RISE

孤独

 ｢寒い……。｣

　愛俚は建物の影に隠れ、冷たい風から体を守るようにしゃがみこんだ。来た時から空は雲で覆われ陽はなく肌寒かったが、時間が経つにつれそれは夜風に変わり、さらに冷たく愛俚の体温を奪っていた。

　一応ジャケットを羽織っているとはいえ、中はシャツ一枚に下はミニスカート。真冬のような寒さに愛俚は体を丸めることしかできなかった。

　なんなのよ、この国……今は冬なのかな。でもみんな薄着だったような。太陽は出てないし時計もないから今何時なのかも分からない。

 ｢今日……どこで寝よう｣

　愛俚はショーンの母親に貰ったアリティネのお金を広げた。

　1日なら泊まれるって言ってたっけ。

 ｢でも使えないや。今日使ったら明日また困るし、いつ帰れるかも分からないのに大切にしなきゃ！！｣

　知らない場所に慣れない天候からか疲れきっていた愛俚は、急激な睡魔に襲われそのまま眠ってしまった。

 ｢……やく、さっさ……。｣

　ん……なんかうるさい。

 ｢これは……する。｣

　んっ……眠いし……寒い！！

　ハッと愛俚は目を開けると、勢いよく体を起こした。

 ｢だ、誰……？｣

　目の前には知らない男が2人、愛俚を見下ろすように立っていた。お世辞にも綺麗とは言えない格好に髭は伸び若いかも分からない風貌だった。

　！！

　男の手に愛俚の胸元にあったはずの赤いリボンがあることに気付き、とっさに手でシャツを押さえる。