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サルブ村救出戦
瘴気に覆われた村サルブ⑥
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「おのれ…フォーサイスめ!我々を誘き出し魔殿を奪還する作戦とは…一杯食わされましたが…まぁ、私が魔殿に赴き魔殿を守らせているモルガナと奴らの仲間を始末すればいいだけのこと…」
フォルネウスは苦々しげに呟くと魔殿へ急ぐ。
すると後ろから声が聞こえてきた。
「やっと追い付いた!さぁ、聖印の紋を返してもらうよ!」
フォルネウスが驚いて振り返るとそこにはルルとルミナが立っていた。
「なん……だと……!?なぜここに……!?貴様らいつの間に……」
フォルネウスは信じられないといった面持ちで尋ねた。
「魔法の箒を使って空から追いかけてたの。箒のスピードなら貴方に簡単に追いつけるし山道を走らないから物音も立てない。必死に山道を駆けている貴方の背後を取るのは簡単だったよ」
ルルが悪戯っぽく微笑む。フォルネウスの額に汗が流れる。まさか魔族の自分が人間の小娘に出し抜かれるとは……しかし、まだ負けたわけではない。
「ふふ……お見事ですねぇ……ですが私も簡単にやられるわけにはいきませんので」
フォルネウスは扇子を口元で隠し不敵に笑う。そして懐から何かを取り出し地面に投げつける。
「それは聖印の紋!」
「くふふ…こうするのですよ!」
フォルネウスが呪文を唱えると聖印の紋から黒い光が吹き出してきた。
黒い光はどんどん瘴気を吸い込み広がっていく
「何をしようとしているのかわからないけど、とりあえず止めないと!」
「もう遅いですよ!さぁ、依代を糧に現れよ!邪竜召喚!ドラゴンゾンビ!」
フォルネウスの掛け声と共に禍々しい邪悪な瘴気が吹き荒れ辺り一帯に広がった。邪悪な瘴気が収まるとそこには聖印の紋を取り込み醜く肥大化した巨大な黒いドラゴンの屍が立っていた。
ドラゴンゾンビの邪悪な赤い瞳がルル達を見据える。
「くふふ……邪竜召喚で呼び出したドラゴンゾンビに聖印の紋を依代にしてあげれば……最強のドラゴンゾンビの完成というわけです!さぁ!やっておしまいなさい!」
ドラゴンゾンビは大きく口を開き高音の叫び声をあげる。その咆哮だけで周囲の木々が揺れ、地面が微かに震動した。
「な……なんて禍々しい瘴気……!聖印の紋が完全に堕天してる……」
ルルが顔をしかめながら呟く。ドラゴンゾンビの体表からは黒紫のエネルギーが脈打つように湧き上がり、触れるものすべてを腐蝕させるような悪寒を放っていた。
「くふふ……そうですとも。聖印の紋に封じられていた“光”の性質は、今やこのドラゴンゾンビの“闇”によって完全に反転しています。これを倒すには並大抵の魔法では不可能でしょうねぇ」
フォルネウスは愉悦に浸ったように扇子をぱたぱたと揺らす。
ドラゴンゾンビの危険度はSランクと高く、聖印の紋を依代にされたことでさらに強化されている。名の知れた冒険者でもパーティ全員でかからなければ到底倒せないレベルと言えるだろう。
フォルネウスはニヤリと笑った。
「さぁて、緋色の竜狩りと言われる貴女の実力も見ものです。ただし、手心は不要ですよ?全力で来ない限り、ただの屍の山を増やすことになりますからねぇ」
ドラゴンゾンビが首をもたげ、爛々と光る紅玉のような目を細めた。その口端から黒い涎が滴り、地面に触れた部分がシューシューと音を立てて泡立ちながら腐食していく。
もはやこれは「竜」というよりも、闇の底から蘇った死の権化そのものだ。
「聖印の紋を奪い村の人たちに迷惑をかけて……そんな卑劣な行為許されるわけがない。このドラゴンゾンビも含めて全部終わらせてあげる」
フォルネウスが煽るような笑みを浮かべる。
「くくく……なかなか勇ましいですねぇ。では見せてもらいましょうか、緋色の竜狩りの真価とやらを」
ドラゴンゾンビがゆっくりと踏み出す。巨体の移動に伴い大地が悲鳴を上げるように軋んだ。腐敗した肉塊から立ち上る瘴気が周囲に充満し、草木さえ萎れるほどの毒気を孕んでいる。
「来る…!ルミナちゃん、離れていて!」
「は、はい!」
ルミナが一瞬の躊躇を見せたものの、素直に後退する。ルルはそれを確認すると、深く息を吸い込み呪文の詠唱に入った。
「極彩の炎よ、万象を焦がす閃光となれ!エンシェントフレア!」
彼女の周囲に七色の炎が渦巻き、膨大な熱量が放射される。空気が陽炎のように揺らめき、木々の枝葉が干涸びていくほどの超高熱。その光条が一直線にドラゴンゾンビへと向かう。
ドゴォォン!
