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バトラーとしての品格とは?
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想像するにI·Hは穂坂 一弥という俳優だろう。数多くの女優やモデルと噂になって、週刊誌の常連組。不倫をしている訳ではないので出演などに影響はないらしいが、振られた女性からは殺意も向けられているらしいという噂。
高見沢さんと一緒に予約事務所に向かい、穂坂 一弥だと仮定してPCから情報を探り出す。
「篠宮さん、スイートのHさんは色とりどりの薔薇風呂とルームサービスでのディナーを希望だから、その手配はしてあるから。その他の細かい希望と手配内容はこちらに記載してある」
「有難う御座います」
事務所で調べている間に御要望が書かれた丸秘メモを渡された。
色とりどりの薔薇風呂、ルームサービスのディナー(20時に手配)、モーニングはなし、冷蔵庫の中にはミネラルウォーターや炭酸を準備、朝7時にタクシーを裏口に2台手配など……。
一切、部屋からは出ないとの希望だから今日は泊まり込みになりそうかな?
「あんたみたいな人は…まぁ論外だろうけど、一応、女の子なんだから気を付けてよ。何かあったら、すぐに電話してね。どんなお客様かを把握するまでは待機してるから」
「はい、有難う御座います…」
論外は余計な一言だけれど、私の事は一応気にはしてくれている。高見沢さんは口は悪いが仕事はきっちりこなす人だ。そんなところが一颯さんが認めている証拠だったりする。
「じゃ、健闘を祈る!」
ひらひらと手を振って、予約事務所から先に出て行った高見沢さん。私は高見沢さんを見送った後、チェックインまでの間に部屋の中を再度、チェックする。
ミネラルウォーターと炭酸は銘柄が指定してあるけど冷蔵庫に入ってなかったから、買って来なくては!チェックインが19時予定だから間に合うよね……。
穂坂 一弥は私の好みではないのだが、芸能人ともなるとわくわくしてしまう。噂通りの癖のある人なのかな?女性遍歴以外では、人遣いが荒く、我儘らしいけれど……。
部屋のチェックが終わり、ミネラルウォーターと炭酸を買いに近くのスーパーへと出向こうとして上着を羽織った。いざ外に出ようとした時に高見沢さんに「どこに行くの?」と声をかけられた。
「ミネラルウォーターと炭酸を買いに行って来ます。銘柄指定だったから…」
「あんた馬鹿?お客様の名前は出てなくても、予約の段階で事前に希望が出ていた物は準備してあるはずだから、確認してから行きなよ」
「そっ、そうでした!すみません…」
冷蔵庫には入ってなかっただけで、業者からは配達されているかもしれないと言う事を見落としていた。案の定、先程の用紙には発注済となっていて、レストランの業務倉庫に配達されていた。
「ごめんね、先程届いたばかりで客室に届けられなくて…」
飲料関係の発注は飲料事務が行っているので、優月ちゃんに確認しに行った。
「ほら、見ろ。やっぱり届いてるんじゃん!あんた、何焦ってんの?」
「……すみません、初めての芸能人の方かもしれなくて緊張しています」
「今日は女の子指定だから代わってあげられないんだから!もう少しリラックスして、落ち着いて!」
料飲事務所の前で高見沢さんに注意を受けていると優月ちゃんが、「はい、チョコあげるね。コレ食べたら、きっと元気が出るよ」と言ってベルギー産の個包装されたチョコレートを私の手の平に二粒乗せてくれた。
このチョコレートは一颯さんが私と優月ちゃんにくれたもの。お礼を言って受け取り、その場で口の中に入れる。子供地味ているかもしれないけれど、一颯さんが傍に居てくれているような感覚に陥る。
一颯さんとの関係を知っているのは、社内外のどちらでも優月ちゃん一人だけ。一颯さんも優月ちゃんを信頼しているから話しても問題ないと言ってくれた。
「優月ちゃん、有難う。元気出たよ。頑張って来るね」
「そっか、良かった!今日はお忍びのお客様が来るんだよね。誰なんだろう?……ごめんね、私は誰が来るのかちょっと楽しみ」
たわいもない会話をしていると、「早くペットボトルをカゴに入れて持って来なよ」と言われて高見沢さんに指摘された。
プラスチックのカゴに入れられたミネラルウォーター達を持ち、業務用のエレベーターへと向かう。私のお客様とは言え、荷物が重い……。
「ベルギー産の高級チョコ…、コレ、一颯君がくれたんでしょ?」
「はい、私が以前貰ったのと同じだから、そうだと思います」
「そう……。まだ関係が続いているのか…」
「え?関係って…?」
「んー…、何でもない!早く行って、冷蔵庫に冷やすよ!」
高見沢さんは意味深な事を言い放ち、聞き返したら誤魔化した。一颯さんにとって、あのチョコレートには秘密があるのだろうか?関係って何?女の人?
以前、一颯さんが食べさせてくれたのは箱入りのチョコレート。今回貰ったのは一粒ずつ、個包装されているチョコレート。同じ方からなのだろうか?
