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囚愛Ⅲ《エリックside》
囚愛Ⅲ《エリックside》6
しおりを挟む4月29日 ダンス大会当日
有名な世界的ダンサーが出場する中、雅様は3位に入賞した。
「おめでとうございます雅様。世界3位なんてすごいですね。帰国の前日に皆で祝賀会をやりましょう」
「ありがとう。まさか入賞出来るとは思ってなかったからよかったー」
雅様が帰国するのは4日後だった。
長いようでとても短い1ヶ月だったなと感じる。
最後は盛大にお祝いをしたい。
「やっとお酒解禁だぁー!!」
帰り道の車内で、雅様が背伸びをして窓の外を眺めながらそう言った。
「お酒?」
「大会終わるまで飲まないようにしてたんだよ」
「知らないだろエリック。雅様は超ド級の酒豪だ」
「そうか。雅様ももうお酒が飲める年齢になったんですね」
そして、そのまま酒の買い出しをして帰宅をした。
バーにでも寄ろうかと提案したが、「酒樽が足りなくなってバーが潰れるから家で飲みたい」と雅様が笑って言うので家で飲むことになった。
PM8:00
「よーし飲み比べだ!」
「テリー、お前は弱いくせによく張り合う。私は酒豪と言われた雅彦様よりも強いのを知っているだろう?」
夕食を済ませ、一休みしてからテーブルの上にビールとワインとウィスキーを置いて勝者の目をするテリー。
雅様へビールを注ぎながら、テリーは私を見て言う。
「で、お前はアルのプロポーズはどうするんだ?」
アルのプロポーズは断った。
何度懇願されても私の想いは変わらない。
「アルと結婚できたら幸せかもしれないな…」
「そうだよ。いいじゃないか。お似合いだよ。報われるなぁアルベルトも」
アルと結婚できたら。
何度もプロポーズを断っても諦めず私を想ってくれる。
そんな一途なアルを好きになれたらどんなに楽だろうか。
でもそれ以上に、私も一途なのだ。
雅様以外は愛せない。
「エリックはアメリカに来て、今幸せ?」
赤ワインを飲みながら、雅様が私を見つめて言う。
「はい」
幸せです。
目の前にあなたがいるから。
―…そう言えるわけもなく
「そっか。エリックが幸せなら俺も嬉しい」
飲み始めて1時間したところで、テリーは酔いつぶれてリビングのソファーで寝ていた。
「テリー…弱すぎ…」
「そうなんです。昔から弱いのにお酒が好きで…」
テリーが寝ている間、私と雅様は二人きりでこの前以上にたくさんの話しをした。
お互いにいなかった期間のこと、
アメリカでの生活、
雅様の大学生活、
執事学校時代のことなど、
気付けば飲み始めて5時間が過ぎていた。
しかし雅様は変わる様子もなくペースを保ちながら飲み続けている。
「雅様…少し席を外します」
更にどれくらい飲み続けただろうか。
しばらく飲んでいないのもあるが、雅様…雅彦様より強いじゃないか。
濃い目のウィスキーハイボールを飲んでいたが、途中からは何も割らずにウィスキーとブランデーを二人で飲み比べていた。
少しだけ吐いて水を飲み、戻ろうと思い立とうとすると体が言うことをきかず立てなくなった…
「はぁ…はぁ…」
私が弱くなったのか。
それとも雅様が強いのか。
そう思っていると、ふっと体が持ち上がった。
「エリック、遅いから心配で探したよ。肩かして、部屋で横になろう」
雅様の肩に腕を回し、私の部屋へと歩き始めた。
20年下の元主に介護される日が来るとは…執事学校の講師として情けないと思いながら歩き続け、気付くと天井が目に入った。
ベッドに横になったことも気付かないなんて…しばらく酒は控えよう…
「苦しそうだから少し脱がせて楽にするよ」
そう言って雅様は私のシャツのボタンを外し、ベルトを外し、私の体を抱き寄せて冷蔵庫にあったミネラルウォーターを口元へ運ぶ。
「少し水飲んで。自分で持てる?飲める?」
水を手に取り、たった500mlの重さに私は自分の手の握力の限界を感じながら水を飲んだ。
「よかった。少し楽になった?もうゆっくり休んで。俺も自分の部屋に戻るよ。おやすみエリック」
軽く水を飲んだ私の体を横にして、髪を優しく撫でてその場を去ろうとする雅様。
あぁ、行かないで―…
「…行かないで」
私は握力が限界な手で雅様の腕を掴み、咄嗟に出た言葉に自分でも驚いた。
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