凄まじい爆音とともに、竜の半身が炎に包まれた。通常ならば瞬時に蒸発するほどの火力だが、ドラゴンゾンビは黒く蠢く体表でそれを吸収していく。
「くくく…ドラゴンゾンビに炎は効きませんよ!」
フォルネウスが嘲笑う。実際、ドラゴンゾンビの皮膚は黒紫のオーラに包まれており、物理的な攻撃も魔法も減衰させる特性を持っていた。
「火がダメなら水ならどう?」
ルルは次の呪文を唱える。
「大海より来たれ!蹂躙せよ瀑布の牙!ハイドロスプラッシュ!!」
突如、空から巨大な水流が降り注ぐ。それはまるで巨大な滝のごとく、轟音を上げながらドラゴンゾンビの巨躯を押し流さんとする奔流となった。
しかし──
「無駄です!」
フォルネウスの声が響く。ドラゴンゾンビは翼を広げ、腐肉に混じる骨格を軋ませて暴風を起こす。飛翔こそ叶わないものの、その羽ばたきは津波のような水流を裂き、逆流させた。
「な……っ!?」
水流は霧散し、細かな水滴となって辺り一面に撒き散らされた。ドラゴンゾンビはそれを浴びながらも平然と立っている。どころか、水分を吸ったその肌がさらに膨張し、瘴気を濃密にした。
「くふふ……効きませんよ。この竜にその程度の魔法はね…」
フォルネウスが扇子を閉じ、勝ち誇ったように笑う。
「では……次はこちらの番と行きましょうか」
その言葉を合図にするように、ドラゴンゾンビが顎門を開く。内部に溜まっていく腐敗したエネルギー。それは可視化されるほどの濃度で渦巻き、禍々しい球体となって膨張していく。
「まずい……!」
ルルが防御の詠唱に入ろうとした刹那、フォルネウスが先手を打つ。
「遅いですよ!放ちなさい、死の咆哮を!ペスティレンス・ブレス!」
絶望的なまでの威力を秘めた漆黒の瘴気を纏ったブレスが、音速を超える速度でルルへと殺到する。それは衝撃波を伴い、木々をなぎ倒し地面を抉りながら突き進んだ。
「くっ……!」
ルルは咄嵯に転移魔法を展開しようとするが間に合わない。回避不能──そう判断した彼女は防御魔法を多重展開する。
ルルの周囲に七枚の魔法障壁が形成される。それぞれ異なる属性を帯びた虹色の光の膜。だがそれらすべてが一瞬で粉砕され、凄まじい衝撃と共にルルの身体が吹き飛ばされた。
「ルル様!!」
ルミナの悲痛な叫びが響く。数十メートル離れた岩壁に吹き飛ばされたが辛うじて防御魔法を発動しダメージを最小限に食い止める。
「ほほぅ…あの状態から防御魔法を発動できるとは…流石というべきでしょうね。ですが、あれだけ濃い瘴気のブレスを浴びたのですからもう体はボロボロ…死ぬのも時間の問題でしょうね!」
フォルネウスは瘴気のブレスを浴びせたことで勝利を確信していた。
「いてて…なんとか間に合った…」
ルルは壁に叩きつけられたダメージを微小ではあるが受けている。しかし瘴気による影響は全く受けていないようだ。
「なんですって…あれだけの瘴気を浴びて全く影響がないだなんて…普通は体がボロボロになるはずです!」
「普通の人ならね?あたしは迷宮の女神様の加護を受けてる。だから瘴気は効かないよ!」
ルルは得意気に告げる。
「なん……ですって……」
ルルは立ち上がり赤い髪を後ろになびかせ、ドラゴンゾンビに再び向かい合う。ドラゴンゾンビの目が一層強く光る。
「闇のオーラの加護が強すぎて四元素の魔法は効果が薄い…四元素は闇に弱い…なら!」
「洗礼されし光輝く剣よ!降り注ぎ悪しき者を払いたまえ!プリズマティックブレード!」
ルルは上空に無数の光の剣を生成しドラゴンゾンビに降り注がせる。
光の剣は闇を払い、ドラゴンゾンビの体に命中し体が切り裂かれていく。
「グルルルゥ!!」
光の剣のダメージを受けて苦しみ悶えるドラゴンゾンビ。
「これなら闇のオーラでも防げないみたいだね!」
しかしルルが光魔法で与えた傷はすぐに回復していった。ドラゴンゾンビの驚異的な生命力が伺える。
「いくら光魔法が効いたとしてもあの再生力じゃダメージを与え続けるのは難しい…一旦、時間を稼いで考える必要があるね…ルミナちゃん!」
ルルはルミナにこっそりと自身が考えた作戦を伝える。ルミナは一瞬不安そうな表情を浮かべたがルルの目を見て覚悟を決めたように強く頷いた。
