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糖度13*彼氏の実家にお邪魔しました
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「有澄にはいつ伝えようって迷っていたけど、私の会社の社員になるなら避けては通れない道だと思って…。混乱を避ける為に隠していてごめんなさい」
社長が申し訳なさそうに謝るけれど、その話題を振られた有澄は急に不機嫌になる。
「大貴だけは知っていて、俺は何も知らずに生きてきた。今更知っても実感湧かないし、もっと前に知ってたら、いろはの社員にならなかった!」
話に食いついてきた有澄は自分の意見を言い切って、悔しそうに唇を噛んでいる。
「大貴には郁弥へのおつかいを頼んでいたのよ。本当に悪かったと思ってるわ…。せめて、成人した時にでも伝えれば良かったわね。それより…」
社長は話の途中で私をチラリと見て、
「有澄が大学卒業後もいろはで働きたいって言うからおかしいとは思ってたけど…まさか、ゆかりちゃんが居たからだったとはね!」
と言いながら微笑む。
「いろはに居るのは、5年との約束付きだったな、確か…」
お父様が口を挟み、
「副社長はいろはカフェで厨房からホールに移動したのは、秋葉さんと話したいからと言ってましたよ。一目惚れしたって…うぐっ…」
「大貴、余計な事言うなよ!いつもの守秘義務はぁ?」
「きょほは、プライ、ベトだから…あり、ません」
相良さんが余計な事を言ったので、恥ずかしくなった有澄は隣に座っている相良さんの口を手の平で塞ぐ。
自分の話題を振られた私も恥ずかしくなり、俯く。
有澄は初めは厨房に居て、ホールに移動したのは私に一目惚れしたからって・・・。
私はホールで有澄を見つけたけれど、有澄は私の事をもっと前から知っていた事になる。
気付かなかっただけで、私達はすれ違いを繰り返していたのかもしれない。
「奥様、郁弥様がいらっしゃしゃいましたよ」
染野さんがニコニコしながら連れて来たのは、間違えなくあの人、日下部さんだった。
話の流れが私と有澄の出会いの話題になりそうだったので、日下部さんが救世主に見えた。
「ご無沙汰しております。遅くなりまして、申し訳ありません…」
「堅苦しい挨拶は抜きにして座って!」
お母様に言われるがまま、日下部さんはポーカーフェイスを崩さぬ様に挨拶を済ませると私の隣端に座る。
何か言いたそうに私をギロりと睨み付ける。
怖い、怖い!
日下部さんが席に座るとシン・・・と静まり返る。
「揃ったところで、お料理をいただきましょ。染野さん、私と主人には冷酒をいただけるかしら?」
「かしこまりました」
お祖母様の合図で乾杯をし、しばしの歓談の一時。
私は有澄と一緒にワインをいただいたのだが、フルーティで口当たりが良く、飲み過ぎてしまいそう。
染野さんの料理もとても美味しい。
フレンチのシェフだったのに、創作料理の日本食ではなく、料亭の懐石料理の様だ。
「郁弥が企画している新事業はどうかね?順調かね?」
「えぇ、まぁ。後は優秀な人材が入れば…ってとこでしょうか?」
「自分で見つけるのが大変なら、ウチの人材から引っ張りなさい。誰かしら居るだろう」
「はい、ありがとうございます…」
お爺様が日下部さんに話かけると、淡々と返答していた。
「今日、郁弥を呼んだのはね、大事な話があるのよ!会長も来た事だし、ちょうど良かったわね。ゆかりちゃんも近々、有澄のお嫁さんになるんだから、聞いてね」
社長がそう言うと、
「有澄、もうそこまで話が進んでいたとは!海外にいるとはいえ、じいは除け者にされて悔しいぞ!」
「そうよね、有澄が彼女を連れてくるって聞いたから無理矢理にでも帰って来て良かったわ!」
と会長ご夫妻が騒ぐ。
「有澄、ゆかりさんの御両親には御挨拶には行ったのかしら?」
「新居はどうするんだ?結納の日取りは?」
社長が話そうとしていた"大事な話"から段々と話がズレてきていて、結婚するのが確実みたいな話になってきている。
「お前、今すぐ結婚するの?」
有澄が会長ご夫妻に対応している間に、隣に座って居る日下部さんが横目で私を見ながら質問する。
「いずれは…したいですけど…」
「ふぅん…いずれはね。さっさと結婚しちゃえよ、バーカッ」
な、何よ、その言い方!
