17 / 49
十七 フラグ立つ
しおりを挟む
剣術大会が終わって、寮へと帰る道すがらジョーゼットと顔を見合わせて共犯者の様な笑みを交わした。
「ふふっ。叱られてしまったけれどとっても楽しかったわ」
「私もよ」
ジョーゼットの用意した馬車に乗せられて寮まで戻るまでに彼女はとてもイキイキと話をした。
私の方も生ユリアンが見れたし、今夜はリアル・ユリアン人形の着替用として騎士の鎧っぽいのを作ろうかしら?
「でも、今回の事はお父様に知られちゃうわ」
ジョーゼットが困ったように可愛らしく笑って言った。その笑顔で大概のことは許されそうだけどね。私のやや切れ長の瞳と違って彼女は本当に愛くるしさがあるわよね。
寮に戻ると私は自室の机でいつものようにステータスを確認した。
《ステータス》
アーシア・モードレット……
[レベル1]
女性・ヒューマン型……
[スキル]
ムチ使い レベルMAX
裁縫 レベル2……
[好感度]
ユリアン・ライル UP↑↑↑
ジョーゼット・ローレン UP↑↑
アベル王太子 UP↑↑
ガブリエラ・ミーシャ DOWN↓
今日はなんと文字化けしていたところにスキルなんてものが見えるようになっていたの。それにMAXということはムチ使いのスキルはカンストしてたの? 道理で勝手に体が動いたし、ムチが使い易いと思ったわ。普通はあんな戦闘なんてできる筈ないもの。日本では普通の学生だったし、特別なことは何もしてないしね。逆にアーシアの方がいろいろと教養を受けているのよね。悪役令嬢とは言えやはり高スペック。
それにしても、ユリアンの好感度が矢印三つも上がったというのだから、大幅アップしたの? どのくらいなのか見えればいいのに。アベル王太子様も上がるの? だけどガブちゃんの好感度は何故下がるのよ? 逆にこっちが迷惑をかけられてる気がするわ。
そんなことを考えつつ、リアル・ユリアン人形の着替え用の端切れを持ってきたものの中から探した。他にも家に持ってきてもらうように頼もうかしら。他にも必要なものがあるしね。そろそろお兄様の服も汚れてきてるしね。
でも、今日はプリムラ学園のイベントを見ることが出来て満足な一日だったわ。
ああ、そうよ。ムチのお手入れもしておかないと。あんな風に急に必要になると困るしね。
目が疲れてきたので、明かりを消してベッドに入った。この世界は電気の代わりに魔道鉱石というのを使ってライフラインが整備されている。向こうの世界の石炭ぽい見た目だけど有害なものを出さないクリーンなエネルギーなのよね。魔導力を使って、灯りなどのエネルギーを使えるように国が整備しているものもあるし、ここは寮の建物単位で管理されている。それに魔道という魔法のようなものがあるのは分かっているし、今回のスキルは聞いたことがないから誰かに聞かなくちゃね。
そうそう、それに私のムチに使われているドラゴンね。いるんだけど今は絶滅危惧種だからそうそう見ることはないから安心して。それにしても、こんなのあの『ゆるハー』には無かったわ。一応乙女ゲーだったしね。好感度を上げて、気品と知力とかの数値を上げれば対象者とハッピーエンドになる、そんなゆるゆるゲーの筈なのに……。
剣術大会の翌々日にはなんと寮にユリアンからの贈り物が届いた。それは可愛らしいピンクの薔薇の花束と絵本だった。添えられたカードには型通りの挨拶に始まって観に来てくれて嬉しかったとの言葉が書かれていた。更には今度の休みは一緒に出掛けたいなどど書かれていたの。これってデートのお誘い? お出かけイベントのフラグだわ。
やっぱり、ユリアンルートは王道だわ。でも、私はヒロインじゃないから、狙えない。だけどガブリエラちゃんはルークお兄様といっていたから、大丈夫なのかな? 仲良くなれているし。でも、取り違えが分かったら名門伯爵家に庶民のお嫁さんはゲーム以上に有り得ないかもね……。
だから、やっぱり、目指せ富豪の娘エンドね。きっとそれからよね。
「あら? うふふ。ライル伯爵から? 先日は楽しかったわね。お父様からはしばらく外出禁止を言われちゃったけれど……」
授業を誘いにきたジョーゼットに見られてしまったけど、こうやって惚気るのも楽しい。コイバナよね。え? 彼氏はいたのかって? それは……。
それからは再び平常授業でいつもの生活が戻ってきた。なんだか入学してから、バタバタしてたので少しほっとするわ。
でも、相変わらずステータスの方は気品、知力、運動、マナーは片方上がれば片方下がるという。数値が一とか二くらい増えれば良い方でこんなに上がるのが難かったかしら? もしかして、これってハードモードとかなの?
平穏な日々でほんわかしているとマナーの先生が色めきだって入ってきた。
「本日は素晴らしい方を講師としてお迎えできましたの」
そして何故か私の方に意味ありげに視線を送ってきた。
「さあ、どうぞ。モードレット侯爵家のルーク様です」
私はずるりを椅子から滑り落ちそうになった。この教室の机はそれぞれ素晴らしいのよ。選び抜かれた職人の技で肘掛けもついているの。シートはベルベットでふんわり……。じゃなくて。今なんて? ほぁっ?
「初めまして、でいいかな。お嬢様方」
そんな魅惑のボイスで妖艶な微笑で入室してきたのはルークお兄様だったのよ!
周囲からはキャーという歓声が沸いてしばらく何も聞こえない状態に。
――どういうことなの? 誰か助けてプリーズ!
