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六章 本当の終わりと始まり
6‐02 暴露
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「……どういうこと?」
大和の言葉を上手く呑み込めなかったのか、椰一の隣りに立つ女の子はそれだけを呟く。
大きく見開かれた瞳は今にも涙が零れそうで、今の今まで絡めていた腕を解くと、椰一の目の前に立った。
『恋人』を見上げる表情が可哀想なくらい歪み、じわじわと修羅場の起こりそうな気配が周囲に満ちていく。
「わたしに嘘吐いてたってこと? 浮気してないって言ったのに、初めて出来た恋人だって言ってくれたのに……全部嘘だったの……!?」
周囲の喧騒に負けず劣らず、怒った少女の声はよく響く。
同時にこちらをちらちらと見つめてくる視線を嫌でも感じ、少し嫌悪感があった。
けれど椰一に向けられた言葉を同じく付き合った当初に言われたため、面と向かって擁護できない。
いや、そもそもどんな理由があろうと浮気をされて別れた相手だ。
こちらに未練がないのならば、偶然を装って話し掛けないだろう。
(本当にとんだクズだ)
幸いなことに、大和が言いたいことをすべて言ってくれた。
顔を合わせる事になるとは思わなかったが、他人の口から改めて同じ言葉を聞くと吐き気がしてくる。
それが椰一の常套句なのか、元からこういう性格なのか、最早『距離を置こう』と言った時に思ったことと同様の感情は無かった。
「うっ……ううっ」
耐え切れず、ほろほろと涙を零すその子の小さく細い肩を、椰一の手が摑もうとする。
「違う、違うんだ……紬希」
弁明する気持ちはあるのか、それでも女の子──紬希にとってこれ以上ないほど逆効果だろう。
もう少しで肩に触れそうになった刹那、一回り以上は大きな手を少女のそれが払い除けた。
「触らないで……!」
ぱしっと小気味よい音が大きく響き、同時に椰一の瞳が大きく見開かれる。
「は、っ……?」
何をされたのか脳が正常に動いていないらしく、みるみるうちに椰一の眉が釣り上がるのが見て取れた。
「もういい。もう……やっくんなんて嫌い!」
しかし椰一が唇を動かすよりも早く、紬希はそれだけを吐き捨てるように言うと、こけつまろびつ人にぶつかりそうになりながらゲーセンの出入り口へ走っていった。
椰一は二歩三歩と歩き出し、そのまま後を追い掛けるのかと思ったが、以降は何をするでもなく立ち尽くす形になる。
丁度龍冴と大和に背を向けているため、その表情は見えない。
「……なぁ」
けれど椰一の背中から得も言われない寂しさと、それ以上の怒りを感じ取った。
今言うべきではない、何も言うなと脳は警告しているものの、これを逃がせばそのままになってしまう予感がした。
大和の言葉を上手く呑み込めなかったのか、椰一の隣りに立つ女の子はそれだけを呟く。
大きく見開かれた瞳は今にも涙が零れそうで、今の今まで絡めていた腕を解くと、椰一の目の前に立った。
『恋人』を見上げる表情が可哀想なくらい歪み、じわじわと修羅場の起こりそうな気配が周囲に満ちていく。
「わたしに嘘吐いてたってこと? 浮気してないって言ったのに、初めて出来た恋人だって言ってくれたのに……全部嘘だったの……!?」
周囲の喧騒に負けず劣らず、怒った少女の声はよく響く。
同時にこちらをちらちらと見つめてくる視線を嫌でも感じ、少し嫌悪感があった。
けれど椰一に向けられた言葉を同じく付き合った当初に言われたため、面と向かって擁護できない。
いや、そもそもどんな理由があろうと浮気をされて別れた相手だ。
こちらに未練がないのならば、偶然を装って話し掛けないだろう。
(本当にとんだクズだ)
幸いなことに、大和が言いたいことをすべて言ってくれた。
顔を合わせる事になるとは思わなかったが、他人の口から改めて同じ言葉を聞くと吐き気がしてくる。
それが椰一の常套句なのか、元からこういう性格なのか、最早『距離を置こう』と言った時に思ったことと同様の感情は無かった。
「うっ……ううっ」
耐え切れず、ほろほろと涙を零すその子の小さく細い肩を、椰一の手が摑もうとする。
「違う、違うんだ……紬希」
弁明する気持ちはあるのか、それでも女の子──紬希にとってこれ以上ないほど逆効果だろう。
もう少しで肩に触れそうになった刹那、一回り以上は大きな手を少女のそれが払い除けた。
「触らないで……!」
ぱしっと小気味よい音が大きく響き、同時に椰一の瞳が大きく見開かれる。
「は、っ……?」
何をされたのか脳が正常に動いていないらしく、みるみるうちに椰一の眉が釣り上がるのが見て取れた。
「もういい。もう……やっくんなんて嫌い!」
しかし椰一が唇を動かすよりも早く、紬希はそれだけを吐き捨てるように言うと、こけつまろびつ人にぶつかりそうになりながらゲーセンの出入り口へ走っていった。
椰一は二歩三歩と歩き出し、そのまま後を追い掛けるのかと思ったが、以降は何をするでもなく立ち尽くす形になる。
丁度龍冴と大和に背を向けているため、その表情は見えない。
「……なぁ」
けれど椰一の背中から得も言われない寂しさと、それ以上の怒りを感じ取った。
今言うべきではない、何も言うなと脳は警告しているものの、これを逃がせばそのままになってしまう予感がした。
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