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第二章
四十五 新学期の始まる前に
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秋からの新学期が始まるにはまだ少し休みが残っていた。そして、何を思ったのかガブちゃんは毎日のようにうちを訪れていた。
「だって、ルーク様と兄妹では無かったのよ。だから 目指せルーク様エンド! いけいけGo! Go!」
「……」
「そうなるとあなたは未来の妹ね! よろしくぅ」
朝から元気一杯にそう宣言するガブちゃんに私は些かげんなりしていた。
「それはいろいろと無理があると思うの」
「そんな冷たいこと言わないでよ。転生者同士じゃないの?」
「転生者……。そういやガブちゃんは好感度が見えるっていってたよね? スキルとかステータスは?」
「うん、そう。『ゆるハー』と同じような感じの表示だけどスキルなんて見たことがないけど」
「ガブちゃんの方は好感度意外にステータス画面とかは見える?」
「そんなの無いって。好感度だけ。『ゆるハー』ってそうだったじゃん」
「うーん。この際だからいうけど。実は私の知ってる『ゆるハー』とガブちゃんのって何だか若干違うのよね」
「え? 何、違うの? そんなの初めて聞いた」
「うん。私も初めて話したわね。そもそも攻略者自体からしてちょっと違っているの。見た目もなんだかね。私の知ってる『ゆるハー』のクリス様は勿論男性だったのよ。ここの世界も男性だったし、ガブちゃんの『ゆるハー』は女性なんでしょ? そこからして大きな違いよね」
「え? 逆にクリスが男性だったら、どこで許されないのよ? 別に禁断の展開とかじゃないじゃん」
「私の『ゆるハー』なら、子爵との身分違いで許されなかったの」
「身分、平民とってやつ? でも、ヒロインの最後は侯爵令嬢じゃん」
「侯爵家からみると今度はヒーローが子爵家では身分が低いのよ。実際この世界でもそうなると思うの」
「げっ。そうなの? 貴族って面倒くさいなあ」
「それには深く同意するわね」
そのとき私の部屋をノックして執事が声をかけてきた。
「お嬢様、ローレン公爵家のご令嬢がいらしておりますが如何いたしましょう」
「ジョーゼットが? 直ぐにお通しして!」
「誰?」
「あ、ガブちゃんいたんだ」
「何それ、私の扱いが超酷いじゃない」
「だって、ガブちゃんはここのとこ毎日のようにうちに来てるじゃないの。彼女は初めてなのよ! そういや彼女は王太子様の婚約者なのよね。王太子様ルートならガブちゃんのライバル令嬢になっていたのかしら」
「へ、へー。そんな人が……。そういや私って、王太子も狙っていたんだっけ。そもそも逆ハー狙いだったんだけど。忘れてた。というかあなたがユリアンの好感度をカンストしちゃったから狙えなくなったのよ。あ、でもこれが『ゆるハー』じゃないなら。いけるかも? いっそ狙うか逆ハーとやら」
そんな不穏なことをいうガブちゃんは放っておいて、私はジョーゼットを招き入れた。
「いらっしゃい。ジョーゼット。よく来てくれたわね。高原では楽しかったわね」
「アーシア、そうね楽しかったわ。……あら、何方かしら」
「あ、彼女は、ミーシャ商会の……」
「そうですの。私はローレン家のジョーゼットです」
「ミーシャ商会が娘のガブリエラと申します。ローレン公爵家にあられましては常日頃の御贔屓のほど格別御礼を申し上げる次第であります」
突然人が変わったように丁寧なお辞儀と話し方に私は呆気にとられた。ジョーゼットは不審気な様子を示したものの挨拶を受け入れていた。
「今日はアーシアにお土産を持ってまいりましたの。あまり長居はできませんけど……」
そういってジョーゼットは微笑みながらちらちらとガブちゃんの方を見遣りながら付き添いの侍女から包みを差し出してきた。早速開けさせていただくと銀糸と虹色に輝く不思議な色合いのショールが出てきた。
「まあ、素敵なショールね!」
「ええ、うちの領地の名産ですの。先日領地の見回りに行った際に一目でアーシアに似合うと思って」
「ありがとう。ジョーセット大切にするわ」
「ごめんなさい。ご友人がいらっしゃると思っていなかったから用意が無くて」
「ご友人? あ、ガブちゃんのこと? いいのいいの。いつもいるから」
「ガブちゃん……。いつも……」
ジョーゼットが何かを言ったけれど小さくて聞こえなかった。それよりガブちゃんの方が大声で。
「あ、良いんです。お気になさらず。くだらないことしか話してないし。それより私もこんなとこで駄弁るより、ルーク様にご挨拶しなくちゃ! それじゃあね」
一方的に話すとガブちゃんは出て行ったけれど、多分行先はルークお兄様の執務室。帰りの挨拶がてらのアプローチをするのだろう。そして、安定のお兄様からの連れない対応。
「あ、あのルーク様って」
ジョーゼットも長居は出来ないので一緒に玄関まで見送ろうと部屋を出た。するとガブちゃんの元気な声が漏れ聞こえる。
「ルーク様、今日はお日柄もよく。ミーシャ商会でのご用はありませんか?」
ジョーゼットが怪訝そうな表情をするので説明をしてあげた。
「ああ、ガブちゃんはうちのお兄様のファンでね。うちにはそれもあって来ているの。あれだけ邪険にされても食い下がるガブちゃんは凄いわね」
「彼女はルーク様の……。そうでしたのね」
ジョーゼットは先程の切ない表情とは打って変わって明るい笑みを浮かべていた。
「じゃあ、ジョーゼットも気を付けて帰ってね。また、学園で」
