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第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル
『最弱』の召喚術師グレイ
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『最弱』の召喚術師と呼ばれている者がいる。
そのものは召喚術師でありながら、召喚できるのは『最弱』の魔物達のみ。一体程度なら、なんの戦闘訓練を積んでいない大人でも余裕を持って戦い、勝てる。そんな弱い魔物たちしか召喚できない召喚術師。
その名もグレイ。
魔族と人間種が戦争を始めて600年。戦線は膠着していたが、彼が表舞台に登場してからは魔族がその戦線を押し返している。
しかし彼が戦った戦場を見た味方の魔族達と人間種達は、こう呼ぶ。
『最強』の軍勢と......
━━━━━━━━━━━━━━━
「クソ!!また奴だ!!」
ドン!!と乱暴に机を叩くと、近くにいた青年がビクッと肩を窄める。
「奴.....『最強』ですか」
円形状の机を囲む人間達は、忌々しげに顔を顰める。
「奴が現れて約100年。我々はほとんどの戦線で押されており、今や我が領土は最盛期の3分の2まで減っております」
「しかも奴は兵士、農民、一切関係なく殺してくる。おかげでほんの少しだが、食料の生産が落ちてきている」
手元にある資料を眺めながらアゼル王国の国王、バンアゼルは静かにため息をついた。
「国王陛下......」
その溜め息を聞いたのか、否か、不安げな表情をした青年は、おずおずと手を上げる。
「.....どうした?」
「他の国に頼る事は出来ないのでしょうか?神聖皇国や帝国の支援を受ければ──────」
「この、大馬鹿者がぁ!!」
青年の提案を国王は大声を荒らげて中断させた。
「我が偉大なるアゼル王国が、皇国や帝国を頼るだと?!巫山戯るのも大概にしろ!!あの様な国を頼るなど言語道断!!二度と口にするな!!」
王国にとって皇国や帝国は目の上のたんこぶだ。
三大人間国家の中に入っているが、皇国や帝国と比べると幾分か劣る。それが他の国の認識だった。
その為バンアゼルは、いや、王国の貴族達は皇国や帝国を敵視している。
「も、申し訳ありませんでした」
青年とて、この王国円卓会議に出席している為、能無しでは無い。
自分の提案が却下されるのを承知の上で、この提案をしたのだ。
もちろん現実的なのは皇国や帝国に頼ることだ。しかし、プライドがそれを許さない。
青年は面倒だなと思いながらも、これ以上なにか言えば自分の立場が危ぶまれる可能性があるのは分かっている。
大人しく身を引くことにした。
「.......すまない取り乱した」
肩で息をしているが、冷静さが戻った国王。
「確かに皇国や帝国に助力を求めるのも手だ。しかし、我らは栄えある王国の国王と貴族なのだ。我々で魔族どもを討ち滅ぼし、王国の地位と他の国への影響力を高めるのだ」
そう言うと国王は、ゆっくりと円卓を囲む貴族達を見渡し、こう言った。
「さぁ、続きを始めようではないか、我らが王国が最も優れた国であることを示すのだ」
━━━━━━━━━━━━━━━
魔王国の王都、アナマの街外れにあるとある屋敷。そこに俺は住んでいる。
さほど大きい屋敷ではないが、俺ともう1人の2人で住むにはかなり大きい。
俺は毎朝配達される魔王新聞と言う、なんとも捻りのない名前の新聞を読みながら優雅に紅茶を嗜んでいた。
「マスター?なぁんでここにいるんですかぁ?」
新聞から目を離し声が聞こえた方を向くと、腰に手を当て、心の底からうんざりした顔をした幼女が、俺の紅茶を不味くする。
アホ毛が目立つ金髪の長髪にハイライトがあまり無い群青色の目、幼女と少女の間辺りの身長だが、その顔を見れば少女よりは幼女だろう。
白色のダボッとしたフードの着いたジャケットに、白黒のボーダーシャツ、黒の短パンと黒のニーソ、更に黒のブーツを履いた幼女だ。
「なんでって見て分からないのか?あぁ、体がちっさいから脳のちっこいのか。いいかい、俺は──────」
ここまで言いかけた所で、ブォン!!と言う音とともに俺のこめかみに当たる数センチ手前に幼女の足が迫る。
「今日、大事な会議ありましたよね?魔王軍幹部と魔王陛下が出席する。マスター?貴方も最高幹部ですよね?」
足を振り上げたまま、にっこりと笑う幼女.......アリだな....じゃなくて...
