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第二章
共同作業
「俺の執務机の1番下に入ってる黒い箱持ってきて」
「え、えぇ…。これでいいでしょうか?」
俺の気迫に押されたウィルは寝室から移動して隣の部屋から黒い箱を持ってきた。
「そちらはなんですか?…」
「時愛計。リアからのプレゼント。誰かとの任意の1年の記憶を代償に、時を戻すことが出来る。」
「…」
「それでウィルとの1年失って18年時を戻した…。」
「はぁ?!なんてことしてんだよ!」
怒って当然だ。
俺だって逆の立場なら怒るだろう。
「…ごめんなさい。謝ってすむ話じゃないけど、リアが死んで抜け殻みたいになって、ルカもいない18年だった。それでこの時愛計を使って18年時を戻した。ルカを殺したのはこの乳母だ。」
呆れたようにため息をつきながら時愛計を眺めているウィル。
もっと罵られると思った。
「…では、使いましょうか。」
「え、いいの?」
「母が生き返る手段はこれしかないので。それでは--」
魔力を込めた右手で時愛計のねじを回そうとしたから奪った。
「え、え、待って!待って!ウィルが使うの?!」
「誰が使ってもよくないですか?」
「いや、そうなんだけど…」
「私、これでも怒ってるんですけど、旦那様はいつまでモタモタしやがるおつもりですか?」
青筋を立てて腕を組んで、いい笑顔で睨んでくる。
分かってはいるけど、1つ記憶を失っただけでもダメージは大きかった。
「でも…」
「あー!でも、でも、だってうるさいんだよ!さっさと使うぞ!とりあえず二人で使う。魔力は俺。回すのはセオ。多分それでいける。記憶の対象は2人が会ったことある、エリン・ケッペル。時期は10年前!理由はアイラ様のドレス選びに1度着いていった時に話しただけのドレスデザイナーだ!戻るのは1週間前だ!わかったか!」
「わかった!」
「だったらさっさと回せ!」
家令としてのウィルは消え去って、かつて兄として過ごしたウィルが出てきて俺は従うしかなく、魔力で圧をかけられながら、ねじを回した。
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