「では行きましょう!」
ルルとルミナは一斉に駆け出した。2人は二手に別れドラゴンゾンビの注意を引こうとしている。
「くふふ……何をしても無駄ですよ!ドラゴンゾンビに物理攻撃は効きませんし、光魔法が多少効いたとしても再生力ですぐに回復してしまいます!魔族である私を捕らえることも不可能でしょう。諦めてあの世へ行くことをオススメしますよ!」
フォルネウスは相変わらずルル達の動きを嘲笑うかのように高笑いをしている。
ルルはドラゴンゾンビの右側へ向かい詠唱を開始する。
「極彩の炎よ、万象を焦がす閃光となれ!エンシェントフレア!」
ドラゴンゾンビ目掛けて七色の炎が一直線に降り注ぐ。ドラゴンゾンビは避けずに受け止め、黒いオーラでその炎を吸収してしまう。
「やっぱり火魔法は効かないね……なら!」
ルルは左手を地面に叩きつけた。次の瞬間、地鳴りとともに岩の槍が無数に生え、ドラゴンゾンビの体を貫く。
「ぐがあああ!!」
ドラゴンゾンビが苦痛の叫びを上げるが、やはり致命傷には至らない。肉体を構成する死肉と瘴気がすぐに穴を塞いでしまう。
「荒れ狂う狂嵐!破滅を齎す地獄の旋風!ヘルテンペスト!」
ルルの放った竜巻はドラゴンゾンビをミキサーにかけたかの様にズタズタに切り裂いていく。しかしドラゴンゾンビの瘴気のオーラも竜巻の威力の前には役に立たないようだ。
「グオオオォ!」
ドラゴンゾンビは暴れ狂い、体を捻って風の拘束から逃れようとする。だがルルは追撃の手を緩めない。
「終わりじゃないよ!灼熱の火球よ!すべてを焼き尽くせ!フォーリング・ザ・サン!!」
竜巻の中に巨大な火球を落とす。ドラゴンゾンビは紅蓮の炎に包まれ悲鳴を上げた。
「くはははは!数多の上級魔法を使いこなし連続で発動できる詠唱の速さ、尽きぬ魔力…素晴らしい実力ですね!」
フォルネウスは感嘆の声を上げる。
「ですが…ドラゴンゾンビにダメージを与えられなければなんの意味もありませんがね!」
ルルが次々とドラゴンゾンビに魔法を打ち込んでいると、物陰に潜んでいたルミナが動いた。ドラゴンゾンビの注意が完全にルルに向いている。
「今だ!行け!光の縛鎖よ、彼の者を捕らえよ……ライトチェーン!」
ルミナの放った光の鎖がドラゴンゾンビの四肢に絡みつき動きを封じる。
「ギギギ!!」
ドラゴンゾンビは鎖を引きちぎろうともがきその動きが少し鈍くなった。
「何をしようと無駄です!ドラゴンゾンビにその程度魔法は効きません!」
フォルネウスは余裕の表情で叫ぶ。
「聖なる星々よ!降り注ぎ悪しき者を打ち払え!スターダスト・レイン!!」
素早く詠唱し拘束したドラゴンゾンビに光の礫を浴びせるルミナ。
光の礫はドラゴンゾンビの体に降り注いでいく。その威力は凄まじく、ドラゴンゾンビの肉体をえぐり取っていく。
「グギャアァ!!」
ドラゴンゾンビは悶え苦しむが、瘴気のオーラが一気に光の礫を吸収して再生していく。
「無駄!無駄ですよ!聖職者の光魔法ならどうにかなると思いましたか?この程度の攻撃で倒せるとでも?宛が外れましたね?フォーサイス!」
高笑いするフォルネウス。
しかしその声はルルには聞こえていなかった。光の礫を浴び完全にのけぞり隙だらけになっているドラゴンゾンビにルルは距離を詰めていた。
「ありがとう、ルミナちゃん!いい攻撃だったよ!」
「おや、あの攻撃の間に随分と前に出てきたようですね…至近距離で魔法を当てればダメージを与えられると思ったのですか?残念ながら効果はないに等しい…逆にそんなに近づいてしまってはドラゴンゾンビの大爪の餌食になってしまいますよ?」
フォルネウスは勝ち誇った笑みを浮かべている。
「近づかなきゃ撃てないからね…この魔法は!」
ルルはドラゴンゾンビの首元に辿り着き、手のひらを合わせて詠唱を始めた。
「断罪の焔よ、我に仇なす者を切り刻め!エクセキューション・ブレイズ!!」
ルルの詠唱が完了した瞬間、無数の炎の刃が生まれた。斬撃の様な炎が非常に高温の光輝を放ち、まるで生き物のようにうねりながらドラゴンゾンビの首へ殺到する。
ギュオン!!