「ふふっ。叱られてしまったけれどとっても楽しかったわ」
「私もよ」
ジョーゼットの用意した馬車に乗せられて寮まで戻るまでに彼女はとてもイキイキと話をした。
私の方も生ユリアンが見れたし、今夜はリアル・ユリアン人形の着替用として騎士の鎧っぽいのを作ろうかしら?
「でも、今回の事はお父様に知られちゃうわ」
ジョーゼットが困ったように可愛らしく笑って言った。その笑顔で大概のことは許されそうだけどね。私のやや切れ長の瞳と違って彼女は本当に愛くるしさがあるわよね。
寮に戻ると私は自室の机でいつものようにステータスを確認した。
《ステータス》
アーシア・モードレット……
[レベル1]
女性・ヒューマン型……
[スキル]
ムチ使い レベルMAX
裁縫 レベル2……
[好感度]
ユリアン・ライル UP↑↑↑
ジョーゼット・ローレン UP↑↑
アベル王太子 UP↑↑
ガブリエラ・ミーシャ DOWN↓
今日はなんと文字化けしていたところにスキルなんてものが見えるようになっていたの。それにMAXということはムチ使いのスキルはカンストしてたの? 道理で勝手に体が動いたし、ムチが使い易いと思ったわ。普通はあんな戦闘なんてできる筈ないもの。日本では普通の学生だったし、特別なことは何もしてないしね。逆にアーシアの方がいろいろと教養を受けているのよね。悪役令嬢とは言えやはり高スペック。
それにしても、ユリアンの好感度が矢印三つも上がったというのだから、大幅アップしたの? どのくらいなのか見えればいいのに。アベル王太子様も上がるの? だけどガブちゃんの好感度は何故下がるのよ? 逆にこっちが迷惑をかけられてる気がするわ。
そんなことを考えつつ、リアル・ユリアン人形の着替え用の端切れを持ってきたものの中から探した。他にも家に持ってきてもらうように頼もうかしら。他にも必要なものがあるしね。そろそろお兄様の服も汚れてきてるしね。
でも、今日はプリムラ学園のイベントを見ることが出来て満足な一日だったわ。
ああ、そうよ。ムチのお手入れもしておかないと。あんな風に急に必要になると困るしね。
目が疲れてきたので、明かりを消してベッドに入った。この世界は電気の代わりに魔道鉱石というのを使ってライフラインが整備されている。向こうの世界の石炭ぽい見た目だけど有害なものを出さないクリーンなエネルギーなのよね。魔導力を使って、灯りなどのエネルギーを使えるように国が整備しているものもあるし、ここは寮の建物単位で管理されている。それに魔道という魔法のようなものがあるのは分かっているし、今回のスキルは聞いたことがないから誰かに聞かなくちゃね。
そうそう、それに私のムチに使われているドラゴンね。いるんだけど今は絶滅危惧種だからそうそう見ることはないから安心して。それにしても、こんなのあの『ゆるハー』には無かったわ。一応乙女ゲーだったしね。好感度を上げて、気品と知力とかの数値を上げれば対象者とハッピーエンドになる、そんなゆるゆるゲーの筈なのに……。
剣術大会の翌々日にはなんと寮にユリアンからの贈り物が届いた。それは可愛らしいピンクの薔薇の花束と絵本だった。添えられたカードには型通りの挨拶に始まって観に来てくれて嬉しかったとの言葉が書かれていた。更には今度の休みは一緒に出掛けたいなどど書かれていたの。これってデートのお誘い? お出かけイベントのフラグだわ。
やっぱり、ユリアンルートは王道だわ。でも、私はヒロインじゃないから、狙えない。だけどガブリエラちゃんはルークお兄様といっていたから、大丈夫なのかな? 仲良くなれているし。でも、取り違えが分かったら名門伯爵家に庶民のお嫁さんはゲーム以上に有り得ないかもね……。
だから、やっぱり、目指せ富豪の娘エンドね。きっとそれからよね。
「あら? うふふ。ライル伯爵から? 先日は楽しかったわね。お父様からはしばらく外出禁止を言われちゃったけれど……」
授業を誘いにきたジョーゼットに見られてしまったけど、こうやって惚気るのも楽しい。コイバナよね。え? 彼氏はいたのかって? それは……。
それからは再び平常授業でいつもの生活が戻ってきた。なんだか入学してから、バタバタしてたので少しほっとするわ。
でも、相変わらずステータスの方は気品、知力、運動、マナーは片方上がれば片方下がるという。数値が一とか二くらい増えれば良い方でこんなに上がるのが難かったかしら? もしかして、これってハードモードとかなの?
平穏な日々でほんわかしているとマナーの先生が色めきだって入ってきた。
「本日は素晴らしい方を講師としてお迎えできましたの」
そして何故か私の方に意味ありげに視線を送ってきた。
「さあ、どうぞ。モードレット侯爵家のルーク様です」
私はずるりを椅子から滑り落ちそうになった。この教室の机はそれぞれ素晴らしいのよ。選び抜かれた職人の技で肘掛けもついているの。シートはベルベットでふんわり……。じゃなくて。今なんて? ほぁっ?
「初めまして、でいいかな。お嬢様方」
そんな魅惑のボイスで妖艶な微笑で入室してきたのはルークお兄様だったのよ!
周囲からはキャーという歓声が沸いてしばらく何も聞こえない状態に。
――どういうことなの? 誰か助けてプリーズ!
13
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~
咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】
あらすじ
「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」
聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。
彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。
しかし、エリーナはめげなかった。
実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ!
北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。
すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。
「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」
とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。
以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。
最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる