天才ピアニストでヴァイオリニストの二刀流の俺が死んだと思ったら異世界に飛ばされたので,世界最高の音楽を異世界で奏でてみた結果

yuraaaaaaa

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〜決意とギルドマスターからの依頼〜

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 次の日を迎えて,クロエに俺の考えを伝えた。
 「カナデは旅に出たいのか??」

 「ああ……ここにいるのも楽しいし,皆優しいし居心地がいいけど,旅に出たほうが俺の演奏に良い影響があるとそう考えている」
 「なるほどの~。余はカナデに付いていくぞ! どうしたのかはカナデが決めればいい」
 「旅をしながら色々な場所で音楽を奏でていく。楽しそうだろ?」
 「おお! それは楽しそうじゃな!」
 「よし。じゃあ旅の支度が出来たら旅に出かけるか」

 俺はこの街から出て,旅に出る事を決心した。
 朝早く,いつものように店の準備をするブライアンに俺達の事を伝えた。

 「そうか……カナデとクロエがいてくれて楽しかったけど仕方ないな。でもまた戻ってくるんだろ??」

 「勿論ですよ。俺もクロエもこの店のファンですから! それにピアノの 相応ふさわしい置き場所はライデンが一番だと俺は思ってますから」

 「ハハハ! ありがとうよ。でもカナデに譲ったんだ。カナデの好きにしたらいいさ」
 「ありがとうございます」

 俺はそのままの足で冒険者ギルドへと向かう。
 ギルドではローレンツ達が依頼を受けようとしている最中だった。

 話しかけて,この街から出る事を伝える。
 「すぐに出るのか?」

 「後二,三日はいますよ。準備も必要ですし。本当にローレンツ達にはお世話になりました。ルイーザに助けられて初めて会った時も親切にして頂いてありがとうございます。皆に出会ってなければ,俺はきっと死んでいたと思います」

 「よせよ! あの時はたまたまだし,それに改まってそんな事を言う仲でもないだろ? 俺達はパーティーじゃないが,仲間で友人だろ?」
 「そうですね! 友達です」

 俺は嬉しかった。三歳から世界中を飛び回り演奏生活をしていた俺にとって,友人と呼べるような存在はしなかった。ライバルや同業者の敵はいたけど,そんな間柄の存在はいなかった。人生で初めてそんな事を言われた俺は照れるしかなかった。

 「あ~もうカナデの音楽聴けないの??」
 「もうちょっとはこの街にいますからルイーザ」

 「拙者も悲しい……恋しくなるなぁ」
 「わ,わ,私も寂しいです」

 「なんだよ皆して俺の音楽目当てかよ!」
 「ハハハ。そんな事ないって! 皆カナデとクロエが居なくなるのは寂しいさ。まあでもまた王都に戻ってくるんだろ? 俺達はいつでも王都にいるから戻ってきたら真っ先にライデンに来いよな」

 「勿論ですよ!! 必ず行きます」
 「じゃあまた夜にライデンでな」

 その後,受付のお姉さんにギルドマスターに呼ばれていると言われ,俺はギルドマスターの部屋を訪れた。

 「カナデです」
 「カナデさんですか? お待ちしてました。入ってください」
 俺はドアを開ける。とんでもない量の書類に囲まれたテーブルで書類整理をしているルネさんが見える。

 「カナデさんに伯爵の処遇についての報告をしようと思って呼びました。お忙しいのに申し訳ありません」
 「いえいえ。全然構いませんよ。それでどうなったのでしょうか?」

 「伯爵は 爵位しゃくいを剥奪され,領地や財産も押収され,牢にいます。罪を償ったら平民として国から出されます。もう以前のような行いは出来ないと思います」

 「なるほど……それなら良かったです」
 「今回事はカナデさん達のおかげです助かりました」
 ルネが立ち上がり深々とお辞儀をした。

 「いえいえ! そんな事しないで下さい! 別にいいです」
 「私もライデンにはお世話になりましたから。復活したようで嬉しいです」

 「ルネさんも使ってたんですね」
 「勿論ですよ。冒険者時代はいつも使ってました。カナデさん達の噂も聞いてますよ」
 「え!? どんな!?」

 「変な噂じゃないです。音楽を奏でてて楽しい店になっていると」
 「実は俺達旅に出ようと思ってるんですよ。音楽の旅に出ようかと思ってまして」
 「そうなんですか。それは残念ですね。しかし冒険者ですから仕方ないですね」

 「ルネさんも俺達がいなくなる前に一度ライデンに来てください」
 「ええわかりました。必ず顔を出します」

 「それで今日はクロエさんはどうしたんですか?」
 「ライデンの店で寝てますよ。昨日も大分飲んでましたからね」
 「実を言うと,クロエさんにやってもらいたい依頼がありまして」
 「どんな依頼でしょうか!?」

 「これなんですが」
 依頼の書類を見ると,ロックリザードというモンスターの討伐依頼だった。
 「難しい依頼なんですか??」

 「一体だけなら大した事はないんですが,街の外の近くに巣を発見したそうで,何体もいる集団らしく,そうなってくると何十人と冒険者を投入しないといけなくなるんです。お金と時間と人数が必要になってしまうんです。しかし黒竜のクロエさんなら一人でも対処出来ると思いましてね」

 「わかりましたルネさん。その依頼引き受けますよ! クロエは俺が説得するんで大丈夫です」
 「本当ですか?」

 「大丈夫です! 任して下さい。それにちょっと街の外にも行ってみたいんで」
 「分かりました。よろしくお願いします。モンスターの素材も回収して頂ければ高値でギルドが買取しますので,旅の資金にもなると思います」

 「ではルネさんさっそく行ってきますよ」
 俺はギルドを出てライデンへと向かう。

 屋根裏に行くと,まだ爆睡しているクロエを叩き起こす。
 「おい! クロエ起きろ! ギルドから依頼もらったからモンスター討伐行くぞ!」
 「ん~なんじゃカナデ。まだ余は寝たいのじゃ」

 「支度して行くぞ!」
 「ん~仕方ないの~」
 クロエがやっと起き上がる。

 「せっかくだから,旅の予行練習するから,野営するぞ」
 「おお野営とな! それは楽しそうじゃな!」
 ライデンを出て,街の市場へと繰り出した。俺はよく分からないが,食料や調理する道具,野営に必要な物など買ってクロエのアイテムボックスにとりあえず突っ込んだ。

 「そういえばクロエって料理とか出来るのか?」
 「余が出来るわけないじゃろ!?」
 そうだよな……俺だって包丁すら持ったことないのに。料理が出来ないってのは旅するのに致命的だな。どうっすかな……まあなんとかなるか!

 買い物を全て終えて,ブライアンに依頼に出かける事を伝えた。
 「明日には帰って来るから,ブライアン悪いな」
 「なんだそんな事か,全然いいぜ。頑張ってこいよ」
 「おおそうじゃそうじゃ! これも持っていかんとな」

 クロエはピアノもアイテムボックスに中へと入れていった。
 「まあいいけど,そんな弾くこともないぜ多分」
 「わからんじゃろ!?」
 俺達は街の外へと向かう。ロックリザードの巣がある場所は歩いて半日ほどの場所にあるのだという。俺達は歩いて巣のある場所へと向かっていく。

 「のうカナデ! 余の背中に乗って移動したほう速くないか?」
 「旅ってのは道中を楽しむもんなんだよ。クロエの背中に乗って移動したら,その道中なんてものがないだろ?? 意味ないんだよ」
 「そうなのか??」
 「そうそう!」

 クロエのやつ,ドラゴンの姿に戻って背中に乗れってか??
 高所恐怖症舐めんな本当に!
 
 俺達は道中,特に問題なく進んでいく。ローレンツ達との道中では多少モンスターと遭遇したりしたが,今回は全くそういった事もなく快適だった。
 「魔物が一体も出てこなかったな」
 「余がいるからじゃろ。余の力を感じたらまず魔物は襲ってこん」
 「そういうものなのか?」
 「余程の馬鹿か,挑戦者か,そうじゃなきゃ近寄ってもこないのじゃ」
 「クロエが仲間だとそれはそれで快適に旅が出来るな」

 街を出たのが昼過ぎだったからか,あっという間に夕方近くになっていく。
 「そろそろ野営の準備始めるか」
 「おおそうじゃな! 野営をしよう」

 少し道を外れた茂みの中に入っていくと,湖がそこにはあり,今日はここで野営をする。
 テントを張ろうとしたが,中々上手くいかず時間がかかってしまった。
 その間にクロエには食料を調達しに行ってもらった。

 クロエが戻ってきた。なんかよくわからない巨大な鳥を捕まえてきた。
 「なにその鳥……」
 「ウインドバードじゃ! 美味しいのじゃ」
 料理出来ないって言ってるのに……
 俺はとにかくよくわからないが,なんとなくで,調理をする。
 危ない手つきでウインドバードを さばき,アイテムボックスから様々な調理器具を使って調理をしていく。

 一応完成した。
 ブサイクな形の肉の塊をただ焼いたもの。そしてよく分からないスープもどき。市場で買っておいたパンが食卓に並ぶ。

 「おお食べようぞ!」
 恐る恐る俺は口に運ぶ。
 「おいカナデ。教会で食べたものとそんなに変わらんぞ」
 「なんでだ……」
 
 美味しくない。それにこれから旅をするとか言ってるのにこれでは本当にまずい。いつの間にかライデンの店のおかげで舌が肥えてしまっているようだった。
 俺達はとにかく食べ終えた。

 後片付けをして一息ついた。正直疲れた……
 湖を見つめると,絵に描いたように水面には月が映り幻想的だった。
 仰向けになると空には星々が見え,虫の声が聴こえる。

 「カナデ! 何か一曲弾いてくれないか??」
 「ん?? そうだないいぞ。クロエピアノ出してくれ」
 クロエはピアノを出し,俺はピアノの前に座る。

 「♪ ♪~ ♪ ♪♪~ ♪」
 ベートーヴェン作曲ピアノ・ソナタ十四番『月光』
 俺の今の眼前に広がる景色と気持ちにピッタリハマる曲だった。
 正式にはチェンバロまたはピアノのための幻想曲風ソナタという曲。

 緩やかな音から始まり,最後の第三楽章は激しさと情熱,そして情緒が入り交じる演奏に入っていく。本当に音だけで一つの物語を見せられているような気分になる。
 俺が今感じている事を鍵盤に乗せて演奏をする。

 弾き終え目を開けるとクロエは横になって寝ていた。クロエを抱えテントの中に入り眠りについた。
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