9 / 56
〜決意とギルドマスターからの依頼〜
しおりを挟む
次の日を迎えて,クロエに俺の考えを伝えた。
「カナデは旅に出たいのか??」
「ああ……ここにいるのも楽しいし,皆優しいし居心地がいいけど,旅に出たほうが俺の演奏に良い影響があるとそう考えている」
「なるほどの~。余はカナデに付いていくぞ! どうしたのかはカナデが決めればいい」
「旅をしながら色々な場所で音楽を奏でていく。楽しそうだろ?」
「おお! それは楽しそうじゃな!」
「よし。じゃあ旅の支度が出来たら旅に出かけるか」
俺はこの街から出て,旅に出る事を決心した。
朝早く,いつものように店の準備をするブライアンに俺達の事を伝えた。
「そうか……カナデとクロエがいてくれて楽しかったけど仕方ないな。でもまた戻ってくるんだろ??」
「勿論ですよ。俺もクロエもこの店のファンですから! それにピアノの 相応しい置き場所はライデンが一番だと俺は思ってますから」
「ハハハ! ありがとうよ。でもカナデに譲ったんだ。カナデの好きにしたらいいさ」
「ありがとうございます」
俺はそのままの足で冒険者ギルドへと向かう。
ギルドではローレンツ達が依頼を受けようとしている最中だった。
話しかけて,この街から出る事を伝える。
「すぐに出るのか?」
「後二,三日はいますよ。準備も必要ですし。本当にローレンツ達にはお世話になりました。ルイーザに助けられて初めて会った時も親切にして頂いてありがとうございます。皆に出会ってなければ,俺はきっと死んでいたと思います」
「よせよ! あの時はたまたまだし,それに改まってそんな事を言う仲でもないだろ? 俺達はパーティーじゃないが,仲間で友人だろ?」
「そうですね! 友達です」
俺は嬉しかった。三歳から世界中を飛び回り演奏生活をしていた俺にとって,友人と呼べるような存在はしなかった。ライバルや同業者の敵はいたけど,そんな間柄の存在はいなかった。人生で初めてそんな事を言われた俺は照れるしかなかった。
「あ~もうカナデの音楽聴けないの??」
「もうちょっとはこの街にいますからルイーザ」
「拙者も悲しい……恋しくなるなぁ」
「わ,わ,私も寂しいです」
「なんだよ皆して俺の音楽目当てかよ!」
「ハハハ。そんな事ないって! 皆カナデとクロエが居なくなるのは寂しいさ。まあでもまた王都に戻ってくるんだろ? 俺達はいつでも王都にいるから戻ってきたら真っ先にライデンに来いよな」
「勿論ですよ!! 必ず行きます」
「じゃあまた夜にライデンでな」
その後,受付のお姉さんにギルドマスターに呼ばれていると言われ,俺はギルドマスターの部屋を訪れた。
「カナデです」
「カナデさんですか? お待ちしてました。入ってください」
俺はドアを開ける。とんでもない量の書類に囲まれたテーブルで書類整理をしているルネさんが見える。
「カナデさんに伯爵の処遇についての報告をしようと思って呼びました。お忙しいのに申し訳ありません」
「いえいえ。全然構いませんよ。それでどうなったのでしょうか?」
「伯爵は 爵位を剥奪され,領地や財産も押収され,牢にいます。罪を償ったら平民として国から出されます。もう以前のような行いは出来ないと思います」
「なるほど……それなら良かったです」
「今回事はカナデさん達のおかげです助かりました」
ルネが立ち上がり深々とお辞儀をした。
「いえいえ! そんな事しないで下さい! 別にいいです」
「私もライデンにはお世話になりましたから。復活したようで嬉しいです」
