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第二章
四十六 今度こそ目指せ! ユリアンルート?
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私は学園に戻る前にユリアン様の家を訪ねることにした。ガブちゃんが必死にルークお兄様にアタックしている姿をみていると何だかこっちまで頑張ってみようという気になったのよ。
ガブちゃんの望みが叶うのは難しいかもしれないけどあの塩対応のルークお兄様に果敢に話しかけているの。見習わなきゃね。そして、お友達のジョーゼットといえばアベル王太子様と仲良くしているお手紙を頂いたわ。
だから、私も初志貫徹、ユリアン様のルートを攻略しなくちゃ。でも、その前にユリアン様の気持ちを確かめないとね。
でも、あのお茶会の時のユリアン様は満更でも無い様子だったし、ガブちゃん家に行ったときには素敵なアクセサリーを貰ったもんね。そう言えばあれは何処に仕舞ったのかしら? 後で出しておいて貰わなきゃね。
だけどそこはお貴族様なのよ。口説き文句を本気にしてはいけないの。何故なら彼らは女性をみると褒め称えるのが貴族社会では普通であり美徳とされているのよねぇ。そういう決まりなの。お貴族様の習慣の一つなの。
そして、私はユリアン様に訪問の約束をしてあの髪飾りをしてもらうとジョーゼットからのお土産のショールを身に着けていそいそと出かけたわ。
虹色のアミュレットも素敵だし、銀糸のショールも虹色に輝いて綺麗だわ。衣装よ。衣装。私の事ではないわ。
「アーシア、君から来てくれて嬉しいよ。先日の海の祭典のときは大変だったね」
「あのときはユリアン様にもご迷惑をおかけしましたわ」
……そう言えば、ユリアン様にはムチ使いと猛獣使いの姿を見られているからドン引きされていないのかしら?
様子を窺うが、嫌われている様子は感じられない。ユリアン様の怜悧な美貌は目じりが下がるほどとても喜んでいるように思える。
「あの、ユリアン様は……、私の……」
――ことをどう思っているのですか? その言葉がどうしても出てこない。あれだけムチは使えるのに言葉は使えない。どうしたらいいの?
ユリアン様がお茶を要してくれて私の好きなお菓子も用意してくれている。更に通された客間のソファに私のお隣に座られたのよ。私の侍女の頬が僅かにぴくりと動いたのは見逃さなかったわ。きっとあとでルークお兄様に報告するに違いない。
ユリアン様はそっと私の手を両手で優しく包むように握ってくれた。
「冷たいね。アーシア。女の子が体を冷やすのはよくないよ。温かいお茶をどうぞ。……それとも緊張してる?」
そんな蠱惑的な表情と言葉を掛けてきたのよ。心臓が飛び出しそうだったわ。
「ゆ、ゆ、ゆ。ユリアン様近いです」
そんな私に構わずおでこまでこつんと合わせてきた。
「ふふふ。まるでトマトみたいだね。可愛い」
ユリアン様のキャラじゃないわよ。そんなの。凍りつくような美貌のユリアン様の瞳に吸い寄せられるように見つめているとえへんへんと侍女の咳払いで私は正気に返った。
「トマトは好きです! 大好き。冷製ジュレなんか美味しくてよ。ユリアン様も是非家の料理長のを召し上がって……」
しどろもどろに言う私にくすりと笑ってユリアン様は手をお話になられた。
「是非、招待されるのを待っている。アーシア。小さい頃からトマトが好きだったよね。今度家の農園の物も送るよ」
私はこくこくと首振り人形のように肯いた。
結局その後も二人の小さい頃の思い出の話や取り留めもないことを話してユリアン様の気持ちを確かめることは出来ず、帰ることになった。
「君も学園に帰るんだね。お隣なのに中々会えないのは残念だよ」
「そうですわね。お隣だからもっと頻繁に会えたら良いのですが……」
うちの学園は良家の子女を預かっているため、セキュリテイも厳しい。気軽に出入りできない状態なのよね。ユリアン様がうちの学園においでになるより私が訪問する方がまだ早いかも。そうだわ。そうしよう。今度こそ目指せユリアン様ルートよ。
「じゃあ、また」
そういうと私を玄関前の馬車までお送りしてくれたけど。乗り込むとき
「あ、忘れものだよ。アーシア」
そう呼び止められて振り返るとおでこにちゅっとキスをされたの!
びっくりしている私ににこりと悪戯っぽく笑ってユリアン様は扉を閉めたの。私は帰りついても夢見心地だったので隣で侍女がいらいらとした雰囲気だったけれど気にしない。
――きっと今回はユリアン様と両想いエンドを迎えられるよね?