「ええ、アーシア、会えるのが楽しみね」
秋から学園の新学期も始まるが、社交界では秋の大舞踏会に狩猟大会を控えていた。
「だって、ルーク様と兄妹では無かったのよ。だから 目指せルーク様エンド! いけいけGo! Go!」
「……」
「そうなるとあなたは未来の妹ね! よろしくぅ」
朝から元気一杯にそう宣言するガブちゃんに私は些かげんなりしていた。
「それはいろいろと無理があると思うの」
「そんな冷たいこと言わないでよ。転生者同士じゃないの?」
「転生者……。そういやガブちゃんは好感度が見えるっていってたよね? スキルとかステータスは?」
「うん、そう。『ゆるハー』と同じような感じの表示だけどスキルなんて見たことがないけど」
「ガブちゃんの方は好感度意外にステータス画面とかは見える?」
「そんなの無いって。好感度だけ。『ゆるハー』ってそうだったじゃん」
「うーん。この際だからいうけど。実は私の知ってる『ゆるハー』とガブちゃんのって何だか若干違うのよね」
「え? 何、違うの? そんなの初めて聞いた」
「うん。私も初めて話したわね。そもそも攻略者自体からしてちょっと違っているの。見た目もなんだかね。私の知ってる『ゆるハー』のクリス様は勿論男性だったのよ。ここの世界も男性だったし、ガブちゃんの『ゆるハー』は女性なんでしょ? そこからして大きな違いよね」
「え? 逆にクリスが男性だったら、どこで許されないのよ? 別に禁断の展開とかじゃないじゃん」
「私の『ゆるハー』なら、子爵との身分違いで許されなかったの」
「身分、平民とってやつ? でも、ヒロインの最後は侯爵令嬢じゃん」
「侯爵家からみると今度はヒーローが子爵家では身分が低いのよ。実際この世界でもそうなると思うの」
「げっ。そうなの? 貴族って面倒くさいなあ」
「それには深く同意するわね」
そのとき私の部屋をノックして執事が声をかけてきた。
「お嬢様、ローレン公爵家のご令嬢がいらしておりますが如何いたしましょう」
「ジョーゼットが? 直ぐにお通しして!」
「誰?」
「あ、ガブちゃんいたんだ」
「何それ、私の扱いが超酷いじゃない」
「だって、ガブちゃんはここのとこ毎日のようにうちに来てるじゃないの。彼女は初めてなのよ! そういや彼女は王太子様の婚約者なのよね。王太子様ルートならガブちゃんのライバル令嬢になっていたのかしら」
「へ、へー。そんな人が……。そういや私って、王太子も狙っていたんだっけ。そもそも逆ハー狙いだったんだけど。忘れてた。というかあなたがユリアンの好感度をカンストしちゃったから狙えなくなったのよ。あ、でもこれが『ゆるハー』じゃないなら。いけるかも? いっそ狙うか逆ハーとやら」
そんな不穏なことをいうガブちゃんは放っておいて、私はジョーゼットを招き入れた。
「いらっしゃい。ジョーゼット。よく来てくれたわね。高原では楽しかったわね」
「アーシア、そうね楽しかったわ。……あら、何方かしら」
「あ、彼女は、ミーシャ商会の……」
「そうですの。私はローレン家のジョーゼットです」
「ミーシャ商会が娘のガブリエラと申します。ローレン公爵家にあられましては常日頃の御贔屓のほど格別御礼を申し上げる次第であります」
突然人が変わったように丁寧なお辞儀と話し方に私は呆気にとられた。ジョーゼットは不審気な様子を示したものの挨拶を受け入れていた。
「今日はアーシアにお土産を持ってまいりましたの。あまり長居はできませんけど……」
そういってジョーゼットは微笑みながらちらちらとガブちゃんの方を見遣りながら付き添いの侍女から包みを差し出してきた。早速開けさせていただくと銀糸と虹色に輝く不思議な色合いのショールが出てきた。
「まあ、素敵なショールね!」
「ええ、うちの領地の名産ですの。先日領地の見回りに行った際に一目でアーシアに似合うと思って」
「ありがとう。ジョーセット大切にするわ」
「ごめんなさい。ご友人がいらっしゃると思っていなかったから用意が無くて」
「ご友人? あ、ガブちゃんのこと? いいのいいの。いつもいるから」
「ガブちゃん……。いつも……」
ジョーゼットが何かを言ったけれど小さくて聞こえなかった。それよりガブちゃんの方が大声で。
「あ、良いんです。お気になさらず。くだらないことしか話してないし。それより私もこんなとこで駄弁るより、ルーク様にご挨拶しなくちゃ! それじゃあね」
一方的に話すとガブちゃんは出て行ったけれど、多分行先はルークお兄様の執務室。帰りの挨拶がてらのアプローチをするのだろう。そして、安定のお兄様からの連れない対応。
「あ、あのルーク様って」
ジョーゼットも長居は出来ないので一緒に玄関まで見送ろうと部屋を出た。するとガブちゃんの元気な声が漏れ聞こえる。
「ルーク様、今日はお日柄もよく。ミーシャ商会でのご用はありませんか?」
ジョーゼットが怪訝そうな表情をするので説明をしてあげた。
「ああ、ガブちゃんはうちのお兄様のファンでね。うちにはそれもあって来ているの。あれだけ邪険にされても食い下がるガブちゃんは凄いわね」
「彼女はルーク様の……。そうでしたのね」
ジョーゼットは先程の切ない表情とは打って変わって明るい笑みを浮かべていた。
「じゃあ、ジョーゼットも気を付けて帰ってね。また、学園で」
「ええ、アーシア、会えるのが楽しみね」
秋から学園の新学期も始まるが、社交界では秋の大舞踏会に狩猟大会を控えていた。
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