…」
「我も緋色の竜狩りの仲間に敗北したのだ…得物を失った…神殿でお前が押されている様に見えたので助けに来た。」
「ふん、余計なお世話だっての…」
「後はフォルネウスに任せて引くとしよう。生きてさえいれば奴らに復讐する機会は幾らでもある。」
「妾がそなた達を逃がすと思うか?」
「あんたにあたい達を捕まえることはできないよ!」
モルガナが口笛を吹くとワイバーンが現れダンゾウとモルガナを掴み飛び去っていった。
「今度会う時は必ず血祭りにあげてやるからな!首を洗って待っていろ!変態女神!」
「ふん!望むところじゃ!またの再戦を楽しみにしておるぞ!モルガナよ!」
女神の宣言と共にワイバーンは羽ばたき空高く舞い上がる。その姿が見えなくなる頃には魔殿の上空は濃厚な瘴気で覆われていた。
「お見事です。女神様。」
「ズィオか…すまぬな。ちと休ませてくれぬか?復天の儀はその後で…」
「ゆっくりお休みください。聖印の紋がなければ完全な復天はなせませぬゆえ、ルル様を待ちましょう…」
女神はズィオの張った結界の中で眠りにつくのであった。
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