空気を切り裂く甲高い音と共に、聖焔の刃が一斉にドラゴンゾンビの首筋へ殺到。フォルネウスは嘲笑を浮かべたまま「そんなものが効くわけ――」
バチバチッ!ジュオォォン!!
だが現実は予想外の展開を迎えた。闇の瘴気が噴き出すオーラが刃に触れた途端、まるで水に溶ける砂糖のように溶解して消失していくのだ。物理防御も魔法抵抗も無効化するこの特殊な炎は、すべての防御手段を貫通する。
「馬鹿な!? ドラゴンゾンビの瘴気の装甲が……!?」
フォルネウスの顔から血の気が引いた。闇のオーラが削られ露になった黒い鱗も意味を成さない。刃たちは鱗を貫通し直接肉に食い込んだ。
シュゥゥゥッ!
聖焔は超高温で鱗ごと組織を溶断していく。焼き切るのではなく"溶かしながら斬る"。ドラゴンゾンビの太い首に螺旋状の溝が刻まれたかと思うと、次の瞬間には真円を描く切断面が出来上がっていた。
「ギャァアアア!!」
最後の絶叫が響き渡る。切断された首がグラリと傾き、地響きを立てて地面に落下。続いて巨大な胴体も崩れ落ちた。体内を巡っていた瘴気が逃げ場を求め、黒い霧となって天へ昇っていく。
「なんだと……!」フォルネウスは言葉を失い、扇子を握る手が震える。
「これが…ルル様の…緋色の竜狩りの力…」
ルミナはルルの真骨頂の魔法を見て驚くことしかできなかった。ドラゴンゾンビの巨体はもはや動かない。瘴気の霧が晴れると、切り口から宝石のように固まった聖焔の残留物が零れ落ちた。
「これでおしまい……」
「これほどの力を持っているとは…」
フォルネウスは一歩後退りした。自身の余裕は消え失せ、目には明らかな動揺が浮かんでいる。
「聖印の紋も取り戻したよ。これで神殿の浄化ができる」
ルルは地面に転がった聖印の紋を拾い上げる。黒く染まっていた紋章は聖焔の光で洗い流され、本来の神聖な輝きを取り戻していた。
「私の負け…ですか…」
フォルネウスは膝をつく。圧倒的な力の差に観念したのか、肩を落とし項垂れている。
しかし、魔王軍六魔将の一角を担うこの男は伊達に修羅場を潜ってきたわけではなく敗北のショックはあれど直ぐに立ち直ろうとしていた。
「くっくっく、あっはっ~は~!」
フォルネウスは急に高笑いを始めた。先程までの憔悴しきった態度とはまるで違う自信に満ち溢れた顔を見せて立ち上がる。
「何を笑っているのですか?」
ルミナが不信感に苛まれながらも問いかける。
「ドラゴンゾンビを倒したことに敬意を示しましょう!フォーサイス…貴女の強さ認めます!」
「ですが私はまだ生きている!部下達も手負いだが健在だ!魔王様からのいかなる罰も受け入れましょう!この悔しさを糧に私は必ず強くなり貴女を跪かせてみせます!その日まで首を洗って待っていなさい!」
フォルネウスは啖呵を切ると両手を振り翳し虚空に穴を開けた。空間魔法だ。
フォルネウスは空間の穴に飲み込まれあっという間に撤退していく。
「ま…待ちなさい!」
ルミナが慌てて駆け寄るが既に時遅く空間の穴は閉じてしまっていた。
「逃げられたか…」
「ルル様、シオンさんの加勢にまいりましょう!」
「シオンなら大丈夫だよ!あたしのもう一人の仲間が来てくれているみたいだから!」
それを聞き胸をそっと撫で下ろすルミナ。
「ルミナちゃん!急いで神殿に行こう!復天の儀を行って瘴気を浄化しなきゃ!」
「はい!わかりました!」
ルルとルミナは神殿を目指して駆け出すのであった。
フォルネウスは苦々しげに呟くと魔殿へ急ぐ。
すると後ろから声が聞こえてきた。
「やっと追い付いた!さぁ、聖印の紋を返してもらうよ!」
フォルネウスが驚いて振り返るとそこにはルルとルミナが立っていた。
「なん……だと……!?なぜここに……!?貴様らいつの間に……」
フォルネウスは信じられないといった面持ちで尋ねた。
