35 / 47
第二章
魔力暴走
「今日は機嫌が悪いんです。」
「だろうね。俺が一緒に寝るから休んでいいよ。」
授乳を終え、乳母からルーカスを預かった。
今日はルーカスが魔力暴走を起こした日だ。
体温も少し高い。
「ルカ、気持ち悪いよね。大丈夫だよ。お父様がいるからね。」
抱っこをしたまま寝室を歩き続けても、ぐずっていた。
1時間ほど「あぅ…」、「ぅぅー」と呻きながら指しゃぶりをしていたけど眠くなったのか寝てくれた。
ベッドに下ろして様子を見て、少しだけうたた寝してしまった。
「バンッ!」と言う音が隣から聞こえ飛び起きると、ルーカスのベビーベッドの柵が弾け飛び、ルーカスが浮いていた。
顔も真っ赤で、わーわー泣いて、魔力が漏れ出ている。
魔力で圧をかけられたことはあるけど、これは無意識に出されていて制限なく襲いかかってくる。
息ができないほど苦しい。
俺はウィルにこんなところに行かせたのか…。
何とかルーカスを抱きしめ、魔力を解放したかったのに、上手くでていかない。
呼吸ができないと集中できないから上手くいかないんだ。
ウィルはできたのに…。
苦しい…ルーカスが泣いてる。
やらなきゃ…!
脹脛にベッドの柱が掠めた。
膝から崩れ落ちた。
ルーカスを守るように抱えて全力で魔力を解放した。
ルーカスの広がった魔力に、重ねるように魔力を合わせる。
身体中の酸素が出ていってしまった。
苦しい…苦しいけど…
その魔力をルーカスの体内に引き寄せる。
体内に魔力が戻るとルーカスは泣き疲れたのか眠ってしまった。
「セオ!大丈夫か!」
ウィルが部屋に入ってきた。
「ぁ…うん。ルカお願い。」
「ルーカス様!…よかった。って、足怪我したのか?!」
「ベッドの破片が飛んできたけど平気…」
ウィルは「よくルーカス様をお守りした。」と何故か上から目線で俺の足に【回復】をかけて、ルーカスを連れて出ていった。
「坊っちゃま!よくルーカス様を守ってくださいましたね!流石ですわ!」
ルーカスの魔力暴走で圧縮魔法がかかっていたようで、息が苦しかったのはそのせいだった。
空間魔法で対策を取れない俺は気道と肺が圧縮されて苦しかったはずなのだが、クロエは魔力圧で動けなくなっていて、ウィルは息ができない使用人を助けて回っていた。
前回はクロエが圧縮魔法を制御してくれていたのか…。
「今日は客室で寝てくださいね!ウィル、お運びして。」
魔力暴走を乗り越えて、みんな生きてる…。
ウィルにおんぶされながら意識を失った。
あなたにおすすめの小説
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
「あたしってこーゆー性格だから」は全然かまいません
あんど もあ
ファンタジー
騎士科のレパルスと婚約した淑女科のフローラ。ラブラブな二人なのに、「あたしってこーゆー性格だから」とずけずけ言う女が割り込んで来て……。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
彼は亡国の令嬢を愛せない
黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。
ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。
※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。
※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。