419 / 453
BACK TO THE ・・・・・・
00049話「合流」
しおりを挟む
大きくなっていく勇者騒ぎに、他の兵士たちも何事かと様子を伺いにやって来た。
丁度良い、この間に抜け出してしまおう。
「それじゃあコレットちゃん。私は行ってくるね。」
「えっ・・・・・・ぁ、待っ・・・・・・。」
みんなの視線がキシドーに集まっている隙に、俺は警備の目を潜り抜け、外へと飛び出した。
「ちょっとキミ! 外に出ちゃ・・・・・・あ、危ない!」
さすがに全員の目を盗むことは出来なかったが、外に出てしまえばこっちのものだ。
博物館に近寄ってきていた一体のゴブリンを、彼の銃弾より早く魔法の氷の槍で貫く。
「見ての通り私は大丈夫ですから、中の人たちをお願いしますね!」
「い、一体キミは何者――」
彼の問いかけを最後まで聞くことなく、身体強化と触手を駆使して街の上空へと翔け上った。
「まずはカレンさんたちと合流しないと・・・・・・方角的にはあっちか。」
彼女たちと別れた地点の方角へと向かい、屋根を伝って走る。
抱えているものは無いので足取りは軽い。
あまり速度が落ちない程度に道中で数十体ほど間引いたが、これくらいじゃ焼け石に水だろう。
「居たっ、あそこだ!」
ほどなく、見覚えのある集団を発見した。
別れた時よりも、その規模は大きくなっているようだ。
道すがら襲われていた人を助けたのだろうが――
「マズいな、囲まれてる。」
集団の規模が大きくなってしまったせいで、より多くの魔物たちの目を惹いてしまったのだろう。
今は何とか応戦できているが、使っている魔導銃の魔力が切れるのも時間の問題だ。そうなれば彼らでは一溜りもない。
「助けるにしてもとにかく合流が先だな、よっ・・・・・・と!」
屋根の上から大きくジャンプし、集団の真上から彼らの中心に着地した。
「キャーー!!」「な、何だなんだ!?」
一瞬、集団の中に混乱が起きる。
「アリスちゃん、無事だったのね!?」
彼らをかき分け、マレルが抱きしめてくる。
柔らかいものが顔面に押し付けられ、少し息苦しい。
「ア、アリスちゃんッスか!? 良かった、これで助かったッス~!!」
「情けねえこと言ってんじゃねえぞ、ゼスタ!」
ガムア隊長たちも大きな怪我はなく、健在のようだ。
そして、カレンは――
「よう、早いじゃねえか。友達はもういいのか?」
「はい、博物館に預けてきました。」
俺の返答を聞いて、ガムア隊長が首をひねった。
「預けてきた? どういうことだ?」
俺は彼らに事情をかいつまんで説明する。
「なるほど、テルナ商会が動いてるのか。そいつはありがたいな。」
「って言ってもどうするんッスか、この状況!? このままじゃ博物館なんてたどり着けないッスよぉ!?」
「気合で何とかするんだよ!! なんて言える状況じゃねえのは分かってるよ。すまねェが・・・・・・また頼まれてくれるか、嬢ちゃん?」
潔く頭を下げるガムア隊長に、頷いて返す。
「任せてください。」
敵は数十体。数えるのも嫌になる数だが、ここを突破しないことにはどうにもならない。
襲い掛かって来るゴブリンたちを迎撃しつつ、作戦を立てる。
そして二つのチームに分かれ、俺は進行方向の露払いを、残りで背後の防衛を行うことに。
ぶっちゃけ作戦と呼べるような作戦ではないが、この状況では取れる手段が少ないのも事実。
「い、いいのかそれで? 嬢ちゃんの負担が高過ぎやしないか?」
「これくらいなら問題ありません。それより、作戦に移る前に魔導銃を少し預からせてください。」
「あぁ、それくらいなら構わねえが・・・・・・。」
受け取った魔導銃を調べると、やはり魔力がかなり減っている状態だ。
あと数回戦闘を行えば空っぽになってしまうだろう。
充填器に手を触れ、魔力を流し込んでいく。
カレンに持たせている魔導銃のような改造は即席では出来ないが、魔力の補充程度なら十分可能だ。
満タンまで魔力を充填し、魔導銃をガムア隊長に返す。
「こ、こいつは・・・・・・魔力が充填されてる? そうか、あの時も嬢ちゃんが助けてくれてたんだな。」
「秘密にしておいてくださいね。」
「ガハハッ、命の恩人の事だ! 墓まで持って行くとも! 儂だってこんなことが出来ても黙っておるしな!」
「それじゃあ、交代しながら魔導銃の充填をしていきましょう。指揮をお願いしますね、ガムア隊長。」
「それくらいお安い御用だ! 手の空いてる者はこっちに集まってくれ!」
それから戦線を維持しつつ、仲間たちが使っている魔導銃の魔力を回復させていく。
これで突破作戦の成功率も上がるだろう。
「よし、これで全部だ、嬢ちゃん!」
「分かりました。」
最後の充填を終え、ついに準備が整った。
魔物の数はさらに増えているが、俺にとってはまだ誤差の範囲だ。
「損な役回りばかりさせてすまないな、嬢ちゃん。」
「終わったら一杯、じゃなくていっぱい奢ってくださいね。」
「ガハハッ、何ならゼスタの財布も付けるぞ!」
「な、何言ってんスか、隊長!? ・・・・・・まぁ、命にゃ代えられないッスからね。お手柔らかに頼んまスよ、アリスちゃん。」
「すっかりお前の方が稼ぎ頭だな。ま、後ろはアタシらに任せて好きにやりな。もう誰も止めやしねえよ。その代わり・・・・・・その、ケガすんじゃねえぞ。」
「はい、カレンさん。」
「よし、やるぞお前ら!!! もうひと踏ん張りだ!!!」
「「「おう!!!」」」
そして、新たな戦いの火蓋が切られた。
丁度良い、この間に抜け出してしまおう。
「それじゃあコレットちゃん。私は行ってくるね。」
「えっ・・・・・・ぁ、待っ・・・・・・。」
みんなの視線がキシドーに集まっている隙に、俺は警備の目を潜り抜け、外へと飛び出した。
「ちょっとキミ! 外に出ちゃ・・・・・・あ、危ない!」
さすがに全員の目を盗むことは出来なかったが、外に出てしまえばこっちのものだ。
博物館に近寄ってきていた一体のゴブリンを、彼の銃弾より早く魔法の氷の槍で貫く。
「見ての通り私は大丈夫ですから、中の人たちをお願いしますね!」
「い、一体キミは何者――」
彼の問いかけを最後まで聞くことなく、身体強化と触手を駆使して街の上空へと翔け上った。
「まずはカレンさんたちと合流しないと・・・・・・方角的にはあっちか。」
彼女たちと別れた地点の方角へと向かい、屋根を伝って走る。
抱えているものは無いので足取りは軽い。
あまり速度が落ちない程度に道中で数十体ほど間引いたが、これくらいじゃ焼け石に水だろう。
「居たっ、あそこだ!」
ほどなく、見覚えのある集団を発見した。
別れた時よりも、その規模は大きくなっているようだ。
道すがら襲われていた人を助けたのだろうが――
「マズいな、囲まれてる。」
集団の規模が大きくなってしまったせいで、より多くの魔物たちの目を惹いてしまったのだろう。
今は何とか応戦できているが、使っている魔導銃の魔力が切れるのも時間の問題だ。そうなれば彼らでは一溜りもない。
「助けるにしてもとにかく合流が先だな、よっ・・・・・・と!」
屋根の上から大きくジャンプし、集団の真上から彼らの中心に着地した。
「キャーー!!」「な、何だなんだ!?」
一瞬、集団の中に混乱が起きる。
「アリスちゃん、無事だったのね!?」
彼らをかき分け、マレルが抱きしめてくる。
柔らかいものが顔面に押し付けられ、少し息苦しい。
「ア、アリスちゃんッスか!? 良かった、これで助かったッス~!!」
「情けねえこと言ってんじゃねえぞ、ゼスタ!」
ガムア隊長たちも大きな怪我はなく、健在のようだ。
そして、カレンは――
「よう、早いじゃねえか。友達はもういいのか?」
「はい、博物館に預けてきました。」
俺の返答を聞いて、ガムア隊長が首をひねった。
「預けてきた? どういうことだ?」
俺は彼らに事情をかいつまんで説明する。
「なるほど、テルナ商会が動いてるのか。そいつはありがたいな。」
「って言ってもどうするんッスか、この状況!? このままじゃ博物館なんてたどり着けないッスよぉ!?」
「気合で何とかするんだよ!! なんて言える状況じゃねえのは分かってるよ。すまねェが・・・・・・また頼まれてくれるか、嬢ちゃん?」
潔く頭を下げるガムア隊長に、頷いて返す。
「任せてください。」
敵は数十体。数えるのも嫌になる数だが、ここを突破しないことにはどうにもならない。
襲い掛かって来るゴブリンたちを迎撃しつつ、作戦を立てる。
そして二つのチームに分かれ、俺は進行方向の露払いを、残りで背後の防衛を行うことに。
ぶっちゃけ作戦と呼べるような作戦ではないが、この状況では取れる手段が少ないのも事実。
「い、いいのかそれで? 嬢ちゃんの負担が高過ぎやしないか?」
「これくらいなら問題ありません。それより、作戦に移る前に魔導銃を少し預からせてください。」
「あぁ、それくらいなら構わねえが・・・・・・。」
受け取った魔導銃を調べると、やはり魔力がかなり減っている状態だ。
あと数回戦闘を行えば空っぽになってしまうだろう。
充填器に手を触れ、魔力を流し込んでいく。
カレンに持たせている魔導銃のような改造は即席では出来ないが、魔力の補充程度なら十分可能だ。
満タンまで魔力を充填し、魔導銃をガムア隊長に返す。
「こ、こいつは・・・・・・魔力が充填されてる? そうか、あの時も嬢ちゃんが助けてくれてたんだな。」
「秘密にしておいてくださいね。」
「ガハハッ、命の恩人の事だ! 墓まで持って行くとも! 儂だってこんなことが出来ても黙っておるしな!」
「それじゃあ、交代しながら魔導銃の充填をしていきましょう。指揮をお願いしますね、ガムア隊長。」
「それくらいお安い御用だ! 手の空いてる者はこっちに集まってくれ!」
それから戦線を維持しつつ、仲間たちが使っている魔導銃の魔力を回復させていく。
これで突破作戦の成功率も上がるだろう。
「よし、これで全部だ、嬢ちゃん!」
「分かりました。」
最後の充填を終え、ついに準備が整った。
魔物の数はさらに増えているが、俺にとってはまだ誤差の範囲だ。
「損な役回りばかりさせてすまないな、嬢ちゃん。」
「終わったら一杯、じゃなくていっぱい奢ってくださいね。」
「ガハハッ、何ならゼスタの財布も付けるぞ!」
「な、何言ってんスか、隊長!? ・・・・・・まぁ、命にゃ代えられないッスからね。お手柔らかに頼んまスよ、アリスちゃん。」
「すっかりお前の方が稼ぎ頭だな。ま、後ろはアタシらに任せて好きにやりな。もう誰も止めやしねえよ。その代わり・・・・・・その、ケガすんじゃねえぞ。」
「はい、カレンさん。」
「よし、やるぞお前ら!!! もうひと踏ん張りだ!!!」
「「「おう!!!」」」
そして、新たな戦いの火蓋が切られた。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる