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〇3章【秘密とマグカップ】
2節~レイアウト~ 2
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午前十時。
メッセージアプリに「資料作成タスク振り分け」の通知が流れた頃。
ヒロトがタスク表をスクロールしていると、少し離れた席で麻衣が軽く手を上げた。
「はい、ちょっとだけ中断~。全体向けの話」
いくつものモニターから顔が上がる。
キーボードの音が、すうっと引いていく。
Slackの通知だけが、数秒遅れてぽつぽつと鳴り続けていた。
「今週中に、各店舗向けのプロファイルカード作るよ」
麻衣が手元のタブレットをちらりと見やり、続ける。
「名前・業態・得意商品・SNSの有無、あと写真と一言紹介。……要は紹介冊子の素材ね。現地チームが回るときの名簿代わりになるやつ」
その説明に、ちひろが「うわ……」と小さく漏らした。
すみれはもうペンを手に取っていて、要点だけを淡々とメモし始めている。
しおりは椅子の背にもたれ、マグを両手で包みながら話を聞いていた。
「で、これ、誰に任せようかなーと思ってたんだけど」
麻衣はタブレットを一度閉じ、顔を上げる。
「希望者、いる?」
ふっと、短い間が生まれた。
周囲の視線が一斉に泳ぎ、キーボードに戻る人、あえて何かを打ち込み始める人。
誰も沈黙を破らないまま、数秒だけ時間が伸びる。
その静けさを破ったのは、やはり──
「はーいっ! やってみたいですっ!」
ももが両手を軽く挙げて、弾む声で前のめりになる。
「こういうの、ちょっと楽しそうじゃないですかぁ。可愛くまとめて、店舗さんが喜んでくれる感じにしたいなって♡」
「よかった。じゃあ一人目決定」
麻衣が即答し、スケジュール表にチェックを入れる。
その横で、何人かが「さすがだな」という顔をしていた。
「他にどう? 二人くらいはいた方が効率いいんだけど……」
小さな沈黙が、もう一度落ちる。
ヒロトの席からは、キリカが少し後ろの位置で様子をうかがっているのが見えた。
資料作り自体は嫌いじゃないはずだと、ヒロトは知っている。
それでも、人前で「やります」と真っ先に手を挙げるタイプでもないことも、同じくらいよく分かっていた。
「え~、ちひろはやらないの?」
しおりが笑いながら、隣のちひろの肘を軽くつつく。
「いやー、私こういうの苦手なんだよね。センス偏るし、絶対途中で飽きるもん」
「私も~。若い子の感性に任せるわ」
しおりもあっさりと手を引いた。
そのやりとりに、麻衣が苦笑を浮かべかけたところで──
「……なら、明坂ちゃんとかどう?」
すみれがペンを止め、ぽつりと言った。
「えっ……私、ですか?」
少し離れた席で、キリカが小さく肩を揺らす。
「こういうの、得意そうだし。構成とかレイアウト、綺麗に整えられそう」
ちひろがそれに乗るように顔を上げる。
「そうそう、明坂ちゃんって、けっこー細かいとこ見てるし、絶対向いてるって」
押しつけるほど強くはないけれど、背中をそっと押すくらいの温度の視線が、いくつかキリカに向かう。
「……じゃあ、やってみます。やれる範囲で、ですけど」
静かに、けれどはっきりと。
キリカはそう言って、まっすぐ麻衣の方を見た。
「了解。じゃあ、天内ちゃんと明坂ちゃん、ペアで店舗カード作成チームね」
麻衣が、二人の名前をタブレットに打ち込む。
「内容はテンプレ共有するから、ある程度アレンジしてOK。任せるよ」
「はーいっ」
「……はい」
隣り合ったふたりの声は、調子こそ違えど、どちらも素直な響きを帯びていた。
「はい、じゃあこれがプロファイルカードのテンプレートね」
麻衣がUSBを差し、共有フォルダにファイルを放り込む。
画面の端に通知がポップアップし、すぐにいくつものPCで同じファイル名が開かれていく。
モニターに映し出されたテンプレートは、A4サイズのレイアウト案だった。
店名、業種、特色、写真エリア──その下には、ひとことPRを書くスペースが用意されている。
