7 / 56
〜初めての依頼〜
しおりを挟む
ギルドからの依頼内容は教会の手伝いという依頼内容だった。
記された場所に行くと,街外れにあるボロボロの教会がそこにはあった。
「すいませ~ん」
「はい~~。どちら様ですか?」
「冒険者ギルドの依頼で来た冒険者なのですが……」
「あら? 本当に来てくれたんですか? ありがとうございます」
「よろしくお願いします! 俺はカナデといいます。隣がクロエです」
「クロエじゃよろしく」
「私はシスターをやっていますマリと言います」
「依頼は教会の手伝いという事でしたが,どういった事なんですか?」
「教会は孤児院も運営しておりまして,子守と共に,教会のあちこちの修繕を手伝ってほしいのです」
「なるほど。教会には他の方は居ないんですか?」
「ええ……今は私一人でやっていますので,大変なのです」
「わかりました。それではお手伝いしましょう」
すると大勢の子供達が教会から現れた。孤児の子供達なのだろう。
「おじちゃん達だ~れ?」
「おじ……冒険者だよ。今日一日お手伝いにきたんだよ」
「そうなんだ。じゃあ後で遊ぼうね!」
俺は不器用ながらも教会の壊れた箇所などの修繕を始めた。
クロエはというと,魔法の力を使って教会全体を掃除し始めた。最初は水魔法で洗い流し,風魔法で洗った水を乾かしていく。魔法というのはとんでもなく便利なだと俺は感じていた。
それを見ていた子供達はクロエに興味を持ったようで,魔法を見せてほしいと皆が頼んでいる。クロエも満更でもない様子で,魔法を繰り広げて子供達と遊んでいた。
「カナデさん! ちょっと出かけてきますので,少しの間よろしくお願いします」
「マリさん分かりました。気をつけて下さい」
俺はそのまま言われた仕事をこなしていた。
しばらくするとマリさんが戻ってきた。
仕事を終えたのでマリさんに依頼の達成のサインをもらう。
「良かったら,カナデさんとクロエさん食事をしていきませんか?」
「おお! 食事とな! 丁度腹が空いたのじゃ」
「いいんですか?」
「ええかまいませんよ」
俺とクロエはお言葉に甘えて,食事をご馳走になる。
教会の奥の部屋へ行くと食堂があり,子供達と一緒に席に座り,食事を待つ。
大きな鍋とパンをマリさんが持ってくる。
よそったスープの色はかなり透明度が高く,ほとんど具が入っていなかった。
パンも見るからに硬そうなパンだった。
祈りのポーズを全員がする。俺とクロエも見様見真似で同じ所作をする。
「それでは神に感謝していただきます」
スープを一口含むとほとんどお湯に近かった。
「なんじゃマリ! このスープは! お湯じゃ!」
「バカ!!!! クロエバカ!!!!」
「バカとは何じゃカナデ」
「いえいいんです。事実ですから」
「ここの教会の財政は厳しいんですか?」
「まあ……とてもじゃないけど,運営出来ないんです。先程もいくつか寄付をしてもらえそうな場所を回ってお願いをしてみたんですが,駄目でした」
「なるほど……」
「何じゃ何じゃ! 余にも分かるように話せ」
「簡単に言えばお金が必要って事さ」
「また金か! 人族は本当に金がかかるの~」
「クロエは長生きで頭がいい龍なんだろ? 何か解決出来ないのか?」
「急に何じゃ。余はお金に関してはよく分からん。カナデこそ何かいい案はないのか?」
俺は少し考えたが,この世界の事自体よく分からない。そんな中でいい案が出てくるはずもなかった。
お金を寄付するのは簡単な解決方法だと思うが,根本的な解決にはならない。ずっと誰かに寄生し続けなければいけなくなるからだ。自立が出来るようなお金を生む何かが教会にあるといいのだが。
「マリさん,元々はどんな資源で財政を賄っていたんですか?」
「教会ですから寄付が主でしたが,昔は回復の治療を行える者が居たりして回復の治療でお金を頂いたり,後は薬などを販売していたそうです」
「他の教会はどういった事でお金を得てるんですか?」
「主に回復の治療ですね。高額な治療費を取って運営している所がほとんどです」
「怪我や病気になったら皆どうしているんですか?」
「高い治療費を教会の司祭に払い魔法で治してもらう事がほとんどです。もちろん薬を販売している薬師の店もあるんですが,大きな病気などは治せないので教会に行くことがほとんどです」
なるほどな。魔法なんて便利なものがあるから医術が進歩していないのだろう。
「カナデせっかくじゃ。ここで一曲頼む!」
本当に突然言い出すなクロエのやつ。
「分かったよ仕方ないな!!」
俺は立ち上がり,いつも持っているヴァイオリンを出す。
そして音を奏で始めた。
「♫~,♫~♫~♫~♪~♫~♪~,♪♪♫♪♫♫♫」
バッハ作曲 無伴奏ヴァイオリンパルティータ第三番『ガヴォット』
もしかしたら初めて音楽を聴くかもしれない子供達には楽しい音でありたい。そう想い俺は演奏した。
弾き終えると,先程までそっけなかった子供達が近寄ってきた。
「「「おじさんすご~~い」」」
俺は子供達のその反応がなんだか嬉しかった。
クロエは満足気な顔をしていた。マリさんは微動だにせず止まったままだった。
俺達は食事のお礼をし,教会を後にする。
ギルドへ依頼の報告と報酬を受け取りに戻る道中で,
「なあクロエ。あそこの教会どうにか出来ないかな??」
「どうにかってどうするのじゃ!?」
「何かお金を生み出せるようなものがあるといいんだがな」
俺は少し考え事をしながらギルドへと戻り,報告と報酬を受け取ると,酒場ライデンへと戻った。
