社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"

桜井 響華

文字の大きさ
30 / 31
【番外編】溺愛時間を確保する為にすべき事とは?(side:大貴)

しおりを挟む
和奏が彩羽コーポレーションの受付から保育士へと転職する過程で、現在は花野井百貨店にある保育施設へ研修に行っている。

彩羽コーポレーション独自の保育施設が完成すれば、研修は終了する。

今までみたいに同じ職場ではなく上がり時間もまちまちな為、電話やメールでのやり取りが主となり、休日しか会う事が出来ない。

お互いに会える時間を確保したいからこそ、俺の自宅付近で和奏が引っ越し出来る物件を探している。

休日に不動産を巡ったり、ネットで物件閲覧をしているが…残念ながら和奏が望む条件の物件はないのだ。

「やっぱり、一等地周辺は高いですね!私には手が出せませんよ!」

物心がついた頃から副社長宅にお世話になっているのだが、いざ物件を探すとなるとこの辺りが高級住宅街なんだと嫌でも感じさせられる。

今思えば…高級住宅街に居候出来る事自体が幸せでもあり、複雑な家庭環境そのものだったとも思う。

「…多少高くても、俺も協力するし大丈夫なんじゃない?」

「協力なんて嫌です!家賃を手伝って貰う事なんて出来ません!」

「真面目だね、和奏は…」

今日は休日で朝から夕方まで物件探しに出かけていた。

歩き疲れてしまい、珍しくデパ地下の惣菜を購入し、和奏の住むアパートへと辿り着き荷物を降ろしてくつろいでいる。

和奏の手料理が食べられないのは残念だが、和奏も疲れ切った様子だからたまには惣菜も良いだろう。

「明日は物件探しは中止にして、どこか出かけない?」

「…そうですね、次の契約更新まで二ヶ月はありますから明日はお休みにしましょうか?」

「うん、その方が良いと思うよ。思い詰めて焦って探しても良い物件が見つかる訳じゃないしね?」

隣に座る和奏の頭を優しく撫でる。

休日の度にほぼ和奏と過ごす日々。

最近は家事や留守番などをお手伝いの染野さんにばかり任せているが、和奏の存在を知られてからは、休日に自宅に居ると社長や染野さん自体に追い出される。

『 いい歳をした男性が家事手伝いをしないで下さい!』とか、『 和奏さんが待ってるんですから相良さんは早く支度して出かけなさい』と言う感じで追い出されている。

最近は花嫁修業の為に副社長の婚約者の秋葉さんが染野さんに料理を教わりに来ているので、染野さんもやりがいがあるのだと言っていた。

「お休みの度に大貴さんと一緒に居られるから嬉しいです」

ぎゅうっと俺の右腕に両手を絡めて、ピタッと寄り添う和奏がとても可愛いらしい。

最近は"相良さん"ではなく、"大貴さん"と呼んでくれる。

呼び捨てで良いと何度も言っているのだが、彼女は恥ずかしいと言って中々呼んではくれない。

「明日はどこに行きたい?」

「大貴さんはどこに行きたい?」

「答えになってないんだけど…!」

「あはは、そうですね。私はたまには…遊園地とか行ってみたいです」

「遊園地…」

子供の頃はたまに行った事があるけれど、最後に行ったのは大学時代か?

「乗り物苦手ですか…?」

「いや、子供の頃は結構、ジェットコースターとか好きだったけど…しばらく行ってないかも…」

「じゃあ、ストレス解消にもなるし行きましょう!どこが良いかなぁー?」

「何で急に遊園地?」

「えっと…保育園の子供達と遊具で遊園地ごっこしてたら、久しぶりに行きたくなりました!」

「……そっか」

ニコニコしながら話す和奏に完全に負けた。

この歳になって遊園地デートとか恥ずかしい気もするが、和奏が望むなら致し方ない。

「早めに食事を済ませて、明日は早起きしましょ」

「…そんな事言ってるけど、起きれないのは和奏だと思うんだけど?」

「そ、それはっ、大貴さんのせいでしょ!」

「……そぉ?」

「そうです!大貴さんがなかなか寝かせてくれなっ…。と、とにかく、今日は早く寝るんですってば!」

自分で人のせいだと言い張った癖に、頬を赤くしながら誤魔化している姿が何とも言えずに可愛い。

子供の頃から世界で一番可愛い生き物は猫だと信じていたが、最近では"和奏"が逆転している。

猫を抱っこしたり、撫でたくなるように…可愛くて仕方なくて、和奏に触れたくなるのだ。

「じゃあ、先にお風呂入る?」

「お風呂入ってからご飯でも良いですよ」

「……一緒に入ろっか?」

「…っえ、それはちょっと…」

和奏の額に自分の額を触れ合わせて、近距離で聞いてみる。

和奏が同意すれば一緒に入っても良いかな?とも思って聞いてみたけれど、目を泳がし拒否された。

「……背中流すくらいなら、大貴さんにしてあげますよ?」

「何それ?俺だけ?」

「はい、そうです…」

「お返ししなきゃね?」

「い、いいですー」

和奏が耳まで真っ赤にして否定するから、更にからかいたくなる。

こんな日常も悪くない。

和奏の居ない世界など暗闇と同じで、それほど迄に俺に光を差し伸べてくれている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】経理部の女王様が落ちた先には

Bu-cha
恋愛
エブリスタにて恋愛トレンドランキング4位 高級なスーツ、高級な腕時計を身に付け ピンヒールの音を響かせ歩く “経理部の女王様” そんな女王様が落ちた先にいたのは 虫1匹も殺せないような男だった・・・。 ベリーズカフェ総合ランキング4位 2022年上半期ベリーズカフェ総合ランキング53位 2022年下半期ベリーズカフェ総合ランキング44位 関連物語 『ソレは、脱がさないで』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高4位 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高2位 『大きなアナタと小さなわたしのちっぽけなプライド』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高13位 『初めてのベッドの上で珈琲を』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高9位 『“こだま”の森~FUJIメゾン・ビビ』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高 17位 私の物語は全てがシリーズになっておりますが、どれを先に読んでも楽しめるかと思います。 伏線のようなものを回収していく物語ばかりなので、途中まではよく分からない内容となっております。 物語が進むにつれてその意味が分かっていくかと思います。

お前が愛おしい〜カリスマ美容師の純愛

ラヴ KAZU
恋愛
涼風 凛は過去の恋愛にトラウマがあり、一歩踏み出す勇気が無い。 社長や御曹司とは、二度と恋はしないと決めている。 玉森 廉は玉森コーポレーション御曹司で親の決めたフィアンセがいるが、自分の結婚相手は自分で決めると反抗している。 そんな二人が恋に落ちる。 廉は社長である事を凛に内緒でアタックを開始するが、その事がバレて、凛は距離を置こうとするが・・・ あれから十年、凛は最悪の過去をいまだに引き摺って恋愛に臆病になっている。 そんな凛の前に現れたのが、カリスマ美容師大和颯、凛はある日スマホを拾った、そのスマホの持ち主が颯だった。 二人は惹かれあい恋に落ちた。しかし凛は素直になれない、そんなある日颯からドライブに誘われる、「紹介したい人がいるんだ」そして車から降りてきたのは大和 祐、颯の息子だった。   祐は颯の本当の息子ではない、そして颯にも秘密があった。

Perverse second

伊吹美香
恋愛
人生、なんの不自由もなく、のらりくらりと生きてきた。 大学三年生の就活で彼女に出会うまでは。 彼女と出会って俺の人生は大きく変化していった。 彼女と結ばれた今、やっと冷静に俺の長かった六年間を振り返ることができる……。 柴垣義人×三崎結菜 ヤキモキした二人の、もう一つの物語……。

私を抱かないと新曲ができないって本当ですか? 〜イケメン作曲家との契約の恋人生活は甘い〜

入海月子
恋愛
「君といると曲のアイディアが湧くんだ」 昔から大ファンで、好きで好きでたまらない 憧れのミュージシャン藤崎東吾。 その人が作曲するには私が必要だと言う。 「それってほんと?」 藤崎さんの新しい曲、藤崎さんの新しいアルバム。 「私がいればできるの?私を抱いたらできるの?」 絶対後悔するとわかってるのに、正気の沙汰じゃないとわかっているのに、私は頷いてしまった……。 ********************************************** 仕事を頑張る希とカリスマミュージシャン藤崎の 体から始まるキュンとくるラブストーリー。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

定時で帰りたい私と、残業常習犯の美形部長。秘密の夜食がきっかけで、胃袋も心も掴みました

藤森瑠璃香
恋愛
「お先に失礼しまーす!」がモットーの私、中堅社員の結城志穂。 そんな私の天敵は、仕事の鬼で社内では氷の王子と恐れられる完璧美男子・一条部長だ。 ある夜、忘れ物を取りに戻ったオフィスで、デスクで倒れるように眠る部長を発見してしまう。差し入れた温かいスープを、彼は疲れ切った顔で、でも少しだけ嬉しそうに飲んでくれた。 その日を境に、誰もいないオフィスでの「秘密の夜食」が始まった。 仕事では見せない、少しだけ抜けた素顔、美味しそうにご飯を食べる姿、ふとした時に見せる優しい笑顔。 会社での厳しい上司と、二人きりの時の可愛い人。そのギャップを知ってしまったら、もう、ただの上司だなんて思えない。 これは、美味しいご飯から始まる、少し大人で、甘くて温かいオフィスラブ。

敏腕SEの優しすぎる無償の愛

春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した祭りは、雨の夜に終わりを願う。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。

もう一度確かな温もりの中で君を溺愛する

恋文春奈
恋愛
前世で俺は君というすべてを無くした 今の俺は生まれた時から君を知っている また君を失いたくない 君を見つけてみせるから この奇跡叶えてみせるよ 今度こそ結ばれよう やっと出逢えた 君は最初で最後の運命の人 ヤンデレ国民的アイドル松平 朔夜(25)×平凡なオタク大学生佐山 琉梨(22)

処理中です...