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第一章 花開くクレマチス
(5)花開くクレマチス その3-1
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「へぇー、こんなところあったんだねぇ」
自宅から数分ふたりで海岸沿いを歩くと、愛子が指さした方向にこじんまりとした建物が見えてくる。外観は木造の古い建物に見えるが、中に入ると大航海時代のヨーロッパの酒場を彷彿させる、おしゃれなカウンターバーのあるリストランテバルだった。
「お肉もお野菜も地元で作ったものなんだって。真奈美さんも美味しいって誉めてたんだよ」
愛子は店に入ると、ソファーのあるテーブル席の方に向かう。
「まだ夕食には早い時間だから空いててよかったね」
ふたりが席に着くと、ちょうど克也と同い年くらいの店員が注文を聞きに来る。愛子はあらかじめ決めてあったのか、メニューを見ながら次々と料理の注文をしていく。それからほどなくしてテーブルに赤のグラスワインが置かれる。
「じゃぁ、かんぱいっ」
ふたりはグラスを軽く鳴らしてワインを舌の上で転がす。
「うん。美味しいね」
「たまにしか飲まないけど、ワインもいいね」
ふたりで楽しく会話している間に、サラダとソーセージ、そして肉厚のステーキと次々とテーブルに運ばれてくる。
「これは、今晩も頑張れそう」
「もうっ、克也さんたら」
肉を頬張りながら何気なく言った克也の感想に頬を赤らめる愛子。食事を楽しみながらも、ふたりはこの後に行くホテルのことも期待していた。
「そういえば、券ってもってきた?」
克也は愛子に真奈美からもらった無料券の確認をする。
「うん。しっかり持ってるよ。あと、来る前に予約も入れたし。準備万端っ」
「さすが愛子。真奈美さん、いくらでも貰えるって言ってたけど、いったいどんなカラクリなんだか。」
「いやよ。部屋に隠しカメラとかあったら」
「あー、ありえる」
ふたりは顔を見合わせて、昨晩の真奈美の所業を思い出していた。
「部屋に入ったらチェックしないと」
「ホテルのスタッフの人とかも要注意かも」
「あはは、あまり気にしすぎてもあれだけどね」
ふたりは笑いあいながら食事を進める。
「お昼、ちょっと気になったんだけどさ、楽しそうに店員さんと何の話してたの?」
克也はショッピングモールで熱い視線を送ってきた下着売り場の店員について、愛子に聞いてみた。
「え? あぁ、花のお姉さんのことかぁ」
愛子はニコニコしながら克也に答える。
「お姉さんは、顔見知りなんだよ。買い物行くとよくしゃべってる。家も近いんだって。あと、克也さんのこと、素敵な人ですねっ、て誉めてたよ」
「そ、そうだったんだ」
克也は照れながら肉を頬張る。
「ふふっ、あと、真奈美さんとも、知り合いみたいな話してたなぁ。もしかすると克也さんも、また会えるかもね」
「まぁ、家が近くなら会う可能性はあるね」
愛子と真奈美の知り合い……、という線から、克也はある妄想をするが、ここではそれを打ち消した。一方で愛子が何か企んでいるような表情に見えたが、克也はそれも気にしないことにした。
デザートも食べ終え、会計を済ませて店を出ると、ふたりは心なしか浮き足立ってホテルへ続く道を歩いていた。
自宅から数分ふたりで海岸沿いを歩くと、愛子が指さした方向にこじんまりとした建物が見えてくる。外観は木造の古い建物に見えるが、中に入ると大航海時代のヨーロッパの酒場を彷彿させる、おしゃれなカウンターバーのあるリストランテバルだった。
「お肉もお野菜も地元で作ったものなんだって。真奈美さんも美味しいって誉めてたんだよ」
愛子は店に入ると、ソファーのあるテーブル席の方に向かう。
「まだ夕食には早い時間だから空いててよかったね」
ふたりが席に着くと、ちょうど克也と同い年くらいの店員が注文を聞きに来る。愛子はあらかじめ決めてあったのか、メニューを見ながら次々と料理の注文をしていく。それからほどなくしてテーブルに赤のグラスワインが置かれる。
「じゃぁ、かんぱいっ」
ふたりはグラスを軽く鳴らしてワインを舌の上で転がす。
「うん。美味しいね」
「たまにしか飲まないけど、ワインもいいね」
ふたりで楽しく会話している間に、サラダとソーセージ、そして肉厚のステーキと次々とテーブルに運ばれてくる。
「これは、今晩も頑張れそう」
「もうっ、克也さんたら」
肉を頬張りながら何気なく言った克也の感想に頬を赤らめる愛子。食事を楽しみながらも、ふたりはこの後に行くホテルのことも期待していた。
「そういえば、券ってもってきた?」
克也は愛子に真奈美からもらった無料券の確認をする。
「うん。しっかり持ってるよ。あと、来る前に予約も入れたし。準備万端っ」
「さすが愛子。真奈美さん、いくらでも貰えるって言ってたけど、いったいどんなカラクリなんだか。」
「いやよ。部屋に隠しカメラとかあったら」
「あー、ありえる」
ふたりは顔を見合わせて、昨晩の真奈美の所業を思い出していた。
「部屋に入ったらチェックしないと」
「ホテルのスタッフの人とかも要注意かも」
「あはは、あまり気にしすぎてもあれだけどね」
ふたりは笑いあいながら食事を進める。
「お昼、ちょっと気になったんだけどさ、楽しそうに店員さんと何の話してたの?」
克也はショッピングモールで熱い視線を送ってきた下着売り場の店員について、愛子に聞いてみた。
「え? あぁ、花のお姉さんのことかぁ」
愛子はニコニコしながら克也に答える。
「お姉さんは、顔見知りなんだよ。買い物行くとよくしゃべってる。家も近いんだって。あと、克也さんのこと、素敵な人ですねっ、て誉めてたよ」
「そ、そうだったんだ」
克也は照れながら肉を頬張る。
「ふふっ、あと、真奈美さんとも、知り合いみたいな話してたなぁ。もしかすると克也さんも、また会えるかもね」
「まぁ、家が近くなら会う可能性はあるね」
愛子と真奈美の知り合い……、という線から、克也はある妄想をするが、ここではそれを打ち消した。一方で愛子が何か企んでいるような表情に見えたが、克也はそれも気にしないことにした。
デザートも食べ終え、会計を済ませて店を出ると、ふたりは心なしか浮き足立ってホテルへ続く道を歩いていた。
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