「ルネさんも使ってたんですね」
「勿論ですよ。冒険者時代はいつも使ってました。カナデさん達の噂も聞いてますよ」
「え!? どんな!?」
「変な噂じゃないです。音楽を奏でてて楽しい店になっていると」
「実は俺達旅に出ようと思ってるんですよ。音楽の旅に出ようかと思ってまして」
「そうなんですか。それは残念ですね。しかし冒険者ですから仕方ないですね」
「ルネさんも俺達がいなくなる前に一度ライデンに来てください」
「ええわかりました。必ず顔を出します」
「それで今日はクロエさんはどうしたんですか?」
「ライデンの店で寝てますよ。昨日も大分飲んでましたからね」
「実を言うと,クロエさんにやってもらいたい依頼がありまして」
「どんな依頼でしょうか!?」
「これなんですが」
依頼の書類を見ると,ロックリザードというモンスターの討伐依頼だった。
「難しい依頼なんですか??」
「一体だけなら大した事はないんですが,街の外の近くに巣を発見したそうで,何体もいる集団らしく,そうなってくると何十人と冒険者を投入しないといけなくなるんです。お金と時間と人数が必要になってしまうんです。しかし黒竜のクロエさんなら一人でも対処出来ると思いましてね」
「わかりましたルネさん。その依頼引き受けますよ! クロエは俺が説得するんで大丈夫です」
「本当ですか?」
「大丈夫です! 任して下さい。それにちょっと街の外にも行ってみたいんで」
「分かりました。よろしくお願いします。モンスターの素材も回収して頂ければ高値でギルドが買取しますので,旅の資金にもなると思います」
「ではルネさんさっそく行ってきますよ」
俺はギルドを出てライデンへと向かう。
屋根裏に行くと,まだ爆睡しているクロエを叩き起こす。
「おい! クロエ起きろ! ギルドから依頼もらったからモンスター討伐行くぞ!」
「ん~なんじゃカナデ。まだ余は寝たいのじゃ」
「支度して行くぞ!」
「ん~仕方ないの~」
クロエがやっと起き上がる。
「せっかくだから,旅の予行練習するから,野営するぞ」
「おお野営とな! それは楽しそうじゃな!」
ライデンを出て,街の市場へと繰り出した。俺はよく分からないが,食料や調理する道具,野営に必要な物など買ってクロエのアイテムボックスにとりあえず突っ込んだ。
「そういえばクロエって料理とか出来るのか?」
「余が出来るわけないじゃろ!?」
そうだよな……俺だって包丁すら持ったことないのに。料理が出来ないってのは旅するのに致命的だな。どうっすかな……まあなんとかなるか!
買い物を全て終えて,ブライアンに依頼に出かける事を伝えた。
「明日には帰って来るから,ブライアン悪いな」
「なんだそんな事か,全然いいぜ。頑張ってこいよ」
「おおそうじゃそうじゃ! これも持っていかんとな」
クロエはピアノもアイテムボックスに中へと入れていった。
「まあいいけど,そんな弾くこともないぜ多分」
「わからんじゃろ!?」
俺達は街の外へと向かう。ロックリザードの巣がある場所は歩いて半日ほどの場所にあるのだという。俺達は歩いて巣のある場所へと向かっていく。
「のうカナデ! 余の背中に乗って移動したほう速くないか?」
「旅ってのは道中を楽しむもんなんだよ。クロエの背中に乗って移動したら,その道中なんてものがないだろ?? 意味ないんだよ」
「そうなのか??」
「そうそう!」
クロエのやつ,ドラゴンの姿に戻って背中に乗れってか??
高所恐怖症舐めんな本当に!
