糖度高めな秘密の密会はいかが?

桜井 響華

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糖度8*ハイスペック彼氏

それに留守番とはいえ、仕事中の日下部さんを二人で邪魔をしに行ったら・・・後が怖い。

先程、私も邪魔したばかりだし。

「ここが社員食堂なんですね。あっ、ゆか…いや、秋葉さんと・・・?」

「副社長、勝手に行かないで下さい」

ひらひら~と手を振って近付いて来たのは、副社長となった有澄と秘書らしき男性 。

「お疲れ様ですぅ。初めましてですねっ」
「初めまして。花野井です」

社員の女の子はぶりっ子の様な態度をして、有澄にアピールする。

初めて副社長が現れてイケメンともなれば、社員食堂中がざわつく。

「花野井副社長だって~」
「カッコイイし若いのに副社長なんだってー」

女子社員からは注目の的で、一瞬にして皆の視線を集めてしまう王子様系ハイスペックの存在感を目の当たりにする。

この子が有澄に気を取られている今のうちに職場に戻ってしまおう。

忘年会後には大して噂にはなっていなかったが、副社長の辞令が貼り出されていれば、噂になるのは時間の問題だろうな・・・。

今まで社内では浮いた噂もなく、これまで過ごしてきたから、いざとなると面倒くさいな。

社内ではいじめとか陰湿なイタズラとかは一度もなかったけれど、日下部さんと仲良く話しているだけで睨まれたりは何度かあったかな。

綾美の件で高橋さんとも仲良くなったので、高橋さんファンの女子社員からは冷たい態度。

最近知ったのだけれど高橋さんには隠れファンが多いらしい。

穏やかな性格で、どちらかと言えば童顔で、総務課という絶対安泰な部署に所属しているので隠れファンが多く、バレンタインのチョコ数は日下部さんの次に貰ったとの噂。

綾美も含めて4人で居ることが多くなって来たから、今まで目立たなかった私まで目に付くようになってしまった。

有澄との関係が広まり出したら、何か嫌な事が起きるのかな?

私は仕事ばっかりしていて、この5年間は恋なんて忘れてたけれど両立って出来るものだと知ったから有澄との関係を解消したくはないのだけれど。

近い内に必ず何かが起きる、そんな気がしている。

虫の知らせと言うかなんと言うか、悪い予感は当たるものだ───・・・・・・

゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚

日下部さんが社員食堂に行くと私も人目を盗んで向かった。

大半の人が12時過ぎにお昼を食べる為、今の時間は空いていた。

「お疲れ様です」

「とりあえず座って…すぐ食べ終わるから」

頷いてから日下部さんの正面に座ると、

「はい」

と言って、いつもの甘いデザートをくれる。

今日は杏仁豆腐。

「いただきます」

素直に受け取って食べる。

私が食べなければ杏仁豆腐は配膳に下げられて捨てられてしまうもの。

「お前は本当に幸せそうな顔して食べるな」

「そ、そうですか…?だって杏仁豆腐美味しいから」

社長の方針で社員食堂のランチは手作りが基本となっている為、デザートも手作り。

「だから餌付けは止められない」

「何ですか、それ!?酷い…」

日下部さんは私を見ながら、箸を持ったまま笑っている。

「食後にコーヒー飲みながら話します?私買ってきます」

「大丈夫、いらない。コーヒー位は出してくれる所に行くから」

「………?」

日下部さんの食事が済むと「何も聞かずに静かに着いてきて」と言われてエレベーターの中。

「また停止しないかな、エレベーター…」

「しませんっ!」

社内には警備員さん位しか残っては居なかった夜の出来事。

綾美には話したけれど、他の人は知らない秘密の出来事。

朝、出勤したら"エレベーターが故障したらしい"と話題になったが、私と日下部さんが閉じ込められた事は警備員さんしか知らないし、警備員さんも私達の名前など知らないから、皆には知られる事も無い。

勿論、優しい一面の日下部さんは私だけの秘密。

「ここって…!?」

一度も降りたことがない、会社の最上階。

「副社長室。来客も居ないから大丈夫だ」

トントン。

「え、ちょ、勝手に…!?」

日下部さんはノックをしただけで、返事がないままドアを開ける。

右手首を引っ張られて、中へと入れられた。

「ゆかり…?と…。何しに来たの?」

有澄はデスクに座り、パソコンで仕事をしていたらしく、手を止めて立ち上がる。

「ゆかりちゃんがお前に色々聞きたいんだって」

ドアの前に立ち尽くしていた私は日下部さんに背中を押されて、つまづきそうになった。

「っわ…!!」

「後々話すつもりだったのに、何で邪魔するの?」

デスクの前にあるソファーに偉そうに座る日下部さんから、向かい合わせだけれども離れた場所に座る有澄。

つまり、反対側の端と端に座る二人。

「秋葉さんもこちらへどうぞ。今、紅茶をお入れしますね」

「は、はい…。ありがとうございます…」

私はどちら側に座ろうか迷っていたが、社内では有澄は上司なので日下部さんの隣に座った。
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