42 / 56
第二章
〜エルフ奪還作戦②〜
しおりを挟む
だだっ広い庭を通り,簡単に屋敷の中へと入る事が出来た。
屋敷の中はあちこちが荒れていた。そして,あちこちで人が倒れていた。
「こっちじゃ」
クロエの後を俺達は付いて行く。
屋敷の二階に上がり,長い直線の廊下を進んでいく。
突き当りに差し掛かると,正面に大きなドアが見える。
クロエは躊躇なくドアに飛び蹴りをかまし,ドアをぶっ壊した。
先程,外から見えていた屋根が吹き飛んだ部屋に到着した。
「あら? やっと皆来たわね!」
そこにはミーナと,牢屋に閉じ込められていた時に見たドルド伯爵が居た。
ドルド伯爵は,ミーナに対して土下座をしているような体勢をしている。
神に祈るかのようにミーナに跪き,手を組んでいる。ドルド伯爵の体は震えていた。
「今コイツから同胞の場所を訊いていた所だったの」
「それで――。場所は分かったのか?」
「ええ。教えてもらったわ! 殺そうとしたらコイツが命乞いをしてきて,そんなやり取りをしている時にカナデ達が来たって感じよ」
「殺すのか?」
「コイツが私達エルフを攫ったり人身売買していた張本人なのよ。生かす意味がないわ。生かしたらまた必ず繰り返すわ」
「お願いします! お願いします! 殺さないで下さい」
ドルド伯爵は,頭を床に擦り付けながら懇願していた。
「どうか……どうか,おねが――」
ミーナが右手を振り払うとドルド伯爵の首が飛んでいった。
ゴロゴロとドルド伯爵の首が転がり,目だけがこっちを見ている。
ドルド伯爵の目と俺の目が合った。
人の死体を見る事に慣れていない俺は,すぐに目を逸らす。
「ミーナ,エルフ達は何処にいるんじゃ!?」
ごく普通の日常かのようにクロエは普通に,ミーナに尋ねる。
「この屋敷の地下に囚われているみたい。後は何人かの貴族の家に奴隷にされてるっていう事もドルドから聞いたわ。とりあえず地下に助けに行くわ」
屋敷を出て庭の奥へと向かっていく。そして隠された扉を発見する。
ミーナが右手を掛けて扉を開く。開いた瞬,中から嗅いだことがない異臭がした。
「臭い! 臭いぞこれは! オイラ我慢出来ない」
我慢するのがキツイ程,異臭が漂っていた。
階段を降りていき,下まで降りると,長く続く道と両側に牢が何十箇所とあった。
牢の中を見ると,様々な人間? が囚われているようだった。
「みんな!! みんな生きてる?」
そうミーナが叫ぶと,反応があった。
「その声は,ミーナさん!? ミーナさんですか!?」
声のする方へと向かうと,エルフが囚われていた。
「いま,助けてあげるから待ってて!」
ミーナが両手で目の前を振り払うと,鉄の檻がいとも簡単にバラバラになった。
同胞のエルフの手枷を外す。助けられたエルフはミーナに抱きつく。
「ミーナさんありがとうございます! 助からないと思ってました」
「いいのよ! それより他の仲間達は?」
「まだ何処かにいると思います。連れて行かれた者達は分かりませんが」
「クロエ達も手分けして救出してもらえないかしら?」
「分かったのじゃ!」
俺はエルフが収監されている牢を探す。
エルフだけじゃなく人間や,俺の知らない種族らしき者達も囚われているようだった。
俺は,とある牢で鎖に両手と両足を継がれたエルフを発見する。
「ミーナ!! ミーナこっち来て!!」
ミーナが小走りで俺の方へと来た。
「カナデ……ちょっと離れてて」
ミーナは牢を破壊し,繋がれている鎖も破壊しエルフを助けた。
しかし,そのエルフの生気はもう失われていて,全く動かなかった。
ミーナは赤ん坊を抱えるかのように,大事に同胞を抱え込む。
「ごめん。ごめんね!」
そう言いながらミーナは涙を流していた。
ミーナは仲間の軀を置いて立ち上がる。
「他を助けて来るわ……」
ミーナは牢を出る。
目の前にあるエルフの無残な姿と臭いに,とうとう我慢できずに俺は吐いてしまった。
身体中は傷だらけで,顔を見たら,原型が分からない程,潰されていた。
どういった事があったのか,想像すら出来ない。
だけれど,非人道的で酷い仕打ちにあった事は分かる。
俺はフラフラになりながら,立ち上がり牢を出る。
まだ助けないといけないエルフが居ないか俺は探そうとする――。
「おい! おい! 人間のお前!」
声が聞こえた。俺は声の出処を探したが見つからない。
「おい! こっちだ。こっち!」
はっきりと声だけは聞こえる。だが,分からない……
「こっちだっつってんだろ!!」
よく見渡してやっと声の主が分かる。だが俺は,自分自身の目を疑った。
屋敷の中はあちこちが荒れていた。そして,あちこちで人が倒れていた。
「こっちじゃ」
クロエの後を俺達は付いて行く。
屋敷の二階に上がり,長い直線の廊下を進んでいく。
突き当りに差し掛かると,正面に大きなドアが見える。
クロエは躊躇なくドアに飛び蹴りをかまし,ドアをぶっ壊した。
先程,外から見えていた屋根が吹き飛んだ部屋に到着した。
「あら? やっと皆来たわね!」
そこにはミーナと,牢屋に閉じ込められていた時に見たドルド伯爵が居た。
ドルド伯爵は,ミーナに対して土下座をしているような体勢をしている。
神に祈るかのようにミーナに跪き,手を組んでいる。ドルド伯爵の体は震えていた。
「今コイツから同胞の場所を訊いていた所だったの」
「それで――。場所は分かったのか?」
「ええ。教えてもらったわ! 殺そうとしたらコイツが命乞いをしてきて,そんなやり取りをしている時にカナデ達が来たって感じよ」
「殺すのか?」
「コイツが私達エルフを攫ったり人身売買していた張本人なのよ。生かす意味がないわ。生かしたらまた必ず繰り返すわ」
「お願いします! お願いします! 殺さないで下さい」
ドルド伯爵は,頭を床に擦り付けながら懇願していた。
「どうか……どうか,おねが――」
ミーナが右手を振り払うとドルド伯爵の首が飛んでいった。
ゴロゴロとドルド伯爵の首が転がり,目だけがこっちを見ている。
ドルド伯爵の目と俺の目が合った。
人の死体を見る事に慣れていない俺は,すぐに目を逸らす。
「ミーナ,エルフ達は何処にいるんじゃ!?」
ごく普通の日常かのようにクロエは普通に,ミーナに尋ねる。
「この屋敷の地下に囚われているみたい。後は何人かの貴族の家に奴隷にされてるっていう事もドルドから聞いたわ。とりあえず地下に助けに行くわ」
屋敷を出て庭の奥へと向かっていく。そして隠された扉を発見する。
ミーナが右手を掛けて扉を開く。開いた瞬,中から嗅いだことがない異臭がした。
「臭い! 臭いぞこれは! オイラ我慢出来ない」
我慢するのがキツイ程,異臭が漂っていた。
階段を降りていき,下まで降りると,長く続く道と両側に牢が何十箇所とあった。
牢の中を見ると,様々な人間? が囚われているようだった。
「みんな!! みんな生きてる?」
そうミーナが叫ぶと,反応があった。
「その声は,ミーナさん!? ミーナさんですか!?」
声のする方へと向かうと,エルフが囚われていた。
「いま,助けてあげるから待ってて!」
ミーナが両手で目の前を振り払うと,鉄の檻がいとも簡単にバラバラになった。
同胞のエルフの手枷を外す。助けられたエルフはミーナに抱きつく。
「ミーナさんありがとうございます! 助からないと思ってました」
「いいのよ! それより他の仲間達は?」
「まだ何処かにいると思います。連れて行かれた者達は分かりませんが」
「クロエ達も手分けして救出してもらえないかしら?」
「分かったのじゃ!」
俺はエルフが収監されている牢を探す。
エルフだけじゃなく人間や,俺の知らない種族らしき者達も囚われているようだった。
俺は,とある牢で鎖に両手と両足を継がれたエルフを発見する。
「ミーナ!! ミーナこっち来て!!」
ミーナが小走りで俺の方へと来た。
「カナデ……ちょっと離れてて」
ミーナは牢を破壊し,繋がれている鎖も破壊しエルフを助けた。
しかし,そのエルフの生気はもう失われていて,全く動かなかった。
ミーナは赤ん坊を抱えるかのように,大事に同胞を抱え込む。
「ごめん。ごめんね!」
そう言いながらミーナは涙を流していた。
ミーナは仲間の軀を置いて立ち上がる。
「他を助けて来るわ……」
ミーナは牢を出る。
目の前にあるエルフの無残な姿と臭いに,とうとう我慢できずに俺は吐いてしまった。
身体中は傷だらけで,顔を見たら,原型が分からない程,潰されていた。
どういった事があったのか,想像すら出来ない。
だけれど,非人道的で酷い仕打ちにあった事は分かる。
俺はフラフラになりながら,立ち上がり牢を出る。
まだ助けないといけないエルフが居ないか俺は探そうとする――。
「おい! おい! 人間のお前!」
声が聞こえた。俺は声の出処を探したが見つからない。
「おい! こっちだ。こっち!」
はっきりと声だけは聞こえる。だが,分からない……
「こっちだっつってんだろ!!」
よく見渡してやっと声の主が分かる。だが俺は,自分自身の目を疑った。
10
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。
死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。
命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。
自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる