神の手プロジェクト~新世界創造したつもりが奴に蝕まれていく~

くりくりさん

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第1章 新世界創造

9 ビッグバンは凶器です

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「『神の手プロジェクト』って、またヤなタイトルだな」

「そうか? 私はそうは思わないが」

「なんか全部操作されてる気がすんの。
 自分の意思も決意も神に操作されてたら、人生やってられないだろ」

「それなら心配はいらない。
 土地、気候、気象、生物の生成——操作できるのはそんな大まかな設定だけだ。

 生まれて個を持った者に言うことを聞かせることなど、神にもできない」

「ふうん、そんなもんなのか」

「そう気張らずに、とりあえずやってみるといい。しばらくは私が毎日来て手伝ってやる」

「頼りにしてるよ。さっそくだけど、何すればいい?」

「今は無の世界だ。
 何も存在していない——というより、存在の概念もなければ存在すら許されない世界だな。

 ここに新しい星を作りたければ、ビッグバンを起こせばいい」

「ビッグバンって聞いたことあるな。大爆発って意味だったっけ?」

「そうだ。
 ビッグバンを起こしたあと、宇宙はしばらく高音状態になり、冷めてくれば小さな塵やガスが生まれて、小銀河を形成する」

「……それって何百年後? 下手したら百何十億年単位じゃないの? いくら成長が止まるったって、その前に精神の方が寿命を迎えるぞ」

「加速進化というコマンドがあるから大丈夫だ。
 ほらいいから、さっさとやりたまえ」

「疑問をきちんと解消してからじゃないと、ロクな仕事にならねぇっての」

 マナトは、新世界を創造することについて、意欲も目的もないが、仕事としてやる以上、それなりの成果を出さなければ意味がないと思っていた。

 新世界ができました。誰も住めません。
 って、もう滅ぼすしか選択肢が残されていないような仕事をしても、時間の無駄だからだ。
 それなら、最初から放棄してしまったほうが、苦労してない分百万倍マシだ。

「じゃあ、ビッグバン起こすぞ」

 と言っても分からないので、隣に座ったルキナの指示で、コマンドの爆発(大)をドラッグして、何もない画面にドロップする——と。

「うわっ!!」

 突如、画面から凄まじい光線が出て、油断していたマナトは目を眩まされた。

「これこそ先に言っとけよ!」

 思わずマナトは、そう文句を漏らした。

 しばらくして視界が戻ってくると、マナトはそっと画面の中の世界を覗き込んだ。

「なんだこれ……」

 キラキラとあちこちで光っているような爆発しているような、よく分からない現象が起きている。
 同じように画面を覗き込んだルキナは、満足そうに頷いた。

「うまくいったな。これでいい。
 後はコマンドから加速進化を選んでくれ」

 言われた通り、右画面にたくさん並んだコマンドの中から早送りのようなマークを見つけて選択すると、『×1』と表示された。

「それを……そうだな百億倍くらいにしてみるか。
 大丈夫。
 多少行き過ぎてしまっても、この時期は影響がないから」

 ルキナは、マナトが質問しそうなことを先回りして答える。
 マナトは頷くと、1の部分をマウスで触り、数字入力に変わったところへ10000000000と打ち込んだ。
 加速進化が『×10000000000』に変更される。

「……なんか、全然変わったように見えないんだけど」

「そりゃそうさ。
 いくら加速進化でも、百数十億年を一気に飛ばすような真似をしてみろ。目を離した次の瞬間には滅んでてもおかしくないだろう?

 今日か明日くらいまで続きはお預けだな」

「せっかく人がヤル気になったってのに」

「なんだ? 君は仕事がしたくないんじゃなかったのか?」

「やるときには一気にやる! これが俺のスタイルなの。あ~あ、気合いが抜けると急に眠気が……」

「って、また寝てる! 寝るならベッドで寝たまえよ!」

 こうして、マナトの新世界創造の一日目終了した。
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