「いつもサボってるので問題ない」
そう言って俺は新聞に目を戻し、紅茶をすすろうとすると
「早く行かないと皆様に迷惑かけますよ?」
先程よりも深い笑みを浮かべているが、明らかにこめかみがピクピクしている。
間違いなくキレてる。
.......後、幻聴かな?殺すぞとか聞こえたんだけど....
俺はため息をつくと、残っていた紅茶をグイッと一気に飲み干す。
新聞を机に置き、魔王城に行く準備を始める。
「わかったわかった。行けばいいんだろ?俺たちの軍って在籍してるの俺とお前だけだし、基本的に自由にやっていいよって魔王陛下から言われてるから、あまり行く意味ないんだけどな」
「マスターが行かないとこでクレームが来るんですよ。元々私達はかなり微妙な立ち位置ですし、マスターがサボるとそれにかこつけて口煩い老害が多いんです。そしてその口煩い老害を相手するのは私です。少しは私の負担を減らす努力をしてください」
「はぁ......めんどくせぇ」
「諦めてください。終わったらマスターの好きな紅茶を仕入れたので、それを入れましょう」
「お、それじゃ、帰りに甘いもの買って帰るか」
「もちろん私の分もありますよね?」
「もちろん」
俺は魔王軍幹部を示すローブと左肩に狼と鷹が描かれた紋章をつけ、黄色のラインが目元から縦に入った仮面をつけて屋敷を出る。
幼女は魔王軍在籍を示すローブと同じく左肩に狼と鷹の紋章をつけ、俺の後に続く。
「それじゃ、行くかニーナ」
「はい、グレイ」
魔王軍幹部、『最弱』の召喚術師グレイ。
それが今の俺だ。
「ところでマスター?遅刻は確定なのですが、どうします?」
「........あれだ、困ってたバーさん助けてたって事で押し通すわ」
しばらくは3本(朝、昼、晩)投稿頑張ります。
そのものは召喚術師でありながら、召喚できるのは『最弱』の魔物達のみ。一体程度なら、なんの戦闘訓練を積んでいない大人でも余裕を持って戦い、勝てる。そんな弱い魔物たちしか召喚できない召喚術師。
その名もグレイ。
魔族と人間種が戦争を始めて600年。戦線は膠着していたが、彼が表舞台に登場してからは魔族がその戦線を押し返している。
しかし彼が戦った戦場を見た味方の魔族達と人間種達は、こう呼ぶ。
『最強』の軍勢と......
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「クソ!!また奴だ!!」
ドン!!と乱暴に机を叩くと、近くにいた青年がビクッと肩を窄める。
「奴.....『最強』ですか」
円形状の机を囲む人間達は、忌々しげに顔を顰める。
「奴が現れて約100年。我々はほとんどの戦線で押されており、今や我が領土は最盛期の3分の2まで減っております」
「しかも奴は兵士、農民、一切関係なく殺してくる。おかげでほんの少しだが、食料の生産が落ちてきている」
手元にある資料を眺めながらアゼル王国の国王、バンアゼルは静かにため息をついた。
「国王陛下......」
その溜め息を聞いたのか、否か、不安げな表情をした青年は、おずおずと手を上げる。
「.....どうした?」
「他の国に頼る事は出来ないのでしょうか?神聖皇国や帝国の支援を受ければ──────」
「この、大馬鹿者がぁ!!」
青年の提案を国王は大声を荒らげて中断させた。
「我が偉大なるアゼル王国が、皇国や帝国を頼るだと?!巫山戯るのも大概にしろ!!あの様な国を頼るなど言語道断!!二度と口にするな!!」
王国にとって皇国や帝国は目の上のたんこぶだ。
三大人間国家の中に入っているが、皇国や帝国と比べると幾分か劣る。それが他の国の認識だった。
その為バンアゼルは、いや、王国の貴族達は皇国や帝国を敵視している。
「も、申し訳ありませんでした」
青年とて、この王国円卓会議に出席している為、能無しでは無い。
自分の提案が却下されるのを承知の上で、この提案をしたのだ。
もちろん現実的なのは皇国や帝国に頼ることだ。しかし、プライドがそれを許さない。
