【最弱】の召喚術師【最強】の軍勢につき

雪雪ノ雪

文字の大きさ
34 / 41
第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル

仕込み

しおりを挟む
 この街を歩いた時に、仕込んだ魔法陣からラット達が次々と召喚される。

 その数、500匹。俺が五感共有できるギリギリの数だ。

 かなりの集中力を使う上に、自分の周りの様子が分からなくなる為ニーナに俺の周囲を警戒させている。

「よし、仕込みを始める」

 今回のラット達でやる事は、街の全貌把握と人がいない場所に魔法陣を仕掛けることだ。

 より効率的に、そして効果的に召喚獣達を人間に嗾ける為の街の把握と魔法陣設置だ。

 召喚されたラット達に命令を出しながら、街中を駆け巡っていく。

 ラットは魔物ではなく、動物に分類される生き物で、至る所にいる。その為、街中で見かけても一切の疑問を持たれない。

 流石に、1箇所に1000匹集まってるとかなら目立つが、2.3匹いた所で目もくれない。

 更に足が早く、大人が走るぐらいの速さで走れるので、活動範囲が広いのだ。

 この街の広さ程度なら、3.4時間あれば端から端まで調べることができるだろう。

「お?ここは領主の家か?」

 動かしていたラットのグループの1つが、一際大きな屋敷を発見する。

 場所は大通り沿いから少し外れたところだ。

 白を基調とした屋敷で、太陽の光を反射し、宝石と負けず劣らずの輝きを放っている。正直眩しすぎる気もするが、見栄を張る貴族ならばこのぐらいが当然なのかもしれない。

 ここに2種間後にニーナが潜入して、首を取ってこなくてはならない。少し屋敷の中を探索しておくか。

 ラット達を素早く動かしながら、屋敷の中に入っていく。

 屋敷の中も、白を基調としており、ちょっと目がチカチカする。別に白色が嫌いという訳では無いが、ここまで真っ白だと少し嫌になってくる。

 ラットの毛皮は茶色なので、周りが白色だととても目立つ。バレると、処分されるのは目に見えているので、なるべく迅速にそれでいて正確に屋敷の見取り図を完成させなくては。

 俺は一旦他のラット達との五感共有を解き、その場に待機と命令を送る。

 そして、マジックバックから紙とペンを取り出すと、屋敷の中にいるラット達を再び命令し動かす。

 屋敷の中は三階建てで、2階に領主の寝室がある様だ。

 俺達がこの街を滅ぼすのを決行するのは夜中の為、ニーナはここで領主の首を取って来るだろう。

 屋敷の中は特にトラップのようなものは無く、何人かの警備兵が巡回しているだけのようだ。

 歩き方や雰囲気を見るからに、ニーナの敵ではない。唯一まともそうな奴がいたが、到底ニーナに敵うとは思えなかった。

 更に探索を進めると、とある一室から声が聞こえてくる。

 どうやら応接室のようで、領主と思わしき人物と商人らしき人物が話している。

「これで宜しいですかな?」

「えぇ、ありがとうございます。ジゼル様。これであの邪魔な商会が潰せます」

「その代わり分かっていますね?ゼギンさん」

「分かっております。お約束はキチンと果たしますので、ご心配なく」

 どうやら俺の予想は合っていたようで、身体は少し痩せ気味だがしっかりと鍛えられており、かなりいい生地を使った派手そうでありながら品のある服を着ているのが領主であるジゼル・フォン・エドナルフ。

 中年太りしたどこにでもいるおっさんの見た目をしている、趣味の悪い派手な服を着ているのがゼギン。確かゼギン商会の会長だったか?

 俺の中の貴族は、豚のように丸々とった体型に、趣味の悪すぎる派手で豪華な服を身に纏ったゴミ以下の存在だが、どうやらこのジゼルとかいう貴族は少し違うらしい。

 どこかの商会を潰す手助けをする代わりに、自分の要求をしている辺りゴミ以下なのは違いないが、見た目はかなり俺の想像している貴族とは異なっている。

 冒険者が多いこの街だと、デブの豚は舐められるのだろう。

 だが、脳筋ではこの街の管理は出来ない。普通に優秀なんだろうな、このジゼルって人。ただ、賄賂などを受け取っている辺王国の人間だ。

 王国貴族は腐りきっており、自分の利益のためなら何でもするような屑ばかりだ。場所によっては『初夜権』などと言う馬鹿げた法を作る所もある。

 もちろん王族もだ。

 帝国や皇国の方が何倍もマシだと思う。まぁ、あちらはあちらで問題があるちゃあるのだが、王国よりはマシだ。

「これで見取り図はいいかな?おい、ニーナ」

「どうしました、マスター?」

 周囲を警戒していたニーナが、てくてくと寄ってくる。

 俺は、今し方書いた屋敷の見取り図をニーナに手渡す。

「これ、ニーナが潜入して首を取って来る領主脳筋館の見取り図だ。流石に警備兵の巡回経路とかまでは調べてないが、警備兵が何人いるかとかは書いておいたら、参考にしてくれ」

「ほへぇ.......やっぱり情報収集は召喚魔法が断トツで楽ですね。私も覚えようかな.......」

「やめとけ、絶対にやめとけ。俺はどうしようもなくて覚えたものだし、召喚魔法を覚えようとするのはドMの頭がおかしい奴だけだから」

 ニーナに、あんな苦行をやらせる訳には行かない。

 俺は必死でニーナを止める。

「でも、私も出来た方が何かと便利じゃありません?」

「便利かもしれないが、召喚魔法を覚えるぐらいなら、探知魔法を極めてくれ。そっちの方が実用性がある。召喚魔法は俺がやればいいんだからな」

「うーん、そこまで言うならそうしますが........」

 ニーナは少し残念そうにしながらも、周囲の警戒に戻って行った。

 あっぶねぇ.......あんな苦行をニーナにやらせるところだった。今後も注意しないとニーナがやり出しかねない..........気をつけなければ。

 その後、仕込みは無事に終わり、崩壊の準備は着々と進むのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...