皆に聞こえなそうだからって、そんな言い方ないじゃん。
日下部さんにとっては私の存在が邪魔になっているのは分かるけれど・・・。
「いつまでも諦めつかなくて困るから、お見合いの話を受けようか迷っている」
「…私には止める事も勧める事も何も出来ません。でも、乗り気じゃないならやめたらいいと思います」
「…あっそ」
お見合いの話を自分から振っといて素っ気ない返事とは・・・凹む。
若くして部長クラス且つカッコイイ独身となれば、お見合いの話も沢山来るだろう。
日下部さんには幸せになって欲しいから、本当に好きになれる人と結婚して欲しい。
「見る度に思ってたのだけど、郁弥とゆかりちゃんて本当に仲が良いのね。本当はね、ゆかりちゃんが郁弥の彼女かと思ってたのよ。でも、有澄が連れてくるって言うから、ちょっとびっくりしたのよ」
社長が申し訳なさそうに謝るけれど、その話題を振られた有澄は急に不機嫌になる。
「大貴だけは知っていて、俺は何も知らずに生きてきた。今更知っても実感湧かないし、もっと前に知ってたら、いろはの社員にならなかった!」
話に食いついてきた有澄は自分の意見を言い切って、悔しそうに唇を噛んでいる。
「大貴には郁弥へのおつかいを頼んでいたのよ。本当に悪かったと思ってるわ…。せめて、成人した時にでも伝えれば良かったわね。それより…」
社長は話の途中で私をチラリと見て、
「有澄が大学卒業後もいろはで働きたいって言うからおかしいとは思ってたけど…まさか、ゆかりちゃんが居たからだったとはね!」
と言いながら微笑む。
「いろはに居るのは、5年との約束付きだったな、確か…」
お父様が口を挟み、
「副社長はいろはカフェで厨房からホールに移動したのは、秋葉さんと話したいからと言ってましたよ。一目惚れしたって…うぐっ…」
「大貴、余計な事言うなよ!いつもの守秘義務はぁ?」
「きょほは、プライ、ベトだから…あり、ません」
相良さんが余計な事を言ったので、恥ずかしくなった有澄は隣に座っている相良さんの口を手の平で塞ぐ。
自分の話題を振られた私も恥ずかしくなり、俯く。
有澄は初めは厨房に居て、ホールに移動したのは私に一目惚れしたからって・・・。
私はホールで有澄を見つけたけれど、有澄は私の事をもっと前から知っていた事になる。
気付かなかっただけで、私達はすれ違いを繰り返していたのかもしれない。
「奥様、郁弥様がいらっしゃしゃいましたよ」
染野さんがニコニコしながら連れて来たのは、間違えなくあの人、日下部さんだった。
話の流れが私と有澄の出会いの話題になりそうだったので、日下部さんが救世主に見えた。
「ご無沙汰しております。遅くなりまして、申し訳ありません…」
「堅苦しい挨拶は抜きにして座って!」
お母様に言われるがまま、日下部さんはポーカーフェイスを崩さぬ様に挨拶を済ませると私の隣端に座る。
何か言いたそうに私をギロりと睨み付ける。
怖い、怖い!
日下部さんが席に座るとシン・・・と静まり返る。
「揃ったところで、お料理をいただきましょ。染野さん、私と主人には冷酒をいただけるかしら?」
「かしこまりました」
お祖母様の合図で乾杯をし、しばしの歓談の一時。
私は有澄と一緒にワインをいただいたのだが、フルーティで口当たりが良く、飲み過ぎてしまいそう。
染野さんの料理もとても美味しい。
フレンチのシェフだったのに、創作料理の日本食ではなく、料亭の懐石料理の様だ。
「郁弥が企画している新事業はどうかね?順調かね?」
「えぇ、まぁ。後は優秀な人材が入れば…ってとこでしょうか?」
「自分で見つけるのが大変なら、ウチの人材から引っ張りなさい。誰かしら居るだろう」
「はい、ありがとうございます…」
お爺様が日下部さんに話かけると、淡々と返答していた。
「今日、郁弥を呼んだのはね、大事な話があるのよ!会長も来た事だし、ちょうど良かったわね。ゆかりちゃんも近々、有澄のお嫁さんになるんだから、聞いてね」
社長がそう言うと、
「有澄、もうそこまで話が進んでいたとは!海外にいるとはいえ、じいは除け者にされて悔しいぞ!」
「そうよね、有澄が彼女を連れてくるって聞いたから無理矢理にでも帰って来て良かったわ!」
と会長ご夫妻が騒ぐ。
「有澄、ゆかりさんの御両親には御挨拶には行ったのかしら?」
「新居はどうするんだ?結納の日取りは?」
社長が話そうとしていた"大事な話"から段々と話がズレてきていて、結婚するのが確実みたいな話になってきている。
「お前、今すぐ結婚するの?」
有澄が会長ご夫妻に対応している間に、隣に座って居る日下部さんが横目で私を見ながら質問する。
「いずれは…したいですけど…」
「ふぅん…いずれはね。さっさと結婚しちゃえよ、バーカッ」
な、何よ、その言い方!
皆に聞こえなそうだからって、そんな言い方ないじゃん。
日下部さんにとっては私の存在が邪魔になっているのは分かるけれど・・・。
「いつまでも諦めつかなくて困るから、お見合いの話を受けようか迷っている」
「…私には止める事も勧める事も何も出来ません。でも、乗り気じゃないならやめたらいいと思います」
「…あっそ」
お見合いの話を自分から振っといて素っ気ない返事とは・・・凹む。
若くして部長クラス且つカッコイイ独身となれば、お見合いの話も沢山来るだろう。
日下部さんには幸せになって欲しいから、本当に好きになれる人と結婚して欲しい。
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