夕食の時も私はにまにましていてルークお兄様から何度か窘められたけれど気にしなかったわ。
そうして、学園に戻る前の秋の大舞踏会でひと波乱あるとは思いもしなかったの……。
春と夏の社交界デビューを兼ねた大舞踏会に婚約の発表の場として重要視される秋の大舞踏会。今年も何組か発表されるのだけど……。
一部のゴシップ欄でとんでもないことが取り沙汰されていたの。それは……。
『公爵令嬢、婚約破棄はカウントダウン目前! 悲痛な表情の令嬢。彗星の如く現れた綺羅星の某侯爵令嬢は何者?』
王室ゴシップはそんな記事が並んでいた。某って書かれているけれどジョーゼットと私のことだとバレバレ。ルークお兄様やローレン公爵家からも抗議の文を送ったけれど返ってそれが本当のことのようにされてさらに婚約破棄の報道はオーバーヒートしていった。
――こんなの冗談じゃない。
私は侍女からこっそり手に入れて貰ったゴシップ紙に目を通すと思わず握り潰していた。私のジョーゼットをこんな根の葉もない噂話で貶めるなんて許すまじ。それに他のゴシップ紙の記者からも張り付かれてうかうかお出かけもできやしないじゃない。
ガブちゃんの望みが叶うのは難しいかもしれないけどあの塩対応のルークお兄様に果敢に話しかけているの。見習わなきゃね。そして、お友達のジョーゼットといえばアベル王太子様と仲良くしているお手紙を頂いたわ。
だから、私も初志貫徹、ユリアン様のルートを攻略しなくちゃ。でも、その前にユリアン様の気持ちを確かめないとね。
でも、あのお茶会の時のユリアン様は満更でも無い様子だったし、ガブちゃん家に行ったときには素敵なアクセサリーを貰ったもんね。そう言えばあれは何処に仕舞ったのかしら? 後で出しておいて貰わなきゃね。
だけどそこはお貴族様なのよ。口説き文句を本気にしてはいけないの。何故なら彼らは女性をみると褒め称えるのが貴族社会では普通であり美徳とされているのよねぇ。そういう決まりなの。お貴族様の習慣の一つなの。
そして、私はユリアン様に訪問の約束をしてあの髪飾りをしてもらうとジョーゼットからのお土産のショールを身に着けていそいそと出かけたわ。
虹色のアミュレットも素敵だし、銀糸のショールも虹色に輝いて綺麗だわ。衣装よ。衣装。私の事ではないわ。
「アーシア、君から来てくれて嬉しいよ。先日の海の祭典のときは大変だったね」
「あのときはユリアン様にもご迷惑をおかけしましたわ」
……そう言えば、ユリアン様にはムチ使いと猛獣使いの姿を見られているからドン引きされていないのかしら?
様子を窺うが、嫌われている様子は感じられない。ユリアン様の怜悧な美貌は目じりが下がるほどとても喜んでいるように思える。
「あの、ユリアン様は……、私の……」
――ことをどう思っているのですか? その言葉がどうしても出てこない。あれだけムチは使えるのに言葉は使えない。どうしたらいいの?
ユリアン様がお茶を要してくれて私の好きなお菓子も用意してくれている。更に通された客間のソファに私のお隣に座られたのよ。私の侍女の頬が僅かにぴくりと動いたのは見逃さなかったわ。きっとあとでルークお兄様に報告するに違いない。
ユリアン様はそっと私の手を両手で優しく包むように握ってくれた。
「冷たいね。アーシア。女の子が体を冷やすのはよくないよ。温かいお茶をどうぞ。……それとも緊張してる?」
そんな蠱惑的な表情と言葉を掛けてきたのよ。心臓が飛び出しそうだったわ。
「ゆ、ゆ、ゆ。ユリアン様近いです」
そんな私に構わずおでこまでこつんと合わせてきた。
「ふふふ。まるでトマトみたいだね。可愛い」
ユリアン様のキャラじゃないわよ。そんなの。凍りつくような美貌のユリアン様の瞳に吸い寄せられるように見つめているとえへんへんと侍女の咳払いで私は正気に返った。
「トマトは好きです! 大好き。冷製ジュレなんか美味しくてよ。ユリアン様も是非家の料理長のを召し上がって……」
しどろもどろに言う私にくすりと笑ってユリアン様は手をお話になられた。
「是非、招待されるのを待っている。アーシア。小さい頃からトマトが好きだったよね。今度家の農園の物も送るよ」
私はこくこくと首振り人形のように肯いた。
結局その後も二人の小さい頃の思い出の話や取り留めもないことを話してユリアン様の気持ちを確かめることは出来ず、帰ることになった。
「君も学園に帰るんだね。お隣なのに中々会えないのは残念だよ」
「そうですわね。お隣だからもっと頻繁に会えたら良いのですが……」
うちの学園は良家の子女を預かっているため、セキュリテイも厳しい。気軽に出入りできない状態なのよね。ユリアン様がうちの学園においでになるより私が訪問する方がまだ早いかも。そうだわ。そうしよう。今度こそ目指せユリアン様ルートよ。
「じゃあ、また」
そういうと私を玄関前の馬車までお送りしてくれたけど。乗り込むとき
「あ、忘れものだよ。アーシア」
そう呼び止められて振り返るとおでこにちゅっとキスをされたの!
びっくりしている私ににこりと悪戯っぽく笑ってユリアン様は扉を閉めたの。私は帰りついても夢見心地だったので隣で侍女がいらいらとした雰囲気だったけれど気にしない。
――きっと今回はユリアン様と両想いエンドを迎えられるよね?
夕食の時も私はにまにましていてルークお兄様から何度か窘められたけれど気にしなかったわ。
そうして、学園に戻る前の秋の大舞踏会でひと波乱あるとは思いもしなかったの……。
春と夏の社交界デビューを兼ねた大舞踏会に婚約の発表の場として重要視される秋の大舞踏会。今年も何組か発表されるのだけど……。
一部のゴシップ欄でとんでもないことが取り沙汰されていたの。それは……。
『公爵令嬢、婚約破棄はカウントダウン目前! 悲痛な表情の令嬢。彗星の如く現れた綺羅星の某侯爵令嬢は何者?』
王室ゴシップはそんな記事が並んでいた。某って書かれているけれどジョーゼットと私のことだとバレバレ。ルークお兄様やローレン公爵家からも抗議の文を送ったけれど返ってそれが本当のことのようにされてさらに婚約破棄の報道はオーバーヒートしていった。
――こんなの冗談じゃない。
私は侍女からこっそり手に入れて貰ったゴシップ紙に目を通すと思わず握り潰していた。私のジョーゼットをこんな根の葉もない噂話で貶めるなんて許すまじ。それに他のゴシップ紙の記者からも張り付かれてうかうかお出かけもできやしないじゃない。
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