青年は面倒だなと思いながらも、これ以上なにか言えば自分の立場が危ぶまれる可能性があるのは分かっている。
大人しく身を引くことにした。
「.......すまない取り乱した」
肩で息をしているが、冷静さが戻った国王。
「確かに皇国や帝国に助力を求めるのも手だ。しかし、我らは栄えある王国の国王と貴族なのだ。我々で魔族どもを討ち滅ぼし、王国の地位と他の国への影響力を高めるのだ」
そう言うと国王は、ゆっくりと円卓を囲む貴族達を見渡し、こう言った。
「さぁ、続きを始めようではないか、我らが王国が最も優れた国であることを示すのだ」
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魔王国の王都、アナマの街外れにあるとある屋敷。そこに俺は住んでいる。
さほど大きい屋敷ではないが、俺ともう1人の2人で住むにはかなり大きい。
俺は毎朝配達される魔王新聞と言う、なんとも捻りのない名前の新聞を読みながら優雅に紅茶を嗜んでいた。
「マスター?なぁんでここにいるんですかぁ?」
新聞から目を離し声が聞こえた方を向くと、腰に手を当て、心の底からうんざりした顔をした幼女が、俺の紅茶を不味くする。
アホ毛が目立つ金髪の長髪にハイライトがあまり無い群青色の目、幼女と少女の間辺りの身長だが、その顔を見れば少女よりは幼女だろう。
白色のダボッとしたフードの着いたジャケットに、白黒のボーダーシャツ、黒の短パンと黒のニーソ、更に黒のブーツを履いた幼女だ。
「なんでって見て分からないのか?あぁ、体がちっさいから脳のちっこいのか。いいかい、俺は──────」
ここまで言いかけた所で、ブォン!!と言う音とともに俺のこめかみに当たる数センチ手前に幼女の足が迫る。
「今日、大事な会議ありましたよね?魔王軍幹部と魔王陛下が出席する。マスター?貴方も最高幹部ですよね?」
足を振り上げたまま、にっこりと笑う幼女.......アリだな....じゃなくて...
「いつもサボってるので問題ない」
そう言って俺は新聞に目を戻し、紅茶をすすろうとすると
「早く行かないと皆様に迷惑かけますよ?」
先程よりも深い笑みを浮かべているが、明らかにこめかみがピクピクしている。
間違いなくキレてる。
.......後、幻聴かな?殺すぞとか聞こえたんだけど....
俺はため息をつくと、残っていた紅茶をグイッと一気に飲み干す。
新聞を机に置き、魔王城に行く準備を始める。
「わかったわかった。行けばいいんだろ?俺たちの軍って在籍してるの俺とお前だけだし、基本的に自由にやっていいよって魔王陛下から言われてるから、あまり行く意味ないんだけどな」
「マスターが行かないとこでクレームが来るんですよ。元々私達はかなり微妙な立ち位置ですし、マスターがサボるとそれにかこつけて口煩い老害が多いんです。そしてその口煩い老害を相手するのは私です。少しは私の負担を減らす努力をしてください」
「はぁ......めんどくせぇ」
「諦めてください。終わったらマスターの好きな紅茶を仕入れたので、それを入れましょう」
「お、それじゃ、帰りに甘いもの買って帰るか」
「もちろん私の分もありますよね?」
「もちろん」
俺は魔王軍幹部を示すローブと左肩に狼と鷹が描かれた紋章をつけ、黄色のラインが目元から縦に入った仮面をつけて屋敷を出る。
幼女は魔王軍在籍を示すローブと同じく左肩に狼と鷹の紋章をつけ、俺の後に続く。
「それじゃ、行くかニーナ」
「はい、グレイ」
魔王軍幹部、『最弱』の召喚術師グレイ。
それが今の俺だ。
「ところでマスター?遅刻は確定なのですが、どうします?」
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しばらくは3本(朝、昼、晩)投稿頑張ります。
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