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[完結]結局逃げられる訳なかった。
めっちゃ走った。
だって走らないと追いつかれるから。
だけどさ、こっちはもやしっこ。
向こうは運動神経段違いな細マッチョ体型男子。
もうね、最初から結果は見えていたと思うんだよね。
「もう会いにこないで」
なんてこっちはちゃんとサヨナラって言ったはずなのに、向こうには伝わってない事ってあるよね。
うん、他人の話聞かない人っているもんね。
タイガみたいに。
奴の前から姿を消せた、と思ったのはほんの2時間が限界だった。
いつもは通らない道を通って、周りを慎重に何度も見回して。
よし、いない!って思って歩き出したのに
「ハルカ、み~~っけ」
って後ろから声がしたのにはビックリした。
「どうして逃げるの?さっきの話もちゃんと聞きたい。何でハルカがあんな風に言ったのか、知りたいな」
ニンマリと笑うタイガの目は笑ってない。
あ、これ逃げられないってやつ?
「だっ、だからタイガとは付き合えないって言っただろ。無理なの、絶対無理なの。」
だって怖い。とにかく怖い。
タイガの細いようでいて、実はしっかり筋肉が付いてる身体も。
見た通りの細くて長い器用な指先が差し出される意味も。
俺が何を言っても酷く嬉しそうに目を細めて笑う様も。
タイガの全部が全部。
俺が好きで好きで堪らないって言ってるから。
こんなのに捕まったら、もうデロデロになって、きっと離れられなくなっちゃって。
その内俺の方がタイガの事好きで好きでたまらなくなって。
タイガがちょっと女の子と話すのだって許せなくて。
誰にも見せたくなくて。
俺以外の誰かと出掛けるとか聞いたら嫉妬に狂ってタイガを監禁しちゃうかも知れなくて。
そんなにタイガの事だけ好きになったら、もう戻れなくなっちゃう。
俺、今自分が怖い。
タイガが俺の事好きって言ってくれる度、俺もタイガに好きって返したくなってる。
だから、傷が深くなる前にさよならしたかったのに…。
タイガったら追っかけてきちゃうんだもんな。
「タイガがっ、俺以外好きになったらどうすんのっ。俺だけず~~~っと、ず~~~っと好きで。タイガが俺の事好きでも何でもなくなったらどうすんのっ。」
そう叫んだら、タイガの目がまぁるくなった。
「タイガが俺しか見ないって言っても、お前カッコいいじゃん。モテんじゃん。俺以外に絶対目移りすんじゃん。俺にはおっぱいも柔い身体もないのにっ。誘惑されちゃうじゃん。そんなの叶わないじゃん。」
言ってて何だか悲しくなってワンワン泣いた。
俺のコンプレックスは、この可愛い女みたいな顔だったけど、それでも本物の女じゃないから。
いずれやっぱり女の子の方が良いって言われたら顔に惹かれたタイガを繋ぎ止めることなんて出来ないじゃんって思った。
「俺…だからタイガなんて好きにならないしっ。タイガとはもう話さないって決めたし。っつうかサヨナラって言ったんだからもう追いかけてくんなよっ。」
「ハルカッ。」
俺の名前が聞こえたのと、タイガの腕の中に抱き込まれるのは同時だった。ぎゅうぎゅうと力いっぱいタイガに抱きしめられている。
「俺がっハルカ以外を好きになるはずなんてっ、ないっって何でわかんないのっ。俺、めちゃめちゃハルカの事好きじゃん。お前以外見えないじゃん。お前以外好きになる訳ないじゃん。」
「だって…だってさ…。」
「こーんな可愛い告白してくれたハルカをさ、もう手放せるはずないだろ。ハルカがそう思ってくれるなら、もう離さないからな。一生、ずっと放して何てやんないし、ハルカが嫌って言ってもずーっと付きまとう。」
タイガの言葉に鼻をスンスン鳴らして顔を埋める。
「サヨナラなんてさ、言わないで。俺、ずっとハルカの事好きだから。未来の事なんてわかんないじゃんって言われるかもしれないけど、絶対大丈夫。大好きだから。絶対他に目移りなんてしないから。ね、だから。だからさ、ハルカ。俺を好きって言って。俺の恋人になって。」
『好き』というのはハードルが高かったけど。それでももう逃げられるとは思えなくて。
俺は最後の砦だった言葉をタイガに告げた
「俺、タイガが好き。恋人に―――して?」
言った瞬間
「ハルカ―――――!!!」
と叫んだタイガに更に抱き込まれて死にそうになったけど。
結果オーライ?
俺、タイガの恋人になりました。
[完結]
*番外編で2人の初めて…を上げるかも、です。
読んでいただいてありがとうございました。
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