地獄で捧げる狂死曲（ラプソディー）～夢見る道化は何度死んだって届けたい、笑顔を君に～

地獄体験～あれ？ 思ったよりも～

再出発～火炎旋風を追い風に～ ３

――ボクは……それを……刮目していた……それはもう爛々と！　それに、気分はルンルンと！

「ちょっ⁉　ちょっ⁉　ちょっ⁉　ちょっ――――っ‼」

　凪いでいたはずの心だったが……、もう、周囲がこれだけ荒れ狂っているのだ。
　つられて踊り出すしかなかった⁉

　炎の竜巻の中心は、それはもう実に見事だった‼

　一見、「さや、驚かしてやろう‼」と気炎を上げているように見えた竜巻だったが、実はマグマで満たされた湖で発生したものなのだ、その正体は、水柱ならぬ、マグマ柱だった！
　そのギャップに思わずこちらも燃えて舞い上がってしまう！

「ちょっ⁉　ちょっ⁉　ちょっ⁉　ちょっ――――っ‼」

　ボクは、驚きの連続に、まだ言葉を見つけられないでいた。
　さらにさらに、その驚きは続く。
　まだまだサプライズイベントは始まったばかりなのだ。

　飛び交うのはただの岩石ではなかった。
　地底の高温高圧下で結晶化した様々な鉱物達が巻き上げられているようだった。
　恐ろしいほどの大きさのダイヤモンド、ルビー、サファイヤなんかが飛び回っているのだ！

　それだけじゃない！　

　眩暈がしそうな不思議な模様メノウ鉱石、ヒスイ色の孔雀石、ローズクォーツ晶洞石、虹色のビスマス結晶や、マーブルカラーのアンモナイト……（えっ⁉）、ハニカム構造の金細工が石の中にできた――「ええええ⁉　地球上に存在しないはずのぉおお‼　メテオライトォォオオオオ‼」さっきまでの喉のつっかえは、ものの見事にポーーンっと飛んで行った、驚きの叫びとともに。

　それらが飛び交いぶつかり合って、砕けて、散って、さらに混ざり合い……。
　光粒のシャワーが上から下、下から上に散りまくる。

　金銀銅に、謎金属は、あまりの熱に一瞬で溶け、水あめのように糸をひき、綿あめのように空気に漂って霧散していくのだ！

　そして、ボクは火炎旋風の中心にいる！　つまり、炎の壁！
　それらの宝石や何かの結晶は、炎にぶつかって一瞬の火花を見せる！
　そう、炎色反応がまた見れたのだ！

　さらにはダメ押しの一手！　辺りは絶えずスパークし、電飾まで施されているのだ！
　帯電性鉱物も混ざっていたのか、はたまた、粒子の摩擦のせいか、とにかく、興奮冷めやらぬとはこのこと！　きっとこれは、大脱出の最中にも見たことがないはず！

　ボクの心は一気にメーターを振り切った――。