【最弱】の召喚術師【最強】の軍勢につき

雪雪ノ雪

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第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル

出発

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 魔王陛下が泣き、アルザードが気絶することが確定した日から2日後、俺とニーナは王都の西門にいた。

 必要なものは全て、ニーナの背負っているマジックバックにしまわれている。

 マジックバックとは、空間拡張魔法を付与したカバンのことだ。超難関の魔法とされる空間魔法を付与しているカバンだけあって、その値段はどんな粗悪品でも最低白金貨1枚はする。

 空間拡張魔法を付与されたカバンは、本来入るはずの容量よりもさらに多くのものを入れられる。ただし、荷物の重さは変わらないので入れすぎは注意だ。

 なのでニーナが背負っているマジックバックは結構重いはずで、最初は俺が持とうとしたのだがニーナが、

「マスター、大将が荷物を持っているにもかかわらず、その補佐官が手ぶらなのは体裁が悪いので荷物は私が持ちます」

 と言って聞かなかったので、諦めてニーナに持たせたのだ。

 正直、幼女に荷物持たせて手ぶらな上司の方が、体裁が悪いと思うのだが.......

「ではな。国境付近に着いたら、第7軍の者が馬車を引いて迎えに来るはずじゃ。場所はわかっておるな?」

「シーンズ川の第3橋だろ?」

 見送りに来た魔王陛下の、最終確認に答える。

 いつも我が家に来る時は護衛など、お供を一切つけていない魔王陛下だが、今回は宰相や護衛達も引き連れている。今日俺達が王都を出ることは宰相も知っているはずだし、魔王陛下が勝手に出ていっても先回りできるからな。

 お供がいても、俺が態度を変えていないのは、ここが公式の場ではないからだ。.....流石にロリババアとは言わないけどな。

 魔王陛下の隣にいる宰相は、いかにもできる文官といった感じだ。丸眼鏡にオールバックの銀髪、肌は白く、180センチ近い高身長に鋭い赤い目のイケオジだ。文官でありながら、しっかりと鍛えられたその身体は、下手な兵士より強そうである。名前は確か、バハラだったかな?

「えぇ、そこまではこのスケルトンホースの馬車をお使いください」

 俺達の横にある馬車は普通の馬車だ......それを引く馬を除けばだが。

 スケルトンホース。アンデッドと呼ばれる魔物の一種で、馬の骨だけバージョンだ。普通の馬とは違い、疲労や睡眠、食事が無い。その代わり、足が遅い。

 アンデッドとは、かつては生きていた者が死しても尚活動を続ける魔物だ。

 魔王国は、このスケルトンホースを何頭か飼育することに成功しており、魔王国内限定だが、馬車の引き馬として使っている。

 人間種国家では、このスケルトンホースは一切使われておらず、討伐の対象の為、この馬車に乗って迷宮都市インゼルに行く訳には行かない。

 なので国教付近で乗り換えというわけだ。

「わかった。とりあえず、馬車を乗り換えの所で1回宝珠で連絡入れるぞ」

 俺は握りこぶしサイズの水晶を、マジックバックから取り出す。

 この水晶は連絡宝珠と呼ばれており、魔力を通すことで対になっている宝珠に声を送ることが出来る品物だ。

 これは、ダンジョン迷宮からしか手に入れることが出来ず、それもかなり大きいダンジョン迷宮でないと出てこない。

 更に、複製することは不可能であり、大きいダンジョン迷宮からも出土するとこは10年に1度とかいうレベルなので、とんでもなく希少価値の高い魔道具だ。

 魔王国にある2つのダンジョン迷宮は小さいので、この宝珠が出てくることは無い。

 人間種国家から盗んできたのだ。

 今の魔王国には8個この宝珠があり、各軍に1つずつ渡されている。

「わかりました 」

「それと、流石に敵国に宝珠持っていくのは危ないから、スケルトンホースを降りたら御者に渡すからな」

 もし、俺が死んで敵国に奪われる、なんてことがあったら一大事だ。

 死ぬ気なんてサラサラないが、万が一はある。常に、最悪を想定しておくのが軍人というものだろう。

「わかりました。聞いていましたね?グレイさんから宝珠を受け取って帰ってきてください」

 宰相に話しかけられた御者は、頷く。

 御者見た目は、俺と同じくらい不審者だ。

 かなり大きめのローブを来ており、男か女かもわからず、フードも深く被っいるので顔も分からない。

 王都から王国よ国境付近まで約2週間。この人と一緒に旅をする訳だが、コミュニケーション学取れるのかどうか心配だ。

 今までの任務の時は、走って移動してたからなぁ.....

 なぜ入っていたのかと言うと、ニーナの訓練のためだ。

 別に緊急という案件はなかったし、そこまで急ぐ必要も無いものばかりだったので、ニーナの体力トレーニングの為に走って移動していた。

 最近は特に仕事が無かったので、走っておらず、今回も入っていこうと思ったのだが、宰相に馬車を使ってくれと頼まれた。

 なんでも、最新の馬車の性能テストを兼ねているんだとか。

 俺はそこら辺よく分からないので、好きにしてくれとしか言っていない。

 おかげで御者に、話しにくそうな人が来ちゃったけど......

「うむ、それではニーナや気をつけてゆくのじゃぞ?」

「うん、お姉ちゃんも体には気をつけてね」

「安心しろニーナ。バカは風邪をひかないんだ」

 ニーナだけを心配する魔王陛下と宰相、以下護衛達に見送られながら、俺達は王都を後にする。

「あー、御者さん二週間よろしくね?」

「......(こくん)」

 頷き返すだけで一切言葉を発さない御者に俺は苦笑いを浮かべながら、この御者との旅は無理なんじゃないかと早くも諦めだしていた俺だった。
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