聞きたいけれど高見沢さんには怪しまれるし、どのみち教えてはくれないだろうし…一颯さんにも聞けないな。関係が女の人だとしたら、傷付くのは自分かもしれないから……怖くて聞けない。一颯さんを信じているからこそ、聞かなかった事にした方が良い事だってある。
ペットボトルを冷蔵庫に冷やしながら、心の奥底にしまう事にした。
高見沢さんと一緒に予約事務所に向かい、穂坂 一弥だと仮定してPCから情報を探り出す。
「篠宮さん、スイートのHさんは色とりどりの薔薇風呂とルームサービスでのディナーを希望だから、その手配はしてあるから。その他の細かい希望と手配内容はこちらに記載してある」
「有難う御座います」
事務所で調べている間に御要望が書かれた丸秘メモを渡された。
色とりどりの薔薇風呂、ルームサービスのディナー(20時に手配)、モーニングはなし、冷蔵庫の中にはミネラルウォーターや炭酸を準備、朝7時にタクシーを裏口に2台手配など……。
一切、部屋からは出ないとの希望だから今日は泊まり込みになりそうかな?
「あんたみたいな人は…まぁ論外だろうけど、一応、女の子なんだから気を付けてよ。何かあったら、すぐに電話してね。どんなお客様かを把握するまでは待機してるから」
「はい、有難う御座います…」
論外は余計な一言だけれど、私の事は一応気にはしてくれている。高見沢さんは口は悪いが仕事はきっちりこなす人だ。そんなところが一颯さんが認めている証拠だったりする。
「じゃ、健闘を祈る!」
ひらひらと手を振って、予約事務所から先に出て行った高見沢さん。私は高見沢さんを見送った後、チェックインまでの間に部屋の中を再度、チェックする。
ミネラルウォーターと炭酸は銘柄が指定してあるけど冷蔵庫に入ってなかったから、買って来なくては!チェックインが19時予定だから間に合うよね……。
穂坂 一弥は私の好みではないのだが、芸能人ともなるとわくわくしてしまう。噂通りの癖のある人なのかな?女性遍歴以外では、人遣いが荒く、我儘らしいけれど……。
部屋のチェックが終わり、ミネラルウォーターと炭酸を買いに近くのスーパーへと出向こうとして上着を羽織った。いざ外に出ようとした時に高見沢さんに「どこに行くの?」と声をかけられた。
「ミネラルウォーターと炭酸を買いに行って来ます。銘柄指定だったから…」
「あんた馬鹿?お客様の名前は出てなくても、予約の段階で事前に希望が出ていた物は準備してあるはずだから、確認してから行きなよ」
「そっ、そうでした!すみません…」
冷蔵庫には入ってなかっただけで、業者からは配達されているかもしれないと言う事を見落としていた。案の定、先程の用紙には発注済となっていて、レストランの業務倉庫に配達されていた。
「ごめんね、先程届いたばかりで客室に届けられなくて…」
飲料関係の発注は飲料事務が行っているので、優月ちゃんに確認しに行った。
「ほら、見ろ。やっぱり届いてるんじゃん!あんた、何焦ってんの?」
「……すみません、初めての芸能人の方かもしれなくて緊張しています」
「今日は女の子指定だから代わってあげられないんだから!もう少しリラックスして、落ち着いて!」
料飲事務所の前で高見沢さんに注意を受けていると優月ちゃんが、「はい、チョコあげるね。コレ食べたら、きっと元気が出るよ」と言ってベルギー産の個包装されたチョコレートを私の手の平に二粒乗せてくれた。
このチョコレートは一颯さんが私と優月ちゃんにくれたもの。お礼を言って受け取り、その場で口の中に入れる。子供地味ているかもしれないけれど、一颯さんが傍に居てくれているような感覚に陥る。
一颯さんとの関係を知っているのは、社内外のどちらでも優月ちゃん一人だけ。一颯さんも優月ちゃんを信頼しているから話しても問題ないと言ってくれた。
「優月ちゃん、有難う。元気出たよ。頑張って来るね」
「そっか、良かった!今日はお忍びのお客様が来るんだよね。誰なんだろう?……ごめんね、私は誰が来るのかちょっと楽しみ」
たわいもない会話をしていると、「早くペットボトルをカゴに入れて持って来なよ」と言われて高見沢さんに指摘された。
プラスチックのカゴに入れられたミネラルウォーター達を持ち、業務用のエレベーターへと向かう。私のお客様とは言え、荷物が重い……。
「ベルギー産の高級チョコ…、コレ、一颯君がくれたんでしょ?」
「はい、私が以前貰ったのと同じだから、そうだと思います」
「そう……。まだ関係が続いているのか…」
「え?関係って…?」
「んー…、何でもない!早く行って、冷蔵庫に冷やすよ!」
高見沢さんは意味深な事を言い放ち、聞き返したら誤魔化した。一颯さんにとって、あのチョコレートには秘密があるのだろうか?関係って何?女の人?
以前、一颯さんが食べさせてくれたのは箱入りのチョコレート。今回貰ったのは一粒ずつ、個包装されているチョコレート。同じ方からなのだろうか?
聞きたいけれど高見沢さんには怪しまれるし、どのみち教えてはくれないだろうし…一颯さんにも聞けないな。関係が女の人だとしたら、傷付くのは自分かもしれないから……怖くて聞けない。一颯さんを信じているからこそ、聞かなかった事にした方が良い事だってある。
ペットボトルを冷蔵庫に冷やしながら、心の奥底にしまう事にした。
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