「魔法の箒を使って空から追いかけてたの。箒のスピードなら貴方に簡単に追いつけるし山道を走らないから物音も立てない。必死に山道を駆けている貴方の背後を取るのは簡単だったよ」
ルルが悪戯っぽく微笑む。フォルネウスの額に汗が流れる。まさか魔族の自分が人間の小娘に出し抜かれるとは……しかし、まだ負けたわけではない。
「ふふ……お見事ですねぇ……ですが私も簡単にやられるわけにはいきませんので」
フォルネウスは扇子を口元で隠し不敵に笑う。そして懐から何かを取り出し地面に投げつける。
「それは聖印の紋!」
「くふふ…こうするのですよ!」
フォルネウスが呪文を唱えると聖印の紋から黒い光が吹き出してきた。
黒い光はどんどん瘴気を吸い込み広がっていく
「何をしようとしているのかわからないけど、とりあえず止めないと!」
「もう遅いですよ!さぁ、依代を糧に現れよ!邪竜召喚!ドラゴンゾンビ!」
フォルネウスの掛け声と共に禍々しい邪悪な瘴気が吹き荒れ辺り一帯に広がった。邪悪な瘴気が収まるとそこには聖印の紋を取り込み醜く肥大化した巨大な黒いドラゴンの屍が立っていた。
ドラゴンゾンビの邪悪な赤い瞳がルル達を見据える。
「くふふ……邪竜召喚で呼び出したドラゴンゾンビに聖印の紋を依代にしてあげれば……最強のドラゴンゾンビの完成というわけです!さぁ!やっておしまいなさい!」
ドラゴンゾンビは大きく口を開き高音の叫び声をあげる。その咆哮だけで周囲の木々が揺れ、地面が微かに震動した。
「な……なんて禍々しい瘴気……!聖印の紋が完全に堕天してる……」
ルルが顔をしかめながら呟く。ドラゴンゾンビの体表からは黒紫のエネルギーが脈打つように湧き上がり、触れるものすべてを腐蝕させるような悪寒を放っていた。
「くふふ……そうですとも。聖印の紋に封じられていた“光”の性質は、今やこのドラゴンゾンビの“闇”によって完全に反転しています。これを倒すには並大抵の魔法では不可能でしょうねぇ」
フォルネウスは愉悦に浸ったように扇子をぱたぱたと揺らす。
ドラゴンゾンビの危険度はSランクと高く、聖印の紋を依代にされたことでさらに強化されている。名の知れた冒険者でもパーティ全員でかからなければ到底倒せないレベルと言えるだろう。
フォルネウスはニヤリと笑った。
「さぁて、緋色の竜狩りと言われる貴女の実力も見ものです。ただし、手心は不要ですよ?全力で来ない限り、ただの屍の山を増やすことになりますからねぇ」
ドラゴンゾンビが首をもたげ、爛々と光る紅玉のような目を細めた。その口端から黒い涎が滴り、地面に触れた部分がシューシューと音を立てて泡立ちながら腐食していく。
もはやこれは「竜」というよりも、闇の底から蘇った死の権化そのものだ。
「聖印の紋を奪い村の人たちに迷惑をかけて……そんな卑劣な行為許されるわけがない。このドラゴンゾンビも含めて全部終わらせてあげる」
フォルネウスが煽るような笑みを浮かべる。
「くくく……なかなか勇ましいですねぇ。では見せてもらいましょうか、緋色の竜狩りの真価とやらを」
ドラゴンゾンビがゆっくりと踏み出す。巨体の移動に伴い大地が悲鳴を上げるように軋んだ。腐敗した肉塊から立ち上る瘴気が周囲に充満し、草木さえ萎れるほどの毒気を孕んでいる。
「来る…!ルミナちゃん、離れていて!」
「は、はい!」
ルミナが一瞬の躊躇を見せたものの、素直に後退する。ルルはそれを確認すると、深く息を吸い込み呪文の詠唱に入った。
「極彩の炎よ、万象を焦がす閃光となれ!エンシェントフレア!」
彼女の周囲に七色の炎が渦巻き、膨大な熱量が放射される。空気が陽炎のように揺らめき、木々の枝葉が干涸びていくほどの超高熱。その光条が一直線にドラゴンゾンビへと向かう。
ドゴォォン!