俺達は道中,特に問題なく進んでいく。ローレンツ達との道中では多少モンスターと遭遇したりしたが,今回は全くそういった事もなく快適だった。
「魔物が一体も出てこなかったな」
「余がいるからじゃろ。余の力を感じたらまず魔物は襲ってこん」
「そういうものなのか?」
「余程の馬鹿か,挑戦者か,そうじゃなきゃ近寄ってもこないのじゃ」
「クロエが仲間だとそれはそれで快適に旅が出来るな」
街を出たのが昼過ぎだったからか,あっという間に夕方近くになっていく。
「そろそろ野営の準備始めるか」
「おおそうじゃな! 野営をしよう」
少し道を外れた茂みの中に入っていくと,湖がそこにはあり,今日はここで野営をする。
テントを張ろうとしたが,中々上手くいかず時間がかかってしまった。
その間にクロエには食料を調達しに行ってもらった。
クロエが戻ってきた。なんかよくわからない巨大な鳥を捕まえてきた。
「なにその鳥……」
「ウインドバードじゃ! 美味しいのじゃ」
料理出来ないって言ってるのに……
俺はとにかくよくわからないが,なんとなくで,調理をする。
危ない手つきでウインドバードを 捌き,アイテムボックスから様々な調理器具を使って調理をしていく。
一応完成した。
ブサイクな形の肉の塊をただ焼いたもの。そしてよく分からないスープもどき。市場で買っておいたパンが食卓に並ぶ。
「おお食べようぞ!」
恐る恐る俺は口に運ぶ。
「おいカナデ。教会で食べたものとそんなに変わらんぞ」
「なんでだ……」
美味しくない。それにこれから旅をするとか言ってるのにこれでは本当にまずい。いつの間にかライデンの店のおかげで舌が肥えてしまっているようだった。
俺達はとにかく食べ終えた。
後片付けをして一息ついた。正直疲れた……
湖を見つめると,絵に描いたように水面には月が映り幻想的だった。
仰向けになると空には星々が見え,虫の声が聴こえる。
「カナデ! 何か一曲弾いてくれないか??」
「ん?? そうだないいぞ。クロエピアノ出してくれ」
クロエはピアノを出し,俺はピアノの前に座る。
「♪ ♪~ ♪ ♪♪~ ♪」
ベートーヴェン作曲ピアノ・ソナタ十四番『月光』
俺の今の眼前に広がる景色と気持ちにピッタリハマる曲だった。
正式にはチェンバロまたはピアノのための幻想曲風ソナタという曲。
緩やかな音から始まり,最後の第三楽章は激しさと情熱,そして情緒が入り交じる演奏に入っていく。本当に音だけで一つの物語を見せられているような気分になる。
俺が今感じている事を鍵盤に乗せて演奏をする。
弾き終え目を開けるとクロエは横になって寝ていた。クロエを抱えテントの中に入り眠りについた。
「カナデは旅に出たいのか??」
「ああ……ここにいるのも楽しいし,皆優しいし居心地がいいけど,旅に出たほうが俺の演奏に良い影響があるとそう考えている」
「なるほどの~。余はカナデに付いていくぞ! どうしたのかはカナデが決めればいい」
「旅をしながら色々な場所で音楽を奏でていく。楽しそうだろ?」
「おお! それは楽しそうじゃな!」
「よし。じゃあ旅の支度が出来たら旅に出かけるか」
俺はこの街から出て,旅に出る事を決心した。
朝早く,いつものように店の準備をするブライアンに俺達の事を伝えた。
「そうか……カナデとクロエがいてくれて楽しかったけど仕方ないな。でもまた戻ってくるんだろ??」
「勿論ですよ。俺もクロエもこの店のファンですから! それにピアノの 相応しい置き場所はライデンが一番だと俺は思ってますから」
「ハハハ! ありがとうよ。でもカナデに譲ったんだ。カナデの好きにしたらいいさ」
「ありがとうございます」
俺はそのままの足で冒険者ギルドへと向かう。
ギルドではローレンツ達が依頼を受けようとしている最中だった。
話しかけて,この街から出る事を伝える。
「すぐに出るのか?」
「後二,三日はいますよ。準備も必要ですし。本当にローレンツ達にはお世話になりました。ルイーザに助けられて初めて会った時も親切にして頂いてありがとうございます。皆に出会ってなければ,俺はきっと死んでいたと思います」
「よせよ! あの時はたまたまだし,それに改まってそんな事を言う仲でもないだろ? 俺達はパーティーじゃないが,仲間で友人だろ?」
「そうですね! 友達です」
