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生命の花 ① *
しおりを挟む「んっ、んんっ、んぅぅ――。」
強い力で奥を穿かれアンセルの身体はビクビクと絶頂を極めた。
身体を重ね始めてもうどのぐらいの時間が経っただろうか。
既に何度も欲望を吐き出したアンセルの身体は限界とでもいうようにクタリと力が抜けた。
想いを伝え合い、抱き合ってすぐにイスカンダーはアンセルを温室の奥部屋へ連れて行った。
それも片時も離したくないと言うように何度も立ち止まっては口づけを重ねてやっとベッドに辿り着いたようなものだった。
こんなに余裕のないイスカンダーの姿は初めて見る。熱に浮かされたようにアンセルを見つめるイスカンダーの視線にアンセルの身体も熱くなった。
奥部屋に持ち込まれたアンセルのためのベッドは、大柄なイスカンダーが身体を横たえても悠々と受け止めた。
それはそれは大切な宝物のようにアンセルを横たえ上から見下ろす。イスカンダーは自分よりも小さく、それでいて柔軟に自身を包み込んでくれるアンセルの身体を切なげに見つめる。
「アンセル、お前の全てを私のものにする。心や身体だけじゃない、お前の過去も未来も、お前に関わる全てのものを私のものとする。」
「イスカンダー様……。」
「拒絶することは認めない。お前は私の『太陽』だ。私と共にあるべき存在。私の命だ。」
「ぼ、僕の全てはイスカンダー様のものです。許されるならば、命が尽きるその時まで、あなたと共に生きたい。あなたの隣にいたいのです。」
「許す、許さないという事ではない。お前は私の全てなのだから。命が尽きてもなお共にあろう。お前が私の『太陽』であるように、私もお前の『太陽』なのだから。」
人間であるアンセルに『太陽』という存在は理解できるものではなかった。それでも名を呼ぶだけで心臓が切なく痛み、姿が見えなくなればその痛みは全身を苛む痛みに変わるのは実感できた。
イスカンダーに触れているだけで嬉しくなり、触れられているだけで幸福感に満たされる。
この感情を自分の命、『太陽』と言わずしてなんと言うのだろうか。
アンセルはイスカンダーが伸ばしてきた手に頬を寄せ、首を傾けて口づけた。
「あなたを愛しています。心から、あなたを―――。」
「あぁ、アンセル――――――。」
それから2人は激情の波にさらわれるようにお互いを求めた。
それは互いの存在を身の内に取り込むように貪欲で本能的な交わりだったが、不思議とどこか守られているかのように温かい感覚で2人を満たした。
「あっ、あっ、ああっ。イスカンダー様っ、愛してますっ。んんっ、ああ、あっ。」
じゅぶじゅぶと泡立つ欲望の証がアンセルを穿つたびに聞こえる。
耳からも快感を引き出されるかのようにアンセルの身体はビクビク震えた。
「はぁ、アンセル。あぁ、なんて素晴らしい……。んぅ、ほら、お前の身体のどこもかしこも私を求めてやまない。あぁ、可愛い。お前が愛おしくてしょうがない。」
「いやぁ、あっ、そ、そこはもうっ、んぅ、ダメで、ダメでっ、あああっっ。」
「ぐぅ、うっ……。」
アンセルが再び絶頂を極めるとキツく中にいるイスカンダーを締め付けた。
心地よい感覚に身を委ね、イスカンダーもアンセルの中に欲望の証を放った。
腰から駆け抜けるような快感が走って、イスカンダーの身体が弛緩した。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
身体の下にいるアンセルもまた力が抜けた状態のまま大きく息を吐いて呼吸を整えている。
何度求めても満足する事がない。
これが真実の『太陽』という存在なのだろうか。
イスカンダーはつい先日までの交わりを思い返してみた。
同じようにアンセルと肌を重ねてもここまで多幸感に満たされた事はなかった。
快感はあってもどこまでも続く飢餓感に襲われていたように思える。
だからこそ満足いくまでアンセルを求め続けていたのだが……。
これほど幸せな気持ちになるなら、これはこれでアンセルを離す事など出来ず永遠にアンセルを求め続けてしまいそうだった。
どちらにせよアンセルを始終求め続ける未来は変わらないのか、とおかしく思った。
「愛しているよ、アンセル……。」
激しい情交で意識が落ちてしまいそうなアンセルの目元にそう言って優しくキスを落とす。
素直に瞼を閉じたアンセルはすぐに眠ってしまいそうだ。
「私の『太陽』……やっと、やっと手に入れた。もう離すことはない。」
言葉は届いていただろうか。アンセルはほんの少し笑みを浮かべながら夢の中へと旅立って行った。
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