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三十二 とんだ大舞踏会
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挨拶の人波は途切れる様子は無く私はルークお兄様に休憩をとりたいとお願いしたの。しぶしぶ承諾されてやっとお母様とレストルームへ。でも、そこは女の園でしたわ。お母様がいたから大丈夫だったわ。噂話をしていた女性陣がお母さまの扇をぱたりとさせただけで黙ってしまわれたわ。流石は宮廷を泳ぎ切っているお母様よ。私と並ぶと姉妹のような若々しさも素晴らしいものです。
そこへジョーゼットも休憩にいらしたのだけれど好奇心露わな視線に耐えられず、部屋を出てしまったのよ。私は慌てて後を追ったわ。
「ジョーゼット。お待ちになって!」
ドレスが足に絡んで走りにくいものだわ。裾を持ち上げるのも一苦労よ。でもジョーゼットはやはり深窓のお嬢様だから早くなくて、追いつくことが出来たわ。
「もう、大舞踏会ではお話できると言ってたじゃない。何よ。逃げるなんて」
「……アーシア」
「あのデビューのことは、あれはルーク……お兄様が勝手にお願いしてあったことで、私はアベル様とは何も無いのよ」
私の婚約者はユリアン様なのよ。小さな頃からそれは変わらないわ。でも、それもこれからどうなるか分からないし、そっとこの思いは胸の中にしまっておくつもりよ。だって、今の私を取り巻いている人達は庶民になったら誰も見向きなんてしないだろうしね。庶民になってから、運命の人を探すわ。きっと見つかるわよ。……くすん。
「本当? 信じていいのね」
涙を浮かべて手を握ってくるジョーゼットに私は力強く肯いた。
「勿論。信じて頂戴。アベル王太子様にはジョーゼットの方がお似合いよ」
こんな可憐な少女は日本のときだって今までだって見たことなかったわ。私より可憐と言う言葉はジョーゼットにこそ相応しいの。
「ありがとう。アーシア。私は小さい頃からアベル様しか見ていなかったから。……もし、アーシアがアベル王太子様のことを好きになって、アベル様もアーシアのことをお気に召したなら……。そう考えたら堪らなくなってしまって……」
「そんな。私のデビューでジョーゼットを悲しませるつもりは無かったの。もう、こんなことならいっそ、デビューなんてしなかったら良かったわ。もともと私は家でいたんだもの」
私が大げさに肩を竦めるとジョーゼットは微かに微笑んでくれた。
「それより、いよいよ。このバカげたデビューが済んだらバカンスよ! 私はジョーゼットの別荘に招待されるを楽しみにしてるのよ? なんならうちの海辺の別荘でも良くてよ。ああ、そうするともれなく家の陰険腹黒のルークお兄様がいるけどね」
約束したけどそれが社交辞令かもしれないもの。念押ししておかないと。
「ええ、勿論よ。シーズンが終わったら向かうわ。そのときお知らせするわね」
やっとジョーゼットが笑みを見せてくれたのでほっとしたわ。本当にルークお兄様には迷惑してるのよ。大体中身が庶民の私が王太子妃なんて務まらないわ。
でもバカンスよ! お友達とね。内心私は叫びだしたいのを我慢したわ。今ムチを持たせたら最高の振り具合になりそうよ。今宵のムチの音は一味違うわとか言いたいぐらい。
ジョーゼットと仲良く会場まで戻ったわ。そこでは興味津々な視線が注がれた。そりゃそうよね。今までの王太子の婚約者とされていた令嬢といきなり現れてデビューの際に王太子様の絶賛を受けたダークホースが仲良くしてるんだから。当人たちを置き去りにして噂だけが走るのはどこの世界も同じよね。
こうして私のデビューは無事幕を閉じた。翌日からはあちらのお茶会こちらの夜会にと普通のご令嬢のようにお呼ばれすることになったわ。社交界にでた未婚の男女は結婚相手を探すというのが相場だから。それも女性は早くしないと嫁き遅れのレッテルが貼られて誰にも声が掛からない壁の花になってしまうのよ。
私もお兄様に連れられて夜会なんだお茶会に出る。ジョーゼットもいることが多いので二人で話に花が咲くわ。二人でいると自然と他の学園の女性達も集まって楽しいわ。いいのかしら?
「アーシア様はこの夏の社交界の華ですわね。でも、残念ですわ。ドレス姿より凛々しい男装姿の方がよく似合ってますのに」
そんなこともひらほら聞こえたけれど社交界まで噂になりたくないわ。目立たないようにしないとね。それにしてもガブちゃんとは会えないわね。庶民とはやはり違うんだわ。こっそりお店に行ってみたいけれどデビューしてから監視がきついのよ。気楽にお出かけなんてできやしない。このまま三年は何気にきついわ。早く入れ違いを直してもらわないといけないわ。
「あら、あなた素敵。その扇はどうしたの? 孔雀のように光っているじゃないの」
濃緑の美しい扇を持っているご令嬢がいて、孔雀の羽を使っているみただった。
「ああ。これは特別に……。ミーシャ商会で手に入れましたの。おほほ。大したものではありあせんわ」
そういいながら鼻高々な感じだった。
「ミーシャ商会。ええ、商工ギルドの長のお店ね。あそこは良いものがそろっているわよね。私も取り寄せしようかしら」
口々にミーシャ商会の話がでて、いずれはお世話になる所の評判が良いことに少し私も嬉しかった。今度、お店に行って夏休みにうちの別荘に誘おうかしら? それかお兄様にお願いしてお店に行くのもいいわよね。
そこへジョーゼットも休憩にいらしたのだけれど好奇心露わな視線に耐えられず、部屋を出てしまったのよ。私は慌てて後を追ったわ。
「ジョーゼット。お待ちになって!」
ドレスが足に絡んで走りにくいものだわ。裾を持ち上げるのも一苦労よ。でもジョーゼットはやはり深窓のお嬢様だから早くなくて、追いつくことが出来たわ。
「もう、大舞踏会ではお話できると言ってたじゃない。何よ。逃げるなんて」
「……アーシア」
「あのデビューのことは、あれはルーク……お兄様が勝手にお願いしてあったことで、私はアベル様とは何も無いのよ」
私の婚約者はユリアン様なのよ。小さな頃からそれは変わらないわ。でも、それもこれからどうなるか分からないし、そっとこの思いは胸の中にしまっておくつもりよ。だって、今の私を取り巻いている人達は庶民になったら誰も見向きなんてしないだろうしね。庶民になってから、運命の人を探すわ。きっと見つかるわよ。……くすん。
「本当? 信じていいのね」
涙を浮かべて手を握ってくるジョーゼットに私は力強く肯いた。
「勿論。信じて頂戴。アベル王太子様にはジョーゼットの方がお似合いよ」
こんな可憐な少女は日本のときだって今までだって見たことなかったわ。私より可憐と言う言葉はジョーゼットにこそ相応しいの。
「ありがとう。アーシア。私は小さい頃からアベル様しか見ていなかったから。……もし、アーシアがアベル王太子様のことを好きになって、アベル様もアーシアのことをお気に召したなら……。そう考えたら堪らなくなってしまって……」
「そんな。私のデビューでジョーゼットを悲しませるつもりは無かったの。もう、こんなことならいっそ、デビューなんてしなかったら良かったわ。もともと私は家でいたんだもの」
私が大げさに肩を竦めるとジョーゼットは微かに微笑んでくれた。
「それより、いよいよ。このバカげたデビューが済んだらバカンスよ! 私はジョーゼットの別荘に招待されるを楽しみにしてるのよ? なんならうちの海辺の別荘でも良くてよ。ああ、そうするともれなく家の陰険腹黒のルークお兄様がいるけどね」
約束したけどそれが社交辞令かもしれないもの。念押ししておかないと。
「ええ、勿論よ。シーズンが終わったら向かうわ。そのときお知らせするわね」
やっとジョーゼットが笑みを見せてくれたのでほっとしたわ。本当にルークお兄様には迷惑してるのよ。大体中身が庶民の私が王太子妃なんて務まらないわ。
でもバカンスよ! お友達とね。内心私は叫びだしたいのを我慢したわ。今ムチを持たせたら最高の振り具合になりそうよ。今宵のムチの音は一味違うわとか言いたいぐらい。
ジョーゼットと仲良く会場まで戻ったわ。そこでは興味津々な視線が注がれた。そりゃそうよね。今までの王太子の婚約者とされていた令嬢といきなり現れてデビューの際に王太子様の絶賛を受けたダークホースが仲良くしてるんだから。当人たちを置き去りにして噂だけが走るのはどこの世界も同じよね。
こうして私のデビューは無事幕を閉じた。翌日からはあちらのお茶会こちらの夜会にと普通のご令嬢のようにお呼ばれすることになったわ。社交界にでた未婚の男女は結婚相手を探すというのが相場だから。それも女性は早くしないと嫁き遅れのレッテルが貼られて誰にも声が掛からない壁の花になってしまうのよ。
私もお兄様に連れられて夜会なんだお茶会に出る。ジョーゼットもいることが多いので二人で話に花が咲くわ。二人でいると自然と他の学園の女性達も集まって楽しいわ。いいのかしら?
「アーシア様はこの夏の社交界の華ですわね。でも、残念ですわ。ドレス姿より凛々しい男装姿の方がよく似合ってますのに」
そんなこともひらほら聞こえたけれど社交界まで噂になりたくないわ。目立たないようにしないとね。それにしてもガブちゃんとは会えないわね。庶民とはやはり違うんだわ。こっそりお店に行ってみたいけれどデビューしてから監視がきついのよ。気楽にお出かけなんてできやしない。このまま三年は何気にきついわ。早く入れ違いを直してもらわないといけないわ。
「あら、あなた素敵。その扇はどうしたの? 孔雀のように光っているじゃないの」
濃緑の美しい扇を持っているご令嬢がいて、孔雀の羽を使っているみただった。
「ああ。これは特別に……。ミーシャ商会で手に入れましたの。おほほ。大したものではありあせんわ」
そういいながら鼻高々な感じだった。
「ミーシャ商会。ええ、商工ギルドの長のお店ね。あそこは良いものがそろっているわよね。私も取り寄せしようかしら」
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