【最弱】の召喚術師【最強】の軍勢につき

雪雪ノ雪

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第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル

魔王円卓会議②

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 魔王陛下を含め9人が円卓会議の席に着いている。

 魔王陛下を除いた8人の後ろには、1人ずつ補佐官がたっており、皆静かに円卓会議の進行を待つ。

「それでは続けるかのぉ。エルジャル」

「はっ!まず、我が国の戦線状況ですが──────」

 エルジャル。第6軍の大将であり、別名『賢者』のエルジャルと呼ばれている。

 『賢者』と呼ばれているだけあって、様々な魔体型に魔族1の魔法使いと噂せれている。

 眼鏡をかけ、ひょろっとした体型に青い短髪。黒い鋭い目とシュッとした顔が、その顔を見た者にキツそうだと思わせる。

 しかし、話してみると物腰柔らかで、とても話しやすいいい人だ。

 俺が話す数少ない大将格の人である。

「──────という訳でして、我々第6軍としては西方、王国を早めに叩き潰すことを愚考致します」

 やべ、何も聞いてなかった。......まっいっか、どうせニーナがしっかりと聞いているはずだ。後でニーナに聞くとしよう。

「西方と言えば、第6軍の他に第8軍もそちらに参加していたのぉ。グレイ、王国をお主が本気で落とそうとしたらどれ程かかる?」

「王国をどの程度落とすのですか?」

「.........そうじゃのぉ、1人残らず殺した場合は?」

 ザワリと円卓会議の空気が変わる。

 魔王軍の方針としては、王族貴族を処分し、農民などの非戦闘員は隷属化させ、魔族がそれを支配するのが方針だ。

 にもかかわらず、魔王陛下は俺に1人残らず殺した場合と言う質問をしてきた。

 疑問に思うのは仕方がないだろう。

「そうですね。完全に逃げに徹されて探し出すという工程をないものとすれば......3~5年もあれば十分に可能かと」

 ザワリと更に円卓会議の空気が変わった。

 皇国や帝国と比べると国力は劣るが、それでも王国は大国だ。

 伊達に600年以上魔王国とドンパチやっている訳では無い。

 俺が魔王軍に入って100年近く経つが、俺が3~5年で王国を落とせると言ったのには理由がある。

 魔王陛下はこの100年、俺を防衛にしか使ってこなかったのだ。

 攻撃に回ったのはつい最近。

 ここ2~3年の話だ。

 しかも第6軍と足並みを揃えていた為、進軍速度はかなり遅かったのもある。

「ほう、3~5年で王国を落とせるのか......グレイ」

「はっ」

「王国を落としてこい。方法は任せるが、農民や平民など、非戦闘員も殺すのじゃ」

 その言葉に、魔王陛下を除くこの場にいる全員が目を見開く。

 非戦闘員も殺すのか。でも何故急に?

 俺たちの疑問を魔王陛下自ら答えてくれた。

「王国の広大な土地は妾ら魔族が使う。隷属した人間共はそんなに要らんのでのぉ。皇国や帝国辺りから引っ張ってくれば良い」

 慈悲もない言い草だが、流石は魔王陛下。人間をそもそも人間としてみていない。

 別に正義感に駆られたりはしないが、非戦闘員まで殺すのはどうかとは思わないでもない......特に仮にも同じ人間種としては。

「しかし、魔王陛下。非戦闘員まで殺すのはやりすぎじゃねぇのか?」

 そう言って、少し嫌そうな顔をしている大男。

「なぜそう思うのじゃ?ガンドよ」

 ガンド。第4軍の大将で、別名『武人』のガンドと呼ばれている彼は、一切魔法が使えない。

 自身の体に魔力を纏わせて身体強化をし、先陣を切って大暴れする戦い方をする。

 茶色のオールバックに顎を覆う茶色の髭、優しげな黒い目をしており、軍内や一般市民からも人気だ。

 俺は残念ながら、彼とはほとんど話したことは無い。

 第4軍は北方戦線を担当しているのだが、俺は1度も北方戦線の防衛に着いたことがないのだ。

 それだけ彼の率いる第4軍が優秀なのだろう。

「非戦闘員には罪はないと思うが?」

 魔王陛下に対してかなり無礼な口調だが、誰も注意はしない。

 彼から魔王陛下への敬意が溢れている事は、皆分かっているのだ。

 俺に先程吠えたドレングも何も言わない。

「そうじゃな、非戦闘員に罪はない。しかし、それは妾らにも言えることではないかのぉ」

「.......」

 何もいわないガンドの言葉を待たず、魔王陛下は言葉を続ける。

「かつて妾らは....まぁ、国は作ってなぞおらんかったが、罪のない魔族は人間種たちに殺されて言ったのだぞ?妾達のように戦争では無い、人間種の発展の為にだ。寧ろ戦争で殺す分、妾達の方が良心的ではないかと思うがのぉ?」

 一旦言葉を切り、魔王陛下は全員の顔を見渡す。

「妾も最初は人間種全てを殺すなぞ思っておらんかった。しかし、戦争を始めて600年。人と魔族の怨みは、最早どちらかが絶滅しなければ晴れることは無い。隷属化させた人間種共もある程度戦後の発展をさせた後、処分する。異論は認めん......それと、貴様らに面白い情報をくれてやろうかのぉ。カレン」

「は~い。魔王陛下~。皆さ~ん、こちらの資料をご覧下さ~い」

 所々間延びした返事をした、カレンと呼ばれた女は、手際よく補佐官と分担して資料を配る。

 カレン。第7軍の大将であり、別名『隠密』のカレン。第7軍は他の軍部とは役割が異なり、完全に諜報特化の軍だ。

 魔族が人の姿とさほど変わらない事を生かし、人間社会に長く紛れ込み、重要ポストについて情報を抜き取る。場合によっては要人の暗殺もするのだ。

 見た目がほぼ変わらないからこそできる芸当だ。

 赤い長髪に緑色の目。髪はポニーテールにしており、スタイルは出るとこは出て絞めるところはきっちり絞まっている。

 髪の色と同じ赤いドレスを着た軍部内きっての変わり者だ。

 俺はガンドと同じくほとんど話したことは無い。

 資料が全員に行き渡ったのを確認すると、魔王陛下は口を開く。

「さて、これが今回の円卓会議の本題じゃ、資料を見ろ」

 俺とニーナはマル秘と書かれた資料を開き、そこに書いてあった事を見て目を見開く。

「......なんだと」

 そこには『人間魔族化計画』と書いてあった。
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