凄まじい爆音とともに、竜の半身が炎に包まれた。通常ならば瞬時に蒸発するほどの火力だが、ドラゴンゾンビは黒く蠢く体表でそれを吸収していく。
「くくく…ドラゴンゾンビに炎は効きませんよ!」
フォルネウスが嘲笑う。実際、ドラゴンゾンビの皮膚は黒紫のオーラに包まれており、物理的な攻撃も魔法も減衰させる特性を持っていた。
「火がダメなら水ならどう?」
ルルは次の呪文を唱える。
「大海より来たれ!蹂躙せよ瀑布の牙!ハイドロスプラッシュ!!」
突如、空から巨大な水流が降り注ぐ。それはまるで巨大な滝のごとく、轟音を上げながらドラゴンゾンビの巨躯を押し流さんとする奔流となった。
しかし──
「無駄です!」
フォルネウスの声が響く。ドラゴンゾンビは翼を広げ、腐肉に混じる骨格を軋ませて暴風を起こす。飛翔こそ叶わないものの、その羽ばたきは津波のような水流を裂き、逆流させた。
「な……っ!?」
水流は霧散し、細かな水滴となって辺り一面に撒き散らされた。ドラゴンゾンビはそれを浴びながらも平然と立っている。どころか、水分を吸ったその肌がさらに膨張し、瘴気を濃密にした。
「くふふ……効きませんよ。この竜にその程度の魔法はね…」
フォルネウスが扇子を閉じ、勝ち誇ったように笑う。
「では……次はこちらの番と行きましょうか」
その言葉を合図にするように、ドラゴンゾンビが顎門を開く。内部に溜まっていく腐敗したエネルギー。それは可視化されるほどの濃度で渦巻き、禍々しい球体となって膨張していく。
「まずい……!」
ルルが防御の詠唱に入ろうとした刹那、フォルネウスが先手を打つ。
「遅いですよ!放ちなさい、死の咆哮を!ペスティレンス・ブレス!」
絶望的なまでの威力を秘めた漆黒の瘴気を纏ったブレスが、音速を超える速度でルルへと殺到する。それは衝撃波を伴い、木々をなぎ倒し地面を抉りながら突き進んだ。
「くっ……!」
ルルは咄嵯に転移魔法を展開しようとするが間に合わない。回避不能──そう判断した彼女は防御魔法を多重展開する。
ルルの周囲に七枚の魔法障壁が形成される。それぞれ異なる属性を帯びた虹色の光の膜。だがそれらすべてが一瞬で粉砕され、凄まじい衝撃と共にルルの身体が吹き飛ばされた。
「ルル様!!」
ルミナの悲痛な叫びが響く。数十メートル離れた岩壁に吹き飛ばされたが辛うじて防御魔法を発動しダメージを最小限に食い止める。
「ほほぅ…あの状態から防御魔法を発動できるとは…流石というべきでしょうね。ですが、あれだけ濃い瘴気のブレスを浴びたのですからもう体はボロボロ…死ぬのも時間の問題でしょうね!」
フォルネウスは瘴気のブレスを浴びせたことで勝利を確信していた。
「いてて…なんとか間に合った…」
ルルは壁に叩きつけられたダメージを微小ではあるが受けている。しかし瘴気による影響は全く受けていないようだ。
「なんですって…あれだけの瘴気を浴びて全く影響がないだなんて…普通は体がボロボロになるはずです!」
「普通の人ならね?あたしは迷宮の女神様の加護を受けてる。だから瘴気は効かないよ!」
ルルは得意気に告げる。
「なん……ですって……」
ルルは立ち上がり赤い髪を後ろになびかせ、ドラゴンゾンビに再び向かい合う。ドラゴンゾンビの目が一層強く光る。
「闇のオーラの加護が強すぎて四元素の魔法は効果が薄い…四元素は闇に弱い…なら!」
「洗礼されし光輝く剣よ!降り注ぎ悪しき者を払いたまえ!プリズマティックブレード!」
ルルは上空に無数の光の剣を生成しドラゴンゾンビに降り注がせる。
光の剣は闇を払い、ドラゴンゾンビの体に命中し体が切り裂かれていく。
「グルルルゥ!!」
光の剣のダメージを受けて苦しみ悶えるドラゴンゾンビ。
「これなら闇のオーラでも防げないみたいだね!」
しかしルルが光魔法で与えた傷はすぐに回復していった。ドラゴンゾンビの驚異的な生命力が伺える。
「いくら光魔法が効いたとしてもあの再生力じゃダメージを与え続けるのは難しい…一旦、時間を稼いで考える必要があるね…ルミナちゃん!」
ルルはルミナにこっそりと自身が考えた作戦を伝える。ルミナは一瞬不安そうな表情を浮かべたがルルの目を見て覚悟を決めたように強く頷いた。
「では行きましょう!」
ルルとルミナは一斉に駆け出した。2人は二手に別れドラゴンゾンビの注意を引こうとしている。
「くふふ……何をしても無駄ですよ!ドラゴンゾンビに物理攻撃は効きませんし、光魔法が多少効いたとしても再生力ですぐに回復してしまいます!魔族である私を捕らえることも不可能でしょう。諦めてあの世へ行くことをオススメしますよ!」
フォルネウスは相変わらずルル達の動きを嘲笑うかのように高笑いをしている。
ルルはドラゴンゾンビの右側へ向かい詠唱を開始する。
「極彩の炎よ、万象を焦がす閃光となれ!エンシェントフレア!」
ドラゴンゾンビ目掛けて七色の炎が一直線に降り注ぐ。ドラゴンゾンビは避けずに受け止め、黒いオーラでその炎を吸収してしまう。
「やっぱり火魔法は効かないね……なら!」
ルルは左手を地面に叩きつけた。次の瞬間、地鳴りとともに岩の槍が無数に生え、ドラゴンゾンビの体を貫く。
「ぐがあああ!!」
ドラゴンゾンビが苦痛の叫びを上げるが、やはり致命傷には至らない。肉体を構成する死肉と瘴気がすぐに穴を塞いでしまう。
「荒れ狂う狂嵐!破滅を齎す地獄の旋風!ヘルテンペスト!」
ルルの放った竜巻はドラゴンゾンビをミキサーにかけたかの様にズタズタに切り裂いていく。しかしドラゴンゾンビの瘴気のオーラも竜巻の威力の前には役に立たないようだ。
「グオオオォ!」
ドラゴンゾンビは暴れ狂い、体を捻って風の拘束から逃れようとする。だがルルは追撃の手を緩めない。
「終わりじゃないよ!灼熱の火球よ!すべてを焼き尽くせ!フォーリング・ザ・サン!!」
竜巻の中に巨大な火球を落とす。ドラゴンゾンビは紅蓮の炎に包まれ悲鳴を上げた。
「くはははは!数多の上級魔法を使いこなし連続で発動できる詠唱の速さ、尽きぬ魔力…素晴らしい実力ですね!」
フォルネウスは感嘆の声を上げる。
「ですが…ドラゴンゾンビにダメージを与えられなければなんの意味もありませんがね!」
ルルが次々とドラゴンゾンビに魔法を打ち込んでいると、物陰に潜んでいたルミナが動いた。ドラゴンゾンビの注意が完全にルルに向いている。
「今だ!行け!光の縛鎖よ、彼の者を捕らえよ……ライトチェーン!」
ルミナの放った光の鎖がドラゴンゾンビの四肢に絡みつき動きを封じる。
「ギギギ!!」
ドラゴンゾンビは鎖を引きちぎろうともがきその動きが少し鈍くなった。
「何をしようと無駄です!ドラゴンゾンビにその程度魔法は効きません!」
フォルネウスは余裕の表情で叫ぶ。
「聖なる星々よ!降り注ぎ悪しき者を打ち払え!スターダスト・レイン!!」
素早く詠唱し拘束したドラゴンゾンビに光の礫を浴びせるルミナ。
光の礫はドラゴンゾンビの体に降り注いでいく。その威力は凄まじく、ドラゴンゾンビの肉体をえぐり取っていく。
「グギャアァ!!」
ドラゴンゾンビは悶え苦しむが、瘴気のオーラが一気に光の礫を吸収して再生していく。
「無駄!無駄ですよ!聖職者の光魔法ならどうにかなると思いましたか?この程度の攻撃で倒せるとでも?宛が外れましたね?フォーサイス!」
高笑いするフォルネウス。
しかしその声はルルには聞こえていなかった。光の礫を浴び完全にのけぞり隙だらけになっているドラゴンゾンビにルルは距離を詰めていた。
「ありがとう、ルミナちゃん!いい攻撃だったよ!」
「おや、あの攻撃の間に随分と前に出てきたようですね…至近距離で魔法を当てればダメージを与えられると思ったのですか?残念ながら効果はないに等しい…逆にそんなに近づいてしまってはドラゴンゾンビの大爪の餌食になってしまいますよ?」
フォルネウスは勝ち誇った笑みを浮かべている。
「近づかなきゃ撃てないからね…この魔法は!」
ルルはドラゴンゾンビの首元に辿り着き、手のひらを合わせて詠唱を始めた。
「断罪の焔よ、我に仇なす者を切り刻め!エクセキューション・ブレイズ!!」
ルルの詠唱が完了した瞬間、無数の炎の刃が生まれた。斬撃の様な炎が非常に高温の光輝を放ち、まるで生き物のようにうねりながらドラゴンゾンビの首へ殺到する。
ギュオン!!
