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糖度11*戦う女!
6
どんな反応をするかは分からないけれど、私は胸に秘めていた事を伝えたので、これ以上は言うつもりもない。
先程の私に対する噛みつきはどこに行ってしまったのか、大人しくなり有澄の背中にしがみついて泣いている。
どうせ演技なんだろうけれど・・・。
「私ィ、メールとか身に覚えがないんで分からないんですけどぉ、副社長は本当に二股されてないんですか?秋葉さんて日下部さんといつもベタベタしてるんです。二股って思われても仕方ないですよ。
こんなにカッコイイのに副社長可哀想です…秋葉さんが大切にしないなら、私が奪っちゃいますよ?」
舌っ足らずな話し方で有澄に取り入ろうとしているわ、私の話は粗方無視だわ、この子の心には何も響く事はないのだろうから、もう諦めよう。
溜息をつきながら、少し離れた場所にいる夜警さんを見るとエレベーターに閉じ込められた日に助けに来てくれたの人に似ている。
・・・だとしたら、私と有澄の関係をしている多岐川さん、夜に二人で残業していた事を知っていたこの人が繋がる。
さっきもグルになって写真を撮り、あらぬ疑いを付け足してばらまく作戦だったのかな?
「積極的な女性は嫌いじゃないです」
「本当ですかぁ!日下部さんから本気で乗り換えちゃおうかな~?」
小悪魔的な可愛い笑顔を浮かべる有澄に対して、甘い声を出して誘惑しようとする多岐川さんに私は苛立ちを覚えた。
日下部さんが好きなんじゃなかったの?
「ただし、本気で俺を好きになってくれてる女の子が積極的に接してくれるのは大歓迎だけど、中身なんて関係なくて外見とハイスペックだけを求める女と…誰かに頼ってばかりいる女は
"論外"だから」
有澄は不敵な笑みを浮かべて物申すと、多岐川さんは悔しそうな顔をして私を睨む。
「内緒だけど…」と前説して、多岐川さんの耳元で、
「ゆかりは人に頼り過ぎず、自分の意思を尊重出来る女の子。それに、いろはデザイナーだから将来的に社長を譲るにも申し分ない、婚約者なんだよ」
と私には聞こえないように呟いたつもりか、本当は少し聞こえるように呟いたのかは定かではないが微かに聞こえた。
私に伝えたいから、わざと聞こえる様に呟く・・・有澄なら有り得る。
"婚約者"って誰かに言い切るあたり、私は愛されてると自惚れても良いんだなって改めて思う。
多岐川さんは何も言い返せず、唇を噛んで拳を強く握っている。
立ち尽くしている私に向かって歩き出す有澄が、多岐川さんに背を向けながら、
「処分を検討しなきゃいけないけど、ゆかりがそれを望まないだろうから今回は見逃すよ。
ただ、これ以上悪さするなら、副社長の命令により即刻退職して貰うからそのつもりで。
その時はそれなりの処罰を受ける覚悟でいて」
と言って、手をひらひら~と振りバイバイする。
「日下部さん、蔭で笑ってないで出て来たら?」
企画開発部の入口まで来ると、日下部さんが蔭で見ていた事を有澄が察して呆れたように声をかける。
「秋葉が飛び出して行ったから何事かと思って追いかけたけど、お前が来たからどう対処するのか気になって見ていた」
日下部さん笑ってるし、こっちは必死だったのに!
「…お前のシナリオ通りだったな、有澄」
有澄の肩を叩き、言いながら通り過ぎようとした日下部さん。
「あ、あ、あり、とって呼んだ!今、有澄って呼んだ!」
私は、日下部さんが有澄って呼んだ衝撃を隠せずに思わず歓声を上げた。
「今、気にするとこ…そこ?」
「……呼ばなきゃ良かった、うるさい、秋葉」
有澄が日下部さんと兄弟として仲良く接してくれたら、私も嬉しいもん。
"お前"じゃなくて名前を呼ぶって事は、一歩前進したに違いない。
「お腹空いたから、ご飯食べに行こっ。日下部さんの奢りで!そもそも、日下部さんが忘年会で有澄の事バラしたからでしょ!お詫びして下さい!」
「それは悪かったと思ってるけど、誰がいつ一緒に行くって言ったんだよ?」
「俺、焼肉食べたい…」
「焼肉、焼肉!」
逃げようとする日下部さんを捕まえて、私達は『連れてって』オーラを醸し出す。
根負けした日下部さんのオッケーが出たところで相良さんも合流し、社外に出ようとした時に多岐川さんの後ろ姿が見えた。
「多岐川さんっ!」
「何ですか?私、会社辞めますからそれでいーでしょ?」
「…そうじゃなくて、日下部さんが焼肉行こうって言ってるから、行こう!」
「行きません、行く訳ないでしょっ!」
私はこの子に会社を辞めて欲しい訳でもないし、陥れたい訳でもない。
ただ、和解はしたいと思うのは勝手かな?
私が多岐川さんの隣で話しかけていると、どこからともなく夜警さんの姿が・・・。
「申し訳ありませんでした。私は多岐川さんの事が好きで何でもしてあげたかったけれど、やり方を間違えてしまいました。皆様を傷つけてしまった事、深くお詫び致します。私も本日の職務が終わり次第、仕事を辞める事で責任をとりたいと思います。ほら、七海ちゃんも謝って…!」
夜警さんは多岐川さんの頭を触り、無理やり深く頭を下げさせた。
多岐川さんの涙がポロポロと床に落ちて、小さな声で「ごめんなさいっ、私、…秋葉さんが羨ましくて嫌がらせして…ごめんなさいっ、」と繰り返し謝る。
「もう怒ってないよ、顔上げて。私達は誰にも言わないし、多岐川さんと夜警さんの立場が悪くなる様にはしないよ。謝ってくれたから、もういいの。っね?日下部さん、副社長?」
二人に訪ねると日下部さんは「早くしろ、行くぞ」と行って歩き出し、有澄は「ゆかりが許すなら俺も許すよ。早くおいで、日下部さんが逃げるっ」と言い追いかける。
相良さんは相良さんで「焼肉ですか…。車に匂いが残りそうで嫌ですが…お誘いされたので仕方ありませんね」とか言いながら車を取りに行く。
相良さんの車を待っていると、珍しいツーショットの二人から「どうにかしろよ、あの馬鹿!どんだけお人好しなんだよ」と日下部さんの声が聞こえたけれど有澄は動じず、「ゆかりをどうにか出来るのは俺だけの特権だから!」と言っているのが聞こえた。
「馬鹿は本当に残酷で困る!」
「……同感」
日下部さんがボソボソと呟いた言葉を多岐川さんが拾ったけれど、私にも聞こえたもん。
私は日下部さんと有澄にも兄弟として仲良くして欲しいし、多岐川さんとも和解したいし、・・・時にそれが残酷になりうる事も理解はしているけれど・・・
一歩前に進まなければ、両者は歩み寄れないでしょ?
その先に辿り着けないもの。
偽善者と言われても致し方ないけれど、理解して貰えないかもしれないけれど、私は誰かを恨んで生きて行く生き方は嫌だ。
一度しかない人生だからこそ、毎日を楽しく過ごしたいでしょ?
妬みや恨み、確執、誰にだってあるけれど、私は有澄が居てくれるから浄化出来る。
有澄が居てくれるから、日々が輝いている。
先程の私に対する噛みつきはどこに行ってしまったのか、大人しくなり有澄の背中にしがみついて泣いている。
どうせ演技なんだろうけれど・・・。
「私ィ、メールとか身に覚えがないんで分からないんですけどぉ、副社長は本当に二股されてないんですか?秋葉さんて日下部さんといつもベタベタしてるんです。二股って思われても仕方ないですよ。
こんなにカッコイイのに副社長可哀想です…秋葉さんが大切にしないなら、私が奪っちゃいますよ?」
舌っ足らずな話し方で有澄に取り入ろうとしているわ、私の話は粗方無視だわ、この子の心には何も響く事はないのだろうから、もう諦めよう。
溜息をつきながら、少し離れた場所にいる夜警さんを見るとエレベーターに閉じ込められた日に助けに来てくれたの人に似ている。
・・・だとしたら、私と有澄の関係をしている多岐川さん、夜に二人で残業していた事を知っていたこの人が繋がる。
さっきもグルになって写真を撮り、あらぬ疑いを付け足してばらまく作戦だったのかな?
「積極的な女性は嫌いじゃないです」
「本当ですかぁ!日下部さんから本気で乗り換えちゃおうかな~?」
小悪魔的な可愛い笑顔を浮かべる有澄に対して、甘い声を出して誘惑しようとする多岐川さんに私は苛立ちを覚えた。
日下部さんが好きなんじゃなかったの?