「書く内容は、こんな感じ。まだ写真素材がそろってないから、そこは仮でいいよ」
麻衣は指先で項目をなぞりながら言う。
「イラストやアイコン入れてもいいし、色使いとかもお任せ。店舗さんが見て楽しい・読んでわかるものにしてくれればOK」
ももは「うんうん」と大きく頷きながら、さっそく自分のPCにテンプレートをダウンロードしていた。
「お店の写真がなくても、イメージで描いちゃえばいいんですね? アイキャッチ大事ですもんね~」
独りごとのような声を漏らしつつ、ペンとタブレットを取り出して、何やら描き始める。
その動きは、迷いがなくて楽しそうだった。
一方で、キリカの画面には、真っ白なテンプレが開かれたまま、カーソルだけが所在なげに瞬いている。
ヒロトの席からも、その止まり方はよく見えた。
麻衣はふたりのモニターを見比べてから、にこっと笑い、ひと言だけ付け足す。
「ちなみに、これは一店舗ぶんのサンプルだからね」
「みんなで回覧して方針を決めたいし、できれば今日中に一案お願いできると助かる」
「はいっ!」
ももは迷いなく即答した。
キリカは声には出さず、小さく頷くだけだったが、その指先がマウスの上で一度きゅっと力を込めるのが見えた。
◆
それから数十分後。
資料作成用のテーブルで、ももとキリカが並んで座っていた。
もものPC画面には、すでにシンプルなレイアウトと、柔らかい色味のイラスト枠が整えられている。
タイトルと写真エリア、その下のPR欄まで、視線の流れがすっと通る構成だった。
「……思ったより、ちゃんとしてるな」
給湯スペースから戻ってきたヒロトは、通りすがりにその画面を見て、内心そう呟く。
華やかさはあるのに、情報の流れがすっきりしていて、現場で実際に使えそうな雰囲気がちゃんと残っている。
対して、キリカの画面はまだテンプレートのままだった。
カーソルの点滅だけが、時間の経過を示している。
ヒロトは紙コップを手にしたまま、少しだけ顔を近づける。
「……どうした? お悩み中か?」
「っ……い、いえ、進んでます……けど……」
反射的に言い返しかけて、キリカはすぐに視線を落とした。
「なんか、いろいろ……考えちゃって」
へにゃ、と声の輪郭がしぼむ。
肩も同じように、情けない角度で下がっていた。
「はは。真面目だなぁ」
ヒロトは苦笑しながら、持っていた紙コップを端のスペースに置く。
「別に、上に提出しろって言われてるわけじゃないだろ。サンプル作るだけなのに」
「うぅ……でも、みんなに見られますし、比べられるとか思ったら……」
言いながら、キリカは画面の端を指先でつつく。
文字も図もない真っ白なスペースが、責め立てるみたいに広がっていた。
その様子を見て、ヒロトはほんの少しだけ考えるように息を吸う。
「じゃあさ」小さな前置きと一緒に、言葉を置く。
「俺が現地で使いやすいように作ってくれよ。見てすぐ分かる、パッと伝わるやつ」
キリカが、わずかに顔を上げる。
「……俺、現地でバタバタしてると、細かいところ読む余裕なくなるからさ。ぱっと見て、『ああ、こういう店なんだな』って掴めるだけでも、だいぶ違うんだよ」
そこまで言って、少しだけ言葉を足した。
「……あとは、疲れたときに見て、ちょっと元気が出るような」
「……元気……ですか?」
「うん。たとえば──イラストでもいいし、柔らかい色でもいい」
ヒロトは、画面ではなくキリカの横顔を見る。
「もし多少見づらくても、明坂らしさがあるやつのほうが、見てて助かると思う」
一瞬、キリカの指先がピクリと動いた。
らしさ。
今までずっと、誰にも負けないように、正しく作らなきゃと構えていた顔が、ほんの少しだけ揺らぐ。
ヒロトには、そのわずかな変化が見えた。
「……じゃあ」
小さいけれど、さっきまでとは違う手触りの声が落ちる。
「ちょっと、描いてみます。……可愛い感じのやつ」
「お、楽しみにしてる」
ヒロトは口元だけで笑い、紙コップを手に取る。
背を向ける前にもう一度だけ視線をやると、さっきまで止まっていたカーソルが、ゆっくりと文章欄へと動き出していた。
それを見届けてから、自分の席へと戻っていった。
メッセージアプリに「資料作成タスク振り分け」の通知が流れた頃。
ヒロトがタスク表をスクロールしていると、少し離れた席で麻衣が軽く手を上げた。
「はい、ちょっとだけ中断~。全体向けの話」
いくつものモニターから顔が上がる。
キーボードの音が、すうっと引いていく。
Slackの通知だけが、数秒遅れてぽつぽつと鳴り続けていた。
「今週中に、各店舗向けのプロファイルカード作るよ」
麻衣が手元のタブレットをちらりと見やり、続ける。
「名前・業態・得意商品・SNSの有無、あと写真と一言紹介。……要は紹介冊子の素材ね。現地チームが回るときの名簿代わりになるやつ」
その説明に、ちひろが「うわ……」と小さく漏らした。
すみれはもうペンを手に取っていて、要点だけを淡々とメモし始めている。
しおりは椅子の背にもたれ、マグを両手で包みながら話を聞いていた。
「で、これ、誰に任せようかなーと思ってたんだけど」
麻衣はタブレットを一度閉じ、顔を上げる。
「希望者、いる?」
ふっと、短い間が生まれた。
周囲の視線が一斉に泳ぎ、キーボードに戻る人、あえて何かを打ち込み始める人。
誰も沈黙を破らないまま、数秒だけ時間が伸びる。
その静けさを破ったのは、やはり──
「はーいっ! やってみたいですっ!」
ももが両手を軽く挙げて、弾む声で前のめりになる。
「こういうの、ちょっと楽しそうじゃないですかぁ。可愛くまとめて、店舗さんが喜んでくれる感じにしたいなって♡」
「よかった。じゃあ一人目決定」
麻衣が即答し、スケジュール表にチェックを入れる。
その横で、何人かが「さすがだな」という顔をしていた。
「他にどう? 二人くらいはいた方が効率いいんだけど……」
小さな沈黙が、もう一度落ちる。
ヒロトの席からは、キリカが少し後ろの位置で様子をうかがっているのが見えた。
資料作り自体は嫌いじゃないはずだと、ヒロトは知っている。
それでも、人前で「やります」と真っ先に手を挙げるタイプでもないことも、同じくらいよく分かっていた。
「え~、ちひろはやらないの?」
しおりが笑いながら、隣のちひろの肘を軽くつつく。
「いやー、私こういうの苦手なんだよね。センス偏るし、絶対途中で飽きるもん」
「私も~。若い子の感性に任せるわ」
しおりもあっさりと手を引いた。
そのやりとりに、麻衣が苦笑を浮かべかけたところで──
「……なら、明坂ちゃんとかどう?」
すみれがペンを止め、ぽつりと言った。
「えっ……私、ですか?」
少し離れた席で、キリカが小さく肩を揺らす。
「こういうの、得意そうだし。構成とかレイアウト、綺麗に整えられそう」
ちひろがそれに乗るように顔を上げる。
「そうそう、明坂ちゃんって、けっこー細かいとこ見てるし、絶対向いてるって」
押しつけるほど強くはないけれど、背中をそっと押すくらいの温度の視線が、いくつかキリカに向かう。
「……じゃあ、やってみます。やれる範囲で、ですけど」
静かに、けれどはっきりと。
キリカはそう言って、まっすぐ麻衣の方を見た。
「了解。じゃあ、天内ちゃんと明坂ちゃん、ペアで店舗カード作成チームね」
麻衣が、二人の名前をタブレットに打ち込む。
「内容はテンプレ共有するから、ある程度アレンジしてOK。任せるよ」
「はーいっ」
「……はい」
隣り合ったふたりの声は、調子こそ違えど、どちらも素直な響きを帯びていた。
「はい、じゃあこれがプロファイルカードのテンプレートね」
麻衣がUSBを差し、共有フォルダにファイルを放り込む。
画面の端に通知がポップアップし、すぐにいくつものPCで同じファイル名が開かれていく。
モニターに映し出されたテンプレートは、A4サイズのレイアウト案だった。
店名、業種、特色、写真エリア──その下には、ひとことPRを書くスペースが用意されている。
「書く内容は、こんな感じ。まだ写真素材がそろってないから、そこは仮でいいよ」
麻衣は指先で項目をなぞりながら言う。
「イラストやアイコン入れてもいいし、色使いとかもお任せ。店舗さんが見て楽しい・読んでわかるものにしてくれればOK」
ももは「うんうん」と大きく頷きながら、さっそく自分のPCにテンプレートをダウンロードしていた。
「お店の写真がなくても、イメージで描いちゃえばいいんですね? アイキャッチ大事ですもんね~」
独りごとのような声を漏らしつつ、ペンとタブレットを取り出して、何やら描き始める。
その動きは、迷いがなくて楽しそうだった。
一方で、キリカの画面には、真っ白なテンプレが開かれたまま、カーソルだけが所在なげに瞬いている。
ヒロトの席からも、その止まり方はよく見えた。
麻衣はふたりのモニターを見比べてから、にこっと笑い、ひと言だけ付け足す。
「ちなみに、これは一店舗ぶんのサンプルだからね」
「みんなで回覧して方針を決めたいし、できれば今日中に一案お願いできると助かる」
「はいっ!」
ももは迷いなく即答した。
キリカは声には出さず、小さく頷くだけだったが、その指先がマウスの上で一度きゅっと力を込めるのが見えた。
◆
それから数十分後。
資料作成用のテーブルで、ももとキリカが並んで座っていた。
もものPC画面には、すでにシンプルなレイアウトと、柔らかい色味のイラスト枠が整えられている。
タイトルと写真エリア、その下のPR欄まで、視線の流れがすっと通る構成だった。
「……思ったより、ちゃんとしてるな」
給湯スペースから戻ってきたヒロトは、通りすがりにその画面を見て、内心そう呟く。
華やかさはあるのに、情報の流れがすっきりしていて、現場で実際に使えそうな雰囲気がちゃんと残っている。
対して、キリカの画面はまだテンプレートのままだった。
カーソルの点滅だけが、時間の経過を示している。
ヒロトは紙コップを手にしたまま、少しだけ顔を近づける。
「……どうした? お悩み中か?」
「っ……い、いえ、進んでます……けど……」
反射的に言い返しかけて、キリカはすぐに視線を落とした。
「なんか、いろいろ……考えちゃって」
へにゃ、と声の輪郭がしぼむ。
肩も同じように、情けない角度で下がっていた。
「はは。真面目だなぁ」
ヒロトは苦笑しながら、持っていた紙コップを端のスペースに置く。
「別に、上に提出しろって言われてるわけじゃないだろ。サンプル作るだけなのに」
「うぅ……でも、みんなに見られますし、比べられるとか思ったら……」
言いながら、キリカは画面の端を指先でつつく。
文字も図もない真っ白なスペースが、責め立てるみたいに広がっていた。
その様子を見て、ヒロトはほんの少しだけ考えるように息を吸う。
「じゃあさ」小さな前置きと一緒に、言葉を置く。
「俺が現地で使いやすいように作ってくれよ。見てすぐ分かる、パッと伝わるやつ」
キリカが、わずかに顔を上げる。
「……俺、現地でバタバタしてると、細かいところ読む余裕なくなるからさ。ぱっと見て、『ああ、こういう店なんだな』って掴めるだけでも、だいぶ違うんだよ」
そこまで言って、少しだけ言葉を足した。
「……あとは、疲れたときに見て、ちょっと元気が出るような」
「……元気……ですか?」
「うん。たとえば──イラストでもいいし、柔らかい色でもいい」
ヒロトは、画面ではなくキリカの横顔を見る。
「もし多少見づらくても、明坂らしさがあるやつのほうが、見てて助かると思う」
一瞬、キリカの指先がピクリと動いた。
らしさ。
今までずっと、誰にも負けないように、正しく作らなきゃと構えていた顔が、ほんの少しだけ揺らぐ。
ヒロトには、そのわずかな変化が見えた。
「……じゃあ」
小さいけれど、さっきまでとは違う手触りの声が落ちる。
「ちょっと、描いてみます。……可愛い感じのやつ」
「お、楽しみにしてる」
ヒロトは口元だけで笑い、紙コップを手に取る。
背を向ける前にもう一度だけ視線をやると、さっきまで止まっていたカーソルが、ゆっくりと文章欄へと動き出していた。
それを見届けてから、自分の席へと戻っていった。
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22歳。160cm。
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株式会社九条光学副社長。
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