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第一章 花開くクレマチス
(4)花開くクレマチス その2-3
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そのホテルは、団地から十分と離れていない場所に、ほぼ隣接している場所にあった。近所で有名なのはそういった理由もあるが、最近改装したばかりで部屋がきれい、バスルームもすべてジェットバスが備えられており、アメニティも充実していることで女性には非常に受けが良かった。
克也と愛子は外出の準備をして、まずは近所のショッピングモールへ向かった。愛子のプランはこんな感じだった。今週の食材の買い物を一緒にした後、いったん自宅に戻り、夕食は外食で過ごしてから件のホテルへ。翌日は仕事なので遅くならない程度に帰宅する。 克也は、愛子と一緒に過ごせれば満足だったので、そのプランに了承した。
ショッピングモールに入ると、愛子はまず、一階にある女性の下着売り場へと向かおうとしていた。愛子の話では、半年ほど前に開店した新しい店で、女性の間では輸入ものの高級なランジェリーも置いてあることから非常に人気が高く、有名なところ、ということらしい。
「ねぇ、克也さん」
「ん? 愛子何だい?」
愛子は楽しそうに克也に上目遣いで聞く。
「今日の気分の色、教えて?」
「色?」
「うん」
「そうだなぁ……」
目がチカチカしそうな下着売り場を、ちらっ、と見て克也は察し、
「ピンクだな」
笑ってそう答えると、愛子は、
「やっぱり克也さん大好きっ。うん。分かったよ。待ってて」
ニコッと笑って、下着売り場に向かっていった。待っている間、克也は下着売り場の方から熱い視線を感じていた。外の目があるので気にしないそぶりをしていたが、ちらっとだけ視線を向けると、愛子と話していた店員らしき女性が、ニコッ、と、克也に向かって微笑んだ。思わず克也は会釈をしたが、あの熱い視線は何だったのだろう、という疑問だけは克也の中で残った。愛子は店員からとても嬉しそうに小さな袋を受け取ると、とてとてと克也の元に戻ってくる。
「今晩、楽しみにしててねっ」
愛子はニコニコしながら克也の腕を組んで、ふたりで食品売り場に向かった。
「やっぱり克也さん、いっぱい食べるんだねぇ」
克也の好みを聞きながら愛子が食材を選んでいく。主に肉が多かったが、あれこれと選んでいくうちに、一番大きな買い物袋で四つも運ぶことになってしまった。
「家から近いから、足りなくなったらいつでも来れるけどね。今日は、ちょっと多かったかな」
「ちょっとセーブすればよかった?」
克也は申し訳なさそうに愛子に言う。
「ううん。この量だと水曜か木曜には使い切っちゃうよ。たぶん」
愛子は笑いながら答える。
自宅にいったん戻り、買い物袋の中身を冷蔵庫や戸棚にしまうとすぐに、再び外出の準備をする。
「あ、ちょっと待っててね。見ちゃだめだよ」
愛子は、ショッピングモールで買った小さな紙袋を持って寝室に向かう。数分ほど待つと、赤い顔をした愛子が恥ずかしそうにして下を向いたまま戻ってくる。
「じゃぁ、いこっか」
そんな妻の仕草の可愛さに、克也は改めて惚れてしまうのだった。
克也と愛子は外出の準備をして、まずは近所のショッピングモールへ向かった。愛子のプランはこんな感じだった。今週の食材の買い物を一緒にした後、いったん自宅に戻り、夕食は外食で過ごしてから件のホテルへ。翌日は仕事なので遅くならない程度に帰宅する。 克也は、愛子と一緒に過ごせれば満足だったので、そのプランに了承した。
ショッピングモールに入ると、愛子はまず、一階にある女性の下着売り場へと向かおうとしていた。愛子の話では、半年ほど前に開店した新しい店で、女性の間では輸入ものの高級なランジェリーも置いてあることから非常に人気が高く、有名なところ、ということらしい。
「ねぇ、克也さん」
「ん? 愛子何だい?」
愛子は楽しそうに克也に上目遣いで聞く。
「今日の気分の色、教えて?」
「色?」
「うん」
「そうだなぁ……」
目がチカチカしそうな下着売り場を、ちらっ、と見て克也は察し、
「ピンクだな」
笑ってそう答えると、愛子は、
「やっぱり克也さん大好きっ。うん。分かったよ。待ってて」
ニコッと笑って、下着売り場に向かっていった。待っている間、克也は下着売り場の方から熱い視線を感じていた。外の目があるので気にしないそぶりをしていたが、ちらっとだけ視線を向けると、愛子と話していた店員らしき女性が、ニコッ、と、克也に向かって微笑んだ。思わず克也は会釈をしたが、あの熱い視線は何だったのだろう、という疑問だけは克也の中で残った。愛子は店員からとても嬉しそうに小さな袋を受け取ると、とてとてと克也の元に戻ってくる。
「今晩、楽しみにしててねっ」
愛子はニコニコしながら克也の腕を組んで、ふたりで食品売り場に向かった。
「やっぱり克也さん、いっぱい食べるんだねぇ」
克也の好みを聞きながら愛子が食材を選んでいく。主に肉が多かったが、あれこれと選んでいくうちに、一番大きな買い物袋で四つも運ぶことになってしまった。
「家から近いから、足りなくなったらいつでも来れるけどね。今日は、ちょっと多かったかな」
「ちょっとセーブすればよかった?」
克也は申し訳なさそうに愛子に言う。
「ううん。この量だと水曜か木曜には使い切っちゃうよ。たぶん」
愛子は笑いながら答える。
自宅にいったん戻り、買い物袋の中身を冷蔵庫や戸棚にしまうとすぐに、再び外出の準備をする。
「あ、ちょっと待っててね。見ちゃだめだよ」
愛子は、ショッピングモールで買った小さな紙袋を持って寝室に向かう。数分ほど待つと、赤い顔をした愛子が恥ずかしそうにして下を向いたまま戻ってくる。
「じゃぁ、いこっか」
そんな妻の仕草の可愛さに、克也は改めて惚れてしまうのだった。
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