俺は嬉しかった。三歳から世界中を飛び回り演奏生活をしていた俺にとって,友人と呼べるような存在はしなかった。ライバルや同業者の敵はいたけど,そんな間柄の存在はいなかった。人生で初めてそんな事を言われた俺は照れるしかなかった。
「あ~もうカナデの音楽聴けないの??」
「もうちょっとはこの街にいますからルイーザ」
「拙者も悲しい……恋しくなるなぁ」
「わ,わ,私も寂しいです」
「なんだよ皆して俺の音楽目当てかよ!」
「ハハハ。そんな事ないって! 皆カナデとクロエが居なくなるのは寂しいさ。まあでもまた王都に戻ってくるんだろ? 俺達はいつでも王都にいるから戻ってきたら真っ先にライデンに来いよな」
「勿論ですよ!! 必ず行きます」
「じゃあまた夜にライデンでな」
その後,受付のお姉さんにギルドマスターに呼ばれていると言われ,俺はギルドマスターの部屋を訪れた。
「カナデです」
「カナデさんですか? お待ちしてました。入ってください」
俺はドアを開ける。とんでもない量の書類に囲まれたテーブルで書類整理をしているルネさんが見える。
「カナデさんに伯爵の処遇についての報告をしようと思って呼びました。お忙しいのに申し訳ありません」
「いえいえ。全然構いませんよ。それでどうなったのでしょうか?」
「伯爵は 爵位を剥奪され,領地や財産も押収され,牢にいます。罪を償ったら平民として国から出されます。もう以前のような行いは出来ないと思います」
「なるほど……それなら良かったです」
「今回事はカナデさん達のおかげです助かりました」
ルネが立ち上がり深々とお辞儀をした。
「いえいえ! そんな事しないで下さい! 別にいいです」
「私もライデンにはお世話になりましたから。復活したようで嬉しいです」
「ルネさんも使ってたんですね」
「勿論ですよ。冒険者時代はいつも使ってました。カナデさん達の噂も聞いてますよ」
「え!? どんな!?」
「変な噂じゃないです。音楽を奏でてて楽しい店になっていると」
「実は俺達旅に出ようと思ってるんですよ。音楽の旅に出ようかと思ってまして」
「そうなんですか。それは残念ですね。しかし冒険者ですから仕方ないですね」
「ルネさんも俺達がいなくなる前に一度ライデンに来てください」
「ええわかりました。必ず顔を出します」
「それで今日はクロエさんはどうしたんですか?」
「ライデンの店で寝てますよ。昨日も大分飲んでましたからね」
「実を言うと,クロエさんにやってもらいたい依頼がありまして」
「どんな依頼でしょうか!?」
「これなんですが」
依頼の書類を見ると,ロックリザードというモンスターの討伐依頼だった。
「難しい依頼なんですか??」
「一体だけなら大した事はないんですが,街の外の近くに巣を発見したそうで,何体もいる集団らしく,そうなってくると何十人と冒険者を投入しないといけなくなるんです。お金と時間と人数が必要になってしまうんです。しかし黒竜のクロエさんなら一人でも対処出来ると思いましてね」
「わかりましたルネさん。その依頼引き受けますよ! クロエは俺が説得するんで大丈夫です」
「本当ですか?」
「大丈夫です! 任して下さい。それにちょっと街の外にも行ってみたいんで」
「分かりました。よろしくお願いします。モンスターの素材も回収して頂ければ高値でギルドが買取しますので,旅の資金にもなると思います」
「ではルネさんさっそく行ってきますよ」
俺はギルドを出てライデンへと向かう。
屋根裏に行くと,まだ爆睡しているクロエを叩き起こす。
「おい! クロエ起きろ! ギルドから依頼もらったからモンスター討伐行くぞ!」
「ん~なんじゃカナデ。まだ余は寝たいのじゃ」
「支度して行くぞ!」
「ん~仕方ないの~」
クロエがやっと起き上がる。
「せっかくだから,旅の予行練習するから,野営するぞ」
「おお野営とな! それは楽しそうじゃな!」
ライデンを出て,街の市場へと繰り出した。俺はよく分からないが,食料や調理する道具,野営に必要な物など買ってクロエのアイテムボックスにとりあえず突っ込んだ。
「そういえばクロエって料理とか出来るのか?」
「余が出来るわけないじゃろ!?」
そうだよな……俺だって包丁すら持ったことないのに。料理が出来ないってのは旅するのに致命的だな。どうっすかな……まあなんとかなるか!
買い物を全て終えて,ブライアンに依頼に出かける事を伝えた。
「明日には帰って来るから,ブライアン悪いな」
「なんだそんな事か,全然いいぜ。頑張ってこいよ」
「おおそうじゃそうじゃ! これも持っていかんとな」
クロエはピアノもアイテムボックスに中へと入れていった。
「まあいいけど,そんな弾くこともないぜ多分」
「わからんじゃろ!?」
俺達は街の外へと向かう。ロックリザードの巣がある場所は歩いて半日ほどの場所にあるのだという。俺達は歩いて巣のある場所へと向かっていく。
「のうカナデ! 余の背中に乗って移動したほう速くないか?」
「旅ってのは道中を楽しむもんなんだよ。クロエの背中に乗って移動したら,その道中なんてものがないだろ?? 意味ないんだよ」
「そうなのか??」
「そうそう!」
クロエのやつ,ドラゴンの姿に戻って背中に乗れってか??
高所恐怖症舐めんな本当に!
俺達は道中,特に問題なく進んでいく。ローレンツ達との道中では多少モンスターと遭遇したりしたが,今回は全くそういった事もなく快適だった。
「魔物が一体も出てこなかったな」
「余がいるからじゃろ。余の力を感じたらまず魔物は襲ってこん」
「そういうものなのか?」
「余程の馬鹿か,挑戦者か,そうじゃなきゃ近寄ってもこないのじゃ」
「クロエが仲間だとそれはそれで快適に旅が出来るな」
街を出たのが昼過ぎだったからか,あっという間に夕方近くになっていく。
「そろそろ野営の準備始めるか」
「おおそうじゃな! 野営をしよう」
少し道を外れた茂みの中に入っていくと,湖がそこにはあり,今日はここで野営をする。
テントを張ろうとしたが,中々上手くいかず時間がかかってしまった。
その間にクロエには食料を調達しに行ってもらった。
クロエが戻ってきた。なんかよくわからない巨大な鳥を捕まえてきた。
「なにその鳥……」
「ウインドバードじゃ! 美味しいのじゃ」
料理出来ないって言ってるのに……
俺はとにかくよくわからないが,なんとなくで,調理をする。
危ない手つきでウインドバードを 捌き,アイテムボックスから様々な調理器具を使って調理をしていく。
一応完成した。
ブサイクな形の肉の塊をただ焼いたもの。そしてよく分からないスープもどき。市場で買っておいたパンが食卓に並ぶ。
「おお食べようぞ!」
恐る恐る俺は口に運ぶ。
「おいカナデ。教会で食べたものとそんなに変わらんぞ」
「なんでだ……」
美味しくない。それにこれから旅をするとか言ってるのにこれでは本当にまずい。いつの間にかライデンの店のおかげで舌が肥えてしまっているようだった。
俺達はとにかく食べ終えた。
後片付けをして一息ついた。正直疲れた……
湖を見つめると,絵に描いたように水面には月が映り幻想的だった。
仰向けになると空には星々が見え,虫の声が聴こえる。
「カナデ! 何か一曲弾いてくれないか??」
「ん?? そうだないいぞ。クロエピアノ出してくれ」
クロエはピアノを出し,俺はピアノの前に座る。
「♪ ♪~ ♪ ♪♪~ ♪」
ベートーヴェン作曲ピアノ・ソナタ十四番『月光』
俺の今の眼前に広がる景色と気持ちにピッタリハマる曲だった。
正式にはチェンバロまたはピアノのための幻想曲風ソナタという曲。
緩やかな音から始まり,最後の第三楽章は激しさと情熱,そして情緒が入り交じる演奏に入っていく。本当に音だけで一つの物語を見せられているような気分になる。
俺が今感じている事を鍵盤に乗せて演奏をする。
弾き終え目を開けるとクロエは横になって寝ていた。クロエを抱えテントの中に入り眠りについた。
10
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる