人間と犬と優子と僕

yuraaaaaaa

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〜最後の演奏〜

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 子分が最近,やたらと音を鳴らす事が多くなった。家に帰ってくるのも遅い事が多い。
 そのせいで中々外に行ける事が少なくなって,私は不満が溜まっていた。
 今日も子分は,家に帰ってからずっと音を出していた。

 「おい! 散歩は? 行かないの?」
 「コロ。邪魔しないで? 散歩は少しの間お預けね……ママが早く帰ってくれば,ママがきっと連れて行ってくれるから。分かった?」
 子分の声は普段とは違い真剣だった。

 邪魔してはいけない,私はそう感じて静かに過ごす事にした。
 ご主人が早く帰ってくれば外に連れ出してくれた。

 その状態は暫く続いていった。
 日差しが強く外に出た瞬間に蒸し暑い時期がやってきた。

 その日は朝早くから子分が慌ただしくしていた。
 ドタドタッ!

 「優子ー!? お弁当持っていきなさい!」
 「分かったよー」

 「ん~うるさいなぁ」
 「じゃあ行ってくるね!」
 「優子! 忘れてるってお弁当」
 「あ! ごめんママ。ありがとう」
 「いってきま~す」
 「頑張ってらっしゃい」

 ご主人と共に玄関で子分を見送った。
 「コロ,月日が経つのって早いわね本当に。あっという間に優子は吹奏楽の最後の大会だって。ついこの間入学したと思ってたのにね! いい成績残せると良いわね」
 私の事を撫でながらご主人は語った。

 中から見る外の世界が赤々となった頃に子分が帰ってきた。
 「ただいまー」
 「おかえり優子! もう少ししたら夕ご飯出来るよ」
 「は~い」

 ご主人達も揃い子分も含めて食事をすることに。
 「「「いただきます」」」
 「優子,今日はどうだったの?」
 「ん~~~,ダメ金だったんよね……」
 
 「ダメ金ってのは何だ?」
 「一位獲ったのに,次の大会に進めない金賞をダメ金って言うんだよ。3年間で初めて金賞獲ったのにダメ金だったんだよね」

 「金賞だったなら凄いじゃない!」
 「そうなんだけどね……他の部活だったそんな事ないでしょ!? 優勝したのに県大会出れないって事だからね。良かったことは間違いないんだけど,なんかやりきれないんだよね!」

 「そうか。でも頑張って皆で獲った事にはかわりないんだ! だから誇っていいと思うぞ」
 「うん。ありがとうパパ」
 「高校でも吹奏楽続けるの?」
 「続けようと思ってるよ。部活の友達も皆高校でもう一度頑張りたいって言ってるし」

 「そうなのか。それはいいと思うぞ! どこ受験してもいいけど,そういった目標があった方が勉強もはかどるしな」

 「まあボチボチ頑張るよパパ。ご馳走様」
 子分は二階へと上がって行った。

 「コロ? 優子の事頼んでもいいかい? 元気付けてやってくれ」
 ご主人が私の事を見つめながら話す。勘付いた私は子分の部屋へと向かう。
 ドアに爪でカリカリと音を立てているとドアが開いた。
 「コロ? どうしたの?」
 私は素直に座ったまま佇み,子分の瞳を見つめた。

 「入る?」
 その言葉と共に,私は子分の部屋に入る。

 子分は座ってちゃぶ台に腕を伸ばして突っ伏している。
 「コロ~。ダメ金だったんだよダメ金! 最悪だよ! 悔しいよやっぱ……」
 「あんなにいっぱい練習して,皆で力を合わせて頑張って金賞獲ったのに……」

 「……」
 子分が抱きついてきた。

 う~。苦しい……。
 私の体の毛並みが濡れる。

 「まあ,よくわからないけど,もう泣くなよ?」
 少しは大きく,大人になったと思った子分だったが,いつまで経っても泣き虫だな。

 「高校に入ってリベンジしようと思ってるんだよねコロ。応援してくれる?」
 「そうだな」
 
 「だから張って吹奏楽部が強い高校に入ろうと思ってるんだ。パパとママにはまだ言ってないからコロ内緒だよ?」
 「伝わってないから大丈夫だよ」

 「コロありがとうね! 元気付けに来てくれたんでしょ? でも大丈夫だよ! 昔みたいにもう泣き虫じゃなくなったんだから。もうすぐ私は高校生だよ!?」
 私は子分の頬に伝う涙をぬぐう。

 「今日は一緒に寝よっか!」
 子分に誘われ久しぶりに子分と共に眠りについた。
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