DTガール!

Kasyta

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BACK TO THE ・・・・・・

00016話「メシを喰らう」

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 鐘が鳴り終わると、前の席の子がこちらを振り返って話しかけてきた。

「ねぇ、転校生さん。」

 いきなり話しかけられ、戸惑いながらも言葉を返す。

「ローレッドさん、だよね? 何かな?」
「アンタ学食の場所分からないでしょ? ワタシが案内してあげる。」

 そういやカレンから「弁当は作れねーから給食代持ってけ。」ってお金を渡されてたっけ。
 この時代の学校では一般的に給食費として一括徴収するのではなく、普通の食堂のように一食ごとの支払いとなっているが、メニューは日替わりの一つしかない。
 それが嫌なら弁当を持参しろ、ということらしい。
 そういう話は聞いたが、場所までは聞いてなかったな。
 適当に校内を歩けば見つけられるだろうけど・・・・・・。

「えっと・・・・・・お願いできる?」
「それじゃあワタシに付いて来なさい。行くわよ、コレット。」

「あ・・・・・・ぅ、うん・・・・・・。」

 当たり前のようにコレットを従えるローレッド。付き従うコレットは青い顔をしている。その後ろから俺も付いて行く。
 多くの生徒が俺たちと同じ方向へ歩いている。彼らも俺たちと同じく食堂へ行くのだろう。
 その途中でローレッドが他の女生徒の一団から声を掛けられる。あの子は確か同じクラスに居た子たちだ。

「あれ、ローレッドちゃんまたコレットとお昼食べるの?」
「うん~、ワタシが面倒見てやらないとだし?」

「アハハ、ローレッドちゃんやっさし~。転校生ちゃんもまた後でね~。」
「あぁ・・・・・・うん、またね。」

 なんというか・・・・・・付いていき難いノリだなぁ。

「ほら、着いたわよ。」

 食堂は二階建てのそこそこ大きな建物だった。見た目は古いが手入れは行き届いている。
 中に入ると既に生徒たちでごった返しており、一階はもう満席になっていた。

「ん~・・・・・・あそこに並ぶわよ。」

 いくつかある受け取り口から比較的空いてそうな場所をローレッドが指し、列の最後尾に並ぶ。
 料金を払ってお盆を受け取るシステムのようだ。おばちゃんが手際よく捌くので列の進みは早い。
 いくらも待たないうちに俺たちの番が回ってきた。

「ワタシは大盛りで~。」
「あ、あの・・・・・・普通で・・・・・・。」

 大盛り・・・・・・! そういうのもあるのか。
 二人の払った金額を見るに、値段の違いは無いようだ。
 ならここは大盛か・・・・・・?

「えーと・・・・・・・・・・・・普通で。」

 まぁ、初日だしとりあえずは様子見だ。
 お盆を受け取り、ローレッドに付いて二階へ上がっていく。
 一段々々上がるたびに深皿に入ったスープの表面が揺れる。
 うーん、大盛りにしとけばよかったかなぁ・・・・・・。この時代の人は少食だってのを忘れてたぜ。
 お盆の上に載せられた料理を眺めながらそんなことを考えていると、すぐに二階へ着いた。こちらはまだ結構席が余っている。
 隅の席を陣取ってお盆をテーブルに載せると、ローレッドがお盆を置いた席にコレットを座らせた。

「ほらコレット、交換。」
「う、ん・・・・・・あり、がとう・・・・・・。」

 コレットはお礼を言ったものの、その表情は青ざめたままだ。

「なんで交換?」
「コレットが大盛り頼むのが恥ずかしいって言うから、ワタシが代わりに頼んであげてるのよ。ねぇ?」

「う、うん・・・・・・。」

 なるほど・・・・・・そういうイジメもあるのか。
 流石に放ってはおけないな。

「ねぇ、コレットちゃん。良かったら私のと交換してくれない?」
「え、で、でも・・・・・・。」

「ちょっと何言ってるのよ転校生! ワタシの話聞いてなかったの!?」
「聞いてたけど、私もどっちにしようか迷ってたんだよね。そしたら思いのほか量が少なくてさ。」

「で、何でワタシに断りもなく交換しようとしてるワケ?」
「え、だってコレットちゃんと私の取引だし、ローレッドちゃんは関係ないよね?」

「そ、それは・・・・・・もともとワタシのだし!」
「じゃあローレッドちゃんが食べる?」

「食べないわよ!」
「じゃあ交換してもいいよね?」

「コレットが嫌がってるでしょ!」
「そうなの? コレットちゃんが嫌なら交換しなくていいけど・・・・・・どうかな、コレットちゃん?」

「あ、あの、アリューシャちゃんは・・・・・・ほ、本当に食べられる・・・・・・?」

 適当に頷いてしまえばいいのに、俺のことを心配してくれているようだ。

「これくらいの量なら普通に食べられるよ。だからお願いできる?」
「じゃ、じゃあ・・・・・・うん。」

 コレットとお盆を取り換え、俺のところに大盛りが回ってきた。
 しかし大盛りでもまだ少ないな・・・・・・。自分で弁当を用意するか? でもコレットを放っておけないしなぁ・・・・・・。
 インベントリに非常用の携帯食はあるけど、それを使うのもな・・・・・・。
 自由に出来るお金があればいいのだが、身分も年齢も関係なく稼げた冒険者ギルドが無くなってしまっているのが辛い。
 少し考え込んでいると、ローレッドが自分のお盆を持って立ち上がった。

「はーぁ、ツマンな。ワタシあっちで食べるわ。」

 俺たちを一睨みしたあと、ローレッドはさっき会ったグループを見つけ、そちらに混ざりに行ってしまった。

「あ、あの・・・・・・ごめんね、アリューシャちゃん。わ、わたしもいっしょに食べるから・・・・・・。」
「これでも足りないくらいだし、こっちの方が有り難いよ。それでもコレットちゃんが気にするって言うんなら・・・・・・コレットちゃんが食べ終わっても私が食べてたらその時に手伝ってよ。」

「う、うん・・・・・・わかった。」
「さて、それじゃあいただきまーす。」

 開始十分ほどで決着はついた。
 コレット選手はちょうど折り返し地点といったところか。

「ご、ごめんね。食べるのおそくて・・・・・・。さきに教室もどっててもいいよ。」
「気にしないでゆっくり食べなよ。こう・・・・・・眺めてるのも良いものだから。」

 少女が小さいお口で懸命に食事を頬張る様はいとおかし。
 しかし手持ち無沙汰だな。

「な、なに食べてるの?」
「非常食。」

 ま、まぁインベントリにいっぱいあるし、在庫入れ替えのためにも消費していかないとな。
 コレットが食べる姿を肴に非常食を一杯やっていると、昼休みの時間を二十分ほど残してコレットが食べ終えた。
 これ大盛りの方を食べてたら昼休みギリギリだったんじゃないか・・・・・・?

「ご、ごちそうさまでした・・・・・・。」

 食堂に居た大勢の生徒たちは既に食べ終えて食堂を出ており、二階の席に人は殆ど残っていない。
 ローレッドたちのグループも食べ終えたらさっさと教室に戻ってしまったようだ。
 残っていた携帯食の欠片を口に放り込む。

「私たちも教室に戻ろうか。」
「う、うん・・・・・・。あ、あの、アリューシャちゃん。」

「どうしたの?」
「ま、待っててくれて・・・・・・ありがとう。」

 健気だ・・・・・・。
 てか、ローレッドは自分が食べ終わったらさっさと戻ってたんだろうな・・・・・・。

「ねぇ、コレットちゃん。明日も一緒に食べて良い?」
「で、でも・・・・・・いいの?」

「お願いしてるのは私の方だよ?」
「う、うん・・・・・・あの、よろしく・・・・・・おねがいします。」

 俺と一緒に居ればイジメられることも減るだろう。
 さて、次の授業は・・・・・・体育か。腹ごなしには丁度良さそうだ。
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