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条件10*職場とのギャップは内密に!
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私の背後まで相良さんが近付いて来た時に麗紗さんは言葉を投げかけた。
麗紗さんの瞳からはポロリ、とテーブル上に涙がこぼれ落ちる。
「私…、結婚するの。音楽の先生も辞めるかもしれないし、大好きなピアノも弾けなくなるかもしれない。…それでも、たまには大貴と弾いたピアノを思い出すと思うから…」
頬に伝わる涙を拭い、強がりな素振りを見せる彼女は不謹慎にも綺麗過ぎて、見とれてしまう程だった。
「…結婚するって後藤から聞いてた。自宅でピアノ教室とか、続けられる方法なんていくらでもある。末永くお幸せに」…と相良さんが麗紗さんに返事をすると「大貴、アイスコーヒーごちそうさま」と言って足早にこの場を去って行く。
去り際にも涙は滲んでいて、零れ落ちないように必死に耐えていると感じられた。
相良さんは麗紗さんが居なくなった椅子に座り、私の飲みかけのアイス抹茶ラテを飲み干し、カフェを出ようと誘導した。
「何で、飲みかけの抹茶ラテを飲んじゃうんですかっ!」
「…さっきのカフェに長居したくないから」
カフェを出て職場の駐車場までは少し離れて無言で歩き、いざ車に乗り込んでから文句をぶつけた。
平然と私の飲みかけの抹茶ラテを飲み干し、当たり前のように会計を済ませ、先にカフェを出てしまった彼。
「…麗紗さんって、やっぱり元カノだったんですね。隠さなくても良かったのに…」
シートベルトを締めながら、ボソボソと小さな声で愚痴を言った。
会社に来た時だって隠さずに言ってくれたら、ヤキモチは妬くかもしれないけれど…悩んだりしなくて済んだのに!
「だいたい、相良さんって隠し事が多いですよね!住んでる家もはぐらかして教えてくれないし、麗紗さんの事も教えてくれなかったし!…それに何より、相良さんは私の事を好きかどうかも分かりません!」
様々な思いが重なり、つい感情的になってしまい、思いの内をぶつけてしまった。
「相良さんの初恋の人だって麗紗さんに言われたけど、子供の時の感情が今だにあるだなんて信じられません」
ブスッと膨れた顔のままで言葉をぶつけてしまったが、相良さんは冷静沈着のまま、駐車場から車を発進させた。
何も言わないの?
運転中の横顔を睨み付けるように眺めていると仕方なくなのか、口を開いた。
「…今は和奏と一緒に居るんだし、麗紗との過去の事は特に話さなくても良いかなって思ってたから話さずにいた。今日はまさか、和奏の所まで訪ねて来るとは思わなかった。今、マリッジブルーになってるらしい。重ね重ね、和奏に申し訳ないと思ってる…」
ポツリ、ポツリと話し出す相良さん。
続けて、「…住んでる家の件は週末に話すから」と言った後は急に無言になってしまった。
確かに前回会った時の強気の麗紗さんは居なくて、何処か切なげな表情はしていたから不思議には思っていた。
マリッジブルーだと聞いて行動に納得出来たから、麗紗さんを悪く言うつもりはない。
更には私が好きかどうかなんて尋ねてしまったが、相良さんが簡単に好きだとか愛してるだとか言わない事ぐらい知っている。
一緒に居てくれて、私の事を優先してくれる事だって知っているから、言葉にしなくても大事にしてくれてる事は理解しているつもり。
───それでも、好きだとか、愛してるだとか、言葉で聞きたいの。
そんな事を思うのは、贅沢なんだろうか?
「…私ばっかり好きでズルいです」
「どういう意味?」
「そのままの意味ですけど…」
私の言葉に対して理解出来ないと言わんばかりの相良さんに対して、私は引き下がらずに強気で言った。
「…じゃあ、俺がどれだけ好きかを証明すれば良いの?」
少し間を置いてから返事を貰い、私は「はい」と短い返事をしてからうなづいた。
「分かった。答えは週末にとっておくから待ってて…」
「何で週末?」
「…その理由は今は言えない」
またもや相良さんの秘密主義の性格が出て来てしまい、私は拗ねた素振りを見せたが沈黙は続く。
お互いに話さずにいた為、自宅アパート付近まで車で走っていた。
「…たまには和奏の部屋に寄り道しようかな?」
ポツリ、と左耳に入り込んできた言葉に驚き、動揺を隠せなかった。
どんな風の吹き回しなのか、休みの日のデート以外の会社帰りなんて寄った事なんてないのに!
「ご飯作ってくれる?」
「きゅ、急に言われても…。有り合わせで作るしかないですけど…それでも良いなら」
「勿論、特別なものは望んでないけど…和奏の手料理が食べたくなっただけ」
小声だったけれど、ストレートにそんな言葉をぶつけられたら嬉しくもあり、恥ずかしかった。
こんな時は自分は彼女なんだと特に実感する。
アパート付近の駐車場に車を停めて、短い距離を二人で歩く。
街頭と月明かりだけに照らされ、静かな道を歩き、そっと手を繋ぐ。
帰る途中に自転車が横切り、後ろめたさからか繋いだ手を慌てて離そうとしたが、相良さんはキュッと繋いだままだった。
休みの日のデートは手を繋いでも違和感を感じないのに、相良さんがスーツだからかな?…会社の延長上で緊張感がある。
部屋に着いて、一先ずは冷蔵庫の中身を確認し、オムライスくらいしか作れない事に気付く。
それでも相良さんは文句を言わずに出来上がりを待った。
前持って分かっていれば、材料も買っておいたのに───……
「相良さん、出来ました!…って?」
簡単な物だから待ち時間は短時間だったはずだが、仕事用のタブレットを見ていた相良さんはテーブルに突っ伏して寝ている。
小さな寝息が可愛らしく、熟睡しているかの様だった。
突っ伏した体制のままでは辛いと思い、そのまま上半身を倒してゆっくりと横にしようとしたら…
「…ん」
起きてしまった。
「ごめんなさい…態勢がキツいかなと思って、横にしようと思ったんですが…」
「…寝てた、俺?」
「寝てましたけど…疲れてるなら無理しないで下さい。いつも送って貰って…ば、かり…」
ふわり。
「…ちょっとだけ、こうさせて?」
隣にいた私をフワッと自分の方に引き寄せて、ギュッと抱きしめられた。
相楽さんの背中に手を回すと頭を優しく撫でられる。
今までに何度抱きしめられ、何度頭を撫でられてキスを交わしたのだろう?
数少ない逢瀬の中で甘やかされ、職場とは違う相楽さんの一面を発見する。
「…週末、うちに泊まる?」
「…はい。…って、えぇーっ!?」
「何その反応?二日間、一緒に居るし、送り迎えが大変だと思うならそうしなよ」
「……ぅう」
「…何なら何処か泊まりに行く?和奏が好きな方にして?」
両頬を両手で触れられ、相良さんの方に強制的に顔を向かされて、クスッと妖艶な笑みを浮かべながら私を見ている。
顔が真っ赤な私をからかうかのように言い放ち、視線は真っ直ぐなまま。
「…泊まりに来るって聞いただけなのに顔を赤らめるなんて、何かを期待してるの?」
「…し、してないっ!」
「…和奏って本当に可愛い」
ムキになって否定する私の額に唇で軽く触れてから、キスを交わす。
キスの直後、オムライスを食べ始め、やっぱり眠かったらしく、仮眠してから帰るとの事で捕獲されてベッドに囲われた。
相良さんに背後から抱きしめられるような態勢でベッドに囲われ、いつの間にか私も眠ってしまった。
夜中に相良さんが飛び起きたのが分かって目が覚めて、うっすらと目を開けたが、私の事を確認した相良さんは再び抱きしめて眠りについた。
次の日、お互いのスーツやシャツがしわくちゃだったが…たまには良いか、なんて笑い飛ばした。
もしかしたらだけれど、今日泊まった事は麗紗さんの事を不安がっていた私を気遣ってくれたのかもしれないと思った。
やたらとスキンシップが多かったし、本人には聞けないけれども───……
麗紗さんの瞳からはポロリ、とテーブル上に涙がこぼれ落ちる。
「私…、結婚するの。音楽の先生も辞めるかもしれないし、大好きなピアノも弾けなくなるかもしれない。…それでも、たまには大貴と弾いたピアノを思い出すと思うから…」
頬に伝わる涙を拭い、強がりな素振りを見せる彼女は不謹慎にも綺麗過ぎて、見とれてしまう程だった。
「…結婚するって後藤から聞いてた。自宅でピアノ教室とか、続けられる方法なんていくらでもある。末永くお幸せに」…と相良さんが麗紗さんに返事をすると「大貴、アイスコーヒーごちそうさま」と言って足早にこの場を去って行く。
去り際にも涙は滲んでいて、零れ落ちないように必死に耐えていると感じられた。
相良さんは麗紗さんが居なくなった椅子に座り、私の飲みかけのアイス抹茶ラテを飲み干し、カフェを出ようと誘導した。
「何で、飲みかけの抹茶ラテを飲んじゃうんですかっ!」
「…さっきのカフェに長居したくないから」
カフェを出て職場の駐車場までは少し離れて無言で歩き、いざ車に乗り込んでから文句をぶつけた。
平然と私の飲みかけの抹茶ラテを飲み干し、当たり前のように会計を済ませ、先にカフェを出てしまった彼。
「…麗紗さんって、やっぱり元カノだったんですね。隠さなくても良かったのに…」
シートベルトを締めながら、ボソボソと小さな声で愚痴を言った。
会社に来た時だって隠さずに言ってくれたら、ヤキモチは妬くかもしれないけれど…悩んだりしなくて済んだのに!
「だいたい、相良さんって隠し事が多いですよね!住んでる家もはぐらかして教えてくれないし、麗紗さんの事も教えてくれなかったし!…それに何より、相良さんは私の事を好きかどうかも分かりません!」
様々な思いが重なり、つい感情的になってしまい、思いの内をぶつけてしまった。
「相良さんの初恋の人だって麗紗さんに言われたけど、子供の時の感情が今だにあるだなんて信じられません」
ブスッと膨れた顔のままで言葉をぶつけてしまったが、相良さんは冷静沈着のまま、駐車場から車を発進させた。
何も言わないの?
運転中の横顔を睨み付けるように眺めていると仕方なくなのか、口を開いた。
「…今は和奏と一緒に居るんだし、麗紗との過去の事は特に話さなくても良いかなって思ってたから話さずにいた。今日はまさか、和奏の所まで訪ねて来るとは思わなかった。今、マリッジブルーになってるらしい。重ね重ね、和奏に申し訳ないと思ってる…」
ポツリ、ポツリと話し出す相良さん。
続けて、「…住んでる家の件は週末に話すから」と言った後は急に無言になってしまった。
確かに前回会った時の強気の麗紗さんは居なくて、何処か切なげな表情はしていたから不思議には思っていた。
マリッジブルーだと聞いて行動に納得出来たから、麗紗さんを悪く言うつもりはない。
更には私が好きかどうかなんて尋ねてしまったが、相良さんが簡単に好きだとか愛してるだとか言わない事ぐらい知っている。
一緒に居てくれて、私の事を優先してくれる事だって知っているから、言葉にしなくても大事にしてくれてる事は理解しているつもり。
───それでも、好きだとか、愛してるだとか、言葉で聞きたいの。
そんな事を思うのは、贅沢なんだろうか?
「…私ばっかり好きでズルいです」
「どういう意味?」
「そのままの意味ですけど…」
私の言葉に対して理解出来ないと言わんばかりの相良さんに対して、私は引き下がらずに強気で言った。
「…じゃあ、俺がどれだけ好きかを証明すれば良いの?」
少し間を置いてから返事を貰い、私は「はい」と短い返事をしてからうなづいた。
「分かった。答えは週末にとっておくから待ってて…」
「何で週末?」
「…その理由は今は言えない」
またもや相良さんの秘密主義の性格が出て来てしまい、私は拗ねた素振りを見せたが沈黙は続く。
お互いに話さずにいた為、自宅アパート付近まで車で走っていた。
「…たまには和奏の部屋に寄り道しようかな?」
ポツリ、と左耳に入り込んできた言葉に驚き、動揺を隠せなかった。
どんな風の吹き回しなのか、休みの日のデート以外の会社帰りなんて寄った事なんてないのに!
「ご飯作ってくれる?」
「きゅ、急に言われても…。有り合わせで作るしかないですけど…それでも良いなら」
「勿論、特別なものは望んでないけど…和奏の手料理が食べたくなっただけ」
小声だったけれど、ストレートにそんな言葉をぶつけられたら嬉しくもあり、恥ずかしかった。
こんな時は自分は彼女なんだと特に実感する。
アパート付近の駐車場に車を停めて、短い距離を二人で歩く。
街頭と月明かりだけに照らされ、静かな道を歩き、そっと手を繋ぐ。
帰る途中に自転車が横切り、後ろめたさからか繋いだ手を慌てて離そうとしたが、相良さんはキュッと繋いだままだった。
休みの日のデートは手を繋いでも違和感を感じないのに、相良さんがスーツだからかな?…会社の延長上で緊張感がある。
部屋に着いて、一先ずは冷蔵庫の中身を確認し、オムライスくらいしか作れない事に気付く。
それでも相良さんは文句を言わずに出来上がりを待った。
前持って分かっていれば、材料も買っておいたのに───……
「相良さん、出来ました!…って?」
簡単な物だから待ち時間は短時間だったはずだが、仕事用のタブレットを見ていた相良さんはテーブルに突っ伏して寝ている。
小さな寝息が可愛らしく、熟睡しているかの様だった。
突っ伏した体制のままでは辛いと思い、そのまま上半身を倒してゆっくりと横にしようとしたら…
「…ん」
起きてしまった。
「ごめんなさい…態勢がキツいかなと思って、横にしようと思ったんですが…」
「…寝てた、俺?」
「寝てましたけど…疲れてるなら無理しないで下さい。いつも送って貰って…ば、かり…」
ふわり。
「…ちょっとだけ、こうさせて?」
隣にいた私をフワッと自分の方に引き寄せて、ギュッと抱きしめられた。
相楽さんの背中に手を回すと頭を優しく撫でられる。
今までに何度抱きしめられ、何度頭を撫でられてキスを交わしたのだろう?
数少ない逢瀬の中で甘やかされ、職場とは違う相楽さんの一面を発見する。
「…週末、うちに泊まる?」
「…はい。…って、えぇーっ!?」
「何その反応?二日間、一緒に居るし、送り迎えが大変だと思うならそうしなよ」
「……ぅう」
「…何なら何処か泊まりに行く?和奏が好きな方にして?」
両頬を両手で触れられ、相良さんの方に強制的に顔を向かされて、クスッと妖艶な笑みを浮かべながら私を見ている。
顔が真っ赤な私をからかうかのように言い放ち、視線は真っ直ぐなまま。
「…泊まりに来るって聞いただけなのに顔を赤らめるなんて、何かを期待してるの?」
「…し、してないっ!」
「…和奏って本当に可愛い」
ムキになって否定する私の額に唇で軽く触れてから、キスを交わす。
キスの直後、オムライスを食べ始め、やっぱり眠かったらしく、仮眠してから帰るとの事で捕獲されてベッドに囲われた。
相良さんに背後から抱きしめられるような態勢でベッドに囲われ、いつの間にか私も眠ってしまった。
夜中に相良さんが飛び起きたのが分かって目が覚めて、うっすらと目を開けたが、私の事を確認した相良さんは再び抱きしめて眠りについた。
次の日、お互いのスーツやシャツがしわくちゃだったが…たまには良いか、なんて笑い飛ばした。
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