記された場所に行くと,街外れにあるボロボロの教会がそこにはあった。
「すいませ~ん」
「はい~~。どちら様ですか?」
「冒険者ギルドの依頼で来た冒険者なのですが……」
「あら? 本当に来てくれたんですか? ありがとうございます」
「よろしくお願いします! 俺はカナデといいます。隣がクロエです」
「クロエじゃよろしく」
「私はシスターをやっていますマリと言います」
「依頼は教会の手伝いという事でしたが,どういった事なんですか?」
「教会は孤児院も運営しておりまして,子守と共に,教会のあちこちの修繕を手伝ってほしいのです」
「なるほど。教会には他の方は居ないんですか?」
「ええ……今は私一人でやっていますので,大変なのです」
「わかりました。それではお手伝いしましょう」
すると大勢の子供達が教会から現れた。孤児の子供達なのだろう。
「おじちゃん達だ~れ?」
「おじ……冒険者だよ。今日一日お手伝いにきたんだよ」
「そうなんだ。じゃあ後で遊ぼうね!」
俺は不器用ながらも教会の壊れた箇所などの修繕を始めた。
クロエはというと,魔法の力を使って教会全体を掃除し始めた。最初は水魔法で洗い流し,風魔法で洗った水を乾かしていく。魔法というのはとんでもなく便利なだと俺は感じていた。
それを見ていた子供達はクロエに興味を持ったようで,魔法を見せてほしいと皆が頼んでいる。クロエも満更でもない様子で,魔法を繰り広げて子供達と遊んでいた。
「カナデさん! ちょっと出かけてきますので,少しの間よろしくお願いします」
「マリさん分かりました。気をつけて下さい」
俺はそのまま言われた仕事をこなしていた。
しばらくするとマリさんが戻ってきた。
仕事を終えたのでマリさんに依頼の達成のサインをもらう。
「良かったら,カナデさんとクロエさん食事をしていきませんか?」
「おお! 食事とな! 丁度腹が空いたのじゃ」
「いいんですか?」
「ええかまいませんよ」
俺とクロエはお言葉に甘えて,食事をご馳走になる。
教会の奥の部屋へ行くと食堂があり,子供達と一緒に席に座り,食事を待つ。
大きな鍋とパンをマリさんが持ってくる。
よそったスープの色はかなり透明度が高く,ほとんど具が入っていなかった。
パンも見るからに硬そうなパンだった。
祈りのポーズを全員がする。俺とクロエも見様見真似で同じ所作をする。
「それでは神に感謝していただきます」
スープを一口含むとほとんどお湯に近かった。
「なんじゃマリ! このスープは! お湯じゃ!」
「バカ!!!! クロエバカ!!!!」
「バカとは何じゃカナデ」
「いえいいんです。事実ですから」
「ここの教会の財政は厳しいんですか?」
「まあ……とてもじゃないけど,運営出来ないんです。先程もいくつか寄付をしてもらえそうな場所を回ってお願いをしてみたんですが,駄目でした」
「なるほど……」
「何じゃ何じゃ! 余にも分かるように話せ」
「簡単に言えばお金が必要って事さ」
「また金か! 人族は本当に金がかかるの~」
「クロエは長生きで頭がいい龍なんだろ? 何か解決出来ないのか?」
「急に何じゃ。余はお金に関してはよく分からん。カナデこそ何かいい案はないのか?」
俺は少し考えたが,この世界の事自体よく分からない。そんな中でいい案が出てくるはずもなかった。
お金を寄付するのは簡単な解決方法だと思うが,根本的な解決にはならない。ずっと誰かに寄生し続けなければいけなくなるからだ。自立が出来るようなお金を生む何かが教会にあるといいのだが。
「マリさん,元々はどんな資源で財政を賄っていたんですか?」
「教会ですから寄付が主でしたが,昔は回復の治療を行える者が居たりして回復の治療でお金を頂いたり,後は薬などを販売していたそうです」
「他の教会はどういった事でお金を得てるんですか?」
「主に回復の治療ですね。高額な治療費を取って運営している所がほとんどです」
「怪我や病気になったら皆どうしているんですか?」
「高い治療費を教会の司祭に払い魔法で治してもらう事がほとんどです。もちろん薬を販売している薬師の店もあるんですが,大きな病気などは治せないので教会に行くことがほとんどです」
なるほどな。魔法なんて便利なものがあるから医術が進歩していないのだろう。
「カナデせっかくじゃ。ここで一曲頼む!」
本当に突然言い出すなクロエのやつ。
「分かったよ仕方ないな!!」
俺は立ち上がり,いつも持っているヴァイオリンを出す。
そして音を奏で始めた。
「♫~,♫~♫~♫~♪~♫~♪~,♪♪♫♪♫♫♫」
バッハ作曲 無伴奏ヴァイオリンパルティータ第三番『ガヴォット』
もしかしたら初めて音楽を聴くかもしれない子供達には楽しい音でありたい。そう想い俺は演奏した。
弾き終えると,先程までそっけなかった子供達が近寄ってきた。
「「「おじさんすご~~い」」」
俺は子供達のその反応がなんだか嬉しかった。
クロエは満足気な顔をしていた。マリさんは微動だにせず止まったままだった。
俺達は食事のお礼をし,教会を後にする。
ギルドへ依頼の報告と報酬を受け取りに戻る道中で,
「なあクロエ。あそこの教会どうにか出来ないかな??」
「どうにかってどうするのじゃ!?」
「何かお金を生み出せるようなものがあるといいんだがな」
俺は少し考え事をしながらギルドへと戻り,報告と報酬を受け取ると,酒場ライデンへと戻った。
10
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる