392 / 453
BACK TO THE ・・・・・・
00022話「良薬は不味い」
しおりを挟む
「とりあえず、コレットちゃんの魔法見せてくれない?」
今俺が使った魔法が凄いと言われても、そもそも実感が沸かない。
俺の居た時代なら、それこそ子供でも普通に使える程度の規模の魔法なのだ。
「で、でも・・・・・・。」
「魔法は使わないと上達しないんだし、それに今は部活動中でしょ? 私が使ったんだから、交代で次はコレットちゃん。」
「ぅ、うん・・・・・・。」
コレットを説き伏せると、彼女も計測器におずおずと手を向ける。
「・・・・・・”風”っ。」
コレットが呪文を唱えるも、一向に風は感じない・・・・・・が、計測器の針は少しだけ動いた。
しかし一目盛り分も動いていない。0.2というところか。
「わっ、コレットちゃん大丈夫!?」
フラリと倒れそうになったコレットを慌てて支え、椅子に座らせる。
「はぁ、はぁ・・・・・・ご、ごめんね・・・・・・アリスちゃん・・・・・・。」
どうやら軽い魔力欠乏症のようだ。けどあんな魔法一発でなるものなのか・・・・・・?
いや、実際なってしまっているんだし、とにかく今はコレットを看なければ。
「コレットちゃん。とりあえずコレを飲んで。」
インベントリから取り出した小瓶を、コレットに差し出す。
「これ・・・・・・は・・・・・・?」
「魔力回復薬。毒じゃないから安心して。」
そう言って小瓶の蓋を開け、中身を少し飲んで見せる。
「ぅ・・・・・・美味しくはないけどね。」
小瓶を受け取ったコレットは、恐る恐る口元に持っていき、舌先でペロっと中の液体を舐めた。
「ひゃう・・・・・・っ。」
「あー・・・・・・舌で触れないように一気に流し込むのが良いよ。」
涙目になりながらコクコクと頷くコレット。
しばらくの間じっと小瓶を見つめたあと、覚悟を決めたコレットは小瓶を逆さにして一気に中身を流し込んだ。
「うぅぅぅぅ~~・・・・・・。」
「あはは、やっぱマズイよね。」
「あ、あの・・・・・・このお薬・・・・・・高いやつでしょ・・・・・・?」
「あぁ、気にしなくていいよ。私が作っておいたやつだし。」
「つ、作った・・・・・・の?」
「昔ちょっと習ってね。意外なところで役立つもんだね。」
仲間たちのために作り置いていたものだが、やはり味の評判は良くなかった。魔力消費のコントロール上達には一役買っていたが。
「それで気分はどう?」
「ぁ・・・・・・ら、楽になった。」
「なら良かった。あまり無理して魔法を使わないようにね。」
とは言え、あの程度の魔法で魔力が足りなくなるなんて・・・・・・。こんな状態じゃ魔法が廃れてしまうのも当然か。
でも魔力視で見る限り、コレットの魔力が少ないというわけでは無い。俺の居た時代を基準にしても普通の水準だ。
だが魔力視でじっくりと観察していると、コレットの纏う魔力が何か妙な動きをしている。
「む・・・・・・何だろうこれ。ちょっと良く見せて、コレットちゃん。」
「ゎ・・・・・・ど、どうしたのアリスちゃん。」
コレットの手を取ると、少し驚きながらも頬を赤らめて手を開いて見せてくれる。
どうやら、魔力の膜のようなもので身体全体を覆っているらしい。性質としては、結界とか障壁とか、そう言った類のものだ。
空気中に漂う魔力を必要以上に取り込まないよう、フィルターのような役目を果たしているようだ。
しかもコレットは無意識でそれを行っている。おそらくは他の人たちも。そして体内の魔力の殆どを、そのフィルターの維持で使ってしまっている。
だから未来人たちは魔法も満足に使えないし、身体強化に回す魔力も無いから運動能力も下がってしまっているのだ。
魔力の濃い未来で生きていけるように人間が進化した・・・・・・いや、適応したと言った方が正しいか。
「ありがとう、コレットちゃん。」
お礼を言って彼女の手を解放する。
「も、もういいの・・・・・・?」
「うん、色々分かったよ。」
「ゎ、わたしもアリスちゃんみたいに魔法つかえるようになる・・・・・・?」
「え? あー・・・・・・。」
少し誤解を招くような言い方をしてしまったか。
コレットは「色々分かった」の言葉に何かの希望を持ってしまったようだ。
だが「俺のように」は無理でも、魔法を上達させる方法が無いわけでもない。
「コレットちゃん・・・・・・この魔力回復薬、飲み続けられる?」
インベントリからもう一本の小瓶を取り出してコレットに差し出す。
「う・・・・・・そ、それ飲んだらもっと魔法つかえるようになるの?」
「そうだね。コレットちゃんはまず魔力量を増やさないといけないから。今のまま練習を続けてもいいけど、魔力回復薬を飲みながらやれば時間短縮できるよ。」
魔法を使えば使うほど魔力量は増えていく。そして魔力の回復を早める薬を使えば、その分の効率は増すというわけだ。
フィーがやっていたように、魔力を完全に枯渇させて回復させるという手法を取れば一気に魔力を増やせるだろうが、コレットがやれば身体を覆っているフィルターが機能しなくなってしまう。
魔力を増やせたとしてもフィルターが復活するかは分からないし、濃い魔力に無防備な身体を晒すのは危険過ぎるだろう。ずっとフィルターで守られていた身体なら尚更だ。
「どうする、コレットちゃん? 薬のことなら心配しなくていいよ。材料を集めればすぐに作れるしね。」
「ぅ・・・・・・・・・・・・が、がんばる。」
小瓶を受け取ったコレットの瞳には、僅かながら意志の光が灯っていた。
今俺が使った魔法が凄いと言われても、そもそも実感が沸かない。
俺の居た時代なら、それこそ子供でも普通に使える程度の規模の魔法なのだ。
「で、でも・・・・・・。」
「魔法は使わないと上達しないんだし、それに今は部活動中でしょ? 私が使ったんだから、交代で次はコレットちゃん。」
「ぅ、うん・・・・・・。」
コレットを説き伏せると、彼女も計測器におずおずと手を向ける。
「・・・・・・”風”っ。」
コレットが呪文を唱えるも、一向に風は感じない・・・・・・が、計測器の針は少しだけ動いた。
しかし一目盛り分も動いていない。0.2というところか。
「わっ、コレットちゃん大丈夫!?」
フラリと倒れそうになったコレットを慌てて支え、椅子に座らせる。
「はぁ、はぁ・・・・・・ご、ごめんね・・・・・・アリスちゃん・・・・・・。」
どうやら軽い魔力欠乏症のようだ。けどあんな魔法一発でなるものなのか・・・・・・?
いや、実際なってしまっているんだし、とにかく今はコレットを看なければ。
「コレットちゃん。とりあえずコレを飲んで。」
インベントリから取り出した小瓶を、コレットに差し出す。
「これ・・・・・・は・・・・・・?」
「魔力回復薬。毒じゃないから安心して。」
そう言って小瓶の蓋を開け、中身を少し飲んで見せる。
「ぅ・・・・・・美味しくはないけどね。」
小瓶を受け取ったコレットは、恐る恐る口元に持っていき、舌先でペロっと中の液体を舐めた。
「ひゃう・・・・・・っ。」
「あー・・・・・・舌で触れないように一気に流し込むのが良いよ。」
涙目になりながらコクコクと頷くコレット。
しばらくの間じっと小瓶を見つめたあと、覚悟を決めたコレットは小瓶を逆さにして一気に中身を流し込んだ。
「うぅぅぅぅ~~・・・・・・。」
「あはは、やっぱマズイよね。」
「あ、あの・・・・・・このお薬・・・・・・高いやつでしょ・・・・・・?」
「あぁ、気にしなくていいよ。私が作っておいたやつだし。」
「つ、作った・・・・・・の?」
「昔ちょっと習ってね。意外なところで役立つもんだね。」
仲間たちのために作り置いていたものだが、やはり味の評判は良くなかった。魔力消費のコントロール上達には一役買っていたが。
「それで気分はどう?」
「ぁ・・・・・・ら、楽になった。」
「なら良かった。あまり無理して魔法を使わないようにね。」
とは言え、あの程度の魔法で魔力が足りなくなるなんて・・・・・・。こんな状態じゃ魔法が廃れてしまうのも当然か。
でも魔力視で見る限り、コレットの魔力が少ないというわけでは無い。俺の居た時代を基準にしても普通の水準だ。
だが魔力視でじっくりと観察していると、コレットの纏う魔力が何か妙な動きをしている。
「む・・・・・・何だろうこれ。ちょっと良く見せて、コレットちゃん。」
「ゎ・・・・・・ど、どうしたのアリスちゃん。」
コレットの手を取ると、少し驚きながらも頬を赤らめて手を開いて見せてくれる。
どうやら、魔力の膜のようなもので身体全体を覆っているらしい。性質としては、結界とか障壁とか、そう言った類のものだ。
空気中に漂う魔力を必要以上に取り込まないよう、フィルターのような役目を果たしているようだ。
しかもコレットは無意識でそれを行っている。おそらくは他の人たちも。そして体内の魔力の殆どを、そのフィルターの維持で使ってしまっている。
だから未来人たちは魔法も満足に使えないし、身体強化に回す魔力も無いから運動能力も下がってしまっているのだ。
魔力の濃い未来で生きていけるように人間が進化した・・・・・・いや、適応したと言った方が正しいか。
「ありがとう、コレットちゃん。」
お礼を言って彼女の手を解放する。
「も、もういいの・・・・・・?」
「うん、色々分かったよ。」
「ゎ、わたしもアリスちゃんみたいに魔法つかえるようになる・・・・・・?」
「え? あー・・・・・・。」
少し誤解を招くような言い方をしてしまったか。
コレットは「色々分かった」の言葉に何かの希望を持ってしまったようだ。
だが「俺のように」は無理でも、魔法を上達させる方法が無いわけでもない。
「コレットちゃん・・・・・・この魔力回復薬、飲み続けられる?」
インベントリからもう一本の小瓶を取り出してコレットに差し出す。
「う・・・・・・そ、それ飲んだらもっと魔法つかえるようになるの?」
「そうだね。コレットちゃんはまず魔力量を増やさないといけないから。今のまま練習を続けてもいいけど、魔力回復薬を飲みながらやれば時間短縮できるよ。」
魔法を使えば使うほど魔力量は増えていく。そして魔力の回復を早める薬を使えば、その分の効率は増すというわけだ。
フィーがやっていたように、魔力を完全に枯渇させて回復させるという手法を取れば一気に魔力を増やせるだろうが、コレットがやれば身体を覆っているフィルターが機能しなくなってしまう。
魔力を増やせたとしてもフィルターが復活するかは分からないし、濃い魔力に無防備な身体を晒すのは危険過ぎるだろう。ずっとフィルターで守られていた身体なら尚更だ。
「どうする、コレットちゃん? 薬のことなら心配しなくていいよ。材料を集めればすぐに作れるしね。」
「ぅ・・・・・・・・・・・・が、がんばる。」
小瓶を受け取ったコレットの瞳には、僅かながら意志の光が灯っていた。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる