俺様弁護士に過保護に溺愛されています

【番外編】湯河原日誌(side：湯河原)

１

　昼下がり、本人達は全く気付いてないと思うけれど……傍から見れば、じゃれあっているようにしか見えない先生と野上さん。そんな日常を垣間見ている自分。
「午後から吉田さんが来るので、澤野さんと一緒に事務所を出て郵便を出したりしてから、ケーキを購入しに行きます」
「ケーキは澤野に買って来てもらえ。ちょうど店の前を通るだろ」
「えー！　何でですか？　私も行きたかった」
　弁護士の瀬山先生と先輩の野上さんは、結婚を前提にお付き合いをすることになった。お付き合いする前から事務所の中ではこんな感じで仲が良かったけれど、今はとても幸せそうに見える。

「瀬山君も杏沙子ちゃんとじゃれあってないで営業行って来なさいよ。顧問弁護士契約とると、やはり収入源も増えるし安定するよね」
　少々気難しい先生にもキツい一言を浴びせるのは、先生の元カノの澤野さん。澤野さんはお子さんが学校に行ってる昼間にバリバリ働いているキャリアウーマン。澤野さんが来てからというもの、お互いに競っているのか先生もやる気を出してきた印象。
　澤野さんは自分と野上さんには優しいけれど、先生にはずっとこんな感じ。以前からこんな感じだから、お互いに気にしてないみたいだ。

「あ、果凛が今から事務所に寄るって。湯河原、対応頼む！」
　スマホを見ながらそう言って、スーツのジャケットを羽織る先生は急に外出することにしたらしい。果凛さんは先生の妹だが、対応がめんどくさい時は自分に押し付けてくる。自分としては、果凛さんを女性として気になっているので全然構わないのだが……。
　先生も野上さんも澤野さんも外出するということは、果凛さんと二人きりになる。完全に嵌められた気がする……！