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糖度7*ちょっと遠出のお仕事
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『全く、こいつらはいつもいつも…』とブツクサ言いながら、またもやゲームを始める。
紅茶を手に持ちながら、どんなゲームなのか覗いてみる。
指でなぞって消してモンスターを倒して、最後は形を合わせて消すのね・・・。
「お前、近い…!」
いつの間にか、身を乗り出し、接近し過ぎていたらしく日下部さんにデコピンされた。
「痛い…!ちょっと見てただけでしょ!」
「邪魔なんだよ!また、お前のせいでまたレア逃がした」
「自分が下手だからでしょ!」
「…だったら、お前がやってみな」
ポイッとタブレットを太ももの上に置かれて、背もたれのシートに左腕を回して、私を囲む。
日下部さんの方が至近距離だと思う。
見下ろされ、小屋に入れられた小動物の様に縮こまる。
操作方法が良く分からないが適当にいじってみよう。
「あ、、ゲームオーバー…」
やっぱり駄目じゃん、操作方法も分からないんじゃ太刀打ち出来ないよ。
「最後の1回だったのに!お前のせいで、体力回復までに2時間は要する事になったな」
「………」
私からタブレットを取り上げ、画面を消してからバックにしまう。
絶句。
日下部さんが妙に子供っぽい。
拗ねてる。
プライベートの日下部さんって、いつもこうなのか?
仕事中のガミガミうるさい部長ではない、"素"の日下部さんなんだろうか?
「日下部さんと秋葉さんて、仲良しですね」と言って高橋さんが微笑み、
「はたから見たらカレカノだよね」と綾美が後部座席を見て、ニヤニヤしながら言う。
日下部さんは頬杖をついて外の景色を眺めて、聞こえない振りをしている。
「く、日下部さんがムキになってるだけだし…」
「お前が下手くそなんだし!」
綾美の発言への返事に困り、お互いに苦し紛れな言い逃れをする。
私の心はモヤモヤしていて、紅茶を飲みながら外の景色を眺める。
日下部さんとは反対方向の景色。
これから私達は別な人と結婚したりして、反対方向の景色に歩んで行く事になるのだろう。
そうなった時に祝福出来るのだろうか?
友達の様な同期のままで居られるのだろうか?
「…難しいよね」
「何が?ゲームが?」
私は心の中の声をいつの間にか、外に漏らしていたらしく、その声を日下部さんが拾ってしまった。
「そ、そうです。ゲームがね、難しい!」と慌てて、話を合わせる。
「お前もやればいいじゃん。お前もやれば、モンスター交換とか体力回復のスターを送り合ったり出来るし。高橋も杉野もやってる」
・・・・・・この人達、一体、いつから一緒に始めたの?
普段、そんなのやってる暇あるの?
謎だ。
「私、やる暇ないもん」
「ゆかりはね、暇さえあればデザイン考えたりしてるもんね~」
「ソレもそうだけど…」
ゲームよりも、有澄との時間を大切にしたいから・・・。
一緒に居る時は沢山会話したいし、料理のレパートリーも増やしたいし、頭の中を有澄でいっぱいにしたい。
*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚
「あれ?こないだのホテルじゃないんですね?」
車から降りると、先日の忘年会会場になったホテルではなく別の場所に見えた。
見覚えのない景色だったので不思議には思っていたけれど、目的地は違った様だ。
「先日のホテルと同じ系列だが、こっちはリゾートホテル」
へぇ・・・どおりで高速にも乗ったし、海辺にも近いとは思った。
「今の今まで気づかないなんて…」
日下部さんは呆れ顔で私を見る。
「そこがゆかりの良いところだよ。たまに天然なところが好き」
綾美はフォローしてくれるが、行き先を知っていたのかが気になる。
「綾美は知っていたの?」
「うん、高橋君から聞いてたから知ってたよ」
「そっか…」
何故、私には誰も教えてくれなかったのだろう?・・・と思いながら、ブライダルフェアの会場へと向かった。
担当者を待っている間、窓から外を眺めているとチャペルが見えた。
都会の結婚式場のチャペルは建物の中にある場合も多いが、都会から少し離れたこのホテルはチャペルが外にある。
模擬挙式が行われているのか、チャペル付近が賑わっていた。
「お待たせ致しまして申し訳ございません。私はブライダル担当の小野と申します。本日はお越し頂きありがとうございます」
ブライダル担当の小野さんという30代前半だと思われる女性は、私達一人一人に名刺を渡して日下部さんも私達の紹介をした。
「右から杉野、高橋、デザイナーの秋葉です」
「あなたが"いろは"のデザイナーさんなのね。私は"いろは"の雑貨が大好きでつい集めちゃうんです。可愛らしい方が考えるとデザインも可愛くなるのね」
小野さんは私の右手を取り、軽く握って両手で覆いかぶす様に握手をした。
紅茶を手に持ちながら、どんなゲームなのか覗いてみる。
指でなぞって消してモンスターを倒して、最後は形を合わせて消すのね・・・。
「お前、近い…!」
いつの間にか、身を乗り出し、接近し過ぎていたらしく日下部さんにデコピンされた。
「痛い…!ちょっと見てただけでしょ!」
「邪魔なんだよ!また、お前のせいでまたレア逃がした」
「自分が下手だからでしょ!」
「…だったら、お前がやってみな」
ポイッとタブレットを太ももの上に置かれて、背もたれのシートに左腕を回して、私を囲む。
日下部さんの方が至近距離だと思う。
見下ろされ、小屋に入れられた小動物の様に縮こまる。
操作方法が良く分からないが適当にいじってみよう。
「あ、、ゲームオーバー…」
やっぱり駄目じゃん、操作方法も分からないんじゃ太刀打ち出来ないよ。
「最後の1回だったのに!お前のせいで、体力回復までに2時間は要する事になったな」
「………」
私からタブレットを取り上げ、画面を消してからバックにしまう。
絶句。
日下部さんが妙に子供っぽい。
拗ねてる。
プライベートの日下部さんって、いつもこうなのか?
