糖度高めな秘密の密会はいかが?

桜井 響華

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糖度13*彼氏の実家にお邪魔しました

「き、緊張して来ちゃった…!有澄のお母さんって言っても社長だし、な、何で秋葉さんなのーっ!?って言われないかな?」

「ゆかりは心配性だね」

ドキドキドキドキ・・・。

思えば、会社内で会っても緊張感半端ないのにプライベートで会うってどんな感じなんだろうか?

社長は洋菓子が好きと言ってたので、お土産に用意はしておいたけれど・・・考えてみたら、お父さんには何も用意してなかった。

御両親に挨拶に行く事は初めてなので、勝手が分からないな。

 「ゆかり…」

人気のない路地裏で有澄が立ち止まったので私も立ち止まる。

「…緊張ほぐれた?」

「有澄のバカッ!!誰かに見られたら恥ずかしいでしょ!」

"緊張をほぐすおまじない"って不意打ちのキスをされたのだが、公衆の面前でするとは!

エロバカ王子っ。

「ゆかりをからかうと面白いんだもん」

「絶対、絶対っ、仕返しするからね!」

「楽しみに待ってるよ」

辺りは薄暗くなって来て、電灯の明かりがついた。

人気のない静かな住宅地。

有澄が学生時代に歩いた道。

「…小学校から帰る時間になると、いつもこの辺まで相良の祖父が迎えに来てくれるんだ。たまに意地悪して、一本向こうから帰るんだけど…すぐに発見されたんだ。
帰りたくない時は寄り道してから帰るんだけど…そんな時もずっと何時間でも、この場所で待ってた」

「秘書の相良さんと同じで誠実なんだね。相良さんの性格はおじい様譲りかな?」

ふと思い付いた様に話してくれる、有澄の昔話が嬉しい。

どんなに願っても過去に戻る事も、覗く事も出来ない。

有澄が話してくれた事が私にとっては真実そのもので、知らなかった過去が広がる。

「全然違うよ!大貴は性格悪いし…。今はあんなにクールぶってるけど、小学生の頃なんか悪ガキでイタズラばっかりしてた」

「今は全然そんなんじゃないのにね。有澄、普段は相良さんの事、名前で呼んでるの?」

「うん…でも、名前で呼ぶと怒るから、あんまり呼ばない」

この辺りは事情があるんだろうから、これ以上は踏み込んではいけない様な気がする。

有澄と相良さんの関係は、有澄にとっては友達、相良さんは友達だと思っていても表向きには出さない様にしているんだと思う。

相良さんの祖父母がお手伝いさんだったので、相良さん自身も呪縛というか、抜け切らずにいるのだと勝手に想定する。

「ここが実家ね…。緊張しなくて大丈夫だよ。先に言っとくけど、想像してたのと違っても苦情は受け付けないからね…」

ついに到着した実家。

角にある家で、見た所、外壁が綺麗なベージュの大きな二階建て。

テレビでしか見た事がない大きな門。

門が自動で開いたので奥へ進むと高級外車が一台と相良さんの車が停めてあった。

周りを見渡していたら足がすぐんで来た。

「ゆかり?またおまじないする?」

「し、しなくて大丈夫っ」

有澄はクスクスと笑ってる。

余裕なのは当たり前だよ、自分の実家なんだから・・・それに比べて私は緊張が増してきた。

有澄が玄関の扉を開けたので、覚悟を決めたら・・・アレ?

「秋葉さん、こんにちは。ちょっと取り込み中なんで上がって待っていて下さい。おかえりなさいませ、副社長。実は…会長ご夫妻もいらっしゃるそうで…」

「知ってる。さっき、母さんからメール来てた。てゆーか、何で来るの?ややこしくなるから呼ばなくて良かったのに!」

出迎えてくれたのは三角巾を被りエプロン姿の相良さんで、普段からはとても想像出来ない。

広い玄関の先には階段があって、その奥がキッチンなのか、バタバタしている様子だった。

「お邪魔します…」と言っても誰にも聞こえてる様子はなく、キッチンからはお皿の割れる音がした。

「奥様、私共がやりますので、坊っちゃま達のお相手をお願いします」
「私からもお願いです、大人しくしていて下さい!」

「まぁっ、染野さんも相良も私を邪魔にするのね!私にだって手伝える事はあるはずよ!」

キッチンからの話し声を聞く限り、キッチンの中はとにかく大変な事態になっている様だ。

「ちょっとリビングで待っててくれる?」と有澄に言われて、1人でポツンとリビングのソファーに置き去りにされる。

「何でこんな事になってるの?」
「急に会長ご夫妻がいらっしゃる事になり、料理を作り直しているんですよ。当初は洋食で御用意してましたが、和食が良いとおっしゃられて…」
「まったく迷惑な話だよね!」

有澄とお手伝いさんらしき女性の声が聞こえる。

座っているのも落ち着かなくて何だかソワソワしていると「ゆかりちゃんっ」と呼ばれた気がしたので振り向くと背後に社長が立っていた。

「お邪魔します…えっと、実は有澄君とお付き合いさせていただいていて…」

咄嗟に立ち上がり、ペコりとお辞儀をする。

「有澄から聞いているわ。今日、とても楽しみにしていたのよ。…ところで裏ごしってどうやるか知ってる?サツマイモなんだけど…」

「はい、知ってますけど…」

「ちょっと来てくれる?素敵なワンピースが汚れちゃうから、エプロンお貸しするわ」

これまた三角巾を被りエプロン姿の社長に連れられて、キッチンにお邪魔する事になりました。

"ゆかりちゃん"って呼ばれた事よりも、いきなりキッチンにお邪魔しちゃう方がインパクト強くて驚きです。
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