「ただし、本気で俺を好きになってくれてる女の子が積極的に接してくれるのは大歓迎だけど、中身なんて関係なくて外見とハイスペックだけを求める女と…誰かに頼ってばかりいる女は
"論外"だから」
有澄は不敵な笑みを浮かべて物申すと、多岐川さんは悔しそうな顔をして私を睨む。
「内緒だけど…」と前説して、多岐川さんの耳元で、
「ゆかりは人に頼り過ぎず、自分の意思を尊重出来る女の子。それに、いろはデザイナーだから将来的に社長を譲るにも申し分ない、婚約者なんだよ」
と私には聞こえないように呟いたつもりか、本当は少し聞こえるように呟いたのかは定かではないが微かに聞こえた。
私に伝えたいから、わざと聞こえる様に呟く・・・有澄なら有り得る。
"婚約者"って誰かに言い切るあたり、私は愛されてると自惚れても良いんだなって改めて思う。
多岐川さんは何も言い返せず、唇を噛んで拳を強く握っている。
立ち尽くしている私に向かって歩き出す有澄が、多岐川さんに背を向けながら、
「処分を検討しなきゃいけないけど、ゆかりがそれを望まないだろうから今回は見逃すよ。
ただ、これ以上悪さするなら、副社長の命令により即刻退職して貰うからそのつもりで。
その時はそれなりの処罰を受ける覚悟でいて」
と言って、手をひらひら~と振りバイバイする。
「日下部さん、蔭で笑ってないで出て来たら?」
企画開発部の入口まで来ると、日下部さんが蔭で見ていた事を有澄が察して呆れたように声をかける。
「秋葉が飛び出して行ったから何事かと思って追いかけたけど、お前が来たからどう対処するのか気になって見ていた」
日下部さん笑ってるし、こっちは必死だったのに!
「…お前のシナリオ通りだったな、有澄」
有澄の肩を叩き、言いながら通り過ぎようとした日下部さん。
「あ、あ、あり、とって呼んだ!今、有澄って呼んだ!」
私は、日下部さんが有澄って呼んだ衝撃を隠せずに思わず歓声を上げた。
「今、気にするとこ…そこ?」
「……呼ばなきゃ良かった、うるさい、秋葉」
有澄が日下部さんと兄弟として仲良く接してくれたら、私も嬉しいもん。
"お前"じゃなくて名前を呼ぶって事は、一歩前進したに違いない。
「お腹空いたから、ご飯食べに行こっ。日下部さんの奢りで!そもそも、日下部さんが忘年会で有澄の事バラしたからでしょ!お詫びして下さい!」
「それは悪かったと思ってるけど、誰がいつ一緒に行くって言ったんだよ?」
「俺、焼肉食べたい…」
「焼肉、焼肉!」
逃げようとする日下部さんを捕まえて、私達は『連れてって』オーラを醸し出す。
根負けした日下部さんのオッケーが出たところで相良さんも合流し、社外に出ようとした時に多岐川さんの後ろ姿が見えた。
「多岐川さんっ!」
「何ですか?私、会社辞めますからそれでいーでしょ?」
「…そうじゃなくて、日下部さんが焼肉行こうって言ってるから、行こう!」
「行きません、行く訳ないでしょっ!」
私はこの子に会社を辞めて欲しい訳でもないし、陥れたい訳でもない。
ただ、和解はしたいと思うのは勝手かな?
私が多岐川さんの隣で話しかけていると、どこからともなく夜警さんの姿が・・・。
「申し訳ありませんでした。私は多岐川さんの事が好きで何でもしてあげたかったけれど、やり方を間違えてしまいました。皆様を傷つけてしまった事、深くお詫び致します。私も本日の職務が終わり次第、仕事を辞める事で責任をとりたいと思います。ほら、七海ちゃんも謝って…!」
夜警さんは多岐川さんの頭を触り、無理やり深く頭を下げさせた。
多岐川さんの涙がポロポロと床に落ちて、小さな声で「ごめんなさいっ、私、…秋葉さんが羨ましくて嫌がらせして…ごめんなさいっ、」と繰り返し謝る。
「もう怒ってないよ、顔上げて。私達は誰にも言わないし、多岐川さんと夜警さんの立場が悪くなる様にはしないよ。謝ってくれたから、もういいの。っね?日下部さん、副社長?」
二人に訪ねると日下部さんは「早くしろ、行くぞ」と行って歩き出し、有澄は「ゆかりが許すなら俺も許すよ。早くおいで、日下部さんが逃げるっ」と言い追いかける。
相良さんは相良さんで「焼肉ですか…。車に匂いが残りそうで嫌ですが…お誘いされたので仕方ありませんね」とか言いながら車を取りに行く。
相良さんの車を待っていると、珍しいツーショットの二人から「どうにかしろよ、あの馬鹿!どんだけお人好しなんだよ」と日下部さんの声が聞こえたけれど有澄は動じず、「ゆかりをどうにか出来るのは俺だけの特権だから!」と言っているのが聞こえた。
「馬鹿は本当に残酷で困る!」
「……同感」
日下部さんがボソボソと呟いた言葉を多岐川さんが拾ったけれど、私にも聞こえたもん。
私は日下部さんと有澄にも兄弟として仲良くして欲しいし、多岐川さんとも和解したいし、・・・時にそれが残酷になりうる事も理解はしているけれど・・・
一歩前に進まなければ、両者は歩み寄れないでしょ?
その先に辿り着けないもの。
偽善者と言われても致し方ないけれど、理解して貰えないかもしれないけれど、私は誰かを恨んで生きて行く生き方は嫌だ。
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