【最弱】の召喚術師【最強】の軍勢につき

雪雪ノ雪

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第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル

スカウト

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「.....................は?」

 ピキーンと顔が凍りついたように固まるアザンを見て、俺は苦笑する。なるほど、である彼女にとってはこれが1番パンチの効く交渉だ。

 彼女は、自身の開発した魔道具を使ってうまく隠してるつもりだろうが、魔族特有の雰囲気を感じるのだ。

 同族ですらない俺が見抜けるのだ、同族のニーナに見抜けないわけが無い...........まぁ、俺の場合は多分魔族?ぐらいの半信半疑だったが。

 何とか正気を取り戻したアザンは、慌ててニーナの交渉に応じる。

「ふざけないでちょうだい、お嬢ちゃん。私が魔族なわけないでしょ?」

 あーあー。あまりの動揺にボロが出ちゃってるよ。

「へぇ?よく8ってわかりましたね?私は一言も、魔王国のことなんて言っていませんがねぇ?」

「あ.........」

 そう。第8軍だけなら“どこかの国の騎士様ですか?”と聞き返すのが正解だ。

 ここが魔王国ならまだしも、ここは王国で、本来魔族はいてはならない存在なのだ。

 普通の人は、王国の軍の数え方は“第1騎士団”の様に数えるので王国は除外、魔王国以外のどこかの国の人かな?と思うのが普通である。

 なのに彼女は、第8軍を勝手に魔王軍と思い込み、自分が魔族だと思われたと勘違いを起こした。

 流石、俺の可愛い補佐官だ。頭が回る。

 いかにもハメてやったぜという顔のニーナは、交渉を続ける。こうなったらニーナのペースだ。

「これほどの魔道具を作れる腕があるなら、問題なく魔王軍に所属することは出来ると思いますよ?こう見えてもここにいるロン毛は結構偉い立場にいるので、魔王陛下に口利きもできます。まぁ、あなたがに着いていなければですが」

 最後の一言は、ちょっと俺でも引くぐらい圧があった。

 というかニーナちゃん?こう見えてもって酷くない?仮にも君の上司でしょうに.....

 アザンは少し黙った後、恐る恐る口を開いた。

「........その影狼カゲロウって言うのはなんなのよ」

影狼カゲロウはマスター子飼いの兵隊ですよ。皆、マスターに借りがあって緊急時の時は力を貸してもらう様にしています。魔王軍所属では無いので、月の給料は出ませんが、緊急時の際、はきちんとお金を出します。結構いい額出しますよ?」

 影狼カゲロウはニーナの言った通り、俺子飼いの兵隊だ。かなりアクの強い連中が集まっているが、その実力は折り紙付き、正面戦闘から情報収集、暗殺までなんでもござれの連中である。

 尚、薬屋も影狼カゲロウの一員だ。

「私、お店続けたいんだけど......」

「私が話をつけて、魔王国で商売できるようにしましょうか?影狼カゲロウなら基本自由です。緊急時以外は、好きにしてもらって構わないので」

 1部の影狼カゲロウを除き、緊急時の招集なんて殆どかけない。

 薬屋の様に情報系の影狼カゲロウだと頼ることは多いが、戦闘員、魔道具開発員は大抵放置している。

 あいつら、俺が声掛けたらちゃんと動くよな?しばらく会ってないから忘れられてるかもしれない。少し不安だ。

「いや、待てよ私。そもそもコイツらが、魔王国の魔族とは限らないじゃない。両方魔族じゃ無さそうだし......」

 頭を抱えて何かブツブツ言い始めたアザンだが、その殆どが俺たちに聞こえている。

 ニーナは溜息をつきながら、右手の薬指に嵌めてある指輪を取り外した。

「?!」

「これでいいですか?私は魔族ですよ」

 ニーナが外した指輪は、魔族の持っている魔石の反応を無くす魔道具の1種だ。

 おそらく、第7軍の現地活動部隊全員がこれをつけているだろう。

 アザンは俺の方を見るが、俺はゆるゆると首を振る。

「残念ながら、俺は人間さ。まぁ、魔王国側の人間だが」

「.........不老の存在を人間として定義していいのかは、いささか疑問ですがね」

 それは俺も思うが、一応俺は人間だと思っている。

「..........分かった。信用してみるよ。そろそろバレそうだったしね」

 アザンは少し諦めた表情をしながら、ニーナと俺に手を差し出す。

 握手って意味かな?

「第8軍としてはいるのと、影狼カゲロウどっちがいい?」

 俺はアザンの手を握りながら、確認する。

 個人的には、影狼カゲロウの方が嬉しいのだが......

影狼カゲロウ?にしてくれないか?さっきも言ったが、店も続けたいんだ」

 ありがたい。第8軍に入られるよりも、自由に話を通せるから楽なのだ。

 軍に入っていると面倒なんだよなぁ.......特に書類周り。報告書を毎回作らないといけないのは、本当に面倒だ。

「分かった。2週間後、俺達はここを出ていく。その時にお前も連れていくから、準備しといてくれ。ついでに面白いものを見せてやるよ」

「面白いもの?」

「その時のお楽しみって事で」

 その後、大金貨1枚まで値切って炭火焼き機の魔道具を購入するのだった。

 正直、魔道具の値切り交渉だったのを忘れてた。
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