孤島

烈風

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一章

終わりの始まり

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「あー眠い……」

烈志眠たそうに呟いた

「まだ2時間目だぞ?昨日何時に寝たんだよ」

「10時」

「十分寝てるじゃねーか」

どんだけ眠りたいんだよ俺より早いじゃないか……と思った

「ちなみに起きたのは?」

「4時」

「……………」

「眠い理由が明らかだろ……」

俺は呆れた口調でそう返した

「眠たいんならもっ……」

私が話していた途中、突然地鳴りのような爆発音が響く

「なんか今聞こえなかったか?なぁ烈志…」

「……俺も聞こえた」

クラスを見渡すとみんな騒然としてる、多分全員聞こえたんだろう


「キャァァァァァァァァァ」

女性の人のような悲鳴が校内へ鳴り響く

「何今の声?」

「理科室で爆発でも起きたのか!?」

「え?え?え?」

「不審者でも入ってきたの?」

クラス中が慌てふためいている

するとずっと窓の外を眺めていた烈志が突然廊下へ飛び出た

「一雅!ついてこい」

「え?」

訳もわからずとりあえず烈志についていくことにした

「おい!どうしたんだ!」

「訳は後で話す、とりあえずやばい逃げよう」

「逃げるって?何かあったのか?」

俺の烈志は走って中庭の隅まできた

「はぁ…はぁ…どうしたんだよ」

俺は烈志に強めの口調で問いただした

「よくわからない、人型の、皮の……すまんうまく説明できそうにない。とりあえずやばいやつを見たんだ。ついでに側に倒れてる女のような人もな」

言葉が出なかった

……私が声を出そうとした時だった

「うわぁぁぁぉぁぁ」

次は男の人のような悲鳴が聞こえた

「……あっ…」

まただ…… 

「ああああああああああ」

至る所で悲鳴が聞こえ始めた

「逃げろ!」

「やばいよ」

「うっ、うぅぅぅ…」

逃げろと言う声や鳴き声………状況がわからない、これ本当に現実なのか、また…またあの夢か……

「おい!一雅!しっかりしろ!ひとまず逃げよう」

ろくに返事もできず、とりあえず烈志についていくことにした

俺と烈志は体育館の端の人が来ないような物陰に隠れた

「なんなんだ一体!?」

お互い混乱しているのが一眼でわかるほど慌てていた

………

どれくらい身を潜めていただろうか…

「なあ烈志、悲鳴も聞こえなくなった、足音も……一回教室に帰らないか?」

じっとしてることに俺は耐えられなかった

「あ、ああそうだな………」

烈志はそう言うと何処からか鉄パイプを取り出した

「いざとなったらこれで応戦しよう」

烈志を先頭に教室まで出来る限り音を立てないように向かった

教室前の廊下に来た時……

「……っ」

二人とも絶句した…

「血が……」

廊下や壁に血がついているのだ……

俺たちは目を合わせると急いで教室の中に入った

「あ……あ……」

机や椅子が散乱し、血が壁や床についている。

出口付近に死体が固まっている。恐らく逃げようとして殺されたのだろう……

手や脚が千切れ、顔のないもの、首から上がないもの……とても見てられなかった

「行こう……」

烈志がそう呟いた。

俺たちはあてもなく歩いた……

校門あたりに来た時…

「くそっ、全員に逃げるようにいうべきだった」

烈志が悔しそうにそう呟いた

「自分たちのことしか頭が回らなかった……」

烈志はひどく後悔しているようだった

「俺は……」

俺も何もできなかった無力感に襲われた

「………なあ一雅………思ったんだが……」

烈志が突然質問を投げかけてきた

「教室にあった死体……数が少なくなかったか……?」

「……えっ?」

言われてみれば30人分もなかったような…

「もしかして、数人くらいは逃げてるんじゃ…」

微かな希望。それは本当に小さなものだけど俺たちを勇気付けるには十分だった

「なら!急いで探しに行こう!」

「だな!」

二人とも望みが薄いことはわかっていた

でも諦めきれなかった……

…………………

「うっ………」

人は心に余裕ができると余計なことまで考えてしまう………

「…一雅、今は目の前のことだけ考えるんだ」

烈志が俺にそう呟いた

「う、うん」

今は余計なことを考えないようにしないと……

そう思いながら俺は走った…

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