【最弱】の召喚術師【最強】の軍勢につき

雪雪ノ雪

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第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル

ぱーふぇくとあさしんニーナちゃん

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 予定を早めることになった俺たちは、1度解散し、荷物を纏めてこの街を出て少し歩いたところにある一本木のところに集合となった。

 平原に作られたこの街の近くに唯一生えている木で、旅人などが目印としてこの木を使っている。

 この街ができる前から生えている木だそうだ。

「ニーナ、混乱に紛れて首を狩るのと、今狩るの、どっちがいい?」

 俺は、自分達の泊まっていた宿を引き取る準備をしながらニーナに話しかける。

 領主ジゼルの首は絶対にいる。この国の王様に、綺麗に包装してプレゼントしなければならない。

 俺よりもニーナの方が、暗殺などには向いている為ニーナに任せるつもりだ。

「今殺ってきます。マスターが暴れている時にそれに紛れて殺すよりかは、そっちの方が楽です」

 なんかちょっと酷い言われ様な気もするが、ニーナが今殺るって言うならそれでいいだろう。

 出発の準備が終わり、マジックバックを背負う。

「んじゃ、気をつけて行けよニーナ」

 まるでお使いに行く我が子を心配するかのように、俺はニーナの目線までしゃがんで頭を撫でる。

 ニーナはアホ毛をピコピコと跳ねさせながら、俺の撫でる手を堪能した後、キリッと表情を切り替える。

「では、第8軍大将補佐官ニーナ。行ってまいります」

 ピシッと敬礼したニーナが可愛い。

「おう、安全第一で頑張れよ。ぱーふぇくとあさしんニーナちゃ──────ぐぼぁ!!」

 激励を送ろうとした矢先、ニーナの三日月蹴りが俺の左脇腹に突き刺さり、余りの痛さに悶絶する。

 しかも、身体強化まで使った割とガチの蹴りだ。下手したら肋骨の2~3本はイッてたかもしれない。

「ま・す・た・ぁ・?今何か言いましたかぁ?」

 顔を真っ赤にしながら、額に青筋を浮かべているニーナを見て俺はやばいと直感する。

 昔から「ぁ」を使う時は結構ガチで切れている時だ。この前の魔王軍円卓会議に行く前の時も結構キレてた。........でもなんであの時キレてたんだろう?

「人の話聞いてますかぁ?ますたぁ?」

「あーうん。聞いてる聞いてる、ぱーふぇくとあさしんニ──────ごぶぅ!!」

 今度は、鳩尾に容赦なく一撃を食らわせてきた。思わず口が滑ってしまったので、即座に身体強化を腹にかけてなかったら、今頃お腹にトンネルが開通していたかもしれない。

「ねぇ?ますたぁ?なんでもう1回言うのですかぁ?喧嘩売ってるんですかぁ?死にたいんですかぁ?」

 にっこり笑いながら、殺気をバラまかないで下さい。キチンと、俺だけに殺気を当てているのは偉いが、当てられている方はたまったものではない。

「ごめんごめん。ニーナ。もう言わないから許して」

 この“ぱーふぇくとあさしんニーナちゃん”と言うのは、はるか昔ニーナがまだ精神的に幼かった頃に名乗っていた名前だ。

 流石に“ちゃん”まではつけてなかったが、ポーズをキメて「ぱーふぇくとあさしんニーナ!!」って言っているのはとても可愛かった記憶がある。

 アレからかなり経って、本人は封印したい黒歴史だろうが、俺からすれば可愛い成長期の1ページだ。

 こうやってたまに弄るのだが、毎回蹴っ飛ばされるか殴り飛ばされる。

 それもまた可愛いので、悪ふざけがすぎてニーナが本気で怒るという事がちょいちょいあるのだが、最近はニーナに蹴られるのも悪くないのでは?と危険な思考に入っていので、気をつけなければ.........

「全く.........マスターは意地悪です。次それ言ったら蹴り飛ばしますからね?」

 いやいやいやいや、既に蹴り飛ばされているのですが?!

 え?もしかしてこの子の中では、ひとの左脇腹と鳩尾に蹴りを入れることは、蹴り飛ばすに入らないのか?この子大丈夫か?色んな意味で。

 俺がニーナの頭の心配をしていると、ニーナはほふぅと溜息をついて心を落ち着かせる。

 ある意味、ため息を吐きたいのはこっちなんですが.............

「それではマスターいってきます...........あ、ちょっと楽しみたいので攫ってきていいですか?」

 サラッと怖いことを言うが、いつもの事なので気にしない。

「好きにしてくれ........ってか持ってきたの?拷問器具アレ

「持ってきましたよ?情報を吐かせる上で必要ですし、マスターに失礼を働いた人間下等生物に産まれてきた事を後悔させる用にいつも持ってます」

 さも、当たり前のような顔をして答えるニーナ。

 ...........育て方間違えたかなぁ、と俺は心の中で頭を抱えながら、宿をチェックアウトし、アザンの店に行く。

 念の為、アザンは俺と一緒に街を出ることにしている。

「あ、グレイさん!!」

 店の前で俺を待っていたアザンが、手を振りながらこっちに寄ってくる。

 豚の死体は既に処分してあるので、そんなすぐにはバレないだろうと思っていたが、大丈夫だったようだ。

「準備出来たか?」

「大丈夫だよ。あれ?ニーナちゃんは?」

「ニーナは仕事があるから別行動だ。さっさとここから、おさらばするぞ。今夜この街は滅ぶからな」

「滅ぶんじゃなくて、滅ぼすでしょ?」

「確かに」

 その後、問題なく街を出る事が出来た。後はニーナが上手くやってくれれば、問題ないだろう。

 頑張れ!!ぱーふぇくとあさしんニーナちゃん!!
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