空気を切り裂く甲高い音と共に、聖焔の刃が一斉にドラゴンゾンビの首筋へ殺到。フォルネウスは嘲笑を浮かべたまま「そんなものが効くわけ――」
バチバチッ!ジュオォォン!!
だが現実は予想外の展開を迎えた。闇の瘴気が噴き出すオーラが刃に触れた途端、まるで水に溶ける砂糖のように溶解して消失していくのだ。物理防御も魔法抵抗も無効化するこの特殊な炎は、すべての防御手段を貫通する。
「馬鹿な!? ドラゴンゾンビの瘴気の装甲が……!?」
フォルネウスの顔から血の気が引いた。闇のオーラが削られ露になった黒い鱗も意味を成さない。刃たちは鱗を貫通し直接肉に食い込んだ。
シュゥゥゥッ!
聖焔は超高温で鱗ごと組織を溶断していく。焼き切るのではなく"溶かしながら斬る"。ドラゴンゾンビの太い首に螺旋状の溝が刻まれたかと思うと、次の瞬間には真円を描く切断面が出来上がっていた。
「ギャァアアア!!」
最後の絶叫が響き渡る。切断された首がグラリと傾き、地響きを立てて地面に落下。続いて巨大な胴体も崩れ落ちた。体内を巡っていた瘴気が逃げ場を求め、黒い霧となって天へ昇っていく。
「なんだと……!」フォルネウスは言葉を失い、扇子を握る手が震える。
「これが…ルル様の…緋色の竜狩りの力…」
ルミナはルルの真骨頂の魔法を見て驚くことしかできなかった。ドラゴンゾンビの巨体はもはや動かない。瘴気の霧が晴れると、切り口から宝石のように固まった聖焔の残留物が零れ落ちた。
「これでおしまい……」
「これほどの力を持っているとは…」
フォルネウスは一歩後退りした。自身の余裕は消え失せ、目には明らかな動揺が浮かんでいる。
「聖印の紋も取り戻したよ。これで神殿の浄化ができる」
ルルは地面に転がった聖印の紋を拾い上げる。黒く染まっていた紋章は聖焔の光で洗い流され、本来の神聖な輝きを取り戻していた。
「私の負け…ですか…」
フォルネウスは膝をつく。圧倒的な力の差に観念したのか、肩を落とし項垂れている。
しかし、魔王軍六魔将の一角を担うこの男は伊達に修羅場を潜ってきたわけではなく敗北のショックはあれど直ぐに立ち直ろうとしていた。
「くっくっく、あっはっ~は~!」
フォルネウスは急に高笑いを始めた。先程までの憔悴しきった態度とはまるで違う自信に満ち溢れた顔を見せて立ち上がる。
「何を笑っているのですか?」
ルミナが不信感に苛まれながらも問いかける。
「ドラゴンゾンビを倒したことに敬意を示しましょう!フォーサイス…貴女の強さ認めます!」
「ですが私はまだ生きている!部下達も手負いだが健在だ!魔王様からのいかなる罰も受け入れましょう!この悔しさを糧に私は必ず強くなり貴女を跪かせてみせます!その日まで首を洗って待っていなさい!」
フォルネウスは啖呵を切ると両手を振り翳し虚空に穴を開けた。空間魔法だ。
フォルネウスは空間の穴に飲み込まれあっという間に撤退していく。
「ま…待ちなさい!」
ルミナが慌てて駆け寄るが既に時遅く空間の穴は閉じてしまっていた。
「逃げられたか…」
「ルル様、シオンさんの加勢にまいりましょう!」
「シオンなら大丈夫だよ!あたしのもう一人の仲間が来てくれているみたいだから!」
それを聞き胸をそっと撫で下ろすルミナ。
「ルミナちゃん!急いで神殿に行こう!復天の儀を行って瘴気を浄化しなきゃ!」
「はい!わかりました!」
ルルとルミナは神殿を目指して駆け出すのであった。
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