天才ピアニストでヴァイオリニストの二刀流の俺が死んだと思ったら異世界に飛ばされたので,世界最高の音楽を異世界で奏でてみた結果

yuraaaaaaa

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第二章

〜到着エルフの里〜

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 俺達は世界樹を入手する為に魔法陣でエルフの里へと向かった。

 「お前達は一体誰だ? そしてどこから入って来たんだ!」
 見渡す限りのエルフ達に包囲され俺達は身動き取れない状態に今なっている。

 魔法陣を使って飛んだ先が,武装しているエルフが大勢集合していたド真ん中に俺達は現れた。そして今にも殺されそうな状況になっている。俺は両手を上げて抵抗しない意思を伝えようとしているが,伝わってはいないようだった。

 「なんじゃ? なんじゃ? エルフ共よ。やるのか?」
 クロエは余裕だと言わんばかりの態度を示している。

 「オイラも戦うぜ!?」
 ドラゴンの防具を手にして気が強くなっているのか,ロイもやる気マンマンでいる。

 「おいおい! いきなり争い事は勘弁だよ。とりあえずクロエ,大げさにするなよ?」
 「しかし,エルフが殺気立ってて今にもやってきそうじゃぞ!?」

 「守るのはいいが,反撃したりはするなよ?
 「わかったのじゃ」

 「とりあえず……話を聞いてもらえないですか? 俺達は,とある魔法陣を使ったらいきなりここに飛ばされて,今の状況になってるんで,俺達自身も戸惑ってるんですよ」

 「そんな嘘を言っても騙されないぞ!」
 一人のエルフが受け答えをしてくれた。

 「本当に嘘じゃないんですよ……実際にいきなり現れたじゃないですか」
 「その右手に持っている見慣れない物はなんだ?」

 「これですか? これはヴァイオリンのケースで中にヴァイオリンという――」
 「おい! 誰かそやつのそれを確認しろ!」
 一人のエルフが俺に近づき,ヴァイオリンケースを奪おうとする。

 「勝手に触るんじゃねーー!!」
 俺はケースを胸に抱え込み,近づいてきたエルフを突き飛ばした。

 「!?!?!?!?」
 ロイとクロエは驚いた顔をしていた。

 「あ!」
 そう気付いた時には遅かった。

 「取り押さえろーー!!」
 「抵抗するなよ?」
 俺とクロエ,そしてロイは取り押さえられる。

 そのまま俺達は連れて行かれ牢屋と思われる場所に押し込められた。
 「いってぇ~な!」
 「ここでじっとしてろ!」

 「あ~最悪だ!!」
 「なんじゃカナデよ。出ようと思えばいつでも出られるぞ」
 「そうなの?」

 「出られる訳ないでしょ」
 その声に目を向けるとドアに付いている隙間からエルフの顔が見える。声からして女性のエルフだろう。

 「誰じゃ??」
 「あなた達を監視する為にここにいるだけよ」

 「なんで出られないと思うんじゃ?」
 「いまあなた達を閉じ込めている牢は魔法耐性にも優れていて魔法も通じないし,普通に壊そうと思っても頑丈で壊せないからよ」

 「そんな事か,余なら簡単に出来るぞ」
 「ふん。まあそう言ってなさい!」

 「俺達はどうなるんですか?」
 「そのうち分かるでしょう。静かに待ってなさい」

 まさか捕まって牢に閉じ込められる事になるとは予想すらしてなかった。
 前途多難な旅になってしまったと俺は感じていた……

 「というか,カナデがエルフに突っかかったからこうなったんじゃんか」
 「ごめんってロイ」

 「カナデが怒る所なんて初めて見たぞ」 
 「このヴァイオリンはこの世界で不思議な力があろうと魔法があろうと作る事が出来る代物じゃないんだ。俺の命より大事だと絶対に言える」

 「そんなに凄いものなのか?」
 「ああ。だから絶対に壊されたりされたくないんだ。もし俺が死んだらクロエがコイツを保管してくれ」

 「何を言っておるんじゃ! 簡単に死ぬわけがなかろう」
 「ははは」

 「それにしてもお腹空いたなぁ~。エルフ姉ちゃん,ご飯食べさせてくれないの?」
 「あなた達に食事はないわよ! 結果が出るまで大人しくしてなさい」

 「なんじゃと!? 食事がないじゃと!? カナデよライムに作らせるしかないな」
 「え!? ここで? なんかすっげー怒られそうじゃん」

 「オイラも腹が減って大変だぞ」
 そんな会話をしていると,何人かが訪れて外で何かを話しているようだった。
 「なあなあカナデ,ライムに頼んでいつものように食事作ってもらおうぜ」

 「おい! おい! お前達の処罰が決まったようだぞ」

 「それで? 俺達はどうなるんです?」
 「朝一で処刑する事が決まったそうよ」

 「は? 処刑だって? なんでだよ?」
 「カナデ処刑ってなんだ?」
 「なんじゃ!?」

 「殺されるって事だよ。俺達を明日殺すってさ」
 「なんじゃそれ!」
 「オイラ死にたくないぞ」

 「話し合いで決まった事だから覆る事はないわよ」

 「エルフって種族は何もしていない人族を,そしてこんな子供も訳も分からず処刑する野蛮な種族なんだなと理解したよ」
 「あなた今,野蛮って言った!?」

 「ああ言った。野蛮な種族だな! 俺が初めて会ったエルフは俺の事を魔物から救ってくれて,人族だとか種族で何か差別をするようなエルフの女性じゃなかったから,とても崇高な種族だと俺は思ってたよ。だけど,認識を改める必要があるようだ」

 「エルフは誇り高き種族よ! あなた達人族の方が野蛮じゃない」
 「傲慢じゃな」

 「傲慢って私達エルフが??」
 「そうじゃ。それは傲慢じゃ! カナデよ,処刑なんてものは余ならどうにでも出来るから安心しろ! それよりも食事じゃ」

 「そうだな……ライム用意してくれるか?」
 俺のバッグからライムが出てきて,クロエがアイテムボックスから食材を取り出し調理を始めた。

 料理が進むと,だんだんと食欲を刺激する匂いがしてくる。

 「あなた達何勝手にやってるのよ!!」
 「いいだろ別に,明日には俺達処刑されるんだ」
 
 「クロエ酒飲むんだろ? たまには俺も付き合うよ」
 「お! カナデが珍しいの! それじゃあ飲もうか」
 俺とクロエは酒が注がれたジョッキを持って乾杯をする

 「ずるいぞ。オイラも混ぜろよ! カンパーイ」
 俺達は捕まって牢屋に入れられ,明日処刑されるのにもかかわらず騒ぎ始めた。

 「エルフの里の初めての夜じゃ。せっかくだからカナデ何か聴きたいのじゃ」
 「クロエは本当に音楽が好きだな。いいぞちょっと弾いてみようかな」
 俺は立ち上がり,ケースからヴァイオリンを出し,演奏を始める。

 「♪~~~~~~~♪♫♪~~~~~~」
 バッハ作曲『G線上のアリア』

 牢に付いている小さな月明かりが入る鉄窓から見える幻想的なエルフの里の景色が俺の演奏家としての感性を刺激する。

 出来ることなら外で,五感でエルフの里を感じながら演奏してみたいが,今はここで奏でよう。
 
 「少し悲しみを感じさせる音なのに,何故か心は豊かになる音じゃ」
 「なんか今のオイラ達に合う音楽だな」

 ライムもボヨボヨと反応している。一番気に入ってるのかもしれない。
 俺は演奏を終える。

 「ちょっと!! あなた今何やったの?」

 「なんじゃ小娘のエルフよ! お主には関係ないじゃろ」
 「気になっただけよ。一体何なのよ」

 「これが音楽だよ……エルフにはないのか?」
 「ないわ……」

 「もしかしてエルフ姉ちゃんカナデの音楽聴いて,感動しちゃったんじゃないの?」
 「はぁ!? 私が!? 人族に感動なんてするわけないじゃない」

 「それにしては熱心に聴いておったの」
 「知らなかったから,少し気になっただけよ」

 「明日になったら,死ぬからもう一生聞けないけどね」
 少しの嫌味を俺は吐き,食事の続きを俺は楽しむ。
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