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六章 本当の終わりと始まり
6‐01 『新しい』恋人
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(また、違う子だ……)
先月見た女子生徒とは系統が違い、けれどばっちりとメイクをしているため、同一人物という可能性も否定できない。
龍冴は無意識に、ペンギンのぬいぐるみをぎゅうと抱き締めた。
女の子の着ている服は膝下までで、薄いピンク色のワンピースは胸元にフリルがあしらわれている。
小柄なせいもあってか、龍冴ですら庇護欲を掻き立てられるその子は、やや高い声で椰一の腕にますます抱き着いた。
「ね、喉乾いちゃった。早くフードコート行こ?」
甘えるように紡がれた言葉は女子特有のもので、龍冴とて何度も聞いてきたものだ。
けれど今ばかりは嫌悪感しか湧かず、二人とも早くいなくなって欲しいとすら思う。
「結構遊んだもんなぁ。けど、ちょーっとこの二人に用事があるんだ。ごめんだけど、先行ってて?」
椰一は困ったように笑うと、その子の頭を抱き寄せてつむじ軽く口付けた。
「え、で……でも」
女の子は何をされたのか分かったようで、なのに龍冴と大和の方を交互に見る。
どこか選別するような視線は、どんな『用事』があるのかピンと来ていない様子だった。
それは龍冴も同じだが、嫌な予感がしてならないのだ。
こちらにとって損をするような言葉を、目の前の男は言う気がする。
「っ……」
隣りに立つ男の雰囲気がかすかに変わったのを悟ったのか、女の子が小さく声を漏らす。
もしくは自分達の関係が気になっていて、けれど椰一の無言の圧力が怖いのかもしれなかった。
男二人でゲーセンに来ている事はもちろん、片方はぬいぐるみを持っているのだ。
自分にそういう趣味があると思われるのは、この際どうでもいい。
龍冴が今気になるのは、椰一がどちらに対してどんなことを話すのか、そして女の子は新しい『恋人』なのか、これだけは聞いておかなければならなかった。
「……じゃあすぐ終わるようにするから。エレベーターのとこ、あそこで待っててくれると嬉しい」
「う、うん。わかっ」
「──せっかくだし、『彼女』さんも居ましょうよ」
女の子の声に被せるように、ふと大和が言った。
「先輩……?」
不意を突かれたのは椰一や名指しされた女の子だけでなく、龍冴は隣りに立つ大和を見上げた。
表情こそ笑みを浮かべているが、その声音はいつになく硬い。
まるで椰一のことを敵と見なしているように聞こえた。
「なんでわざわざ先に行かせるんですか? 俺は話すこと無いんでいいですけど、すぐだったら一緒に居る方がいいでしょ」
俺だったらそうします、と大和が続ける。
「な、なんでお前に……」
「それとも何かやましい事があるから、先に行けって言うんですか。もしかして聞かれて困るようなこと、俺らのどっちかに言うつもりだったとか?」
「そ、そうなの……?」
半ば椰一の言葉を遮り、矢継ぎ早に唇を動かす。
女の子の問い掛けにすら何も言えないのを悟ると、大和は更に畳み掛ける。
「──ああ、そっか。雨宮がアンタにとって余計な事言う前に、引き離したかった?」
だからか、と大和が一人納得したように頷いた。
先月見た女子生徒とは系統が違い、けれどばっちりとメイクをしているため、同一人物という可能性も否定できない。
龍冴は無意識に、ペンギンのぬいぐるみをぎゅうと抱き締めた。
女の子の着ている服は膝下までで、薄いピンク色のワンピースは胸元にフリルがあしらわれている。
小柄なせいもあってか、龍冴ですら庇護欲を掻き立てられるその子は、やや高い声で椰一の腕にますます抱き着いた。
「ね、喉乾いちゃった。早くフードコート行こ?」
甘えるように紡がれた言葉は女子特有のもので、龍冴とて何度も聞いてきたものだ。
けれど今ばかりは嫌悪感しか湧かず、二人とも早くいなくなって欲しいとすら思う。
「結構遊んだもんなぁ。けど、ちょーっとこの二人に用事があるんだ。ごめんだけど、先行ってて?」
椰一は困ったように笑うと、その子の頭を抱き寄せてつむじ軽く口付けた。
「え、で……でも」
女の子は何をされたのか分かったようで、なのに龍冴と大和の方を交互に見る。
どこか選別するような視線は、どんな『用事』があるのかピンと来ていない様子だった。
それは龍冴も同じだが、嫌な予感がしてならないのだ。
こちらにとって損をするような言葉を、目の前の男は言う気がする。
「っ……」
隣りに立つ男の雰囲気がかすかに変わったのを悟ったのか、女の子が小さく声を漏らす。
もしくは自分達の関係が気になっていて、けれど椰一の無言の圧力が怖いのかもしれなかった。
男二人でゲーセンに来ている事はもちろん、片方はぬいぐるみを持っているのだ。
自分にそういう趣味があると思われるのは、この際どうでもいい。
龍冴が今気になるのは、椰一がどちらに対してどんなことを話すのか、そして女の子は新しい『恋人』なのか、これだけは聞いておかなければならなかった。
「……じゃあすぐ終わるようにするから。エレベーターのとこ、あそこで待っててくれると嬉しい」
「う、うん。わかっ」
「──せっかくだし、『彼女』さんも居ましょうよ」
女の子の声に被せるように、ふと大和が言った。
「先輩……?」
不意を突かれたのは椰一や名指しされた女の子だけでなく、龍冴は隣りに立つ大和を見上げた。
表情こそ笑みを浮かべているが、その声音はいつになく硬い。
まるで椰一のことを敵と見なしているように聞こえた。
「なんでわざわざ先に行かせるんですか? 俺は話すこと無いんでいいですけど、すぐだったら一緒に居る方がいいでしょ」
俺だったらそうします、と大和が続ける。
「な、なんでお前に……」
「それとも何かやましい事があるから、先に行けって言うんですか。もしかして聞かれて困るようなこと、俺らのどっちかに言うつもりだったとか?」
「そ、そうなの……?」
半ば椰一の言葉を遮り、矢継ぎ早に唇を動かす。
女の子の問い掛けにすら何も言えないのを悟ると、大和は更に畳み掛ける。
「──ああ、そっか。雨宮がアンタにとって余計な事言う前に、引き離したかった?」
だからか、と大和が一人納得したように頷いた。
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