糖度高めな秘密の密会はいかが?

桜井 響華

文字の大きさ
69 / 73
糖度MAX*楽観主義者のお姫様

月々の家賃だったり、購入するにも資金だったり、色々気になる事はあるけれど、私は一先ず素直な気持ちを伝えた。

「そっか。ゆかりは本当に高級志向に釣られないよね。そういうところも好きなんだけど…」

私達は夜景を見ながら立ち話をしていたが、有澄が広いフローリングの上に座ったので、私も腰を下ろして座る。

「こっちに座って…」

「……はい」

「素直で可愛い」

有澄の前に座り直すと、ぎゅっと後ろから抱きしめられ、頭を撫でられる。

今日は有澄の誕生日だから、言われるがまま、行動しようと決めている。

テーマパークでは私がはしゃぎ過ぎて失敗したので、今後は有澄の赴くままに過ごしたい。

「この部屋、誕生日プレゼントに貰った。…と言うか、こないだ実家に行った時に住む場所も決めてないと言ったら、祖父母に勝手に買われた」

「プ、プレゼントなの!?」

「皆、ゆかりの事が気に入ってるから、俺の為って言うよりは、厳密にはゆかりへのプレゼントだよ」

広いリビングキッチンの他に二部屋、広くて綺麗なバスルーム、ちょっとした書斎になりそうな余っているスペース、トイレも洗面所も洗練されたデザイン。

住人の公共の場所として、ラウンジやジムもある。

庶民の私には、この部屋がいくらぐらいするのか想像もつかない。

「許可も得ずに勝手に買ったり、自分達の会社の将来の為に相良や日下部さんまで巻き込んだり、破天荒過ぎて疲れるよね。破天荒よりも身勝手と言った方が正しいかな?」

私が返答に困っていると・・・

「この部屋も要らなくなったら売ればいいんだし、とりあえず住んじゃおうか?」

と言い出した。

私は、ただただ驚くばかりで何も言葉に出来なかった。

有澄と一緒に暮らしたいよ・・・でも、こんなに簡単に部屋まで用意して貰って良かったのかな?

「家具もキッチン周りのモノも買ってくれるんだって。日下部さんにもお嫁さんが来たらいずれマンション購入するつもりだって言ってたから、遠慮なくお願いしたらいいと思うよ。

日下部さんの事を隠していた罪滅ぼしをしたいんだろうから、させてあげて?」

有澄のアパートでの暮らしは1LDKだったけれど、毎日がとても楽しくて、有澄が御曹司だという事も忘れるぐらい。

今まで庶民的な生活を送って来た私にとって、財産がある人達の生活は未知の世界だった。

釣り合う様に頑張ろうと思ったけれど、現実をつき尽きられた感じがした。

「何で泣いてるの…?」

「怖くなって来たの」

「怖い…?」

「うん。有澄のお家は簡単にマンションなんて手に入るかもしれないけど…私はお嬢様でもないし、大卒でもないし、と、とにかく、相応しくないと思うの…」

想像したら怖くなった。

どんなに頑張っても、家柄の良いお嬢様にはなれないもの。

花野井グループの恥にでもなれば、有澄が私のせいで後ろ指を指される。

怖くて怖くて、涙が止まらなくなった。

有澄と一緒に居たいのに格差が邪魔をする。

「…ゆかりが傷つくと思ったから言わずにいようと思ってたけど、勝手に身辺調査されていて家柄も問題ないって言ってたよ。昨日、遅くなったのはマンションの件と身辺調査で揉めたから…」

「うぅ…身辺調査って、ドラマみたい…」

「泣いてんの笑ってんの、どっち?」

「………泣いてるのっ」

身辺調査ってドラマの世界みたいで、何だか笑ってしまった。

良かれと思って、お爺様が独断で私と家族の身辺調査をした事に対して、お祖母様と社長が激怒したらしい。

『貴方は婿養子の分際で、花野井家気取ってんじゃないわよ。ゆかりさんを私が気に入ってるんだから身辺調査なんて必要なかったのよ!』とお祖母様が激怒して、お爺様が深々と謝ったらしく、その時の出来事を話しながら有澄が笑っている。

やっぱり、花野井家は女性優位なんだなと思った。

「こないだから言ってるけど、ゆかりが嫌だったら花野井グループなんて捨てればいいよ。勿論、ここにも住まなくてもいい」

「…それも嫌っ」

「俺には二択しかないから、捨てるか継ぐかの二択。ゆかりと離れる選択肢はないから…どちらにしても、お嫁さんになって貰うんだけど…」

「…有澄、大好き。有澄の家族も勿論好き。でも、…」

「じゃあ、この話は保留ね。結論は急がなくてもいい。けど、…」

有澄がさり気なくポケットからハンカチを取り出して、私に手渡す。

その時に一緒に出したのか分からないが、何処からともなく出した指輪を私の左手の薬指にはめる。

「ゆかりは予約って事で」

「………!?」

「結婚するにも時間がかかりそうだし、その間に悪い虫が寄らないようにお守り。…何で、また泣いてるの?まったく泣き虫なんだから…!」

有澄は私の事を床に押し倒して、頬に流れた涙を手で拭くように優しく触れて、目元にキスをする。

目と目が合うと私は有澄の頬に手を伸ばし、キスをせがんだ。

「この続きは…帰ってからね」

有澄は手を差し伸べて、私の身体を起こす。

私達はマンションを出て薄明かりの中を歩く。

そう言えば夕飯を食べてない事に気付き、帰り途中に良さげのカフェを見つけたので立ち寄った。

感想 1

あなたにおすすめの小説

絶交した幼馴染と大学の合コンで再会した。

孤独な蛇
恋愛
中学生の浅野春樹は上級生と喧嘩騒動を起こしたことがあった。 その上、目つきが悪く地毛は茶髪のため不良少年のような扱いを受けて学校では孤立していた。 そんな中、幼馴染の深瀬志穂だけは春樹のことをいつも気遣ってくれていた。 同じ高校に行こうと声を掛けてくれる志穂の言葉に応えたい一心で受験勉強にも力を入れていた。 春樹にとって、学校で孤立していることは問題ではなかった。 昔から志穂が近くにいてくれるから……。 しかし、3年生なってから志穂の態度がよそよそしくなってきた。 登下校も別々になり、学校で話しかけてくることも無くなった。 志穂の心が自分から離れていってしまっている気がした春樹は焦っていた。 彼女と話がしたい。笑った顔が見たい。 志穂と一緒に帰ろうと、彼女が部活動を行っている体育館へ向かったのだが……。 そこで春樹が耳にしたのは、自分の悪口を言って部活の友達と楽しそうにしている志穂の声だった。 その瞬間、春樹の中で志穂に対する想いや信頼は……消滅した。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)

久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。 しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。 「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」 ――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。 なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……? 溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。 王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ! ✽全28話完結 ✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。 ✽他誌にも掲載中です。 ✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。 →表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
恋愛
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。 絶対に離婚届に判なんて押さないからな」 既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。 まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。 紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転! 純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。 離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。 それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。 このままでは紘希の弱点になる。 わかっているけれど……。 瑞木純華 みずきすみか 28 イベントデザイン部係長 姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点 おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち 後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない 恋に関しては夢見がち × 矢崎紘希 やざきひろき 28 営業部課長 一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長 サバサバした爽やかくん 実体は押しが強くて粘着質 秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。