仕事中のガミガミうるさい部長ではない、"素"の日下部さんなんだろうか?
「日下部さんと秋葉さんて、仲良しですね」と言って高橋さんが微笑み、
「はたから見たらカレカノだよね」と綾美が後部座席を見て、ニヤニヤしながら言う。
日下部さんは頬杖をついて外の景色を眺めて、聞こえない振りをしている。
「く、日下部さんがムキになってるだけだし…」
「お前が下手くそなんだし!」
綾美の発言への返事に困り、お互いに苦し紛れな言い逃れをする。
私の心はモヤモヤしていて、紅茶を飲みながら外の景色を眺める。
日下部さんとは反対方向の景色。
これから私達は別な人と結婚したりして、反対方向の景色に歩んで行く事になるのだろう。
そうなった時に祝福出来るのだろうか?
友達の様な同期のままで居られるのだろうか?
「…難しいよね」
「何が?ゲームが?」
私は心の中の声をいつの間にか、外に漏らしていたらしく、その声を日下部さんが拾ってしまった。
「そ、そうです。ゲームがね、難しい!」と慌てて、話を合わせる。
「お前もやればいいじゃん。お前もやれば、モンスター交換とか体力回復のスターを送り合ったり出来るし。高橋も杉野もやってる」
・・・・・・この人達、一体、いつから一緒に始めたの?
普段、そんなのやってる暇あるの?
謎だ。
「私、やる暇ないもん」
「ゆかりはね、暇さえあればデザイン考えたりしてるもんね~」
「ソレもそうだけど…」
ゲームよりも、有澄との時間を大切にしたいから・・・。
一緒に居る時は沢山会話したいし、料理のレパートリーも増やしたいし、頭の中を有澄でいっぱいにしたい。
*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚
「あれ?こないだのホテルじゃないんですね?」
車から降りると、先日の忘年会会場になったホテルではなく別の場所に見えた。
見覚えのない景色だったので不思議には思っていたけれど、目的地は違った様だ。
「先日のホテルと同じ系列だが、こっちはリゾートホテル」
へぇ・・・どおりで高速にも乗ったし、海辺にも近いとは思った。
「今の今まで気づかないなんて…」
日下部さんは呆れ顔で私を見る。
「そこがゆかりの良いところだよ。たまに天然なところが好き」
綾美はフォローしてくれるが、行き先を知っていたのかが気になる。
「綾美は知っていたの?」
「うん、高橋君から聞いてたから知ってたよ」
「そっか…」
何故、私には誰も教えてくれなかったのだろう?・・・と思いながら、ブライダルフェアの会場へと向かった。
担当者を待っている間、窓から外を眺めているとチャペルが見えた。
都会の結婚式場のチャペルは建物の中にある場合も多いが、都会から少し離れたこのホテルはチャペルが外にある。
模擬挙式が行われているのか、チャペル付近が賑わっていた。
「お待たせ致しまして申し訳ございません。私はブライダル担当の小野と申します。本日はお越し頂きありがとうございます」
ブライダル担当の小野さんという30代前半だと思われる女性は、私達一人一人に名刺を渡して日下部さんも私達の紹介をした。
「右から杉野、高橋、デザイナーの秋葉です」
「あなたが"いろは"のデザイナーさんなのね。私は"いろは"の雑貨が大好きでつい集めちゃうんです。可愛らしい方が考えるとデザインも可愛くなるのね」
小野さんは私の右手を取り、軽く握って両手で覆いかぶす様に握手をした。
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