糖度高めな秘密の密会はいかが?

桜井 響華

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糖度13*彼氏の実家にお邪魔しました

6月、女性には憧れのJUNEブライド。

企画開発部の先輩、佐藤さんの挙式がホテルで盛大に行われた。

約束のウェルカムボードを作成し、挙式前、事前に行われた職場でのお祝いパーティの写真をまとめたアルバムもプレゼントした。

赤ちゃんが産まれるのもあって、新婚旅行は行かないらしい。

二次会の帰り、受け取ったブーケを握りしめて綾美が呟く。

「このブーケが私の元に来たって事は私が次な訳!仕事なんかしたくなーいっ!」

バイヤーになるか否か、まだ決断出来ていない綾美は高橋さんとケンカしてしまったらしく、荒れている。

「高橋さん、綾美は飲み過ぎですよ。フラフラしてる…」

「困りました、どうしましょう…」

「お前が蒔いた種なんだから、自分で何とかしろよ」

困り果てている高橋さんに対して、日下部さんは見捨てるように切り捨てる。

「そーゆー言い方はないでしょ!日下部さんだって関係あるでしょ!日下部さんが企画した新店舗の件なんだからっ!」

「…自分が呼ばれないからって卑屈になってんの?」

「そ、そんなんじゃないもんっ!」

日下部さんは勝ち誇ったかの様に微笑んでいるが、話がややこしくなってきた。

綾美は仕事上での夢と結婚生活とか、色んなものを天秤にかけては、どれも選ぶ事が出来ずにいた。

「…要するに企業内の保育園があればもっと働き安くなる訳ですよね?杉野さんがバイヤーになって家を空ける日があっても、企業内の保育園なら高橋さんの負担も減ると思うし…」

「そうだよ、王子。女性も働く時代なんだから、企業がもっと努力しないと…辞めちゃうぞ?」

黙って話を聞いていた有澄が思いついた様に話を振ると、綾美はブーケで有澄の肩を叩き物申した。

「精進します…」と有澄が言った傍で、日下部さんが高橋さんに「結婚する事にしたのか?」と聞いた。

「いずれは…」としか答えなかった高橋さんを綾美は睨みつけて、「その煮え切らない態度が嫌なの!いずれは!じゃなくて、私は今すぐにでもしたいのに!」とブーケを高橋さんの胸に突きつけて騒ぐ。

綾美の目がうるうるとしていて、今にも涙がこぼれそうだった。

ホテル内のロビーは二次会帰りの人やチェックイン待ちの人達で賑わっていたので、周りには気づかれていないかもしれないが、私達には一大事なのだ。

高橋さん、どうするの?

「分かりました。俺は綾美さんの仕事が落ち着いてからと思ってましたが…サポート出来るなら、バイヤーになる前に結婚しましょう。せっかくの夢を叶えるチャンスなんですから、お断りしないで下さい。

それが結婚する条件です」

「うん、分かった…そうする」

高橋さんは綾美の両手を握りしめて、ゆっくりと伝えた。

自分で決断出来なかった綾美は、高橋さんに決断して欲しかっただけかもしれない。

一時はどうなる事かと心配したが、案外あっさりと解決してしまい、拍子抜けした感じもあった。

「高橋のくせに先に結婚するとは生意気な…!」

「そうだ、日下部さん、仲人お願いします」

「調子乗るな、誰がやるかって!」

日下部さんと高橋さんのやり取りにより、おめでたさが半減したけれど・・・本当に良かった。

「綾美、おめでとう!」

「ゆかりぃっ、大好きっ。海外に仕入れに行く時はゆかりにだけは沢山お土産買って来るからね!…お昼は一緒に食べようね。私が居なくても…浮気しないでね?」

「う、うん。しないよ、綾美は頑張って。私も寂しくなるけど頑張るよ」

綾美は私に抱きついて、嗚咽を漏らして泣いていた。

「どっちが彼氏か分からないな、高橋」と日下部さんの声が聞こえて、「綾美さんにとって秋葉さんは特別ですから勝てませんよ」と言って笑ってるのが聞こえた。

私達はホテルを出て、それぞれの帰路に別れた。

社長も佐藤さんの結婚式に出席して、夕方からは御在宅との事で、着替えをしてから有澄の実家に御挨拶に行く事になっている。

「ゆかり、疲れてない?大丈夫?別に日にちを遅らせてもいいんだよ?」

「疲れてないよ。御両親がお忙しい中、お時間作って下さったんだから、変更はしちゃダメだよ!」

有澄のアパートに着くと休む暇もなく、着替えをする。

御挨拶に行く為に新調したオフホワイトのワンピース、有澄にクリスマスプレゼントで貰ったネックレスに髪型は挙式の時のままなふわふわウェーブ。

「ゆかり、可愛い!実家に行かないでどこかに出かけたい気分…」

「ダメだよ。ほら、行こっ」

有澄が背後から抱きついて来たけど、ゆっくりと振り払って、玄関先まで誘導する。

6月だが、まだ梅雨入りはしていないので、外は蒸し蒸しして暑い。

「有澄の誕生日、もうすぐだね。どこかに行こっか?有澄の好きな所でいいよ」

駅まで手を繋ぎながら歩く。

来月の7月1日は有澄の誕生日だ。

初めて一緒に過ごす誕生日だから、今からとても楽しみにしている。

「俺はゆかりと居られたらどこでもいいよ」

「それはダメなのっ!考えといてね」

「じゃあ、ゆかりが決めといて」

もうっ、自分の事になると適当なんだからっ。

そんな事を話ながらの駅までの道のりは、あっという間。

乗り換えをして渋谷駅で電車から降りた。

段々と近付いて来る有澄の実家に、緊張し過ぎて足取りが重くなる。

「どうしたの?」

緊張感からいつの間にか手を強く握り締めていた私に気付き、問いかける。
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